情動焦点型コーピングとは?具体例やメリット・デメリットを解説
更新日: 2025.5.27
公開日: 2025.5.15
jinjer Blog 編集部
情動焦点型コーピングとはストレスの原因に働きかけるのではなく、ストレスによって引き起こされた精神的な苦痛を和らげる対処法のことです。
本記事では、情動焦点型コーピングの具体例やメリット・デメリットを解説します。企業で情動焦点型コーピングを導入する方法も解説しているため、ぜひ参考にしてください。
目次
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「人事評価制度に改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
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資料では、人事評価制度の基本となる種類の解説や、導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。自社の人事評価に課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

1. 情動焦点型コーピングとは
情動焦点型コーピングとは、ストレスによって引き起こされる怒りや不安などのネガティブな感情をコントロールすることです。
ストレスの原因を取り除くのではなく、受け止め方や気持ちの整理によって対処します。
部署異動やチーム体制の変化、昇進にともなうプレッシャーなど直接的な解決が難しい状況で感じるストレスに対して適した方法です。
仕事が複雑化しつつある現代社会ではストレスの原因をなくすことは困難なため、情動焦点型コーピングは重要な対処法といえます。
2. 情動焦点型コーピングの具体例
情動焦点型コーピングの具体例として、以下が挙げられます。
- 友人や同僚に話を聞いてもらう
- 専門の医師やカウンセラーに相談する
- 難易度の高い仕事を任されてストレスを感じた場合、自分の能力を信頼してくれていると前向きな意識に変換する
友人やカウンセラーへの相談を通して、ストレスに対する気づきや見解を得ます。ストレスの原因となる問題の見方を変えることも情動焦点型コーピングの一つです。
仕事が難しい、仕事量が多いなどが原因でストレスを抱えた際に、「信頼されているから仕事を任されている」と前向きに捉えます。
3. 情動焦点型コーピングと問題焦点型コーピングの違い
情動焦点型コーピングと問題焦点型コーピングの違いは、ストレスに対して「感情面に働きかけるか」「原因に直接対処するか」にあります。
情動焦点型コーピングは、ストレスによって引き起こされる感情に焦点をあてて対処する手法です。状況を変えられないときに、受け止め方や気持ちの整理によってストレスと向き合います。
一方で、問題焦点型コーピングは、ストレスの原因を取り除いて解決を図る方法です。例えば、業務量が多くてストレスを感じている場合に上司に相談して、業務量を減らしてもらうことが挙げられます。
ストレスへの向き合い方が違うため、状況に応じて使い分けることが大切です。
4. 情動焦点型コーピングを身につけるメリット
情動焦点型コーピングを身につけるメリットとして、以下が挙げられます。
- モチベーションの向上につながる
- 心の安定を保持しやすくなる
それぞれの内容について解説します。
4-1. モチベーションが向上する
情動焦点型コーピングを身につけることで、仕事に対するモチベーション向上につながります。ストレスによって引き起こされるネガティブな感情を抑えられるからです。
怒りや不安などのネガティブな感情は、仕事に対するやる気や集中力を低下させる原因になります。情動焦点型コーピングにより精神的なストレスを管理しやすくなるため、仕事に取り組む意欲を保てるでしょう。
モチベーションを維持できれば、仕事のパフォーマンスが向上し、企業全体の生産性向上も期待できます。
4-2. 心の安定を保持しやすくなる
心の安定を保持しやすくなることも情動焦点型コーピングを身につけるメリットです。情動焦点型コーピングはストレスによって引き起こされる感情にアプローチします。
仕事で感じる焦りや不安などのネガティブな感情を前向きな方向へ変えられ、精神的なバランスを維持しやすくなるでしょう。そのため、問題やトラブルが発生したときも冷静に対応できます。
ストレスを抱えすぎるとメンタルヘルス不調になるリスクもあるため、情動焦点型コーピングは心身の健康を守る手段としても重要なスキルです。
従業員が情動焦点型コーピングを身に付ければ、メンタル不調による急な欠勤や長期休職の予防にもなります。
5. 情動焦点型コーピングのデメリット
情動焦点型コーピングのデメリットは、ストレスの根本的な解決にはつながらないことです。あくまでも感情的な苦痛を和らげる方法であるため、ストレスの原因そのものを解決するわけではありません。
例えば、業務量が多すぎる場合、「自分が頑張ればいい」「成長につながる」など感情を整えるだけでは、業務量の調整や見直しなど本来必要な対処が後回しになります。
意識を変えるだけで解決できる問題であれば効果が期待できますが、問題への対処が必要な場合には問題焦点型コーピングのほうが適しているでしょう。
情報焦点型コーピングは感情を安定させるために身に付けておきたい方法ですが、根本的な問題の解決には限界があるので原因への対処も忘れずにおこなうことが大切です。
6. 情動焦点型コーピングを導入する方法
企業が情動焦点型コーピングを導入する方法として、以下が挙げられます。
- カウンセリング窓口の設置
- メンター制度や1on1の導入
- 定期的な研修の開催
- 風通しの良い職場環境の構築
それぞれの方法を詳しく解説します。
6-1. カウンセリング窓口の設置
企業が情動焦点型コーピングの活用を支援する方法として、専門家によるカウンセリング窓口を設置することが挙げられます。
第三者であるカウンセラーに相談することで、従業員が職場の人間関係(利害関係)に気を遣わずに、落ち着いて気持ちを整理できるでしょう。
カウンセラーから専門的なアドバイスも受けられるため、カウンリング窓口は従業員の心の健康維持にも貢献します。
6-2. メンター制度や1on1の導入
企業が情動焦点型コーピングの活用を支援する方法として、メンター制度や1on1ミーティングを導入することも挙げられます。
メンター制度は経験豊富な先輩社員が後輩社員のキャリアにおける課題や悩みの解消を支援し、成長をサポートする制度です
また、1on1ミーティングは上司と部下が定期的に1対1で会話することで、業務の状況や感情面の変化を把握して、信頼関係を築くコミュニケーションの場になります。
上記の制度を導入することで、従業員が業務で感じるストレスや人間関係の悩みなどを相談しやすくなります。
信頼できる先輩社員や直属の上司から共感やアドバイスを得られれば、ストレスによる精神的な負担を軽減できるでしょう。職場の体制に合わせて導入しやすいものを取り入れるのがおすすめです。
6-3. 定期的な研修の開催
従業員向けにストレスマネジメントやセルフケアに関する研修を定期的に開催することも、情動焦点型コーピングの導入に効果的です。
研修を通じて、従業員がストレスに対処するための知識やスキルを学ぶことで、日々の業務で感じるストレスに冷静に対応できるようになります。
繰り返し学べるようにeラーニングも導入すると、従業員が自分のペースで学習を続けやすくなるでしょう。
研修やeラーニングを通じて感情と向き合う機会が自然に増えるため、ストレスを抱え込みにくく働きやすい職場づくりにつながります
6-4. 風通しの良い職場環境の構築
情動焦点型コーピングを組織全体で活用しやすくするためには、風通しの良い職場環境を構築することが大切です。
従業員同士が気軽にコミュニケーションを取りサポートし合える環境になれば、従業員がストレスを一人で抱え込みにくくなります。
風通しの良い職場環境を構築するには、以下のような施策をおこなうとよいでしょう。
- 部署間の交流を促すイベントを定期的に開催する
- 休憩スペースを居心地のよい空間にする
- チャットツールを活用して気軽に相談や雑談ができるようにする
情動焦点型コーピングの感情面を整えたり気持ちを落ち着かせたりするアプローチが、職場の中で自然に根付いていくことが期待できます。
7. 情動焦点型コーピングを取り入れて従業員のストレスを和らげよう
情動焦点型コーピングは、ストレスによって感じる不安や苦痛などの感情的な苦痛を和らげるための対処法です。
身に付けることで仕事に対するモチベーションが向上する、心の安定を保持しやすくなるなどの効果が期待できます。
企業はカウンセリング窓口を設置する、定期的な研修を開催するなどして従業員が感情を整理しやすい環境を整えることが重要です。情動焦点型コーピングを取り入れて従業員のストレスを和らげましょう。
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「人事評価制度に改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
当サイトではそのような企業のご担当者に向けて「人事評価の手引き」を無料配布しています。
資料では、人事評価制度の基本となる種類の解説や、導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。自社の人事評価に課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

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