健康保険厚生年金保険被保険者資格喪失届とは?提出方法や記入例を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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健康保険厚生年金保険被保険者資格喪失届とは?提出方法や記入例を解説

提出する様子

従業員が退職・転勤・死亡したときに提出しなければならないのが、健康保険や厚生年金保険の「被保険者資格喪失届」です。日本年金機構によると、被保険者資格喪失届の提出期限は、原則として事実発生(退職日などの翌日)から5日以内です。[注1]

提出期限が短いため、スピーディーな事務手続きが求められます。

企業の人事担当者の方は、あらかじめ被保険者資格喪失届を提出すべきケースや手続きの流れを確認しておきましょう。

本記事では、被保険者資格喪失届と一緒に提出する必要がある添付書類や、被保険者資格喪失届を提出する際の注意点についてもわかりやすく解説します。

[注1] 従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き|日本年金機構
関連記事:社会保険とは?概要や手続き・必要書類、加入条件、法改正の内容を徹底解説

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社会保険料は従業員の給与から控除するため、ミスなく対応しなければなりません。

しかし、一定の加入条件があったり、従業員が入退社するたびに行う手続きには、申請期限や必要書類が細かく指示されており、大変複雑で漏れやミスが発生しやすい業務です。

さらに昨今では法改正によって適用範囲が変更されている背景もあり、対応に追われている労務担当者の方も多いのではないでしょうか。

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1. 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届とは?

本を読んでいる様子

健康保険・厚生年金保険に加入している被保険者が特定の事由により資格を喪失する場合、その事実を報告するための書類が健康保険厚生年金保険被保険者資格喪失届です。

1-1. 提出先と提出期限

提出先は、加入している健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)、および所轄の年金事務所です。持参する場合は管轄の年金事務所、郵送する場合は事務センターが提出先です。
提出期限は資格喪失が発生した翌日から5日以内で、迅速な提出が求められます。提出が遅れると、退職した従業員が新たな健康保険へ加入する手続きに遅延が生じ、不都合が発生する可能性があります。また、保険料の計算にも影響を及ぼすため、適切な期間内での提出が必要です。

1-2. 雇用保険被保険者資格喪失届との違い

雇用保険被保険者資格喪失届は、雇用保険の被保険者資格を喪失する手続きであり、その内容と提出先は健康保険・厚生年金保険資格喪失届とは異なります。健康保険・厚生年金保険資格喪失届は、公的医療保険と公的年金制度の被保険者資格を喪失する手続きであり、提出期限は事実発生から5日以内、提出先は年金事務所や事務センターです。
一方、雇用保険被保険者資格喪失届は、被保険者でなくなった日の翌日から10日以内に、会社を管轄するハローワークに提出します。
いずれの手続きも従業員の退職や死亡、または被保険者資格の変更時に提出が求められるため、担当者は注意が必要です。

2. 健康保険・厚生年金保険「被保険者資格喪失届」を提出すべきケース

退職

被保険者資格喪失届は「被保険者資格取得届」と違い、従業員が退職・転勤・死亡するなど、健康保険や厚生年金保険の資格を喪失した際に提出しなければならない書類です。被保険者の資格を喪失するケースとして、そのほかにも「65歳~75歳の従業員が障害認定を受けた場合」「従業員が70歳以上になった場合」等が挙げられます。

本章では、健康保険・厚生年金保険の「被保険者資格喪失届」を提出すべきケースを解説します。

2-1. 従業員が退職・転勤・死亡した場合

従業員が退職・転勤・死亡するなどして、健康保険や厚生年金保険の資格を喪失した場合、被保険者資格喪失届の提出が必要です。退勤・死亡の場合、資格喪失日は退勤日死亡日の翌日扱いになります。

ただし、転勤など契約変更にともなう資格喪失の場合、資格喪失日は当日扱いのため注意が必要です。

2-2. 65歳~75歳の従業員が障害認定を受けた場合(健康保険)

従業員の退職・転勤・死亡だけでなく、従業員が後期高齢者医療制度の対象となった場合、自動的に健康保険の資格を喪失します。後期高齢者医療制度の対象は、原則として75歳以上の方ですが、65歳~75歳の方が後期高齢者医療広域連合の障害認定を受けた場合、後期高齢者医療制度に加入できます。

65歳~75歳の従業員が重い障害を負った場合は、被保険者資格喪失届の提出が必要になるケースがあることを覚えておきましょう。

2-3. 従業員が70歳以上になった場合(厚生年金保険)

従業員が70歳以上になった場合、厚生年金保険の資格を自動的に喪失します。70歳以上の従業員が退職・死亡、契約条件の変更により厚生年金保険の被保険者に該当しなくなった場合、被保険者資格喪失届(厚生年金保険70歳以上被用者不該当届)の提出が必要です。

また、これまで従業員が70歳以上になった時点で、「70歳以上被用者該当届(70歳到達届)」の提出が必要でしたが、2019年4月より条件が緩和されました。70歳に到達してから引き続き雇用関係を継続し、かつ標準報酬月額相当額に変更がない場合、事業主が70歳到達届を提出する必要はありません。[注2]

[注2] 70歳到達時の被保険者等の届出が一部省略となります|日本年金機構

3. 健康保険・厚生年金保険の被保険者資格喪失届の手続きの流れと提出方法

手続きしている様子

健康保険や厚生年金保険の被保険者資格喪失届は、原則として事実発生(退職日などの翌日)から5日以内に提出しなければなりません。被保険者資格喪失届を提出するためには、あらかじめ対象の従業員から保険証を返却してもらうなど、さまざまな準備が必要です。

被保険者資格喪失届の提出が遅れると、従業員が転職先・転属先で厚生年金保険に加入した際、重複加入が発生する恐れがあります。

本章では、スムーズな手続きのため、あらかじめ健康保険や厚生年金保険の資格を喪失した際の手続きの流れを確認しておきましょう。

3-1. 被保険者資格喪失届をダウンロード

まず、健康保険組合や全国健康保険協会、日本年金機構のウェブサイトから「被保険者資格喪失届」をダウンロードしましょう。最新の様式を使用することが重要ですが、この様式は健康保険・厚生年金保険資格喪失届は日本年金機構のホームページから入手できます。PDF形式でダウンロードが可能です。

参考:健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届/厚生年金保険 70歳以上被用者不該当届|日本年金機構
また、記載例もあわせて公開されているため、以下から確認することができます。

参考:健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届/厚生年金保険 70歳以上被用者不該当届(記入例)|日本年金機構

3-2. 被保険者資格喪失届を書く

続いてダウンロードした様式を印刷してから従業員に関する必要事項を記入します。

被保険者ごとに「被保険者整理番号」「氏名」「生年月日」「個人番号(基礎年金番号)」などを記載します。項目ごとの注意点については、次の章で具体的に説明していきますのでぜひ参考にしましょう。

3-3. 被保険者証を返却してもらう

資格喪失者が全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)などに加入していた場合、被保険者資格喪失届に被保険者証を添付する必要があります。

従業員が退職する場合は、前もって従業員に被保険者証を返却してもらいましょう。

3-4. 資格喪失届を提出する

資格喪失届と添付書類の提出先は、日本年金機構の本部ではなく、所轄の年金事務所です。提出方法は郵送や窓口持参のほか、電子申請も可能です。

電子申請なら、添付書類も画像やPDFファイルなどの形式で手軽に提出できるため、紙の書類を用意したり窓口まで出向いたりする必要がありません。

電子申請を利用する場合は、労務管理システムがあれば書類作成から提出までワンストップで可能なため、事務処理の負担を軽減できます。

4. 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の記入例

健康保険厚生年金保険資格喪失届

引用:被保険者資格喪失届|日本年金機構

健康保険料・厚生年金保険資格喪失届の実際の記入例を紹介します。各記入欄に記入する内容を項目ごとに説明します。

4-1. 業所整理番号・事業所番号

事業所の整理番号と事業所番号は、健康保険組合や年金事務所での登録情報と一致している必要があります。新規適用時や事業所名称・所在地が変更された際に付与された記号・番号を正確に記入しましょう。

4-2. 被保険者番号

健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届には、資格取得時に付与された番号を記入する必要があります。被保険者番号は保険証に記載されていますので、手続きの際には確認し、誤りなく記載しましょう。

4-3. 氏名・生年月日

まず、氏名や生年月日は住民票に登録されている正確な情報を記載します。住民票に記載されている情報と一致させることで、行政手続きがスムーズになります。不正確な情報は、手続きの遅延や行政からの問い合わせを引き起こす原因となるため注意しましょう。

4-4. 個人番号・基礎年金番号

個人番号(マイナンバー)または基礎年金番号は正確に記入しましょう。個人番号は本人に確認してから記入し、取り扱いには特に注意を払いましょう。基礎年金番号は基礎年金番号通知書に記載されている番号を使用し、左詰で記入します。

4-5. 資格喪失年月日

健康保険・厚生年金保険の資格喪失届には、資格喪失年月日を記入する欄があります。混同しないように注意し、資格喪失の理由により以下の日付を記入します。

退職・死亡した場合:翌日
従業員が退職または死亡により健康保険・厚生年金保険資格を喪失する場合、資格喪失年月日は退職日・死亡日の翌日です。ただし、転勤や雇用契約の変更による資格喪失の場合、資格取得の手続きが同日付で行われるため、転勤日・雇用契約変更日の当日が資格喪失年月日となります。

障害認定を受けた場合:移行日の当日
65~75歳の被保険者が障害認定を受けると後期高齢者医療制度に移行し、健康保険被保険者資格を喪失します。この場合の資格喪失年月日は障害認定日の当日です。

70歳に到達する場合:誕生日の前日
70歳到達時に提出する資格喪失届では、資格喪失年月日は誕生日の前日です。平成31年4月以降、70歳到達日以降も同じ事業主に雇用され、標準報酬月額が同額の場合、70歳到達届は不要です。

75歳に到達する場合:誕生日の当日
75歳に到達すると後期高齢者医療制度に移行し、健康保険被保険者資格を喪失します。この場合の資格喪失年月日は誕生日の当日です。厚生年金の手続きと併せて、健康保険被保険者資格喪失届を提出してください。

資格喪失年月日は正確な記入が求められるため、企業の人事・労務担当者は上記内容を理解し、適切に対応することが重要です。

4-6. 資格喪失の原因

資格喪失の原因は具体的に記入する必要があります。健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の記入例として以下のように記載します。退職等によって資格を喪失する場合、「4」を記入します。死亡によって資格を喪失する場合は「5」、75歳到達による健康保険資格喪失の場合は「7」、障害認定による健康保険資格喪失の場合は「9」を記入します。他にも特定のケースに応じた番号が存在するため、正確に記入しましょう。

4-7. 保険証の枚数

保険証の枚数に関する項目には、まず回収した保険証の枚数を正確に記入します。これは全ての保険証が回収されたことを確認するためです。また、回収できなかった保険証がある場合、その枚数も記載します。この情報は資格喪失届に添付して保険証を返却する際の資料となります。

4-8. 70歳不該当

70歳以上の従業員がいる場合、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届にて資格喪失の具体的な理由を記載する必要があります。例えば、70歳以上の被保険者が退職や死亡により資格を喪失する場合、不該当の欄にチェックを入れ、その理由を詳細に記載します。具体的な記入方法としては、被保険者の氏名、生年月日、資格喪失の理由(例:退職、死亡など)を明確に記載しましょう。

5. 健康保険・厚生年金保険の被保険者資格喪失届と一緒に提出する書類

クリップで分けられた書類

被保険者資格喪失届を提出する際、従業員が加入している健康保険によって、添付書類の提出が求められる場合があります。

また、60歳以上の従業員を一旦定年退職させ、その後1日も空けずに再雇用する場合、「同日得喪」と呼ばれる再加入手続きが必要です。この際も雇用契約書や就業規則の写しなどの添付書類が求められます。

5-1. 組合管掌健康保険(組合健保)の被保険者の場合

従業員が組合健保に加入していた場合、被保険者証などの添付書類は必要ありません。
被保険者資格喪失届の提出のみで、自動的に資格喪失手続きがおこなわれます。

5-2. 全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の被保険者の場合

協会けんぽの被保険者の場合、「健康保険被保険者証(本人分および被扶養者分)」の返却が必要です。[注1]
また、70歳以上でかつ後期高齢者医療制度の該当者でない方の場合、「高齢受給者証」も返却しなければなりません。

そのほか、対象者の方は「健康保険特定疾病療養受給者証」「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」の返却も必要です。

5-3. 60歳以上の方で、退職後1日も空けずに再雇用する場合

60歳以上の方で、退職後1日も空けずに再雇用する場合は、「同日得喪」と呼ばれる再加入手続きが必要です。
この場合、退職日が確認可能な「就業規則」または「退職辞令」の写しと、再雇用の事実が確認可能な「雇用契約書」の写しの添付が必要です。

6. 健康保険・厚生年金保険の被保険者資格喪失届に関するよくある質問

ビックリマーク

ここでは健康保険・厚生年金保険の被保険者資格喪失届に関連するよくある質問を紹介します。

6-1. 厚生年金保険の資格取得後、月内に資格を喪失した際の対応

厚生年金保険に関する手続きで注意が必要なのが、「従業員が厚生年金保険に加入し、その月の月末以前に退職した」ケースです。厚生年金保険の資格取得後、被保険者が月内に資格を喪失した場合でも、厚生年金保険料の納付が必要です。[注1]
被保険者が負担すべき厚生年金保険料については、退職時に給与から控除する方法で処理するのが一般的です。
ただし、厚生年金保険の資格を喪失した被保険者が、さらに月内に新しく厚生年金保険の資格を習得した場合、資格喪失した方の厚生年金保険料の支払いは発生しません。すでに厚生年金保険料を支払い済みの場合は、所轄の年金事務所から送付される「還付についてのお知らせ」に従い、被保険者に還付をおこないましょう。

6-2. 提出後の社会保険料控除はどのように行うべき?

健康保険・厚生年金保険の被保険者資格喪失届を提出後の社会保険料控除については、給与処理システムでの適切な調整が必要です。一般的に、社会保険料は月末に在籍している場合に支払いが発生します。退職日が月の20日や25日の場合は社会保険料の支払いは不要ですが、月末に退職する場合はその月の社会保険料を支払う必要があります。

給料からは通常、前月分の社会保険料が控除されています。そのため、退職日と給料計算サイクルとの整合性を取るために、最後の給料から2カ月分の社会保険料を控除する場合があります。過払いや未収が発生しないよう、給与処理システムの設定と調整を慎重に行うことが求められます。

7. 「被保険者資格喪失届」を提出すべきケースを知り、スムーズな手続きを!

書類を確認する様子

健康保険や厚生年金保険の被保険者資格喪失届を提出すべきケースは、大きく分けて「従業員が退職・転勤・死亡した場合」「65歳~75歳の従業員が障害認定を受けた場合」「従業員が70歳以上になった場合」の3つです。

被保険者資格喪失届の提出期限は、事実発生(退職日などの翌日)から5日以内です。提出期限が短いため、あらかじめ被保険者資格喪失届の手続きの流れを知り、スムーズに事務処理をおこなうことが重要です。

\法改正の内容も解説/
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社会保険料は従業員の給与から控除するため、ミスなく対応しなければなりません。

しかし、一定の加入条件があったり、従業員が入退社するたびに行う手続きには、申請期限や必要書類が細かく指示されており、大変複雑で漏れやミスが発生しやすい業務です。

さらに昨今では法改正によって適用範囲が変更されている背景もあり、対応に追われている労務担当者の方も多いのではないでしょうか。

当サイトでは社会保険の手続きをミスや遅滞なく完了させたい方に向け、最新の法改正に対応した「社会保険の手続きガイド」を無料配布しております。

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