オフボーディングとは?意味や施策の具体例・オンボーディングとの違いを解説
更新日: 2025.5.27
公開日: 2025.5.23
jinjer Blog 編集部
「オフボーディングの意味とは?オンボーディングとの違いはある?」
「オフボーディングを実施するメリットは?」
上記のような疑問をお持ちではないでしょうか。
オフボーディングは、従業員の円満な退職をサポートし、信頼関係を保ったまま送り出すことを目指す取り組みです。退職者と良好な関係を築くことで、職場環境の改善や企業イメージの向上が見込めます。
本記事では、オフボーディングの意味や利点、具体的な施策例をまとめました。成功に導くポイントも紹介するため、自社の企業価値を高めたいとお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「人事評価制度に改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
当サイトではそのような企業のご担当者に向けて「人事評価の手引き」を無料配布しています。
資料では、人事評価制度の基本となる種類の解説や、導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。自社の人事評価に課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

1. オフボーディングとは
オフボーディングとは、従業員が退職する際に企業がおこなう一連のプロセスを指します。
具体的な取り組みの例は以下のとおりです。
- 書類準備や貸与品回収などの退職手続き
- 情報やノウハウの引き継ぎ
- 退職者からのフィードバック収集
退職手続きにとどまらず、引継ぎや退職者へのヒアリングなど、円満な退職や関係性を構築するための取り組みも含まれます。
オフボーディングによって退職者と良好な関係を構築することで、企業イメージの向上や社外の信頼獲得につながります。
1-1. オンボーディングとの違い
オンボーディングとオフボーディングの大きな違いは「対象者」です。
オンボーディングは「新入社員」を対象にした、職場定着支援や人材教育などの取り組みを指します。
オフボーディングは、「退職者」と円満な関係を築くための施策です。対象の違いはあるものの、いずれも企業イメージ向上や従業員との信頼構築に役立つ点が共通しています。
1-2. オフボーディングで退職者と関係性を構築すべき理由
オフボーディングによって退職者との関係性を構築することで、企業活動におけるさまざまなリスクを減らせます。例えば、以下のようなトラブルの防止につながります。
- 退職時のトラブルによる訴訟リスク
- 退職者による情報漏洩リスク
- 引き継ぎ不足による業務遅滞リスク
このようなトラブルが起こると、企業の信頼が損なわれたり、日常業務に支障をきたしたりする可能性もあります。
オフボーディングは、単なる退職手続きにとどまらず、企業活動を円滑に進めるための重要な取り組みといえるでしょう。
2. オフボーディングが求められている背景
オフボーディングを取り入れる企業が増加している理由として、以下のビジネス環境の変化が挙げられます。
- 雇用形態や価値観の多様化
- 個人による情報発信の増加
- アルムナイの浸透
それぞれの詳細を見ていきましょう。
2-1. 雇用形態や価値観の多様化
雇用形態や価値観の多様化に対応するため、オフボーディングの重要性はますます高まっています。
近年、終身雇用制度の崩壊やキャリア観の変化により、独立や転職を理由に退職する人が増えつつあります。
退職に伴い、社員の入れ替わりや欠員が生じやすくなっており、引継ぎ不足による業務の停滞や生産性低下などの課題が目立つようになりました。
こうした事態に備えるためには、企業側の計画的な引き継ぎや事前準備が欠かせません。
オフボーディングによって退職までの引き継ぎ期間を十分に設けることで、欠員が生じても組織の生産性を維持できます。
2-2. 個人による情報発信の増加
SNSが普及し、個人が企業について自由に情報発信できるようになったことで、オフボーディングの必要性が高まりました。
企業に不満を感じたまま退職すると、悪評がSNSや口コミを通して拡散され、評判や採用活動に悪影響を及ぼす可能性があるためです。
特に、SNSでの情報収集が主流になりつつある現代では、個人のネガティブな発言が企業イメージを損なう要因になりかねません。
退職者に不快な思いをさせないよう、オフボーディングによって誠実な対応を心がけることが大切です。
2-3. アルムナイの浸透
アルムナイ(退職した従業員)との関係性が重要視されるようになったことも、オフボーディングが必要とされている理由の一つです。
再雇用や業務委託のような形で、退職後も元従業員と新たな関係を築く企業も増えています。円満な退職によって信頼関係が保たれていれば、ビジネスパートナーとして協働体制も築けるでしょう。
雇用の流動性が高まっているなか、アルムナイは企業にとって重要な人的資源として注目されています。
オフボーディングで円満な退職をサポートし、アルムナイとの共存を目指すことで、企業力の向上につながります。
3. オフボーディングを取り入れるメリット
オフボーディングに取り組むことで企業が得られるメリットは以下のとおりです。
- 突然の退職を防止できる
- 職場環境を改善できる
- 企業ブランディングにつながる
それぞれの詳細を解説します。
3-1. 突然の退職を防止できる
突然の退職を防ぐための対策として、オフボーディングが有効です。
退職希望者との面談を通じて、職場への不満や理想のキャリアプランなどを事前にヒアリングすることで、適切な対応を検討できるためです。
ヒアリングによって退職を希望する理由を特定し、解決策を講じれば、離職を思いとどまってもらえる可能性もあります。
3-2. 職場環境を改善できる
退職者から意見や不満をヒアリングすることで、職場環境の改善につながります。
オフボーディングの面談では、従業員が在職中に感じた不満や課題が率直に語られることも多く、問題点を把握する貴重な機会といえます。
退職者のフィードバックをもとに制度やマネジメントを見直すことで、既存社員にとってより働きやすい職場を作り上げられるでしょう。
3-3. 企業ブランディングにつながる
オフボーディングによって退職者に誠実な対応を心がけることが、結果として企業ブランディングにつながります。
退職後も企業に良い印象を持ってもらえば、組織を離れてからもポジティブな口コミを発信する傾向があるためです。
企業イメージが向上すると、採用活動において「ここで働きたい」と思ってもらいやすくなり、採用競争力の強化につながります。
4. オフボーディングの具体的な施策例
オフボーディングの具体的な施策例を紹介します。
- 退職者との面談・ヒアリング
- 社内への告知
- 業務の引き継ぎ
- 書類準備や貸与品の回収
- 退職者との継続した関係性構築
自社の実態にマッチするよう、アレンジして取り入れてみましょう。
4-1. 退職者との面談・ヒアリング
退職者との面談では、退職理由や企業への不満などをヒアリングします。退職理由や職場への不満、今後のキャリアについて聞くことで、組織の改善にもつながります。
相手の意志を尊重しつつ、退職を希望した経緯を理解する姿勢が大切です。一方的に引き留めることのないよう注意しましょう。
4-2. 社内への告知
退職を予定している従業員がいることを、組織に周知します。
事前に社内へ伝達しておくことで、引き継ぎをスムーズに進行できるでしょう。
また、退職者と良好な関係を構築するために、本人の承認を得て送別会を開催することも有効です。
4-3. 業務の引き継ぎ
退職者が担っていた業務を後任者に引き継ぎます。
退職者のみが把握している情報はもちろん、業務に役立つスキルやノウハウなども共有できるよう支援することが大切です。
企業側の配慮が伝われば、後任者の育成に協力してもらいやすくなり、引継ぎをより円滑に進められます。
4-4. 書類準備や貸与品の回収
退職にともなう事務処理も、重要なオフボーディングのひとつです。
例えば、以下のような対応が挙げられます。
- 退職後に必要な書類(源泉徴収票、健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届など)の準備
- パソコンやスマートフォンなど貸与品の回収
- 社内システムのアカウント削除や権限管理
対応が遅れると情報漏洩やトラブルの原因になる可能性もあるため、余裕をもって準備を進めましょう。
4-5. 退職者との継続した関係性構築
退職後も元従業員と良好な関係性を維持するために、アルムナイ向けのイベントを企画するとよいでしょう。
アルムナイと既存社員による交流の場を設けることで、ビジネス上の情報交換や人脈の構築につながるメリットもあります。
5. オフボーディングを成功に導くポイント
オフボーディングを成功に導くためには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- 複数回の面談機会を設ける
- 退職後を見越してサポートする
- 従業員のキャリアの意向を把握しておく
それぞれ詳細を見ていきましょう。
5-1. 複数回の面談機会を設ける
退職面談は、一度きりではなく段階的に複数回おこなうことで、退職者の本音を引き出しやすくなります。
一回目は直属の上長、二回目は利害関係が薄い他部署の社員など、面談相手を変えるのがおすすめです。
また、より深掘りしたフィードバックを得るため、退職後の面談を設定するのもよいでしょう。
5-2. 退職後を見越してサポートする
退職者スムーズに次のキャリアへ進めるよう、企業側のサポートも大切です。
具体的な取り組みの例は以下のとおりです。
- 有給休暇の取得を促す
- 希望に応じて転職先の紹介・推薦をおこなう
- 退職後のキャリアプランの相談に乗る
退職者を快く送り出す姿勢を示すことで、組織を離れた後も良好な関係性を維持しやすくなります。
5-3. 従業員のキャリアの意向を把握しておく
従業員がどのようなキャリアプランを描いているのかは、普段から定期的な面談を通じて把握しておくことが大切です。
退職の意思を伝えられた時点で急いで対応しても、オフボーディングの効果を十分に得られません。面談では、昇格や異動など、従業員に対して企業側ができることを提示しておきましょう。
普段から従業員のキャリアの意向を把握していれば、退職を選択する場合でも円滑にサポートできます。
6. オフボーディングで企業価値を高めよう
オフボーディングは、組織を離れる従業員に誠実な対応を心がけ、退職者と良好な関係を構築するための施策です。
退職者への対応を丁寧におこなうことで、企業全体に対する信頼感が高まり、既存社員のエンゲージメント向上にもつながります。こうした積み重ねが、企業の成長や安定した経営の土台となっていきます。
本記事で紹介したポイントを参考に、自社に適した施策を立案・実行してみてください。
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「人事評価制度に改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
当サイトではそのような企業のご担当者に向けて「人事評価の手引き」を無料配布しています。
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