雇用契約の違反に当たる10のケースとトラブルを避ける対策をご紹介 | jinjerBlog

雇用契約の違反に当たる10のケースとトラブルの回避方法を紹介

 

悩んでいる人

雇用契約に違反があると、労働基準法違反として、労働基準監督署から指導や罰則を受けることになります

よくある違反ケースとしては、36協定を締結していない長時間残業、休日・休暇を与えない、労災申請をしないほか、労働条件の明示や就業規則の作成・届出・周知を怠ることも違法行為です。

今回は、このような雇用契約の違法に当たる具体的な10ケースについて、および雇用契約違反に関するトラブルを回避するための対策をご紹介いたします。

関連記事:雇用契約の定義や労働契約との違いなど基礎知識を解説

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1. 雇用契約が労働基準法に違反している場合の罰則とは

ペナルティ

そもそも雇用契約の内容が法律に違反している場合、どうなるのでしょうか。

企業が守らなければならない雇用契約の条件は「労働基準法」で定められており、雇用契約の内容が法律に則っていない場合、労働基準法違反として、労働基準監督署からの指導、または罰則が科されます。

労働基準法に違反した場合に科される罰則は次のとおりです。

第117条:1年以上10年以下の懲役、または20万円以上300万円以下の罰金
第118条:1年以下の懲役、または50万円以下の罰金
第119条:6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金
第120条:30万円以下の罰金

参照:労働基準法 第十三章 罰則|e-GOV法令検索

1-1. 雇用契約と実際の労働条件が異なる場合

また、雇用契約において定められた労働条件と、実際に働いているときの労働条件が異なる場合、従業員には即時に雇用契約を解除できる権利があります。

そのような事態になってしまうことを防ぐためにも、雇用形態または個別に実際の条件と相違ないか確認してから、雇用契約書の締結をおこないましょう。

2. 雇用契約を締結する際の義務とは

義務

ここでは、雇用契約を締結するうえでの義務について詳しく解説します。企業だけでなく、労働者の義務についても触れています。

2-1. 労働条件を明示しなければならない

雇用契約に際し、企業には労働条件の明示が法律で定められています。
この対応を怠った場合、30万円以下の罰金を科される可能性があるため注意しましょう。

また、内容も定められていて、書面で確実に明示しなければならない「絶対的明示事項」と、口頭での明示でもよい「相対的明示事項」というものが存在します。

一般的に書面での明示は「労働条件通知書」上で取りおこなわれます。この書面の交付も法律で義務付けられていて、交付していない場合にも違法とみなされ同様の罰則が科せられてしまうので、確実に対応するようにしましょう。

2-2. 雇用契約書は義務ではないが作成するべき

労働基準法において、労働条件通知書や就業規則には作成義務が定められていますが、雇用契約書に関しては作成義務が定められていません。

しかし、労働条件通知書や就業規則は企業側が一方的に提示しているもので、労働者の同意を得るものではないため、労働条件を明確に把握できず、後のトラブルに発展する可能性があります。

そのような事態を避けるためにも、雇用契約書を作成して、労働者から同意欄に署名捺印をもらう方が安心といえるでしょう。

2-3. 労働者にも義務は発生する

雇用契約を結ぶと、使用者だけでなく労働者にもいくつかの義務が発生します。
一般的には以下のような義務が存在します。

・労務提供義務
・秘密保持義務
・競業避止義務
・信用保持義務
・企業秩序維持義務
・職務専念義務
・兼業禁止義務

これらの義務に対する違反行為は企業ごとにさまざまなので、就業規則などで義務の詳細を定めておくとよいでしょう。

3. 雇用契約が労働基準法に違反する具体的な10のケース

話し合う様子

それでは、労働基準法に基づき、雇用契約の違反に該当する具体的なケースと罰則をご紹介します。

労働基準監督署からの指導や罰則を受けるのは、使用者(事業主または事業の実質的権限を持つ人)と、企業そのものです。

3-1. 社会的身分や性別・国籍で労働条件を差別する

使用者は、いかなる理由があたっとしても、国籍や性別、社会的身分よって労働条件を差別してはいけません。(労働基準法第3条、4条)

違反した場合は、労働基準法第119条により、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を支払わなければなりません。

「女性である」「外国人である」といった理由で労働条件を変えることは、雇用契約違反に当たります。

特に、日本は女性の社会進出が諸外国と比較して遅れており、目に見えない無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)が働きやすい傾向もあるため、企業として注意する必要があるでしょう。

3-2. 法定労働時間を超過した労働をさせる

36協定を締結しない残業、または36協定の上限を超える残業を労働者にさせてはいけません。(労働基準法第32条)

違反した場合は、労働基準法第119条により、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を支払わなければなりません。

長時間の残業が日常化している企業のなかには、労働者に対し、法定労働時間を超えた労働をさせているケースもあります。

原則、1日8時間、週40時間を超える労働には、36協定を締結していなければなりません。36協定を締結していた場合の法定労働時間の上限は、月45時間、年360時間です。

特別な事情により臨時的に労働時間を延長したい場合は、労使間で特別条項付き36協定を締結します。

しかし、特別条項であっても年720時間、1ヶ月あたり平均80時間、月100時間未満といった上限が設けられており、いかなる理由があってもこれを上回ることは禁止されています。

3-3. 残業代・深夜手当・休日手当を支払わない

1日8時間、週40時間を超える労働に対しては残業代、22時〜翌朝5時までの労働に対しては深夜手当、週1日の法定休日出勤に対しては、休日手当として割増料金を支払わなければなりません。(労働基準法第37条)

違反した場合は、労働基準法第119条により、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を支払わなければなりません。

割増率はそれぞれ下記の割合となっていて、1時間あたりの賃金にこの割合を上乗せします。

時間外労働:25%
深夜労働:25%
休日労働:35%

具体的な計算例は以下の通りです。

〈例〉定時が18時で18時~20時まで2時間残業した場合
1時間あたりの賃金×1.25×2時間=割増された賃金

「みなし残業代制により残業代を固定させる」
「歩合給制やフレックスタイム制などを理由に残業代を出さない」
「残業を禁止しておきながら、定時で終わらない業務を指示してサービス残業をさせる」

などの対応に関しても、割増賃金の未払いとみなされます。必ず割増賃金のルールを確認して、適切な賃金を支払うようにしましょう。

3-4. 十分な休憩時間を与えていない

労働者に対し、労働基準法で定められた休暇時間を与えない行為は、労働基準法違反となります。(労働基準法第34条)

違反した場合は、労働基準法第119条により、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を支払わなければなりません。

6時間を超える労働には45分以上、8時間を超える労働には60分以上の休暇が必要です。

休憩時間に業務を指示したり、電話や来客の対応をさせたりするのは、立派な違法行為です。

3-5. 法定休日を与えていない

使用者は、労働者に対し、週1日以上の法定休日を与えなければいけません。(労働基準法第35条)

違反した場合は、労働基準法第119条により、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を支払わなければなりません。

使用者は労働者に対して週に1日の休日を与えなければなりませんが、これは4週間を通じて4日以上の休日を与えている場合は違法ではありません。

また、36協定を締結しており、法定休日出勤に対して休日手当を支払っている場合も違法ではありません。

3-6. 妊娠中や出産後の労働者に休暇を与えない・残業させる

妊娠・出産を控える労働者について、出産前や出産後の育児休暇を認めなかったり、残業を拒否する妊産婦に対して残業を強制したりしてはいけません。(労働基準法第65条、66条、67条)

 

違反した場合は、労働基準法第119条により、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を支払わなければなりません。

原則、6週間(多胎妊婦の場合は14週間)以内に出産予定の女性が休業を請求した場合、および出産後8週間を経過していない女性を就業させてはなりません。

ただし、出産後6週間を経過した女性が復帰を請求した場合は、医師が支障のないと認めた業務に就かせることは可能です。

また、生後満1年に達しない子供を育てる女性は、1日2回(各30分)子供を育てるための時間を請求でき、その時間中はその女性を使用してはいけません。

3-7. 療養補償、休業補償、障害補償、遺族補償がない

労働者が通勤中や勤務中に怪我をしたり、病気になったりしたとき、使用者は労働基準監督署に労働災害を報告することが義務付けられています。(労働基準法第75条)

 

また、労災によって労働者が死亡した場合は、遺族に対して葬祭費の負担や生活補償を行わければなりません。(労働基準法第79条)

違反した場合は、労働基準法第119条により、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を支払わなければなりません。

労働災害の申請が行われていないと、労働者は療養補償、休業補償、障害補償などを受けることができません。

「病気や怪我に対しての責任を負いたくない」「危険な業務をさせていたことを隠したい」といった理由などで、使用者(企業)が労災を隠すことは、労働基準法違反となります。

3-8. 労働契約不履行に対し、違約金・賠償金を支払わせる

使用者が労働者に対して、違約金や賠償金の支払いを求めることは禁止されています。(労働基準法第16条)

 

違反した場合は、労働基準法第119条により、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を支払わなければなりません。

たとえ、労働者が雇用契約を違反をした場合であっても、違約金や賠償金を給料から差し引くことは認められません。

また、労働者が借金をしていた場合でも、賃金との相殺は認められません。

3-9. 労働条件の明示や就業規則の作成・届出をしていない

使用者と労働者のあいだで雇用契約を締結する際、使用者は労働者に対して労働条件を書面で明示する義務があります。(労働基準法第15条)

 

また、10人以上の労働者がいる企業の場合は、就業規則の作成・届出を行い、労働者に周知することが義務付けられています。(労働基準法第89条、106条)

違反した場合は、労働基準法第120条により、30万円以下の罰金を支払わなければなりません。

労働条件を書面で明示した書類が「労働条件通知書」となります。

短期間のアルバイト採用で雇用契約書を取り交わさない場合でも、労働条件通知書は交付する必要があります。

3-10. 予告なしに解雇する

労働者を解雇する場合は、少なくとも1ヶ月前までに解雇予告をする必要があります。(労働基準法第20条)

 

違反した場合は、労働基準法第119条により、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を支払わなければなりません。

労働者を解雇する際に、1ヶ月前に予告することができなかった場合は、不足日数分の平均賃金を労働者に支払う必要があります。

天災事変その他やむを得ない事情により事業の継続が不可能となった場合、労働者の責任により解雇される場合は除きます。

4. 雇用契約の違反に関するトラブルを回避するためにできること

解決策

上述したように、雇用契約の違反には多くのケースがあることがわかります。そのため、労使間のトラブルを回避するためには、前もって入念に準備しておくことが重要です。

雇用契約に違反に関するトラブルを回避するためには、まず次の2つの対策からしておくとよいでしょう。

①労働条件を明示した雇用契約書を取り交わす
②労働条件に労働法違反がないか弁護士にチェックしてもらう

雇用契約自体は、労使間の合意さえあれば口頭でも契約が成立します。そのため、雇用契約書を取り交わすことが法律で義務付けられてるものではありません。

しかし、雇用契約書は「雇用主と労働者が労働条件について互いに合意したことを証明するための書類」であり、書面の最後には雇用主と労働者双方が署名・捺印することになります。

無用な労使トラブルを防ぐためには、雇用契約書によって労働基準法を遵守した労働条件を明示するとともに、労働者の合意を得た証拠を残しておくことが大切です。

また、使用者自身で雇用契約書や労働条件通知書を作成した際は、明示した労働条件が労働法に違反していないかどうか、弁護士に確認してもらうことをおすすめします。社労士に作成を依頼するのも良いでしょう。

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関連記事:雇用契約は口頭でも有効なのか?口頭で契約する際に注意すべき2つのリスク

5. 雇用契約が法律に違反しないように適切な対応をしよう

記入する様子

労働条件や就業規則の中に労働基準法違反があった場合は、労働基準法違反として指導や罰則を受けることになってしまいます。

つまり、労働基準法違反(雇用契約違反)にならないためには、雇用契約時の雇用契約書をきちんと作成しておくことが大事になります。労働基準法を順守した労働条件を明示するために、雇用契約書や労働条件通知書は社労士などの専門家にチェックしてもらい作成してください。

作成したものの労働条件通知書を交付しないのは違反になります。とはいえ、労働条件通知書の交付は新入社員が多かったり、出入りが多いと毎回渡すのが面倒だと思います。そんな時におすすめなのが電子化で、簡単に交付できて漏れもなくせるので、電子化がまだの方はぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。

電子化について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

関連記事:雇用契約書・労働条件通知書を電子化する方法や課題点とは?
関連記事:雇用契約書がないのは違法?考えられる4つのトラブルとその対処法

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