労働契約法8条に規定された労働契約の内容の変更方法 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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労働契約法8条に規定された労働契約の内容の変更方法

雇用契約を結ぶ様子

企業側の諸事情によって、従業員と一度締結した労働契約の内容を変更しなてくてはならない時がありますが、法律に則って手続きをおこなわないと後々のトラブルとなりかねません。
労働契約法では、労働契約の内容変更についてルール化されているため、しっかり押さえておく必要があるでしょう。本記事では、労働契約の変更に関する労働契約法8条について詳しく解説します。

▼そもそも労働契約法とは?という方はこちらの記事をご覧ください。
労働契約法とは?その趣旨や押さえておくべき3つのポイント

改正労働契約法における3つのポイントを徹底解説!
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ルールや注意点などを理解しておくことで、労働者とトラブルに発展する可能性も低くなります。
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1. 労働契約法8条による労働契約の内容とは?

労働契約の内容の変更

労働契約法8条では、労働契約の内容を変更するには、雇用主と労働者双方の合意が必要であると明記されています。これは、契約の基本原則である「当事者間の合意」が、労働契約においても適用されていることを示しています。

労働契約法8条に記載されている労働契約の内容には、従業員を雇用した際に書面等で明示した労働条件や就業規則が含まれています。労働条件と就業規則に記載すべき内容については以下の通りです。

1-1. 労働条件に記載する内容

労働基準法第15条によって、労働条件を記載した「労働条件通知書」を労働者に交付することが義務付けられています。なお、労働条件は具体的に以下のようなものがあります。

  1. 労働契約の期間
  2. 労働契約の更新基準
  3. 就業場所と従事する業務
  4. 始業および終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務の場合は、就業時転換(交代日など)に関する事項
  5. 賃金の決定、計算および支払い方法、昇給に関する事項 
  6. 退職に関する事項 

このほかにも昇給や退職手当といった決まりを定めている場合には、同様に従業員に明示していなくてはなりません。

1-2. 就業規則に記載する内容

労働基準法89条によって、常時10人以上の労働者を雇用する場合には、就業規則の作成が義務付けられています。
また、作成した就業規則は労働基準監督署に届け出る必要もあるため、特に少人数の事業所を運営している場合には注意しましょう。

記載項目は、前項で紹介した労働条件に加えて、従業員が守るべき行動規範を記載するのが一般的です。

関連記事:雇用契約書と就業規則の優先順位とは?見直す際の2つのポイントをご紹介
関連記事:労働基準法第89条で定められた就業規則の作成と届出の義務

2. 労働契約法8条により労働契約の内容が変更できる条件

労働契約の内容変更

労働契約法8条に則って、労働契約の内容を変更するにはどのような条件を満たす必要があるでしょうか。
労働者の合意とみなされるために必要となる、3つの条件について解説します。

2-1. 労働契約の内容の変更が一方的なものではないこと

労働契約の内容を変更するには、労働契約法8条で「労働者と雇用主の双方の合意が必要」と明記されています。つまり、雇用主が一方的に変更するものではないことが条件となるのです。
万が一、一方的に労働契約の内容を変更してしまった場合には、労働契約法8条が適用となり、変更した労働契約の内容は無効となります。

労働契約の内容を変更するには、従業員からの合意を取ることが重要です。ただし、双方の合意によって労働契約の内容が変更されても、就業規則を下回るような労働条件の変更であった場合には、無効となりますので注意が必要です。(労働契約法12条)

2-2. 労働者の自由な意志に基づく合意であること

労働者からの合意が得られた場合であっても、労働者の合意が自由な意思に基づいておこなわれていたかという点が、後にトラブルになった場合に問われる可能性があります。これは、とくに労働者に不利益な変更をおこなって訴訟に発展した場合に、裁判で問われることがあります。

例えば、雇用主が労働者に強要して労働契約の内容変更への合意を得るような場合も、自由意思に基づいていないとみなされます。また、従業員に十分な説明をせず理解させないまま合意を得たり、労働者が著しく不利益を被るような変更内容である場合も、同様に変更が無効とされる可能性があります。

2-3. 労働契約の変更内容について事前に説明をおこなう

従業員からの合意を得るためには、労働契約の内容変更について、事前に十分な説明をおこなう必要となります。労働契約法4条にも、雇用主は労働契約の内容や労働条件について労働者の理解を深めることに努めなければならないと明記されています。

労働契約の変更に関わる内容について、従業員から合意を得ていたとしても、説明が不十分であったがために従業員が不利益を被ることがあった場合は、変更した内容は無効とされてしまう可能性があります。従業員から労働契約の変更変更について合意を得る前に、事前に説明する内容に過不足がないか確認しておく必要があるでしょう。

3. 労働契約法9条・10条で定められている就業規則の変更とその合理性

労働契約の内容の合理性

雇用主が従業員の合意なしに就業規則を変更することで、労働者にとって不利益となるような労働条件に変更することは、労働契約法9条によって禁止されています。

しかし、業績の悪化などによって企業を存続させるために、やむを得ず労働条件を変更しなくてはならないときもあります。労働契約法10条によると、こういった事情がある場合には、変更する就業規則の内容に合理性が認められれば、変更後の就業規則を従業員に周知したうえで、変更が認められる場合があります。

合理的であるかどうかの判断には、以下の内容が考慮されます。

  • 従業員が受ける不利益の程度
  • 労働条件の変更の必要性
  • 変更後の就業規則の内容の相当性
  • 労働組合等の交渉の状況 など

合理性があるかどうかといった判断は、法律の知識がないとなかなか判断が難しいものです。このように判断が難しい場合には、自社の顧問弁護士や社会保険労務士に相談するとよいでしょう。

関連記事:労働契約法9条が定める就業規則の変更の原則を詳しく紹介
関連記事:労働契約法10条の規定による就業規則の変更の条件や方法

4. 労働契約法8条により労働契約の内容を変更する方法

労働契約の内容変更

ここでは、労働契約法8条に則って労働契約の内容を変更する方法について詳しく説明します。

4-1. 労働者から個別に書面で合意を得る

労働者から個別に合意を得られれば、労働契約の内容を変更することができます。これは、口頭でもあっても効力はありますが、後々トラブルになった場合に、解決が難しくなる可能性があります。
トラブルをを未然に防止するためにも、覚書など書面での約束を取り交わしておく必要があるでしょう。覚書を作成する場合には、以下の項目を盛り込みましょう。

  • 作成年月日
  • 変更前の雇用契約書の締結日
  • 労働条件の変更内容
  • 覚書の効力発生日
  • 当事者の名前・住所
  • 雇用主・労働者の署名捺印

社員数が多い企業では、全員から合意を得ることが難しい場合もあります。このような場合には、就業規則を変更するという方法もあります。

4-2. 就業規則を変更する

就業規則の変更をもって労働条件を変更させる場合でも、従業員の合意無しで変更はできないことになっています。
ただし、前述した「変更内容について従業員に周知している」、「変更内容に合理性がある」という2つの条件を満たしている場合には、変更が認められます。

就業規則を実際に変更するにあたっては、まず就業規則の改正案を作成します。その後、労働者の過半数を代表する者または労働組合の意見書、就業規則変更届を作成し、労働基準監督署に提出します。
また、変更した就業規則は、従業員に周知しなくてはいけません。この場合、社内のイントラネットに掲示するなど、いつでも閲覧できる状態にしておくことが必要です。

5. 労働契約の内容を変更する際の注意点

ビックリマークのブロック

労働契約の内容を変更する場合には注意点がいくつかあります。
注意点を押さえておくことで、労働契約の内容を変更する機会があった場合にも従業員とトラブルを起こすことはほぼないでしょう。

5-1. 合意書への署名を強要してはならない

労働契約の内容を変更する場合には従業員に合意を取る必要がありますが、トラブルを起こさないためにも合意書を作成した方がよいでしょう。

その際、従業員に署名を強要してはいけません。また、当日中など即日で回答を求めることもないよう、提出には一定の期限を設けるようにしましょう。

5-2. 合理性のない労働条件の変更は無効になる

上述した通り、合理性が認められない労働条件の変更は無効となるので注意しておきましょう。

最悪の場合には、従業員から訴えられ裁判に発展する可能性もあります。そのような事態を避けるためにも、不利益な条件変更をおこなう際には、従業員に対して労働条件を変更する背景を丁寧に伝達しましょう。

5-3. 法令や労働協約に沿った内容にしなければならない

労働条件を変更する場合には、法令や労働協約に反した内容にならないように気を付けましょう。

ただし、労働協約は有効期間の定めがない限り解約することも可能なので、労働条件の変更を優先したい場合には解約を検討しても良いでしょう。
労働協約の解約は90日前に相手方に予告する必要があるので、計画的に手続きをおこないましょう。

関連記事:雇用契約の条件は途中変更できる?契約期間内に変更する方法をご紹介

6. 労働契約法8条の内容を理解したうえで、労働契約の内容を変更しよう

労働契約法8条の変更

従業員と一度締結した労働契約の内容を変更するには、雇用主と労働者双方の合意が必要であることが、労働契約法8条で明記されています。
労働契約の内容を変更するには、雇用主の一方的な変更ではないこと、合意が労働者の自由な意思に基づいていること、合意を得る前に十分な説明がなされていることがポイントとなります。労働契約の内容を変更する際には、これらのポイントをしっかり押さえたうえで、労働者からの合意を得るようにしましょう。

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人事担当者様へ

改正労働契約法によって、有期雇用契約に関するルールが大幅に変わりました。
特に無期転換ルールにおいては、無期転換申込権が本格的に発生したのがここ数年です。
比較的新しいルールであるため前例も少なく、対応にお困りの人事担当者の方も多いのではないでしょうか。

ルールや注意点などを理解しておくことで、労働者とトラブルに発展する可能性も低くなります。
法律に違反することなく労働契約を結ぶためにも、ぜひ「有期雇用契約の説明書」をご覧ください。

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OHSUGI

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クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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