ボランティア休暇とは?給料の有無や事例・デメリットを解説
更新日: 2024.12.4
公開日: 2024.12.4
OHSUGI
「ボランティア休暇の概要や給料の有無について知りたい」
「ボランティア休暇導入のメリットとデメリットを知りたい」
上記のようにお困りの方も多いでしょう。
ボランティア休暇とは、ボランティア活動に従業員が参加する際に利用できる休暇です。
本記事では、ボランティア休暇の概要や休暇中の給料の有無、導入のメリットやデメリットについて紹介しています。
導入の成功ポイントも解説しているため、ボランティア休暇の導入を予定・検討している担当者様はぜひご覧ください。
1. ボランティア休暇とは
ボランティア休暇とは、ボランティア活動に従業員が参加する際に利用できる特別休暇で、会社が提供する法定外福利厚生の一つです。
法による導入義務はないため、各会社の裁量により導入を決定します。
一般的に以下のようなボランティア活動が対象となりますが、企業ごとに異なるため注意が必要です。
- 社会貢献活動
- 自然・環境保護活動
- 災害復興支援活動
またボランティア休暇の期間や日数も以下のようにさまざまで、各企業が自由に設定します。
期間 | ・1回あたり1日~5日まで(短期)
・1回あたり1年~2年まで(長期) |
付与日数 | ・年間10日~50日まで
・最長1年~2年まで |
ボランティア休暇の期間設定では短期設定の会社が多く見受けられ、長期設定は大企業に多い傾向です。なかには、短期と長期を組み合わせた期間設定を採用する企業もあります。
多くの場合、長期のボランティア休暇は求職した従業員が海外でボランティア活動をおこなう場合などに利用可能です。
ボランティア休暇の付与日数は、企業規模が大きくなるにつれ増加する傾向が見受けられます。
参考:ボランティア休暇制度 導入事例集 2017|厚生労働省
2. ボランティア休暇中の給料の有無
ボランティア休暇中の給料の有無は、各企業が自由に設定できるため、企業ごとに異なります。
無給の会社もあるものの、従業員の社会貢献度を高めて企業イメージの向上を図るために有給とする会社が多いです。
ボランティア休暇中の給料を有給とすることで、ボランティア休暇の取得促進が見込まれるため、企業のイメージアップも期待できるでしょう。
また経済的な負担を心配することなく、従業員がボランティア活動に参加できます。
3. ボランティア休暇導入企業の割合・状況
厚生労働省の2022年度の調査による、ボランティア休暇導入企業の割合・状況は以下のとおりです。
ボランティア休暇を導入している企業の割合 | 6.5% |
ボランティア休暇の導入を検討・予定している企業の割合 | 16.6% |
今後ボランティア休暇を導入する企業は増える可能性が高いでしょう。
なお上記の調査においてボランティア休暇を導入している企業の約85%が、休暇中の給料を有給としていました。
4. ボランティア休暇の3つのメリット
ボランティア休暇導入のメリットは、以下の3つです。
- 企業イメージの向上が期待できる
- 企業の社会貢献度が向上する
- 従業員の人材育成に役立つ
各メリットの詳細について見ていきましょう。
4-1. 企業イメージの向上が期待できる
ボランティア休暇導入のメリットの一つは、企業イメージの向上が期待できることです。
自然保護や社会貢献をはじめとするボランティア活動をおこなう従業員の支援により、社会的責任を果たす企業として認知されます。
また社外からだけでなく、従業員からの企業イメージの向上も期待できるでしょう。
結果、採用活動で有利になったり従業員の愛社精神がアップしたりする可能性が高いです。
4-2. 企業の社会貢献度が向上する
企業の社会貢献度が向上することも、ボランティア休暇導入のメリットとして挙げられます。
企業の支援により従業員がボランティア活動することが、企業としての社会貢献につながるためです。
またボランティア休暇の導入企業は、従業員からだけでなく顧客・消費者・応募者からも社会貢献活動に力を入れる企業として認識されやすいでしょう。結果として、応募者数増加や売上アップにつながることが期待できます。
4-3. 従業員の人材育成に役立つ
従業員の人材育成に役立つ点も、ボランティア休暇導入のメリットです。ボランティア活動を通じてさまざまな経験をすることが、従業員の人的成長につながります。
具体的には、ボランティア活動への参加により、従業員の以下のようなスキルが向上する可能性が高いです。
- コミュニケーション能力
- 実務能力
- リーダーシップ
従業員が海外のボランティア活動に参加した場合は、語学力アップも期待できるでしょう。
5. ボランティア休暇の4つのデメリット
ボランティア休暇導入の主なデメリットは、以下の4つです。
- コストがかかる
- 運用や管理の手間がかかる
- 生産性が低下する可能性がある
- 従業員へ周知しなければならない
ボランティア休暇中の給料を有給とする場合は、無給の場合よりもコストの負担や手間が多くなるでしょう。
実際にボランティア休暇を従業員に利用してもらうためには、導入前後において従業員への周知活動が必要です。
また導入後も定期的に社内報や社内メールを利用した取得促進活動を実施し、利用者数の増加を目指しましょう。
ただしボランティア休暇を利用する従業員が増え過ぎると、生産性が低下するおそれがあります。
生産性を低下させないためには、事業規模に合わせた期間・付与日数の設定が重要です。
6. ボランティア休暇導入の成功ポイント
ボランティア休暇導入の成功ポイントは、導入前に以下の事柄について明確にすることです。
- 目的
- 対象者
- 休暇日数
- 対象となるボランティア活動の定義
- 休暇期間中の給料の有無
- 申請方法
- 活動後の報告
上記の内容を明確にしておくことで、従業員の周知や制度の運用・管理がしやすくなります。
また就業規則へ記載するかどうかも検討し、記載する場合は上記の内容などについて記載しましょう。
休暇日数を検討する際には、次の事柄の検討も必要です。
- 1回あたりの取得可能日数
- 1回あたりの期間
- 年間通算の取得可能日数
さらに制度が利用されなければ意味がないため、従業員への周知徹底や取得促進活動も重要な成功ポイントといえます。
導入を成功させるために、導入後の運用方法や管理方法についても事前に決めておきましょう。
7. ボランティア休暇導入企業2社の事例
ここでは、次の2社のボランティア休暇導入事例を紹介します。
- A社のボランティア休暇導入事例
- B社のボランティア休暇導入事例
各社の事例を詳しく見ていきましょう。
A社のボランティア休暇導入事例
A社のボランティア休暇導入事例の内容は、以下の表のとおりです。
導入目的 | ・企業の社会貢献活動促進のため
・多様な視点をもつ行動力のある従業員を育てるため |
取得可能日数 | ・月間5日まで(短期)
・最長2年まで(長期) |
休暇中の給料の有無 | 有給 |
短期のボランティア休暇においては、失効した有給休暇を最大60日まで積立てて利用できます。長期のボランティア休暇を利用して、海外のボランティアに参加する従業員も多いです。
ボランティア休暇を利用したA社の従業員のなかには、ほかの参加者から刺激を受けた結果、仕事のモチベーションが向上した従業員もいました。
B社のボランティア休暇導入事例
B社のボランティア休暇導入事例の内容について、以下の表で見ていきましょう。
導入目的 | ・地域貢献のため
・消防団員数の減少による活動負担を軽減するため |
取得可能日数 | 年3日間 |
休暇中の給料の有無 | 有給 |
対象となるボランティア活動 | 主に地域の消防団の活動支援活動 |
取得可能日数は少ないものの、以下のような取得単位を認めることで、さまざまな支援活動に参加できる体制を整えています。
- 時間単位
- 半日単位
また基本的には事前申請ですが、緊急時支援の際には口頭申請や後日届出も可能です。
臨機応変な対応を可能とした制度設計を実現したことで、B社の従業員は消防団のさまざまな活動をサポートできます。
8. ボランティア休暇の導入を検討しよう
ボランティア休暇とは、ボランティア活動に従業員が参加する際に利用できる特別休暇です。
各会社が自由に導入の有無や内容について決められる特別休暇であるため、休暇中の給料の有無についても会社ごとに異なります。
導入により、企業イメージや社会貢献度の向上が期待できるため、顧客や従業員の満足度アップにつながるでしょう。
近年の導入企業の割合は、6.5%とまだまだ少ないです。しかし導入を検討・予定している企業の割合が16.6%であることから、今後導入企業が増える傾向にあります。
本記事の導入の成功ポイントや事例の紹介なども参考にしながら、ぜひ自社に合うボランティア休暇を設計し導入してください。
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