リフレッシュ休暇中の給料はどうなる?支給状況を解説
更新日: 2025.9.25 公開日: 2024.11.29 jinjer Blog 編集部

リフレッシュ休暇は、法定休暇となる年次有給休暇などと違い、付与しなければいけないという義務はありません。基本的に、「会社が従業員のリフレッシュのために付与する」法定外休暇となるため、給与に関しても企業側に決定権があります。
しかし、法的な規定がないからこそ、リフレッシュ休暇中の給与を決めるうえで、「無給でもいいのか」「支給する場合いくら払えばいいのか」など疑問や悩みを持つ経理・労務担当者の方は多いのではないでしょうか。
無給にすれば従業員の満足度が得られない可能性がありますし、有給にすれば人件費が発生するため損失となる可能性があるため、企業側は慎重に決める必要があります。
本記事では、リフレッシュ休暇に対する支給状況を解説し、給与を支給するメリットやデメリットなどを解説していきます。
目次
従業員からの「これって有給?欠勤扱い?」といった質問に、自信を持って回答できていますか。
無給休暇と欠勤の違いや特別休暇との関係など、曖昧になりがちな休暇のルールは、思わぬ労務トラブルの原因にもなりかねないため、正しく理解しておく必要があります。
◆この資料でわかること
- 無給休暇・有給休暇・欠勤の明確な違い
- 間違いやすい、無給休暇取得時の給与計算方法
- 慶弔休暇など、会社独自の「特別休暇」の適切な設定方法
- 会社都合で休業させる場合の休業手当に関する注意点
多様化する働き方に伴い、休暇制度の管理はますます複雑になっていますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. リフレッシュ休暇中の給料は会社が自由に設定できる


リフレッシュ休暇は、給与支払いに関する法的義務がなく、企業は自社の状況や方針に応じて自由かつ柔軟にルールを決定できます。
リフレッシュ休暇は「法定外休暇」に該当し、会社ごとの判断により従業員に付与する法律で定められていない特別休暇です。そのため、リフレッシュ休暇中に支給する給与は、会社が有給か無給かを自由に決定できます。
全額支給または一部支給の有給を選べる一方、支給のない無給を選んでもかまいません。
ただし、無給にした場合、給与を重視する従業員はリフレッシュ休暇を取得しない可能性があります。従業員のために導入している休暇であっても、取得率が悪ければリフレッシュ休暇を付与するメリットが得られません。企業はメリットとデメリットをしっかり考慮したうえで、給与を決めることが重要です。
2. リフレッシュ休暇中の給料支給状況


厚生労働省が発表した「平成31年就労条件総合調査」の調査結果によると、リフレッシュ休暇中の給料支給状況は以下のとおりです。
| 賃金の支給状況 | 企業割合 |
| 全額支給 | 95.9% |
| 一部支給 | 1.3% |
| 無給 | 2.8% |
この結果からわかるように、有給は一部支給を含めて全体の97.2%です。つまり、リフレッシュ休暇制度を導入しているほとんどの企業で、給与を支給しているということになります。
もちろん、給与の有無は会社が決めることですが、これだけの企業が支給している状況なので、「休暇があっても無給である」というのは企業イメージをマイナスにしてしまう可能性があるため注意しましょう。
3. リフレッシュ休暇中に給料を支給する3つのメリット


リフレッシュ休暇中が有給であるメリットは、下記の3つが挙げられます。
- 従業員のモチベーションが向上する
- ワークライフバランスが充実する
- 企業イメージが向上して差別化を図れる
ここでは、それぞれのメリットについて解説していきます。
3-1. 従業員のモチベーションが向上する
リフレッシュ休暇中が有給になることは、従業員のモチベーションを向上させます。
休暇を付与されても、休んだせいで給与が減ってしまうということであれば、従業員のモチベーションは逆に下がってしまう可能性があります。しかし、給与の支払いがある上で休暇をもらえれば、経済的な心配をすることなく、リラックスして心身のリフレッシュが可能です。
心身をリフレッシュできた休暇明けは仕事に対する活力に満ちて、仕事への意欲が高まります。無給では、休んだことによる経済的損失が気になり、有給のように効果的な休暇にならないでしょう。
3-2. ワークライフバランスが充実する
有給のリフレッシュ休暇を取得できれば、ワークライフバランスが充実します。
年次有給休暇があるとしても、さらにお休みが増えれば、買い物や遠出の計画が可能になるので、より充実した休日を過ごせります。
プライベートを充実させることができる休暇は、仕事を続けることへの原動力となり、仕事とプライベートのバランスを向上させる効果が期待できるでしょう。
また近年は、仕事中心で私生活を犠牲にするというライフスタイルより、ワークライフバランスを重視する従業員が増えています。そのため、従業員の満足度の向上効果も期待できます。
3-3. 企業イメージが向上して差別化を図れる
有給のリフレッシュ休暇は、企業のイメージアップになり差別化を図れます。
「法定外の特別休暇にも給与が支給する」というのは、従業員を大切にする企業として評価されるでしょう。
福利厚生や休暇制度は、従業員や求職者が確認するポイントとなっています。しかし、充実した制度が揃っていても、従業員にとってデメリットとなるような制度は、逆にマイナスのイメージを植え付けてしまいます。
特別休暇は、有給にすることでプラスのイメージを持ってもらえるので、優秀な人材確保や定着率向上につながります。また、他社との差別化を図りやすくなることで、採用面でも有利に働くでしょう。
4. リフレッシュ休暇中の給料を支給する2つのデメリット


リフレッシュ休暇中が有給であるデメリットは、下記の2つが挙げられます。
- 人件費が発生する
- 業務の生産性が低下する
ここでは、それぞれのデメリットについて解説します。
4-1. 人件費が発生する
有給のリフレッシュ休暇は企業の費用面から考えると、「従業員が休みであっても給与の支払いとして「人件費」が発生する」ということになります。
この場合の人件費は労働によって生み出されるものではないため、費用が発生する状況は、企業の財務面で損失というデメリットになるといえるでしょう。
ただし、有給でのリフレッシュ休暇により従業員のモチベーションアップが見込まれ、今後の生産性が向上していくことが期待できます。そのため、デメリットではなく、中長期的な企業の生産性向上につながる投資として捉えることも可能です。
とはいえ、費用対効果も重要なので、予算策定時には対象者を把握して概算の費用を算出しておきましょう。
4-2. 業務の生産性が低下する
リフレッシュ休暇を取得した従業員が所属するグループは、生産性が低下する可能性があるというデメリットがあります。
リフレッシュ休暇は、勤続年数に応じて付与することが多いため、勤続年数の長い中堅やベテランの従業員が不在になりかねません。
所属グループで属人化した作業があるほど、生産性が悪化する可能性があるのです。このデメリットを回避するには、業務の属人化への対策が必要です。
属人化による生産性への悪影響を避けるためには、日ごろより同じグループ内で協力し合って、お互いの業務をサポートできるように業務改善していきましょう。
5. リフレッシュ休暇と年次有給休暇の違い


リフレッシュ休暇と年次有給休暇の違いは以下のとおりです。
| 項目 | リフレッシュ休暇 | 年次有給休暇 |
| 種類 | 法定外休暇 | 法定休暇 |
| 導入義務 | 任意 | 義務 |
| 取得判断 | 従業員または企業の判断 | 従業員 |
| 繰越 | 企業の判断 | 可能 |
| 給与 | 企業の任意 | 企業の義務 |
ここでは、これらの違いについて詳しく解説します。
5-1. 種類・導入義務
リフレッシュ休暇は法定外休暇であり、法律で定められていません。企業によって導入するかしないかを任意で決定でき、従業員への付与は義務ではありません。
なお、厚生労働省は「職業生涯の節目に勤労者の心身の疲労回復などを目的として付与される休暇」とリフレッシュ休暇を定義しています。そのため、義務ではありませんが、働き方改革の一環として推奨されている休暇制度です。
一方、年次有給休暇は法定休暇であり、労働基準法にて会社が従業員に取得させることを義務づけています。また、年次有給休暇が年に10日以上付与されている従業員には、最低5日取得させる義務があるためフォローが必要です。
参考:代表的な特別な休暇制度の例|働き方・休み方改善ポータルサイト
5-2. 取得判断・繰越
リフレッシュ休暇では、取得判断にかかる諸条件や繰越の可否について企業ごとに任意でルール作りができます。ルール作りできる主な項目は以下のとおりです。
- 取得条件
- 取得日数
- 取得時期
- 繰越
リフレッシュ休暇は、取得条件を企業で設定できます。取得要件は勤続年数に応じた付与や毎年付与など企業ごとに異なる条件設定です。また、取得日数も自由に決めることができます。
リフレッシュ休暇を利用できず余った場合、繰越の可否は企業で設定できますが、ほとんどの企業は繰越を認めていません。
一方、年次有給休暇の取得条件は、法律で定められており、企業の任意で設定できません。取得条件は入社後6ヵ月以上で、それまでの期間における全労働日の8割以上を出勤している必要があります。
年次有給休暇の取得時期については、従業員が自由に取得可能であり、企業が勝手に決めることはできません。また利用できずに残した分は、付与日から2年以内は繰越が可能となっています。
5-3. 給与
リフレッシュ休暇は、企業が有給か無給かを任意に決められます。前述したとおり、無給であっても労働基準法などに違反することはありません。
しかし、従業員のモチベーション向上や安心してリフレッシュしてもらうことを目的としていることが多いため、ほとんどの企業が有給を選択しています。
一方、年次有給休暇を取得した場合、企業は休暇に対する給与の支払いが義務付けられています。年次有給休暇に対する賃金の支払いは法律で定められていることなので、支給しなかった場合は違法となり、複数の未払いが認められた場合は罰則が課せられるため注意が必要です。
6. リフレッシュ休暇は有給にして従業員満足度を高めよう


リフレッシュ休暇は法定外休暇なので、有給にする必要はありません。しかし、従業員側からすると、休みをもらえても無給になるのであれば満足度は下がってしまいます。
人件費が発生しても、有給にすることは企業にも従業員にもメリットがあります。リフレッシュ休暇が有給になれば、従業員のモチベーション向上やワークライフバランスの充実に寄与しますし、企業はイメージ向上や競合他社との差別化などにより採用業務に有利に働くでしょう。
リフレッシュ休暇の取得により人件費の支払いによる損失が懸念されても、取得を正しく推進すれば、中長期的な生産性向上や業務効率化につながります。
リフレッシュ休暇は、給料をはじめ自由な設定ができるので、自社のリフレッシュ休暇中の給料を適切に設定し、より生産性の高い職場環境を構築していきましょう。



従業員からの「これって有給?欠勤扱い?」といった質問に、自信を持って回答できていますか。
無給休暇と欠勤の違いや特別休暇との関係など、曖昧になりがちな休暇のルールは、思わぬ労務トラブルの原因にもなりかねないため、正しく理解しておく必要があります。
◆この資料でわかること
- 無給休暇・有給休暇・欠勤の明確な違い
- 間違いやすい、無給休暇取得時の給与計算方法
- 慶弔休暇など、会社独自の「特別休暇」の適切な設定方法
- 会社都合で休業させる場合の休業手当に関する注意点
多様化する働き方に伴い、休暇制度の管理はますます複雑になっていますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
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