労働契約法15条に定められた「懲戒」の対象者と懲戒を無効にする権利について解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

労働契約法15条に定められた「懲戒」の対象者と懲戒を無効にする権利について解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

労働契約法15条に定められた「懲戒」の対象者と懲戒を無効にする権利について解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

労働契約法15条に定められた「懲戒」の対象者と懲戒を無効にする権利について解説

説明する男性

懲戒処分は、無断欠勤や遅刻、不正行為など社内の規律を乱す行為のあった従業員を戒めるためにおこなわれます。しかし、従業員が懲戒処分の内容を不服とし、トラブルとなるケースも数多くあります。適正に懲戒処分をおこなうためにも、労働契約法15条について理解する必要があります。

本記事では、労働契約法15条で定められた懲戒の対象者や懲戒が無効となるケースについて解説します。

▼そもそも労働契約法とは?という方はこちらの記事をご覧ください。
労働契約法とは?その趣旨や押さえておくべき3つのポイント

その「解雇」や「雇止め」の対応、 本当に万全ですか?

労働者保護の観点から、解雇には様々な法規定があり、解雇の理由に合理性が無ければ認められません。
当サイトでは、解雇の種類や解雇を適切に進めるための手順をまとめた資料を無料で配布しております。

◆貴社の対応は万全ですか?セルフチェックリスト

  • 解雇を検討する際に押さえるべき3つの種類と法的要件 
  • 「不当解雇」と判断されないための具体的な進め方と注意点
  • 有期雇用契約における「雇止め」の正しい手順と留意点 
  • 最新の法改正(2024年4月)に対応した労働条件明示のルール 

一つでも不安な項目があれば、正しい手続きの参考になりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 労働契約法15条に定められた「懲戒」の対象者

考える男性

懲戒処分とは、業務命令や社内規定に違反した従業員に対して、制裁として不利益な措置をおこなうことをいいます。。つまり、懲戒処分の対象者となるのは、業務命令や社内規定に違反するといった、会社の秩序を乱すような行為をした従業員が該当します。

しかし、懲戒処分の対象となる行為や処分に関しては、法律で具体的に内容が定められていません。そのため、就業規則で「懲戒事由」と「処分の内容」を定めることで、懲戒の対象となる範囲を決めておく必要があります。就業規則の「懲戒事由」と「処分の内容」にどのような内容を盛り込むのか、次に紹介します。

1-1. 就業規則に明示する事項「懲戒事由」

懲戒事由に関しては、以下のような内容が挙げられます。

職務怠慢

ハラスメント行為(セクシャルハラスメントやパワーハラスメント行為)をおこなったこと

業務命令違反

上司の指示や命令に従わないこと。時間外労働や休日労働、出張、配転、出向に関する命令に違反することなど

職場規律違反

職場で定められている規律に違反すること。無断欠勤や遅刻過多を始め、横領や備品類の窃盗、他の従業員への暴行など

経歴違反

採用時に経歴を偽って入社すること。最終学歴や職歴を偽る、賞罰欄で犯罪歴を隠すなど

私生活上の不適切な行動

痴漢や飲酒運転など

1-2. 就業規則に明示する事項「懲戒の種類」

懲戒の種類に関しては、一般的に以下のようなものがあります。

戒告

書面や口頭によって注意することで、将来を戒める処分

譴責(けんせき)

始末書を提出させ注意を促すことで、将来を戒める処分

減給 

賃金の一部を減らすことによって、注意を促す処分

※なお、労働基準法第91条で「1回の事案に対する額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、かつ、一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」と規定されている。

出勤停止

一定期間において出勤を禁止する処分

※出勤停止期間中、原則として賃金の支払いはない。出勤停止期間が長くなると不当とみなされる場合があるので注意。

降格

役職や職位などを引き下げる処分

降格は出勤停止よりも、収入に大きく影響を及ぼすため、不当に降格がおこなわれないようにしなければならない。どのような事由が、降格に該当するのか、就業規則に明示しておく必要があると考えられる。

諭旨解雇

懲戒解雇とするだけの事由はあるが、情状を考慮し、退職を勧告する処分。労働者がこれに応じ退職すれば解雇とはしないが、応じない場合は懲戒解雇となる

懲戒解雇

最も重い解雇処分。原則として即時解雇となり、退職金についても不支給または一部減額とされることが多い

※即時解雇とするためには、労働基準監督署長の解雇予告除外認定を受ける必要がある

2. 労働契約法15条による懲戒権の濫用とは

クエスチョンマーク労働契約法15条は、使用者が懲戒処分を行う際に、その権限を適正に行使しなければならないと定めています。懲戒権の濫用とは、懲戒処分の理由や内容が社会通念上相当でない場合や、処分の目的が不当な場合を指します。

例えば、軽微な過失に対して重すぎる懲戒処分を下したり、特定の従業員を排除する目的で処分を行うようなケースです。このような懲戒は無効と判断され、企業は労働者に損害賠償を負う可能性もあります。懲戒処分は、就業規則や法令に基づき、公正かつ合理的な判断が必要です。

3. 労働契約法15条による「懲戒」の効力

考える男女労働契約法15条は、雇用主による懲戒権の濫用を抑止する目的でつくられた法律です。
ここでは、労働契約法15条にはどのような効力があるか、また適正に懲戒処分をおこなうには何が必要かについて、詳しく解説します。

3-1. 懲戒処分を無効にすることができる

会社の規律や業務命令に違反した労働者を戒める懲戒処分ですが、懲戒処分の内容を巡るトラブルは後をたちません。労働契約法15条は、労働者が不当に不利益を被らないように、雇用主の懲戒権濫用を抑止する目的でつくられました。

労働契約法15条では、雇用主が労働者を懲戒できる場面において、懲戒処分の内容が「客観的に合理的な理由を欠き」、「社会通念上相当であると認められない」場合は権利の濫用とみなされるため、懲戒は無効とするとされているので注意しましょう。

当サイトでは、実際に解雇が無効とされた判例について解説した資料を無料で配布しております。その他にも、解雇制限や解雇予告などの基礎的な内容もまとめてありますので、懲戒処分を検討されている方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

3-2. 懲戒をおこなうには就業規則への明記が必要

懲戒処分をおこなうにあたっては、就業規則に懲戒に関する規定を明示しなくてはなりません。これは、労働基準法でも義務付けられていることです。懲戒を法的に効力のあるものとするには、懲戒となる具体的な根拠(懲戒事由)や処罰の内容(懲戒の種類)を明示しておく必要もあります。

ただし、労働契約法15条にも、「使用者が労働者を懲戒できる場合で、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない懲戒に関しては、権利濫用とみなし無効とする」となっています。そのため、就業規則に盛り込む内容も、労働契約法15条の内容に沿ったものでないと、無効とされる可能性があります。

関連記事:就業規則に違反した社員に対する正しい対処方法

4. 労働契約法15条による「懲戒」を無効にする権利

従業員満足度のイメージ

労働契約法15条によって、懲戒を無効にできるケースには以下のようなものが考えられます。

4-1. 労働契約法15条の条件を満たしていない

懲戒の内容が、労働契約法15条にも明記されている「客観的に合理的な理由を欠いてる」「社会通念上相当であると認められない」場合には、権利濫用とみなされて懲戒は無効となります。合理的な理由や社会通念上の相当性があるかどうかは、懲戒の対象となる行為の性質や態様、そのほかの事情によって考慮されます。

従業員から懲戒の無効を主張されないためにも、上述のように、就業規則で懲戒に関する事項をしっかりと明記しておかなければなりません。ただし、就業規則で明記するだけでは足りず、従業員に就業規則を周知していなかった場合も無効とされるため、注意が必要です。

4-2. 懲戒の事由に対して処分が相当ではない

懲戒処分の事由に対して処分が重すぎると判断される場合は、その懲戒処分は無効とされてしまいます。これは、違反した行為の内容や経緯、情状酌量の余地など鑑みて、処分が社会通念上相当である必要があるとした労働契約法第15条の「社会通念上の相当性」の要件に基づき判断されるためです。

例えば、初めて遅刻した社員に、出勤停止という処分を課すのは、会社が受けた損害と従業員が受ける損害を比べると相当とはいえず、無効となる可能性があります。

4-3. 懲戒の処分が平等におこなわれていない

特定の社員や特定の行為に対して、例外的に処罰を重くするような場合も、「平等取扱の原則」に反しているとみなされ、懲戒処分が無効とされてしまいます。
例えば、懲戒処分の内容が全く同じであるにも関わらず、Aさんの処分が戒告であったのに対し、Bさんの処分が減給といったようなことです。また、役職の上位にある者にだけ、特別に処罰を重くするといったようなことも、懲戒が無効となる可能性があります。

5. 企業が懲戒処分をおこなう際の注意点

注意

懲戒処分をおこなう際は、まず就業規則に明記された懲戒事由に該当するかを確認し、客観的な証拠をもとに慎重に判断する必要があります。また、処分の内容が過度でないか、他の従業員との公平性が保たれているかも重要です。さらに、労働者に弁明の機会を与え、公正な手続きを踏むことが求められます。

5-1. 懲戒事由の明確化

懲戒処分を適正におこなうためには、どのような行為が懲戒対象となるかを就業規則で具体的に定めておく必要があります。「業務命令違反」や「職場秩序を乱す行為」など、抽象的な表現ではなく、実際の行動例を挙げておくと明確です。

曖昧な規定のまま懲戒処分をおこなうと、後に労使トラブルとなるリスクが高まります。企業は、懲戒事由を定期的に見直し、社会情勢や業務内容の変化に応じて更新していく姿勢が求められます。

5-2. 証拠の確保と事実確認

懲戒処分の妥当性を担保するには、客観的な証拠の収集と正確な事実確認が欠かせません。メールやチャットの履歴、防犯カメラ映像、同僚の証言など、複数の情報源から裏付けを取ることが重要です。

感情的な判断や噂をもとに処分をおこなうと、後に不当懲戒として無効になる可能性があります。企業は、事実関係を冷静に整理し、記録として残す体制を整えておくべきです。

5-3. 処分の相当性

懲戒処分は、行為の内容や結果の重大性に応じて、社会通念上相当な範囲でおこなわなければなりません。例えば、軽微な遅刻に対して懲戒解雇を行うような処分は過剰とみなされる可能性があります。

また、同種の違反に対して他の社員と異なる対応をすると、不公平な扱いと判断されかねません。処分の目的は秩序の回復であり、懲罰感情によって行うものではない点を常に意識する必要があります。

5-4. 弁明の機会の付与

懲戒処分をおこなう前には、必ず対象となる労働者に対して弁明の機会を与えることが求められます。本人の言い分を聞かずに処分を決定すると、手続きの公正性を欠き、無効と判断されるおそれがあります。弁明の場は口頭でも書面でも認められるものの、記録として残しておくことが望ましいです。公正なヒアリングを通じて、誤解や事実誤認を防ぎ、組織全体の信頼性を高めることができます。

6. 懲戒処分は平等かつ慎重におこなわなければならない

会議する人

企業が懲戒処分を下す際、その有効性は労働契約法第15条に基づき厳しく判断されます。15条では「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない懲戒は権利の濫用として無効とする」と定めています。したがって、企業はまず就業規則に懲戒事由と処分の種類を明確に規定し、それを全従業員に周知徹底することが必須です。

さらに、実際に処分を下す際には、その事由に対する処分の重さが適切であるかという相当性の原則、そして他の従業員と比較して不公平がないかという平等の原則を厳守しなければなりません。これらの原則に反した処分は、たとえ就業規則の規定通りであっても無効とされるリスクがあります。無効な処分はトラブルや損害賠償につながるため、証拠の確保や弁明の機会の付与といった適正な手続きを踏み、極めて慎重に進める必要があります。

その「解雇」や「雇止め」の対応、 本当に万全ですか?

労働者保護の観点から、解雇には様々な法規定があり、解雇の理由に合理性が無ければ認められません。
当サイトでは、解雇の種類や解雇を適切に進めるための手順をまとめた資料を無料で配布しております。

◆貴社の対応は万全ですか?セルフチェックリスト

  • 解雇を検討する際に押さえるべき3つの種類と法的要件 
  • 「不当解雇」と判断されないための具体的な進め方と注意点
  • 有期雇用契約における「雇止め」の正しい手順と留意点 
  • 最新の法改正(2024年4月)に対応した労働条件明示のルール 

一つでも不安な項目があれば、正しい手続きの参考になりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

jinjer Blog 編集部

jinjer Blog 編集部

jinjer Blogはバックオフィス担当者様を支援するため、勤怠管理・給与計算・人事労務管理・経費管理・契約業務・帳票管理などの基本的な業務の進め方から、最新のトレンド情報まで、バックオフィス業務に役立つ情報をお届けします。

人事・労務管理のピックアップ

新着記事