労使協定と労働協約の違い・位置付けと違反時の罰則とは - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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労使協定と労働協約の違い・位置付けと違反時の罰則とは

天秤

労働者が正しい労働環境で働くために、労働者と使用者の間ではさまざまな規約を取り交わします。労使協定と労働協約もそんな取り決めの一種です。

労使協定は労働基準法に則って締結する厳しい規約のことで、労働協約は労働組合と使用者の間で締結する規約のことを指します。この2つは似ていますが、効力や締結した際の労働条件への変化は、全く異なるのがポイントです。

今回は、労使協定と労働協約の違いを紹介します。

関連記事:労使協定の基礎知識や届出が必要なケース・違反になるケースを解説 

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1. 労使協定と労働協約の違い

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労使協定と労働協約の中でも特に大きな違いは、締結する人物です。労使協定は事業場に在籍する労働者全員の過半数を代表する労働組合が、労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者が使用者と労使協定を締結します。

一方で、労働協約は労働組合と使用者が締結する協約を指します。どちらも労働組合が関係しますが、労働基準法に基づく労使協定の方が、代表者の条件が厳しいのがポイントです。

ここからは以下の項目に着目して、労使協定と労働協約の違いをご説明します。

  • 設定基準
  • 有効範囲
  • 有効期限

1-1. 労使協定と労働協約の設定基準について

労使協定は、労働条件を定めた労働基準法の例外を定めます。労働基準法では労働者の健康やワークライフバランスを考えて労働条件が決められていますが、業種によっては労働基準法の適用が不都合になる場合があります。

労使協定の中でも代表的なのが、法定労働時間を超えて働くことを許可する36協定(サブロク協定)です。労働基準法では1日8時間、1週間で40時間までと労働時間が決まっていますが、36協定を締結すると、この労働時間を超えて働くことができます。

従って、合法的に残業や休日出勤ができるようになります。このほか、裁量労働を可能にする労使協定や、休憩時間を一斉に与えないてもよいといった労使協定などがあります。ただし、労使協定を締結した場合でも、無理な労働条件は課せられないので注意が必要です。

一方で労働協約は、労働条件改善のために労働組合と使用者の間で締結する規定です。使用者と労働者の間には交渉力の差が生じるため、労働組合として団体で交渉をおこない、よりよい労働条件を獲得するために制定されました。

労使協定は労働基準法を少し変更してさまざまな業種の働き方に適合するための取り決め、労働協約は労働者にとってよりよい労働条件を獲得するための取り決めという違いがポイントです。

また、労使協定は労働基準法を超えて取り決めを交わせますが、労働協約はあくまでも労働基準法の範囲内で定めなければなりません。

1-2. 有効範囲

労使協定と労働協約は、有効範囲が異なります。ポイントは、労使協定が事業場全ての労働者の過半数を代表するものが協定を締結する点です。

例えば、事業場がA・B・Cの3つあり、事業場Aの代表者が使用者と労使協定を結んだ場合、その労使協定は事業場Aのみに適用されます。

一方で、従業員によって構成される労働組合が締結する労働協約の場合、有効範囲は労働組合の組合員全員です。
労使協定のように、事業所ごとに区切られるのではなく、労働組合に加入している全ての組合員に適用されるのがポイントです。

1-3. 有効期限

労使協定と労働協約は、有効期限の点でも違いがあります。

労使協定は協定の内容によって有効期限の必要性が異なります。36協定のように有効期限を定めなければならない労使協定もありますが、有効期限を定める必要がない労使協定もあります。

一方で労働協約に有効期限を定めるかは、双方で協議のもと、上限3年の中で自由に定められます。有効期限を定めない場合は、90日前までに解約の申告をおこなうことで解約が成立します。

関連記事:労使協定(36協定)の有効期間とは?必要なケースや理由を解説

2. 就業規則と労働協約の位置付けとは

位置

労使協定と労働協約の違いはもちろん、労働協約を理解する際は、就業規則との関係性や位置付けをしっかり把握することが大切です。就業規則と労働協約は同じ位置付けではありません。

2-1. 就業規則と労働協約の関係性

労働協約では就業規則とは異なる労働条件を定めることができます。労働者は就業規則に従って働きますが、場合によっては就業規則を改善して欲しいと思う可能性があります。その際に役立つのが労働組合が定める労働協約です。

就業規則を改善して欲しいと思った場合は、労働組合に加入し、他の組合員と話し合いをおこなって、使用者と交渉するかを決めます。交渉する場合は、労働組合が団体として使用者と話し合いをおこないます。

2-2. 労働協約は就業規則よりも上の位置付けにある

以上のことより、労働協約は就業規則よりも上の位置付けにあるとわかります。ただし、就業規則を超えた労働協約が適用されるのは、労働組合に加入している労働組合員のみです。加入していない他の従業員には労働協約が適用されないので注意が必要です。

労働協約を取り決める場合も、労働基準法を超える規則は定められません。関係性としては、就業規則・労働協約・労働基準法の順で効力が高くなります。

また、労使協定は労働基準法の例外を双方合意のもとで定められますが、無理な労働条件を強いるためのものではないので注意が必要です。

関連記事:労使協定の就業規則の義務や優先順位を解説

3. 労働協約に違反した場合の罰則

ペナルティ

労働協約は労働組合と使用者の間で締結する就業規則ですが、使用者が労働協約で定めた労働条件に違反すると、民事上の損害賠償請求や慰謝料を請求される可能性があります。

労働協約は労働基準法第92条にて、以下のとおり定められています。

就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。

引用:労働基準法|e-GOV 法令検索 

労働協約を守らない場合は、労働基準法違反に該当し30万円以下の罰金を科される恐れがある点に注意が必要です。また、労働組合法第7条に基づき、不当労働行為に該当する可能性もあります。不当労働行為は権利侵害行為にあたるため、実際に損害賠償請求に発展した判例もあります。

民法での損害賠償請求は金額が状況によって決められるので、高額になるケースも中にはあるようです。労働協約を締結した場合は、徹底して規約を守ること、そして、無理な労働協約の交渉には注意することが大切でしょう。

参照:労働組合法|e-GOV法令検索

4. 労働協約の作成と届出

書類

労働協約を労使双方の合意の下で締結する際は、口頭ではなく書面での締結が必要です。書面に労使双方の署名または記名押印があれば、書式はどのような体裁でも問題はありません。また、労働基準監督署への届け出も不要です。

一方で、労使協定の場合は、その種類によって届け出が必要なものと不要なものに分かれます。例えば、労使協定の中でも頻度の高い36協定は労働基準監督署への届け出が必要で、届け出なかった場合は罰則の対象となります。

労働協約と労使協定でそれぞれ書面の作成や届け出のルールが異なることも、あわせて覚えておきましょう。

5. 労働協約は労働組合と使用者の間で締結するもの

つながり

今回は労働協約と労使協定の違いや、労働協約の位置付けについてご説明しました。労働協約は労働組合が使用者と締結する労働条件のことで、主に労働環境の改善を目的として作られました。労働協約は労働組合員以外には適用されません。

一方で、労使協定は労働組合員以外の事業場全ての労働者に適用されます。労使協定は労働基準法の例外を定める点がポイント。労使協定を定めると、合法的に残業や休日出勤が認められます。

また、労働協約を理解する際は、就業規則よりも上にある位置付けをしっかり把握するのが大切です。労働基準法を超えての労働協約は締結不可ですが、就業規則を超えた労働協約は締結できます。

労働協約を結ぶ際は、無理な内容でないかをしっかり確認しましょう。解雇や異動に関する労働協約を締結すると、人事に無理が生じる可能性もあります。また、解約する場合は90日以上前に通告しなければなりません。

就業規則・労働協約・労使協定、それぞれの違いをしっかり理解し、法律違反にならないように注意しましょう。

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OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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