離職率とは?日本の現状や高くなる原因・改善が必要な理由を解説
更新日: 2025.3.5
公開日: 2025.3.5
OHSUGI
「離職率とは?」
「日本の離職率の現状は?」
上記のような疑問をお持ちではないでしょうか。離職率は、企業の経営状況や職場環境の健全性を測る指標の一つです。
特に日本では、年代や業界によって離職率に大きな差があり、背景にはさまざまな課題が潜んでいます。離職率の低下に向けた取り組みは、企業の成長と従業員の満足度向上につながります。
本記事では、離職率の基本的な意味や日本の現状、離職率が高くなる原因を解説します。離職率の改善の必要性と対策について理解し、離職率の低下を目指しましょう。
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1. 離職率とは
離職率とは、一定期間内に離職した従業員の割合のことです。一般的に、1年間を基準として、全従業員に対する離職者数の割合を計算します。集計する期間は、企業ごとに自由に設定可能です。
離職率は、従業員エンゲージメントに比例すると考えられています。そのため、離職率の高い企業は、従業員が不満を抱えているケースが多いといえるでしょう。
離職率と似ている指標に、退職率があります。両者の違いは、以下のとおりです。
意味 | |
離職率 | 定年退職や会社都合による解雇など、離職理由を問わず特定の期間内で離職した人を示す指標 |
退職率 | 自主退職や定年退職で離職した人の年齢層ごとのデータ |
それぞれの違いを理解することで、離職率が示す企業の課題や特徴をより正確に把握できるでしょう。
2. 離職率の計算方法
離職率の計算方法は、以下のとおりです。
一定期間の離職者数÷起算日時点の常用労働者数×100(%)
例えば、従業員数が100人の企業で、1年間に5人が離職した場合、離職率は5%となります。
なお「一定期間」「起算日」に定義はありません。企業や機関ごとに、任意で設定可能です。例として厚生労働省は、1月1日時点の労働者数で割った数値から離職率を算出しています。
「常用労働者数」は、期間を定めずに雇っている従業員、もしくは1ヵ月以上の期間を定めて雇っている従業員のことです。
3. 日本の離職率の現状
日本の離職率の現状は以下のとおりです。
- 日本の離職率の平均値
- 新卒の3年以内の離職率
3-1. 日本の離職率の平均値
厚生労働省のデータによると、2023年の日本の離職率の平均値は、15.4%です。前年と比較すると、0.4%上回る結果となりました。
性別・就業形態別の離職率は以下のとおりです。
調査対象者 | 離職率 |
平均値 | 15.4% |
男性 | 13.8% |
女性 | 17.3% |
一般労働者 | 12.1% |
パートタイム労働者 | 23.8% |
離職率に男女差はありますが、どちらも若年層の離職率が高い傾向にあります。
3-2. 新卒の3年以内の離職率
新卒3年以内の離職率は、以下のとおりです。
学歴 | 新卒の3年以内の離職率 |
中学卒 | 50.5% |
高校卒 | 38.4% |
短大卒 | 44.6% |
大学卒 | 34.9% |
「就職してみたものの、自分に合わなかった」「上司や同僚との関わりがうまくいかない」などといった理由から、就職後に退職するケースも増えています。
学歴による差が若干あるものの、若年層の離職率の高さが日本企業の大きな課題です。
参考:新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します|厚生労働省
4. 離職率が高くなる原因
離職率が高くなる原因は以下のとおりです。
原因 | 詳細 |
給与や待遇の不満 |
|
労働条件に関する不満 |
|
人間関係の悪化 |
|
キャリアパスの不透明さ |
|
働きがいの欠如 |
|
ライフステージの変化 |
|
厚生労働省のデータをみると、特に待遇面や労働条件や人間関係の悪化が、離職率に大きく影響していることがわかります。
5. 離職率が高い職種
離職率が最も高い職種は、生活関連サービス業・娯楽業で20.8%です。
一方で、製造業や運輸業などの6つの産業は10%以下の離職率に留まっています。
産業別で大きな差があるため、自社と比較する場合は、同じ産業を参考にするとよいでしょう。
6. 離職率の改善が必要な理由
離職率の改善が必要な理由は、以下のとおりです。
- 採用コストの増加
- 業務効率の低下
- 企業イメージの悪化
6-1. 採用コストの増加
離職率が高いと、採用コストが増加するため、離職率の改善が必要です。
就職説明会や採用面接といった頻繁な採用活動は、コストも増えるため従業員や企業への負担となりやすいです。
新しい従業員を採用すると、教育するコストも継続的に発生するでしょう。
6-2. 業務効率の低下
離職率が高いと業務効率の低下が懸念されるため、離職率の改善が必要です。
残された従業員に業務が集中するとモチベーションの低下を招き、結果として業務効率や生産性が低下します。
特に、優秀な人材の流出は、ノウハウが失われ業務が滞るリスクもあるでしょう。従業員のモチベーションの低下は、さらなる離職者を生む可能性も考えられます。悪循環に陥る可能性があるため、早急に対応しなければなりません。
6-3. 企業イメージの悪化
離職率が高いと、企業イメージの悪化につながるため、改善が必要です。
離職率の高い企業は、「働きにくい企業」「従業員が定着しない企業」など、ネガティブな印象を持たれやすくなります。
また、離職率が高いと採用活動に悪影響を及ぼすでしょう。求職者は安定した労働環境を求めているため、離職率の高い企業を避ける傾向にあるためです。
採用コストが増え、優秀な人材の確保が難しくなります。
企業のネガティブな情報が広まると、顧客や取引先に「問題がある企業」とみなされ、信頼性の低下を招くリスクもあるでしょう。
7. 離職率を低下させるための取り組み
離職率を低下させるため、以下のような取り組みを実施しましょう。
- 給与体系の見直し
- 柔軟な働き方の導入
- キャリア開発の支援
- コミュニケーションの強化
- 離職者のフィードバックの活用
7-1. 給与体系の見直し
給与体系の見直しによって、離職率の改善が期待できます。給与や待遇は、離職率の高さに直結する重要な要素です。
同業他社と比較して、競争力のある給与水準を維持することが求められます。
昇給やボーナス、インセンティブ制度などを導入し、従業員が「正当に評価されている」「自身の努力が報われる」と感じる仕組みを構築しましょう。
ただし、過度な成果主義はストレスや不満を生む可能性があるため、基本給と成果報酬のバランスが重要です。
7-2. 柔軟な働き方の導入
離職率を低下させるために、柔軟な働き方を導入することも大切です。多様なライフスタイルに合わせた働き方は、従業員満足度を向上させます。
従業員のワークライフバランスの向上を重視し、リモートワークや、フレックスタイム制度の導入を検討するとよいでしょう。働く時間や場所の柔軟性を高めることで、従業員の生活環境に合った働き方を提供できます。
7-3. キャリア開発の支援
従業員の将来を見据えたキャリア開発の支援も、離職率を低下させるために有効です。従業員が自己成長を実感できる環境は、長期的な定着につながります。
研修や教育プログラムを提供し、従業員の成長を促しましょう。将来どのようなポジションを目指せるのか、具体的なキャリアパスを示すことも重要です。
目標を設定して進捗をサポートし、従業員のモチベーションやチャレンジ精神を引き出しましょう。
7-4. コミュニケーションの強化
離職率を低下させるために、職場内のコミュニケーションの強化をすることも大切です。チーム全体の一体感や信頼感が生まれ、働きやすい環境を整えられます。
定期的な1on1ミーティングや、社内イベントの実施が有効です。従業員との対話を増やし、意見を吸い上げる仕組みを構築しましょう。
従業員の意見を積極的に聞き入れることで、不満や課題を早期に把握できます。
7-5. 離職者のフィードバックの活用
離職者のフィードバックを活用することも、離職率低下の対策に有効です。離職者の意見をもとに、改善策を検討し、今後の離職予防の対策に活かせます。
離職理由や傾向をデータ化し、企業の課題や問題点を洗い出しましょう。フィードバック結果をもとに、具体的な改善案を立案し、従業員に共有します。
企業の透明性を高めることで、従業員の信頼を得やすくなるでしょう。
8. 離職率の低下を目指し職場環境を見直そう
離職率の低下を実現するためには、職場環境の見直しが欠かせません。給与や働き方、キャリア支援、コミュニケーションの改善に取り組むことで、従業員が働きやすい環境を整えられます。
また、離職者の声を活用し、課題を明確にすることで、さらなる改善が可能です。離職率が低い企業は、社員の満足度が高く、結果として生産性や企業イメージの向上にもつながります。
長期的な視点で職場環境を見直し、従業員が安心して働き続けられる職場づくりを目指しましょう。
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