雇用契約における試用期間の意味とよくあるトラブルを紹介

求人情報などで「試用期間」という言葉を目にする機会は少なくありません。本記事では、雇用契約における試用期間とは何を意味しているのか、また、起こりやすいトラブルについて解説します。

1. 雇用契約における試用期間の意味

雇用契約における試用期間とは、長期雇用を前提として労働者の適性をチェックするための期間とされています。能力やスキルはもちろん、勤務態度なども考慮されるでしょう。

雇用主側は試用期間の適性を見て、本採用するかどうかを決めることができます。一般的に試用期間の長さは1ヵ月から6ヵ月程度です。法律で決められているわけではありませんが、最長でも1年前後でしょう。

近年は採用までのスピードが速く、雇用主側で採用した労働者の適性を見極めることが困難になっています。そのため、試用期間を設けて勤務態度やスキルに問題がないかをチェックするのです。

労働者側も試用期間をとおして、仕事内容や職場が自分に合っているかどうか、適性を実感できるでしょう。

1-1. 試用期間の待遇について

試用期間が設けられると、労働者としてはその間の待遇が気になるところです。労働基準法などの法律には定められていないため、雇用主側が自由に決定できます。

企業によっては試用期間中も本採用時と同じ雇用条件にしているところもあれば、給与や待遇などに差をつけているところもあります。試用期間中は給与を低めに設定しておき、本採用とともに給与を引き上げるという形を取っている企業は少なくありません。

また、企業や雇用主が都道府県労働局長から減額特例の許可を得ている場合には、試用期間中最長6ヵ月まで最低賃金の80%の賃金で労働者を雇用することが可能です。

2. 試用期間中の解雇の正当性について

試用期間中であっても労働者が行う仕事に変わりはありません。試用期間中に突然解雇を告げられた場合、正当性はあるのでしょうか。

ここで覚えておくべきなのは、試用期間には企業側や雇用主側が労働契約解除権を留保している状態であるという点です。もし試用期間中に労働者に適性がないと判断すれば、企業や雇用主は労働契約解除権を行使して労働者を解雇することが可能になります。試用期間中であれば、本採用後よりも幅広い事由で労働者を解雇できるのです。

雇用主側は試用期間開始後14日以内であれば即時解雇が可能ですが、それ以降は30日前までに解雇予告通知書を作成しなければなりません。

2-1. 解雇における正当な事由とは?

試用期間中に企業や雇用主が労働者を解雇できるとはいえ、もちろんどんな理由でもよいわけではありません。たとえば病気になったりけがをしたりして、復職が難しいなど、正当な事由が必要です。

休職すればまた仕事に戻れるにもかかわらず解雇すると不当解雇となります。

また、勤務態度が悪い場合も解雇の事由となります。正当な理由なく欠勤を繰り返す、遅刻・欠勤をしないように指導しても改善が見られない場合には解雇できるでしょう。

経歴詐称も解雇の正当な事由です。履歴書、職務経歴書、保有資格を偽って採用された場合には、解雇しても不当解雇と見なされることはありません。

3. 試用期間中によくあるトラブル、対策

試用期間中にはトラブルも起こりやすいものです。試用期間中に起こり得るトラブルとその対策について見ていきましょう。

3-1. 雇用主側が本採用を拒否する

試用期間が終了してとくに問題がないのであれば本採用となります。しかし、場合によっては雇用主側が本採用を拒否することもあるでしょう。

試用期間終了時に本採用を見送る旨を知らされた場合、これは違法です。試用期間とはいえ雇用契約は締結されているので、本採用の拒否には正当な事由が必要となります。雇用主側は労働者に対し、本採用を拒否する正当な事由を説明する義務があるのです。

3-2. 各種保険に加入させてもらえない

試用期間中の別のトラブルは雇用保険や社会保険に加入させてもらえないというものです。ここで重要となるのが、試用期間中であっても雇用契約は締結されている点です。

雇用主側は労働者を保険に加入させる義務があります。もし各種保険に加入させてもらえないのであれば、会社に相談しましょう。

会社に相談しても改善が見られないのであれば、労働基準監督署やハローワークなどの行政機関、弁護士への相談も選択肢のひとつです。

4. 試用期間についてよく理解してトラブルを未然に防ぐ

試用期間は雇用主にとっても労働者にとっても意味のある期間です。試用期間中の待遇や解雇の事由についてよく理解しておかないと、思わぬトラブルにつながりかねません。

試用期間に雇用主側が果たすべき役割をよく理解して、トラブルを未然に防ぎましょう。