ジョブローテーションは時代遅れ?廃止企業が多い理由や課題、拒否された時の対処方法を解説 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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ジョブローテーションは時代遅れ?廃止企業が多い理由や課題、拒否された時の対処方法を解説

「ジョブローテーションが時代遅れといわれる理由は?」

「ジョブローテーションの廃止が多いのはなぜ?」

「従業員からジョブローテーションを断られたときの対処法を知りたい」

ジョブローテーションを実施している企業が多い中、上記のような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

ジョブローテーションが時代遅れといわれている背景には、企業のダイバーシティ(多様性)の在り方が大きく関わっています。

多様性が求められる現代において、ジョブローテーションを正しく活用するには企業や業務内容を精査しなければなりません

そこでジョブローテーションが時代遅れといわれている背景や、廃止企業が多い理由についてわかりやすく解説します。

またジョブローテーションに向かない企業や、従業員に異動や転勤を断られた際の対処法も解説するのでぜひ参考にしてください。

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人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。

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1. ジョブローテーションとは

リーダー
ジョブローテーションとは、特定の部署や職務に長期間固定せず、社員を定期的に様々な部署や業務に配置転換する制度です。この制度を導入することで、社員は在籍期間中に複数の部署を経験し、会社全体の業務内容や経営環境を知ることができます。結果として、社員のスキルの多様化や業務の相互理解が深まり、企業全体のパフォーマンス向上にも寄与します。

1-1. ジョブローテーションを行う目的

ジョブローテーションの目的は、社員に幅広い経験を積ませ、柔軟な思考や総合的なスキルを身につけさせることが主な目的です。また、定期的な配置転換を通じて、戦略的な人材育成を目指します。たとえば、新卒で入社した社員を3年ごとに異なる部署へ異動させることが一般的です。

このように異動する部署は、経理部、人事部、営業部、開発部など多岐にわたります。各部署の業務内容や問題点を理解することで、企業全体のパフォーマンス向上につなげ、社員が自社の業務を多面的に捉えられるようになります。これにより、より高度な問題解決能力や創造力を育むことが期待されます。

2. 日本でジョブローテーションが時代遅れ・無駄といわれる背景

ジョブローテーションが時代遅れとされる背景には、経済産業省が公表したダイバーシティ行動ガイドラインが影響しています。

これまで国内企業では、従業員を定年まで雇用させる終身雇用制度が一般的とされていました。しかしダイバーシティの在り方では、国籍や性別・世代を問わず、個人の能力やスキルに応じた雇用を推進しています。

現在では、各従業員の能力やスキルに見合う適所適材へと意識改革が進み、上場企業を中心にダイバーシティが浸透してきました。その結果、短期間でさまざまな経験を積むジョブローテーションの導入は時代遅れといわれています。

参照:ダイバーシティ2.0行動ガイドライン(2018年6月8日改訂)|経済産業省

関連記事:ジョブローテーションとは?目的やメリット・デメリット、実施する際のポイントを解説

2-1. 新卒一括採用に対応していた

日本でジョブローテーションが時代遅れ・無駄といわれる背景として、日本企業は長らく新卒一括採用を行ってきたことも関係します。
この仕組みでは、新入社員にはスキルや専門性が不足しているため、入社後の教育が不可欠とされ、ジョブローテーションは、効率的な教育手段として適しており、さまざまな部署を経験させることで社員の適性を把握しやすくなると考えられていました。

2-2. 無限定正社員が前提だった

日本でジョブローテーションが時代遅れ・無駄といわれる背景として、従来日本では無限定正社員が前提とされており、雇用が保証される代わりに職務や勤務地を選べない働き方が前提とされていたことが関連します。この時代には、社員は企業の都合に合わせて異動させられ、様々な業務を経験させることを目的として、ジョブローテーションが企業の人事戦略として広く採用されてきました。

2-3. 年功序列の仕組みが主流であった

ジョブローテーションが時代遅れや無駄とされる背景には、日本の企業で年功序列の仕組みが主流であったことが大きく関連します。年功序列とは、年齢や勤続年数に応じて給与が上がる制度であり、スキルアップや専門性の向上が必ずしも求められない制度でした。この制度では、企業は従業員に長期的な雇用を保証し、従業員も安定した給与の上昇を見込めるため、ジョブローテーションを受け入れやすい特徴があったのです。

2-4. 終身雇用が多く導入されていた

日本でジョブローテーションが時代遅れ・無駄といわれる背景には、終身雇用制度の影響が大きく関与しています。終身雇用とは、期間の定めがない雇用契約のことで、社員が自ら退職を申し出ない限り、定年までその企業で安定して働き続ける形態です。

この制度のもとでは、企業は社員の長期的な成長を視野に入れ、ジョブローテーションを通じて中長期的な目線で幹部候補を選抜することが重視されていました。

3. ジョブローテーションを廃止する企業が多い3つの理由

ジョブローテーションを廃止する企業が多い理由は、以下の3つです。

  1. ジョブ型雇用の導入が広がっている
  2. スペシャリストの育成が注目されている
  3. 業務意欲・帰属意識の低下につながる

2-1. ジョブ型雇用の導入が広がっている

まずジョブローテーション廃止の理由として、ジョブ型雇用を導入する企業が増えたことが挙げられます。ジョブ型雇用とは、業務内容や就業場所・就業時間などが明確に提示された状態で従業員と雇用契約を結ぶ雇用制度です。

前述した企業のダイバーシティの在り方を実現するには、ジョブ型雇用が適しているとされています。短い期間でさまざまな業務や就業場所で経験を積むジョブローテーションは適さないと判断され、廃止を検討する企業が多いです。

2-2. スペシャリストの育成が注目されている

専門的なスキルを身につけたスペシャリストの育成を図る企業が増えたことも、ジョブローテーション廃止の理由です。ダイバーシティの取り組みでは、従業員の能力やスキルを引き出し、企業価値や競争力を高める点が挙げられています。

従業員の能力向上や専門的なスキルを身につけるためには、業務に特化した人材育成を計画しなければなりません。

ジョブローテーションは、短期的にマルチスキルを高めることが目的です。結果、業務に特化した人材育成の計画には不向きとされています。

2-3. 業務意欲・帰属意識の低下につながる

従業員の業務意欲や帰属意識の低下につながる点も、ジョブローテーション廃止の理由とされています。業務に慣れたタイミングで異動や転勤が命じられた場合、業務意欲の低下につながるためです。

また「この仕事をしたい」と思って入社した従業員が、ジョブローテーションによって希望の職種に就業できない可能性もあります。従業員の意思が尊重されないと、企業の帰属意識の低下につながり、離職するケースも懸念されるでしょう。

上記のような懸念材料がある点から、ジョブローテーション停止の企業が増えています。

4. ジョブローテーションが向かない企業の4つの特徴

ジョブローテーションが向かない企業の特徴は、以下の4つです。

  1. 専門的な知識や技術が必要とされる企業
  2. 少数精鋭の企業
  3. 中長期の案件を抱える企業
  4. 中途採用の割合が多い企業

4-1. 専門的な知識や技術が必要とされる企業

専門的な知識や技術が必要とされる情報通信や建築・医療などでは、ジョブローテーションが向かないとされています。専門的な知識や技術を身につけるためには、同じ業務に携わり、経験を積むことが必要であるからです。

例えばシステムエンジニアの場合、システム設計に必要な知識やスキルを学ぶことが重要視されています。しかしジョブローテーションでシステム設計の現場から総務や管理職に異動した場合、これまでの経験を活かせません。

再度ジョブローテーションでシステム設計の現場に戻ったとしても、はじめから勉強しなければならない可能性もあります。ジョブローテーション導入する際は、業務内容に合わせた運用が重要です。

4-2. 少数精鋭の企業

スタートアップ企業やベンチャー企業などの少数精鋭の企業の場合も、ジョブローテーションが向かないとされています。限られた従業員しかいない中で業務内容の変更を促すのは、現場の混乱やトラブルを引き起こす可能性があるからです。

多忙な業務をこなしながら引き継ぎや人材育成をおこなうのは、従業員の業務負荷が大きくなります。新卒・中途採用などで人材を確保し、人材育成の一環としてジョブローテーションの導入が望ましいでしょう。

4-3. 中長期の案件を抱える企業

中長期の案件を抱えている企業・部署では、ジョブローテーションの実施は向いていないとされています。取引先の企業との共同案件を抱えている場合、担当者が変わることで取引先にも迷惑がかかる可能性があるからです。

また前任の担当者からうまく引き継ぎがされていなければ、業務の遅れが生じる場合もあります。ジョブローテーションではなく、別の人材育成の計画を検討してください。

4-4. 中途採用の割合が多い企業

中途採用の割合が多い企業においても、人材育成の一環としてジョブローテーションの実施には向いていません。就業場所や業務内容が変わるたびに、教育担当を設けることで、その分の人件費が発生するからです。

また、はじめから業務内容を説明しなければならず、業務生産性の低下につながる可能性もあります。教育する人材を確保したうえで、ジョブローテーション実施を検討してください。

5. ジョブローテーションを従業員に断られた場合の対応

ジョブローテーションを従業員に断られた場合の対応は、以下の2つです。

  • ジョブローテーションを断る理由を確認する
  • ジョブローテーションの導入理由を伝える

5-1. ジョブローテーションを断る理由を確認する

ジョブローテーションによる部署異動や転勤などを断られた場合は、なぜ断るのか理由を確認しましょう。従業員の意思に反した異動や転勤を命じても、企業に対する不信感や業務意欲の低下につながる可能性があるからです。

ジョブローテーションを実施する企業の多くは、就業規則に異動や転勤などは拒否できない旨が記載されています。そのため基本的に従業員は異動や転勤を拒否することはできません。

ただし家庭の事情(育児や介護)などの場合、就業先の変更に伴う異動や転勤は難しい場合もあります。一方的にジョブローテーションを伝えるだけでなく、異動や転勤を断る明確な理由を確認してください。

5-2. ジョブローテーションの導入理由を伝える

もし従業員から異動や転勤を断る明確な理由がなければ、ジョブローテーションの導入理由を伝えましょう。ジョブローテーションから得られるメリットを知ることで、異動や転勤を命じられる理由を従業員が把握できるからです。

例えば従業員一人ひとりの業務適性を見極めている場合や、部署を超えた社内の関係性構築を目的としている場合などが挙げられます。上記と併せて、異動・転勤することのメリットを具体的に示すことで、従業員自身も将来のキャリアをイメージできるでしょう。

6. 時代遅れと言われるジョブローテーションのメリット

OJTの期間を長くするメリット

時代遅れだと言われているジョブローテーションですが、もちろん企業によっては効果を発揮するケースも存在します。ここでは時代遅れと言われるジョブローテーションを取り入れるメリットを紹介します。

6-1. 経験としてさまざまな部署業務を理解できる

ジョブローテーションを実施することで、社員はさまざまな部署の業務を経験し、広い視野を持つことができます。複数の視点から自社の業務を理解することで、ジェネラリストの育成が可能となります。特に、優秀な社員は各部署のスキルを幅広く吸収し、総合的な能力を高めることができます。

6-2. 業務を通して企業への理解が深まる

ジョブローテーションを導入することで、多様な部署の業務に触れる機会が増え、企業全体の機能や連携について深く理解できます。例えば、ある部門の役割だけでなく、他部門との連携や各タスクがどのように相互作用するかを把握できます。

このような広範な視点を持つことで、従業員は組織全体の動きをより的確に捉え、部署を横断する大規模なプロジェクトにも迅速かつ効率的に対応できるようになります。結果として、企業に対する理解と愛着が深まり、従業員の帰属意識が向上するのです。

6-3. 業務が属人化することを抑止できる

ジョブローテーションにより、さまざまな社員が異なる業務をフォローできるため、業務の属人化を抑止することが可能です。
長期的に同じ担当者が業務を行うと、特定の社員のみが知っていることが増えてしまいますが、そういった意味ではジョブローテーションにより担当者が変わることで業務の蓋開けが定期的に行われ、仕事が特定の人物に依存する状況を防ぎます。

6-4. コミュニケーションが活性化され人脈が強化される

ジョブローテーションにより異動すると、一緒に働く社員が変わります。その結果、社内外で新しい人脈が築かれ、コミュニケーションが活性化します。また、異動を重ねるほど人脈が強化され、部署を横断して業務を進める際もスムーズに意思疎通ができます。これにより、業務の効率が向上し、企業全体の風通しがよくなるとともに、社員の連携力も強化されます。

7. 時代遅れと言われるジョブローテーションのデメリット

一方でやはり時代遅れと言われる課題感の裏側には、ジョブローテーションを行うことで発生するデメリットも存在します。ここでは具体的にデメリットを解説します。

7-1. ジョブローテーションの異動が従業員の負担に

ジョブローテーションは、企業にとって多面的な視点を持つ人材を育成するための有効な手段ですが、その一方で従業員にとっては異動が頻繁になることで負担が増加するというデメリットもあります。新しい部署へ異動する際には、従業員は業務を一から覚え直す必要があります。これには多大な時間と労力がかかるだけでなく、新しい職場環境や人間関係に適応するためのストレスも伴います。特に短期間での異動が繰り返される場合、従業員は新しい業務を学び続けるプレッシャーと戦わなければならず、このような負担がモチベーションの低下や生産性の減少を引き起こす可能性があります。

7-2. ジョブローテーションにより専門性が身につかない

企業におけるジョブローテーションにもメリットがある一方で、そのデメリットとして専門性が身につかないという課題があります。ジョブローテーションでは、各部署での経験年数が短くなるため、特定の分野で専門スキルを磨くことが困難です。多くの業務を経験できる一方で、特定の業務について深い知識やスキルを得る機会が制限されます。ジェネラリストの育成には効果的とされていますが、スペシャリストを育成したい場合には適していません。特に、クリエイター職のような高度な専門スキルが求められる職種には、ジョブローテーションを導入しない方が効果的です。

7-3. 希望ではない場合に退職のリスクを上げてしまう

ジョブローテーションは多くの企業で導入されますが、社員の希望に沿わない異動が続くと、社員のモチベーションが低下するリスクがあります。この結果、企業への所属意識や貢献意識が喪失され、退職を考える社員が増える可能性があります。特に貴重な人材が失われるリスクは大きく、企業の人事担当者や経営者にとって重大な課題となります。

8. 課題を理解した上でジョブローテーションの導入を検討しよう

ジョブローテーションが時代遅れとされている背景には、企業のダイバーシティ(多様性)の在り方が影響しています。ジョブ型雇用やスペシャリストの育成などに取り組む企業が増加し、ジョブローテーション廃止を検討する企業が増えてきました。

しかしジョブローテーションは業務適正の見極めや、マルチスキルを持った従業員の育成に適しています。企業の特徴や業務内容を踏まえたうえで、人材育成の一環としてジョブローテーションの活用を検討してください。

【従業員の評価、適切におこなえていますか?】

人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。

しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。

本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

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クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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