試用期間は6ヵ月がベスト?最適な期間と決め方を徹底解説
更新日: 2025.11.21 公開日: 2022.9.16 jinjer Blog 編集部

新卒や転職など、採用して新入社員を雇うことになったら、まずは一定の期間を試用期間として設ける会社がほとんどです。「試用期間」とは、名前からわかるように「雇用主が労働者を試しに雇用する期間」のことを表します。
いわゆる見習い期間のようなものですが、企業によって設定している日数は異なります。これは企業の方針や判断基準などに違いがあることが原因で、短い場合は3ヵ月程度、長い場合は1年を超えることもあります。
そこで今回は、試用期間の長さにスポットをあてて、試用期間に関する情報を紹介します。
雇用契約の基本から、試用期間の運用、契約更新・変更、万が一のトラブル対応まで。人事労務担当者が押さえておくべきポイントを、これ一冊に凝縮しました。
法改正にも対応した最新の情報をQ&A形式でまとめているため、知識の再確認や実務のハンドブックとしてご活用いただけます。
◆押さえておくべきポイント
- 雇用契約の基本(労働条件通知書との違い、口頭契約のリスクなど)
- 試用期間の適切な設定(期間、給与、社会保険の扱い)
- 契約更新・変更時の適切な手続きと従業員への合意形成
- 法的トラブルに発展させないための具体的な解決策
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1.試用期間とは?


試用期間は企業と従業員がお互いに評価をするための期間です。
企業側は従業員が会社に必要な人材であるか、業務への適性はあるか、人間性に問題はないかなど、さまざまな角度から判断します。
対して従業員側は自分が活躍できるか、雇用内容に問題はないかなど、自分の将来や活躍を考えて企業を評価します。
試用期間と聞くと企業側が適性を見極めるだけの期間に思われがちですが、実際は企業と従業員のマッチングを確かめる期間です。雇用時にはこの点も説明し、従業員側も自分と会社の相性を確認できるように促しましょう。
1-1. 試用期間(6ヵ月)の数え方
試用期間は企業が自由に決めることができますが、3~6ヵ月と設定されることが多いようです。
いずれにしても、試用期間を設定する際には、日にちの数え方も決めておきましょう。その理由は、「期間」に関する認識が人によって異なるからです。
例えば、4月8日から入社した場合、4月から6ヵ月という認識を持つ人は10月いっぱいが試用期間だと思ってしまいますし、4月8日から6ヵ月という認識を持っていれば10月8日までが試用期間だと思ってしまいます。
期間の数え方について、雇用主と従業員の認識がずれているとトラブルになる可能性もあるので、1ヵ月単位なのか日にちで数えるのかをしっかり決めて共通認識を持っておきましょう。
1-2. パート・アルバイトは試用期間なし?
基本的に、試用期間に関する規定は企業側が決められるので、パート・アルバイトに関しても企業が「試用期間あり」「試用期間なし」を決めることができます。つまり、パート・アルバイトの試用期間は会社によって有無が異なるということです。
試用期間は、本採用時よりも時給を押さえて設定するのが一般的なので、給与計算や契約の手続きなどの観点から見ると、パート・アルバイトの試用期間を設けるのは面倒に思えるかもしれません。
しかし、試用期間を設けることで仕事への適正や能力を判断できますし、業務とのミスマッチも防げます。そもそも、最初から本採用にしてもすぐに辞めてしまう可能性もあるので、まずは数か月様子を見た方が、企業にとってもメリットが大きいので、パート・アルバイトでも試用期間は設けた方がよいといえるでしょう。
2. 試用期間の一般的な長さ


試用期間は企業が自由に長さを決められます。しかし、試用期間中は給与が低かったり、業務が限定されたりするため、長すぎてもよくありません。適切な長さと試用期間の意義を知っておきましょう。
2-1. 一般的な長さは3ヵ月~6ヵ月
企業が設定する試用期間の長さは、1ヵ月~2ヵ月程度の短い企業もありますが、3ヵ月~6ヵ月程度が一般的です。
基本的に、最初の1ヵ月は新しい環境や人間関係に慣れ、業務を覚えるための期間とされています。その後の2ヵ月ほどで、業務への適性や能力、コミュニケーション能力を見極めます。
ただし、業務内容や職種によっては、3ヵ月では的確な判断ができないかもしれません。とはいえ、最初から長い期間を設定してしまうと、人材が集まらない可能性があるのも事実です。
そのため、試用期間の長さに悩んだ場合は3ヵ月程度を設定しておき、延長の可能性がある場合はその旨を事前に伝えておくと安心です。
2-2. 1年以上の試用期間の場合もある
企業や業種によっては、試用期間が1年以上というケースもあります。
しかしあまりに長すぎると、求人情報を見て応募者が減る、企業に不信感を抱かれてしまうなどのデメリットが発生する恐れがあります。
給与が少ないことや解雇の可能性もあることから、見習いとして扱われる試用期間はなるべく短いほうが良いと考えている人が多いのが現状です。
法律で期間が定められているわけではない試用期間は、長い場合でも直ちに法律違反になるわけではありません。しかし、社会通念上合理的な期間を超えて長すぎると、公序良俗に反し、その期間の定めが無効と判断されるリスクがあるので注意が必要です。
そのため企業側が試用期間の長さを決める際は、判断に必要な期間を作りつつ長くなりすぎないようにしましょう。
3. 試用期間6ヵ月にする企業が多い理由


6ヵ月の試用期間は長めだという見解もありますが、多くの場合、下記のような理由から決して長すぎるわけでもなく平均的な期間だと考えられています。
- 適正を見極めるため
- 従業員は自分に適した仕事か判断できる
- 有給休暇の関連性
ここでは、これらの理由を踏まえ試用期間を6ヵ月にする企業が多いのか解説していきます。
3-1. 適正を見極めるため
試用期間を6ヵ月に設定している企業が多い理由のひとつが、適性を見極める期間として必要だからです。
書類や面接で、採用者の適性や能力、人間性を見極めることは非常に困難です。また、
1ヵ月や2ヵ月程度の短期間の試用期間が設けられていたとしても難しいことでしょう。
そのため、働きぶりや姿勢などをみてじっくりと検討し、判断するために6ヵ月の期間を設けている企業が多いのです。
3-2. 従業員は自分に適した仕事か判断できる
6ヵ月という期間は、企業側だけでなく労働者にとってもメリットがあります。企業側からすると長いと感じるかもしれませんが、会社の雰囲気を掴みたい従業員にとっては必要な期間です。
例えばブラック企業だった場合、1~2ヵ月程度の長さであれば労働時間の長さやハラスメントの存在など、ブラックな側面を隠すこともできるでしょう。
しかし半年勤めていれば隠しきれない部分が少しずつ見えてくるので、従業員は異常さに気づけます。
労働環境や業務内容を知られることに関する会社側のメリットはありませんが、企業の安全性を示すと同時に、従業員は自分に適した仕事か判断できるので6ヵ月に設定している企業が多いと考えられます。
3-3. 有給休暇の関連性
有給休暇は入社してから6ヵ月を経過した従業員に対して与えられる権利です。
これは労働基準法第39条で定められていることで、条件を満たせば正社員だけでなくアルバイトやパート社員などにも与えられます。
有給休暇の付与条件はいろいろありますが、原則として「雇用から6ヵ月以上働いている」というのが絶対条件です。つまり、試用期間を6ヵ月にしておけば、試用期間終了と同時に有給休暇が発生するということになります。
従業員にとっては多少長く感じる期間かもしれませんが、「試用期間が終われば有給休暇がもらえる」というのはモチベーションアップや離職防止につながるので、有給休暇発生の時期に合わせて試用期間を6ヵ月と設定している会社が多いようです。
4. 最適な試用期間の決め方


試用期間の有無や期間は法律による規定がないため、企業の裁量で自由に決定できます。
しかし、「自由に決めてよい」となると、逆に試用期間の長さに迷ってしまう企業も少なくないようです。もしも、決めるのが難しい場合は、以下の2点を考慮すると適切な長さを見極めやすくなります。
- 業務内容や個人の能力
- 試用期間後のビジョン
ここでは、これらのポイントについて解説します。
4-1. 業務内容や個人の能力
企業が従業員を新規雇用する理由はさまざまですが、特定の業務に必要な人材や決まった能力がある人材を求めることが多いです。
そのため、まずはどのような人材が必要なのか整理して、試用期間を設定する際はその内容に沿って決めると良いでしょう。
複雑な業務や適性が必要な職種であれば、見極めるための時間が長く必要になり長期の試用期間が必要でしょう。さらに個人の能力や適応力によっても試用期間の適切な長さは変動します。
そのことを踏まえ、3ヵ月~6ヵ月という一般的な試用期間の長さにはとらわれず、会社の事業や配置する業務によって柔軟に考えることが大切です。
4-2. 試用期間後のビジョン
試用期間終了後にどのような業務をどの程度のレベルで任せるかという点も、試用期間の長さを考えるうえで重要な要素です。
「試用期間が終わる頃には指導しなくても仕事を任せたい」のであれば、長めに設定する必要があります。「試用期間が終わってもサポートしながら成長を見守っていく」のであれば、短めの設定でも良いでしょう。
また、職場や仕事内容によって難易度も違います。実際に働いている社員にどれくらいの期間が必要なのか確認してみるのも良いでしょう。
このようにして試用期間が決まった場合は、雇用契約書に記載しましょう。もしも記載がない場合は、試用期間に関する特約の効力が発生せず即本採用として扱われるなど、、雇入れ後にトラブルになってしまうことを避けるためにも正しく記載すべきです。具体的には、試用期間が何ヵ月間なのか、さらにその間の給料の支払いについても記載しましょう。
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5. 試用期間は業務内容や個人の能力によって適切な長さを設定しよう


一般的には3ヵ月~6ヵ月が平均だとされています。6ヵ月が多い理由として、労働者の能力や適性を見極めるために必要であると考えるケースや、有給取得のタイミングに合わせるケースが考えられます。
試用期間の長さは法律では定められていないため、平均にとらわれず、会社の事業や求める人材に合わせて決定しましょう。
しかし、長すぎる試用期間は応募者の減少や企業への不信を招く恐れがあります。試用期間のせいで人材が集まらなかったり会社への信頼感がなくなったりしては本末転倒です。必要な長さを考慮したうえで適切な期間を設定しましょう。



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- 法的トラブルに発展させないための具体的な解決策
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