評価者や上司がおこなう人事評価のコメントは公平性や具体性が重要
更新日: 2024.11.13
公開日: 2022.5.8
OHSUGI
評価者や上司が人事評価をする際には、公平かつ具体的なコメントを添えたいものです。
しかし、人事評価は人が人を評価するという特性をもつことから、公平性や納得性に不満が出るケースもあります。
評価の不透明さは従業員のパフォーマンスにも影響するので、十分に気をつけながら人事評価を実施しましょう。この記事では、人事評価のコメントで注意すべきポイントについて解説いたします。
関連記事:人事評価はなぜ必要?導入して考えられるメリットやデメリット
目次
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「人事評価制度に改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
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1. 人事評価のコメントに公平性を持たせるためのポイント
ビジネスにおける公平性とは、すべての要素を同じように扱うことを意味します。当然ながら、特定の人のみを贔屓したり不当に評価を下げたりするのは公平とはいえません。
たとえ評価者が公平に評価しているつもりでも、従業員が公平でないと捉えれば不満が噴出するものです。ここではまず、人事評価の公平性について考えていきましょう。
関連記事:職種別・職業別の人事評価に対するコメントの例文をご紹介
1-1. 従業員の立場に応じた公平性を担保する
人事評価には公平性が必要ですが、部署や立場が違う人を一律に扱うことはできません。例えば役職をもつ従業員と新入社員では評価のポイントが大きく異なります。また、営業や事務、技術者など立場が違えばそれぞれ評価内容も違ってきます。
結果を十分に出した従業員とそうでない従業員がいる場合、公平性に配慮し同じような評価をおこなうのは逆効果です。公平性を意識した結果、結果を出している従業員のモチベーションを大きく損ねてしまう可能性も考えられます。職種や役職、働きぶりをトータルでチェックしたうえで客観的な評価を実施することが、公平性の担保につながります。
1-2. 丁寧なフィードバックをおこなう
人事評価において従業員が不公平を感じるポイントは、評価内容の透明性が担保されていないという点にあります。公平な人事評価のためには、どのようなプロセスで評価に至ったのか、なぜその評価になったのかといった内容や理由を公開することが肝心です。
人事評価では評価面談をおこない、評価内容のフィードバックを丁寧におこないましょう。こうすることで評価プロセスが可視化され、従業員も公平性を感じ納得しやすくなります。
1-3. 従業員と適切にコミュニケーションを取る
公平性は評価される側の主観に大きく左右されます。評価する側が公平性に注意し合理的に結果を示しても、納得や同意が得られるとは限りません。
特に、評価する側とされる側の関係性が良好でない場合には、不満が出やすいので気をつけたいものです。人事評価担当者は普段から従業員と適切なコミュニケーションを取り、良好な関係性を築いておくのがベターです。
ただし、特定の従業員にのみ入れ込むような態度を取ると、評価が不公平であると受け取られてしまうことがあります。別け隔てなく適切なコミュニケーションを取り、評価の公平性を確保したいものです。
1-4. 人事評価制度が公正か否かをチェックする
そもそも人事評価制度が不公平な状態で運用されていることもあるものです。特に、事業規模を拡大したタイミングで社内構成に変化が生じ、既存の人事評価制度がマッチしなくなるケースは少なくありません。人事評価にあたって従業員からの不満が出た場合や問題点を指摘された場合には、制度自体の見直しをおこないましょう。
人事評価にあたっては評価方法の基準や業務の目標を設定することが肝心です。目標を設定することで具体性が増し、評価に透明性が出やすくなります。
また、評価基準に対して厳密に評価をつけるように評価者に説明を行ったり、目標設定や人事評価制度の目的について従業員に周知を行うことも重要です。
人事評価が公平に行われ、正しい効果を得るためには人事評価の前後にとるべき手順があります。人事評価制度を正しく機能させたいという方、人事評価制度の改善をしたいがどこを変えれば良いのか分からないという方に向けて、当サイトでは「わかりやすい!人事評価の手引き」というガイドブックをお配りしています。
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2. 人事評価のコメントに具体性をもたせるためのポイント
人事評価では公平性とともに、具体性も重要な要素となります。評価内容が抽象的では十分に内容が伝わらず、次へとつなげていくことができません。
また、マイナスの評価に具体性がない場合、従業員はいわれのない否定をされたと解釈してしまうことがあります。ここからは、人事評価において具体性を担保するためのコツを説明していきます。
関連記事:人事評価の書き方一つで同じ人物でもガラリと変わる!
2-1. 抽象表現を避けることが肝心
人事評価のコメントが抽象的な表現に終始すると、従業員に内容が伝わりにくくなってしまいます。例えば、「全体的によくできていた」「すばらしい働きぶりだった」「もう少し進歩がほしい」といった表現は、一見評価をしているように見えて実はほとんど何も伝えられていないのです。
当たり障りのないコメントをしようとすると内容は抽象的になってしまうものです。人事評価でコメントをする際には、どの部分がよくできていたのか、どんな改善が必要なのかを具体的に示しましょう。
2-2. 評価基準や目標は数値化する
客観的な人事評価のためには従業員の働きぶりを数値化する必要性が生じます。売上や利益、成績を数値に基づいて検討すれば、人事評価のコメントを具体的に伝えることができます。
数値化しづらい業務の場合でも、例えば目標を立てて進捗率をチェックしていけば評価がわかりやすくなります。また、業務の数値化には客観性が保てるという良さもあります。
2-3. 能力評価は企画力や実行力、改善力に分けて考える
人事評価で数値化しづらいポイントに従業員の能力評価の項目があります。能力は数値化するのが難しいため、評価にブレが生じることがあります。また、長期的に従業員をチェックしなければ適切な情意評価が難しいという側面もあります。
従業員の能力やスキルを評価するときには、企画力と実行力、改善力に分けて考えるのが最適です。この3点に関する一定の評価基準を設けておけば、さらに客観的な評価がしやすくなります。
2-4. 情意は積極性や協調性、責任感に分けて考える
人事評価では成績や進捗率だけでなく、情意についても評価したいものです。
情意とは仕事に対するやる気や責任感、勤務態度、コミュニケーション能力や交渉力といったポイントです。
従業員の情意評価をおこなう際には、積極性や協調性、責任感といったポイントに絞ってチェックしましょう。この3点に絞って従業員の様子を見れば、ある程度具体的な人事評価ができるようになります。
3. 人事評価に書くべきではないコメント
人事評価においては先入観でのコメントや他の従業員と比較するようなコメントは避けましょう。従業員の性別や年齢などに基づく先入観でコメントしてしまうと人事評価エラーにつながります。先入観でコメントしないように、コメントを記入したら時間をおいて再度読み返してみましょう。再度読み返すことで思い込みによるコメントを防止できます。また、他の従業員と比較するコメントは従業員の自尊心を傷つけかねません。コメントは他人と比較しないことが大切です。
他の従業員と比較するコメントだけでなく、当然ながら従業員の人格を否定するようなコメントは避けましょう。人格否定と捉えられるコメントはパワーハラスメントにあたります。人事評価に書くべきではないコメントを避けるには二次評価者を設けるのも効果的です。
4. 職種・業種別のコメント例
職業、業種別のコメント例は次のとおりです。
- 事務職
- 営業職
- 企画・マーケティング職
- 技術・専門職
- サービス職
- 介護職
- 看護師
4-1. 事務職
事務職はルーティンワークが多く、数値で評価しづらい職種です。事務職は次のようなフィードバックコメントを意識しましょう。
目標であるシステムマニュアルを作成したことで、営業部署の業務がスムーズにおこなえていた。 営業部署の業務成績が10パーセントが増加したのは成果といえる。 今後は別部署のシステム導入にも尽力してほしい。 |
4-2. 営業職
営業職は他の業務よりも売上を数字で表せます。営業職のフィードバックをする際は次のような例文が挙げられます。
前年比が110%は十分な成果として評価できる 前向きな姿勢もチームのモチベーションを高めている 今後は他部署と情報を共有してコミュニケーションを円滑にしてほしい |
4-3. 企画・マーケティング職
企画・マーケティング職は従業員が担当したプロジェクトや企画と関連付けてフィードバックをしましょう。
サイトのアクセス解析をして、アクセス数を110%達成したことが高い評価 専門的なスキルと経験を後輩に共有できるような取り組みに期待している |
4-4. 技術・専門職
技術職や専門職は数字では分かりづらい傾向にある職種です。また、従業員一人ひとりの貢献度も測りづらい傾向にあります。技術・専門職へのフィードバックの例文は次のとおりです。
製品の工法見直しによって従来よりも6%のコスト削減に貢献している スケジュールがひっ迫するケースが見受けられたため、今後はスケジュール管理にも注力してほしい |
4-5. サービス職
小売や飲食のようなサービス職は顧客への接客態度のように、評価が数値化しづらい点があります。接客態度やレギュレーションの理解などを、明確な基準を設けて評価しましょう。サービス職におけるフィードバックの例文は次のとおりです。
お客様に対して常に笑顔を心掛けている 日頃の接客態度によって顧客満足度の向上につながったと思う 今後は後輩に対しても同じ接客ができるように指導して欲しい |
4-6. 介護職
介護職はチームで動くことも多い職種です。そのため、対象従業員の個人的なフィードバックだけでなく、チームへの貢献も記載しましょう。具体的には次のとおりです。
利用者様への対応が丁寧で満足度向上に貢献している 今後は他職員とより連携を密にして後進の育成に注力してほしい |
4-7. 看護師
看護師も定量的な評価は難しい職種です。そのため安全性への配慮や患者に対しての適切なアプローチができているかなどをチェックしましょう。
病院内での安全確認徹底など、患者様への安全を配慮した看護に努めている 今後は患者様の状況をチームに共有しほしい |
5. 人事評価では従業員への適切なフィードバックを実施しよう
評価に公平性が感じられなければ従業員は内容に納得できず、不満を募らせてしまうことになります。こうなってしまうとモチベーションが大きく下がるだけでなく、人材流出につながってしまうリスクも考えられます。
逆に、評価が適切であれば従業員は十分に納得し、評価を受け入れて次へとつなげていくことができます。
せっかく人事評価をするのであれば、フィードバックや振り返りを重視しましょう。目的や目標に対するコメントを従業員が記録すれば、振り返りに活用できます。
フィードバックの場を設けるメリットは、従業員の納得感を高められるという点にあります。また、評価面談を見越して評価者が丁寧な評価をおこなえるという点も、フィードバックのメリットです。
フィードバックの場で従業員を納得させるためには、公平性の担保が必須となります。フィードバックをおこなうことで、実際の状況とかけ離れたことを書いたり妥当性の低い評価をしたりすることがなくなり、公平性が保たれます。
6. 人事評価では従業員のモチベーションアップにつながるコメントを
人事評価の結果は従業員の業績向上やスキルアップ、モチベーション向上につながっていきます。評価が不公平であったり具体性に乏しかったりすると、従業員を十分に納得させられない可能性があるので注意したいものです。
人事評価の際にはまず、従業員の仕事ぶりや能力、スキルや情意を客観的にチェックしましょう。その上で具体性のあるコメントを加えれば、納得感の高い人事評価に仕上がります。
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「人事評価制度に改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
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