就業規則に違反した社員に対する企業側の正しい対処方法とは - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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就業規則に違反した社員に対する企業側の正しい対処方法とは

話し合う様子

違反にあたる行為と、懲戒処分の具体的な内容を記載することで、就業規則違反を理由として、社員の処罰が可能となります。
とはいえ、行為の内容と処分の程度は等しい必要があります。また、就業規則に違反しない仕組み作りも大切です。

この記事では、就業規則違反を理由に社員を解雇できるのかについて、また、懲戒処分の段階、就業規則違反を防ぐ方法を解説します。

▼就業規則について1から理解したい方はこちら
関連記事:就業規則とは?人事担当者が知っておくべき基礎知識

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1. 就業規則違反とは

就業規則違反とは、企業が定めた就業ルールに対する違反行為を指します。

就業規則には、従業員が守るべき「服務規律」や「秘密保持義務」、さらには「ハラスメントの禁止」などが明記されています。これに違反する行為としては、例えば機密情報の持ち出しや不正打刻、無断欠勤、副業の制限違反などが挙げられます。

これらの行為は、企業の運営に支障をきたす可能性があるため、適切な対処が求められるのです。

2. 就業規則の違反に気がついたときの対処法

お互いを疑う様子

就業規則の違反に気づいた時は、いきなり懲戒解雇にするのではなく、違反の内容に応じた処罰を科すことが大切です。まずは就業規則に懲戒規定を設けておきましょう。

懲戒には違反の程度に応じて、戒告~懲戒解雇までの7段階があるため、ふさわしい処罰を利用しなくてはいけません。ただし、処罰の段階や程度は、就業規則によって異なるケースもあります。

以下、それぞれの処罰の内容について、詳しく解説します。

2-1. 戒告(かいこく)

社員に対して、口頭や書面で厳重注意をおこなう処罰です。

懲戒処分の中では最も軽い処罰のため、遅刻・欠勤が甚だしい場合など、軽微の就業規則違反の際に利用します。給与や昇給に影響を与えない場合が多いほか、就業規則によっては記載されていない場合もあります。

また、戒告を行う際には、従業員にその内容を明確に伝え、再発防止を促すことが重要です。これにより、従業員が自身の行動を見直し、企業全体の規律が強化されることが期待できます。戒告は、以後の懲戒処分の基準となる場合もあるため、記録を適切に管理することが求められます。

2-2. 譴責(けんせき)

口頭や書面で厳重注意をおこなう以外に、社員に始末書を提出させ、同じ違反を繰り返さないように戒めます。もし、始末書を提出しなかった場合は、「人事考課に影響を与える」などの規定を設けることもあります。

また、始末書の提出を求める際には、従業員に対してその目的や重要性をしっかりと説明することが重要です。始末書は、従業員に自身の行動を反省させ、今後の行動改善につなげるための重要な手段となります。提出された始末書は、人事考課の際の評価材料として利用されるため、従業員もその真剣さを理解することで、今後の遵守意識が高まるでしょう。

また、始末書の内容に基づいて、必要に応じて追加の処分や再発防止策を講じることも有効です。これにより、企業全体の規律が向上し、就業規則違反を未然に防ぐ効果が期待できます。

2-3. 減給

違反行為に対して、給与の一部を差し引く処罰です。
減給は重い処分のため、労働基準法第91条により金額の上限が定められています。

  • 1回あたり、1日の賃金の半分以上を超えてはいけない
  • 総額が1ヵ月の賃金の10分の1を超えてはいけない

そのため、1回の減給処分で1日分の賃金すべてを差し引くようなことはできません。

参照:労働基準法|e-Gov法令検索
関連記事:労働基準法第91条に規定された「減給の限度額」の意味や計算方法

2-4. 出勤停止

出勤停止は、重大な就業規則違反があった場合に適用される処分であり、企業によっては厳格に運用されています。

この処分は、従業員に対して強い警告を意味し、他の従業員に対する抑止力にもなることが期待されます。ただし、出勤停止が過度に長引くと、従業員の生活や会社への信頼関係に悪影響を及ぼす可能性があるため、企業は出勤停止を行う際には十分な理由と説明を伴わなければなりません。

また、就業規則には出勤停止に関する具体的な要件や適用方法を明記しておくことが重要です。これにより、従業員は自身の行動がどのような結果をもたらすのかを理解しやすくなり、今後の就業規則遵守につながるでしょう。

参照:21 賃金の減額(欠勤控除含む)|大阪府

2-5. 降格

管理職の役職を引き下げるだけでなく、社員の職能資格や給与等級の引き下げも降格処分に含まれます。
また、降格の場合、懲戒処分だけでなく、人事異動のケースもあるため、どちらに該当するか社員に説明しましょう。

また、降格によって役職手当の減額だけでなく、基本給の減額をおこなう場合は、下記の点を確認しながら、注意してすすめるようにしましょう。

  • 就業規則に基本給の減額について明記されていること
  • 人事評価が合理的であること
  • 社員に弁明の機会が与えられていること

2-6. 諭旨解雇(ゆしかいこ)

社員に退職を促す懲戒処分です。
自ら退職届けを提出した場合は“退職”扱いとし、退職金を支払うこともできます。違反に対し、深く反省をしているなど、懲戒解雇では重いと判断される時におこなう処分です。

実際の手続きは下記の通りです。

  • 就業規則違反の証拠を集める
  • 社員に対して弁明の機会を与える
  • 弁明を確認し、再度処分内容を検討する
  • 諭旨解雇に該当する場合処分通知書を交付する

もし、退職届の提出を拒絶された場合は、「懲戒解雇」をおこないます。

2-7. 懲戒解雇

懲戒処分の中でも最も重い処分で、会社が一方的に社員を解雇するものです。
普通解雇とは違い、下記のように重い処罰となります。

  • 即日解雇できる(解雇予告除外認定が必要)
  • 退職金を支給しない(就業規則への明記が必要)

そのため、懲戒解雇をおこなう際は相当の理由がなくてはいけません。
例えば、刑事罰に該当する行為をおこなった、地位を利用し横領を繰り返した、重大な経歴詐称があった、などが該当します。
懲戒解雇の手順についても、諭旨解雇と同様に証拠を集めたり、社員に弁明の機会を与えたりすることが必要です。

関連記事:労働基準法による解雇の方法や種類、円満解雇するための秘訣を解説

3. 就業規則に違反した社員は解雇できるか

叱責する様子

就業規則に違反したことを理由に、社員を懲戒解雇にすることは可能です。
しかしながら、懲戒処分の中でも最も重い罰則のため、下記のとおり、正しい手順で運用されることが重要です。

  • 就業規則が有効であること
  • 就業規則に懲戒解雇規定を設けていること

それぞれの内容を詳しく解説します。

3-1. 就業規則が有効であること

まずは、運用している就業規則の法的有効性を確認しましょう。
そもそも就業規則が法令に違反している場合、その規則を理由として、懲戒処分をおこなうことはできません。

  • 労働基準法や労使協定に違反しているルールはないか
  • 絶対的必要記載事項は漏れなく記載されているか
  • 相対的必要記載事項は記載されているか
  • 就業規則の作成・変更時、労働者代表から意見を聞き、意見書を作成しているか
  • 労働基準監督署に届出をおこなっているか
  • 労働者全員に周知されているか

少なくとも、上記を満たしていることが必要です。
また、満たしていない部分には、無効となる場合もあります。

関連記事:就業規則の作成方法や注意すべきポイントを解説
関連記事:就業規則の意見書とは?作成に必要な内容と書き方のポイント
関連記事:就業規則の変更届出の方法と気をつけるべき4つの注意点

3-2. 就業規則に懲戒解雇規定を設けていること

就業規則が法的に有効であっても、「懲戒規定」がない場合、社員に懲戒処分を下すことはできません。

懲戒規定では、以下を明記する必要があります。

  • どのような行為が懲戒に該当するか(違反行為を明確にする)
  • それぞれの違反行為に対して、どのような処分が下るか(懲戒の種類と内容)

さらに、懲戒処分は社員の違反行為と懲戒内容に妥当性や平等性が必要です。労働契約法第15条と第16条により、合理的な理由がなく社会通念上も相当とみなされない場合は、懲戒や解雇が無効とされるためです。

そのため、懲戒解雇処分とする場合は、下記などの事由に該当しなければなりません。

  • 社会通念と照らし合わせても、懲戒解雇が妥当と思えるほど重大な過失であること
  • 過去にも同じ過失で懲戒解雇処分としていたこと

参照:労働契約法|e-Gov法令検索

4. 退職後に就業規則違反が判明した場合の対応

退職後に就業規則違反が判明するケースも存在します。

具体的には、退職者による機密情報や顧客情報の持ち出し、競業避止義務違反、そして横領などが挙げられます。このような事例が発覚した際には、通常、懲戒処分ではなく損害賠償請求を通じて対応することが一般的です。

また、退職金が支給されている場合に、退職後に懲戒解雇理由が発覚した場合には、退職金の一部または全部を返還する規定が適用されることもあります。これにより、企業は退職後のトラブルを未然に防ぐことが求められます。

5. 副業は就業規則違反になる?

副業は就業規則違反になることがありますが、本業に支障を生じさせない程度の副業を理由とする懲戒処分は認められていません。

これは、従業員が業務外の時間をどのように使うかは本人の自由であり、特別な理由がある場合を除いて企業が副業を禁止する権限はないとされているためです。このため、企業は副業に関するポリシーを明確にしつつも、従業員の権利を尊重する必要があります。

6. 就業規則の違反を防ぐには

case study

就業規則の違反者が出ることは、社員だけでなく会社にとっても大きな痛手となります。そのため、日頃から違反者を出さないための取り組みが大切です。

6-1. 就業規則の理解を促す

就業規則は周知しているものの、何が違反となるか理解していない社員も少なくありません。そのため、懲戒処分に該当する事例は社員全員に周知を徹底しましょう。また、定期的な研修やワークショップを通じて、具体的な違反事例を共有することも効果的です。

さらに、企業側で明確な指針を設けることで、社員がルールを意識して遵守する意識を高めることが期待できます。しっかりとした就業規則の周知は、企業文化の一部として、全員が理解し合える環境づくりに寄与し、無用なトラブルを防ぐことにもつながります。

6-2. ケーススタディをおこなう

実際に懲戒解雇となった事例(自社・他社を問わない)を社員どうしで議論すれば、就業規則の理解につながります。
その際は、どうすれば懲戒解雇を防ぐことができたかも、合わせて検討しましょう。特に、過去の具体例や判例を交えることで、社員が自らの行動と就業規則の関係を理解しやすくなります。実際に懲戒解雇となった事例を社員同士で議論することは、単なる情報共有にとどまらず、自社の就業規則の理解を深め、実践に結びつける重要な機会になります。

また、各自が意見を交わすことで、懲戒規定の内容やその適用の妥当性を理解する助けにもなります。さらに、どうすれば懲戒解雇を防ぐことができたかを考えることで、会社全体での規律の向上や、より良い職場環境の構築に向けた具体的な方策を見出すことができるでしょう。このような取り組みは、社員一人ひとりの責任感を育むだけでなく、組織全体のコンプライアンス意識を高める一助となります。

6-3. 相談しやすい環境を作る

社内に相談できる環境があることで、就業規則違反を防げる可能性もあります。例えば、お金に困っているものの、誰に相談してよいかも分からず、目の前の現金に手を付けてしまったというケースもあるでしょう。

些細なことでも相談できる環境の整備は、重大な就業規則違反を防ぐことにもつながると考えられます。

7. 就業規則違反に対処するためには、懲戒処分の内容を記載する必要がある

懲戒処分のリスト

違反となる行為と、懲戒内容をあらかじめ記載すれば、就業規則違反を理由に社員を処罰できるようになります。
ただし、懲戒処分の内容が客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められることが必要であるため、処罰する際は注意が必要です。
とはいえ、懲戒解雇などの重い処分が特定の社員に下ることで、会社全体のモチベーション低下にもつながります。
そのため、違反を取り締まるだけでなく、就業規則を守る仕組みや、違反を未然に防ぐ取り組み作りが重要といえるでしょう。

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OHSUGI

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クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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