昇給による雇用契約書の再締結は必要?労務担当者向けに記載例・注意点を紹介 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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昇給による雇用契約書の再締結は必要?労務担当者向けに記載例・注意点を紹介

お金「昇給を反映していない契約書のままで問題ない?」

「昇給制度を変えたけれど、契約書に何か追記が必要?」

このような疑問や不安を抱えている、労務担当者の方もいるのではないでしょうか。

雇用契約書に昇給に関する記載がない場合、対応を誤ると従業員との信頼関係に悪影響を及ぼしたり、法的なトラブルに発展したりするリスクがあります。

本記事では、雇用契約書に昇給を記載する必要性や、記載例、記載しない場合のリスクを解説します。

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雇用契約に関するFAQを総まとめ

従業員の採用が決定した際は雇用契約を締結し、法令で定められた事項を明示した上で労働条件通知書を発行する必要があります。しかし、会社によっては独自の試用期間があったり、新たに従業員を採用せずとも既存の雇用契約を更新・変更する必要が出てくるタイミングもあるでしょう。

そのような際に、当サイトでは雇用契約に関して「よくある疑問」を簡単な基礎から応用編まで、まとめて一挙に解説した資料を無料配布しています。
資料では、一問一答形式で勤務形態ごとの契約書における注意点や、試用期間の正しい取り扱い方、さらには契約違反や違法性が疑われる契約トラブルへの対処法をまとめて解説しています。雇用契約に関して抱えている課題に対して、すぐに解決できる資料がほしいという方は、ぜひこちらからダウンロードしてお役立てください。

 

1.雇用契約書に昇給の記載は必要か

書類

雇用契約における契約書では、昇給に関する記載の義務はありません。

しかし労働基準法15条では、「労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定められています。

これにより、正社員に対しての昇給については、最低限口頭での明示が義務付けられています。また、短時間就労者であるパート・アルバイトを雇用する場合は、昇給の有無を労働条件通知書に記載する必要があるのです。

労働条件通知書とは雇用契約書と似たものですが、「入社の際に労働条件を書面で明らかにしなければならない」という労働基準法に基づき、企業が従業員に通知しなければならないものです。

労働通知書の内容に合わせて、雇用契約書にも昇給の有無や条件を明記して契約を締結することが望ましいでしょう。従業員との認識のズレを防げるので、双方にとって安心材料になります。

参考:労働契約等・労働条件の明示|厚生労働省

2.雇用契約書への昇給の記載方法

はてな

雇用契約書への昇給の記載方法は以下のとおりです。

  • 昇給の有無をまずは明示する
  • 昇給の条件や時期を明記できる場合は記載する
  • 就業規則と整合性の取れた記載内容にする

2-1.昇給の有無をまずは明示する

昇給制度の有無は、曖昧にせずに明示することが、採用後のミスマッチや労務トラブルの回避につながります。

昇給に関する明示がなければ、従業員が「昇給があるもの」と期待して入社し、後に不満や誤解が生じる恐れがあるでしょう。「ある」「ない」は最低限伝えるべき情報です。

2-2.昇給の条件や時期を明記できる場合は記載する

昇給の条件や実施時期をある程度決めている場合は、雇用契約書に明記しましょう。採用時に条件を示しておくことで、入社後の認識のズレを防ぎ、トラブルを未然に回避できます。

例えば、以下のように時期や基準を明記すると、制度の透明性が高まり、従業員の納得感も得やすくなります。

  • 入社1年経過後、評価に応じて昇給する
  • 年1回に業績・勤務態度をもとに昇給を判断する

また、業績や経営状況により柔軟な運用が必要な場合は、「会社の判断により昇給を実施する」などの表現も可能です。

なお、契約書と就業規則に差異がある場合、原則として従業員にとって有利な内容が労働契約として優先されます。

参考:リーフレットシリーズ労基法89条|厚生労働省

2-3.就業規則と整合性の取れた記載内容にする

雇用契約書を作成する際は、就業規則との整合性を必ず確認し、矛盾のない内容にすることが必要です。

賃金に関する内容は労働基準法第89条において「就業規則に必ず記載すべき事項(絶対的必要記載事項)」とされています。常時10人以上の労働者がいる職場では、就業規則の作成が義務となるため、昇給制度がある場合は明記しなければなりません。

また、労基法第93条によると、契約書の条件が就業規則の基準を下回っている場合は「無効」となり、就業規則の内容が優先されると定められています。

昇給や賞与、退職金などの「賃金全体の取り決め」では、就業規則と雇用契約書の双方で一貫性を持たせる必要があります。

参考:リーフレットシリーズ労基法89条|厚生労働省

参考:労働基準法 | e-Gov

3.雇用契約書で昇給の有無を明示しない場合のリスク

リスク

雇用契約書で昇給の有無を明示しない場合のリスクは、以下のとおりです。

  • 就業規則と雇用契約書の齟齬が問題になることがある
  • 従業員との認識のズレからトラブルに発展する可能性がある
  • 法的トラブルに発展する可能性もゼロではない

3-1.就業規則と雇用契約書の齟齬が問題になることがある

就業規則と雇用契約書に記載された内容に齟齬があると、どちらの条件が適用されるかをめぐりトラブルに発展するかもしれません。

例えば、就業規則に「勤続1年以上の従業員には毎年4月に昇給の機会を設ける」とある一方で、雇用契約書に「昇給は行わない」と記載されているようなケースです。

このような場合、労働契約のうち労働者に不利な条件は無効とされ、就業規則の内容が優先されます。

結果として、企業が意図せず「昇給する義務を負う」事態となることもあり得るでしょう。

参考:労働基準法第12条|e-GOV

3-2.従業員との認識のズレからトラブルに発展する可能性がある

雇用契約書に昇給の有無を明示していないと、従業員との認識のズレが生じ、トラブルに発展する可能性があります。

例えば、従業員が「毎年昇給する」と期待していたのに対し、会社側が「業績次第」と考えていたケースで考えてみましょう。昇給がおこなわれなかった際に「約束と違う」と不信感を招く恐れがあります。

また、求人票に「昇給あり」と記載されていたにもかかわらず、契約書には明記されていなかった場合も注意が必要です。

実際に昇給がなければ「話が違う」「騙された」として、トラブルに発展する可能性があります。

3-3.法的トラブルに発展する可能性もゼロではない

昇給に関する明示が不十分な場合、法的トラブルに発展する可能性もあります。

例えば、求人票や面接時の説明と契約内容にズレがある場合、労働基準監督署への相談や訴訟につながるリスクがあるでしょう。

また、契約書と就業規則との齟齬があった場合、契約内容の一部が無効と判断され、企業が本来予定していなかった支払いを命じられる可能性もあります。

こうした対応が不十分だと、SNSや口コミサイトでの悪評拡散など、企業の評判や採用活動に悪影響を及ぼしかねません。

4.昇給制度を変更した場合の雇用契約書の対応方法

書類

昇給制度を変更した場合の雇用契約書の対応方法は、以下のとおりです。

  • 昇給制度を変更した場合は契約内容の変更が必要か確認
  • 不利益変更に該当する場合は従業員の同意が必要
  • 就業規則の変更と合わせて雇用契約書の見直しも検討

4-1.昇給制度を変更した場合は契約内容の変更が必要か確認

昇給制度を見直す際は、現在の雇用契約書に昇給の条件や実施時期などが記載されているかを確認しましょう。

もし雇用契約書に具体的な昇給条件が明示されている場合、変更することは「労働条件の変更」にあたり、原則として労働者の同意が必要です。

制度変更によるトラブルを防ぐためにも、既存の契約内容と照らし合わせて矛盾が生じないかを確認しましょう。

4-2.不利益変更に該当する場合は従業員の同意が必要

昇給制度の見直しが従業員にとって不利益となる場合も、原則として本人の同意が必要です。

たとえ就業規則を変更したとしても、労働者に不利益を与える内容であれば、個別の同意がない限り原則無効とされることがあります。

例えば「昇給頻度が減る」「評価基準が厳しくなる」などは、実質的に報酬の減額につながるので、特に丁寧な説明や合意の取得が求められるでしょう。

4-3.就業規則の変更と合わせて雇用契約書の見直しも検討

昇給制度の見直しにともない就業規則を変更する場合は、雇用契約書の内容もあわせて見直すことが重要です。

とくに、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成・変更に、労働基準監督署への届出と労働者への周知が法律で義務づけられています。

制度の変更内容が契約書と食い違っていないかを確認し、必要に応じて契約書も更新することで、リスクを未然に防げるでしょう。

参考:リーフレットシリーズ労基法89条|厚生労働省

5. 昇給した場合に雇用契約書を再締結する必要性

虫眼鏡

従業員が昇給した場合は、雇用契約書の内容を更新し、再締結することが望ましいです。労働契約法第4条において、以下の決まりがあるからです。

(労働契約の内容の理解の促進)

第四条 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。

引用:労働契約法 | e-Gov

一方、労働基準法では雇用賃金額等の労働条件の通知は入社時と決められているため、昇給時に雇用契約書を再締結する必要はありません。

しかし、企業と従業員の双方で合意が取れており、契約書も再度交わしている状況であれば、認識の違いによるトラブルに発展しにくいでしょう。そのため、昇給の際の雇用契約書の再締結はしたほうが良いといえます。

参考:労働基準法 | e-Gov

6.昇給に伴う契約書の見直しでトラブルを防ごう

男女

昇給に関して、内容の変更や制度の見直しをおこなった場合は、雇用契約書の内容もあわせて見直すことが大切です。

就業規則との整合性を保ちつつ、従業員に不利益となる変更には事前に同意を得るなど、法的ルールに則った運用を心がけましょう。

昇給に関する期待は従業員の働く意欲にも直結するため、曖昧な記載や説明不足はトラブルの原因となります。昇給の有無や判断基準は、雇用契約書や就業規則に明確に記載し、必要に応じて口頭でも説明するなどの対策をしましょう。

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雇用契約に関するFAQを総まとめ

従業員の採用が決定した際は雇用契約を締結し、法令で定められた事項を明示した上で労働条件通知書を発行する必要があります。しかし、会社によっては独自の試用期間があったり、新たに従業員を採用せずとも既存の雇用契約を更新・変更する必要が出てくるタイミングもあるでしょう。

そのような際に、当サイトでは雇用契約に関して「よくある疑問」を簡単な基礎から応用編まで、まとめて一挙に解説した資料を無料配布しています。
資料では、一問一答形式で勤務形態ごとの契約書における注意点や、試用期間の正しい取り扱い方、さらには契約違反や違法性が疑われる契約トラブルへの対処法をまとめて解説しています。雇用契約に関して抱えている課題に対して、すぐに解決できる資料がほしいという方は、ぜひこちらからダウンロードしてお役立てください。

 

jinjer Blog 編集部

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