退職者の給与支払報告書が必要なケースや書き方を紹介 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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退職者の給与支払報告書が必要なケースや書き方を紹介

電卓で計算しながらPC作業する男性

企業や個人事業主は、従業員に給与を支払った場合、前年1年間の給与額等を集計して給与支払報告書を作成し、関係市区町村に提出しなければなりません。

また、給与支払報告書は在籍する従業員だけでなく、退職した従業員に関しても作成が求められます。

本記事では、退職者の給与支払報告書が必要となるケースや書き方を解説します。

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令和7年度の税制改正によって、令和7年12月の年末調整から変更が生じます。

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1. 退職者も給与支払報告書が必要

人差し指を出す男性

原則として、退職者であっても給与支払報告書の提出は必要です。給与支払報告書とは、関係市区町村が住民税の額を決定するために必要な書類です。

地方税法第317条6項では、前年中に支払った給与に対し、従業員すべての給与支払報告書を作成して関係市区町村に提出することを義務付けています。

すでに退職している従業員にも、前年中に給与を支払っているため、関係市区町村への提出が必要です。

1-1. 給与支払報告書の提出先

給与支払報告書の提出先となる市区町村は、在籍者と退職者で基準が異なります。

給与支払報告書の提出先

  • 在籍している従業員:報告対象翌年の1月1日時点の住所地の市区町村
  • 退職した従業員:退職日時点の住所地の市区町村

いずれも現在の住所地ではないため注意しましょう。

1-2. 給与支払報告書の提出期限

給与支払報告書の提出期限は、報告対象翌年の1月31日です。提出期限は在籍している従業員分と退職した従業員分も同じ日となります。

給与支払報告書に記載する支払金額は、前年1月1日から12月31日までに支払が確定した給与等の総額です。年末調整を終えたあとに給与支払報告書を準備して関係市町村に提出します。

参照:地方税法|e-Gov法令検索

1-3. 退職者の給与支払報告書を省略できるケース

例外として、退職した従業員に対する給与等の支払金額が30万円以下の場合、退職者の給与支払報告書は提出を省略できます。

ただし、多くの市区町村では30万円以下の場合でもできる限り給与支払報告書を提出するよう求めています。各市区町村からすると、個人住民税を正確に算出するには給与等の支給に関する情報が欠かせないためです。

給与等の支払金額に関わらず、提出が必要と定めている市区町村もあります。

企業としては退職者の給与等の支払金額が30万円を下回る場合でも、一律で給与支払報告書を作成して提出するルール作りをするのが安心でしょう。

なお、在籍する従業員の給与支払報告は、年間の給与支払い額が30万円を下回る場合でも提出が必要です。紛らわしいため、混同しないよう気をつけましょう。

2. 退職者の給与支払報告書(個人別明細書)の書き方

必要な手続きをおこなう

給与支払報告書には個人別明細書と総括表の2つの種類があります。個人別明細書とは、従業員一人ひとりの給与の支払い状況などを記載する書類です。

在籍している従業員と退職者とでは、給与支払報告書個人別明細書の書き方が一部異なります。退職した従業員のものと判断できるよう、給与支払報告書を正しく記載しましょう。

退職者の個人別明細書に記載する内容は、次のとおりです。

項目

記載内容

住所欄

退職時の住所

支払金額

その年に支給した給与の額の合計額

給与所得控除後の金額

年末調整で算出した所得控除後の給与所得の額

年末調整をしない場合は空欄

所得控除額の合計額

年末調整で算出した所得控除の額

年末調整をしない場合は空欄

源泉徴収税額

給与や賞与から天引きした所得税等の合計額

その他控除額

項目ごとに年末調整で控除した額

2-1. 住所欄

給与支払報告書の住所欄には、従業員の退職時の住所を記載します。在籍している従業員の場合は1月1日現在の住所を記載するため、退職者とは基準が異なります。

退職する従業員には、退職時点の住所を確認しておきましょう。

2-2. 支払金額

支払金額の欄には、退職した従業員に対して前年中に支払の確定した給与等の総額を記入します。

在籍している従業員の場合は、1月1日から12月31日までに支払われた給与の額を記載しますが、退職した従業員の場合は1月1日からその年に最後に支給した給与の額までを記載しましょう。

また、過去に支払った給与に誤りが見つかった場合には、修正が必要です。給与支払報告書は、修正が反映されていることを確認してから記載しましょう。

2-3. 給与所得控除後の金額

給与所得控除後の金額の欄には「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」によって求めた「給与所得控除後の給与等の金額」を記載します。支払金額を表に当てはめ、該当する給与所得控除後の金額を探しましょう。

なお、年末調整をしないときには空白のままにしておきます。

参照:年末調整のしかた|国税庁

2-4. 所得控除額の合計額

年末調整をおこなう場合は「所得控除額の合計額」欄に控除の合計額を記入します。社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除、配偶者控除や扶養控除、基礎控除など各種控除の合計額を記入しましょう。

年末調整をしない場合は空白で問題ありません。

2-5. 源泉徴収税額

「源泉徴収税額」欄には、その年中に支払の確定した給与や賞与から天引きした所得税等の合計金額を記載しましょう。

2-6. その他控除額

社会保険料等の金額や生命保険料の金額など、項目ごとに年末調整で控除した額を記載します。

2-7. 中途就・退職者欄

退職した従業員の給与支払報告書は「中途就・退職者」欄に次の記載が必要です。

  • 退職欄:「◯」を記載
  • 年月日:退職した年月日を記載

3. 退職者の給与支払報告書(総括表)の書き方

書類

総括表は、従業員ごとに作成した個人別明細書を取りまとめるための書類です。総括表には、次のとおり報告人員の人数を記載する欄があります。

項目

記載内容

特別徴収

在職者

在籍者のうち、住民税を特別徴収している人数

普通徴収

退職者・退職予定者

退職者・退職予定者の人数

乙欄・その他

在籍者のうち、乙欄や休職などで普通徴収としている人数

合計

上記の合計人数

報告人員の内訳を記入する欄のうち、特別徴収の欄には在籍している従業員のうち住民税を特別徴収している人数を記入し、退職者の欄には退職した従業員の人数を記入しましょう。

報告人員の欄には、在籍する従業員数や退職者数、その他の従業員の人数の合計を記入します。

関連記事:給与支払報告書の書き方のポイントや訂正方法、提出先を詳しく解説

4. 退職者の給与支払報告書のよくある質問

木のブロック

退職者の給与支払報告書に関して、よくある質問とその回答をご紹介します。

4-1. 退職者の源泉徴収票の取り扱いは?

源泉徴収票とは、税務署(国)に対して前年の給与の支払い状況を報告するための書類です。給与支払報告書と様式はほぼ同じですが、提出先や提出基準が異なるため注意しましょう。

 

給与支払報告書

源泉徴収票

提出先

市区町村

税務署(国)

提出基準

原則として、退職した年の給与支払額が30万円以上

退職した年の給与支払額が250万円を超える場合

(法人の役員の場合は50万円を超える場合)

給与支払報告書と源泉徴収法の違いについて詳しく知りたい方は関連記事をご覧ください。

関連記事:給与支払報告書と源泉徴収票の違いとは?提出先など5つの違いを解説

4-2. 退職者の住所が不明の場合は?

退職者の給与支払報告書は、退職日時点の住所地の市区町村へ提出します。退職日時点の住所がわかっていれば、作成時点や提出時点での住所が不明でも提出先に影響はありません。

私傷病で休職していた従業員の休職期間満了など、しばらく出勤実績がなかった従業員が退職する場合には、忘れずに退職時点の住所を確認しておきましょう。

4-3. 給与支払報告書の提出方法は?

給与支払報告書の提出方法には、書面と電子申請の2種類があります。

  • 書面
    書面で提出する場合は、窓口に持参するか、郵送で手続きします。提出方法がわからない場合は市区町村に問い合わせるか、ホームページを確認しましょう。
  • 電子申請
    電子申請とは、電子データを作成し、システム上で給与支払報告書を送付する方法です。給与支払報告書はeLTAXというシステムを使って市区町村に提出します。

システムの操作に慣れれば、書面よりも手軽に書類の作成や提出が可能です。電子申請の方法はこちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:給与支払報告書を電子申請する方法をわかりやすく解説

4-4. 給与支払報告書を提出しないとどうなる?

退職者の給与支払報告書の提出が必要にもかかわらず提出しなかったときは、罰則の対象となる可能性があります。

給与支払報告書を提出しなかったことによる罰則は「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」です。必ず提出期日までに書類を作成して提出しましょう。

給与支払報告書、届出書若しくは公的年金等支払報告書を提出したときは、その違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

引用:地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)|e-Gov法令検索

5. 退職者の給与支払報告書も忘れずに提出しよう

注意点

退職した従業員であっても、30万円以上の給与を支払っていた場合には、給与支払報告書の作成と提出が義務付けられています。

給与支払報告書の作成自体は在籍する従業員とあまり変わりません。退職年月日を記入し、退職した旨が把握できるようにしておきましょう。

1月や2月など、年のはじめに退職した従業員の給与支払報告書は特に処理を忘れやすいため注意が必要です。年間の退職者を改めて確認し、抜け漏れなく作成・提出しましょう。

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  • 「令和7年分の年末調整で提出する書類は?」
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jinjer Blog 編集部

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