ワークフローシステムの自作とは?作り方のポイントと運用のメリット・デメリットを解説
更新日: 2024.4.1
公開日: 2023.6.19
OHSUGI
ワークフローシステムは、業務効率化や生産性向上に欠かせません。社内で自作することも可能ですが、そのためにはワークフローシステムの基本的な知識や自作方法を知る必要があります。この記事では、ワークフローシステムの概要や作り方、運用のメリット・デメリットなどを解説します。
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目次
「承認までの流れが遅い」「今誰が稟議を持っているのかステータスがわからない」「承認のためだけに出社しなければいけない」 などのお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ワークフローをシステム化することで、次のようなメリットがあります。 ①リアルタイムでの承認・進捗状況が把握できる ②リモートワークなどどこにいても稟議対応ができる ③申請書類の紛失リスクがない
ワークフローシステムが自社の課題解決につながるかどうかを知るためには、まずワークフローシステムが何かを知っておく必要があります。
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1. ワークフローシステムとは
ワークフローとは業務の流れで、業務を指す「ワーク」と流れを指す「フロー」を組み合わせた言葉です。
その業務の流れをシステム化させたものを「ワークフローシステム」といいます。組み込まれる一般的な業務や導入する目的をまずは知っておきましょう。
関連記事:ワークフローとは?意味や作り方・システムの比較方法も解説
1-1. 業務上必要な申請・承認・決裁をするシステム
ワークフローシステムとは、業務の流れに存在する「申請、承認、決裁」をおこなうシステムのことです。電子化されたシステム上でワークフローを進めるため、すべての流れを複数人で共有できます。
また「誰が担当者なのか」「今どの段階まで進んでいるのか」もすぐ確認でき、どこかの段階で止まっている場合、アナウンスを送って作業を進るように促すことも可能です。
関連記事:ワークフローシステムとは?導入メリットや注意点、比較ポイントを紹介
1-2. ワークフローシステムを導入する目的
ワークフローシステムを導入する目的は、大きく分けると「業務効率化」と「決裁のスピードアップ」にあります。
業務の進捗や担当者の把握がしやすくなり、システム上で各種手続きも可能になることで、大幅な業務の効率化が可能です。その結果、決裁までの処理も早くなり、申請を受けてから決裁に至るまでのスピードアップも図れるでしょう。
意思決定が迅速におこなわれれば、サービスの導入や備品の購入、戦略の立案や課題解決なども素早くなります。その結果、生産性が向上し業績にも良い影響を与えるでしょう。
2. ワークフローシステムの作り方
2-1. Excelで作成する
稟議書や申請書などの書類は一般的なオフィスソフトのExcelでテンプレートを作成できます。
- 書類のフォーマットを作成する
- フローチャート機能で承認ルートを作成する
- その都度必ずコピーして使用する
Excelを使い慣れている人であれば、この手順で進めれば簡単に完成します。
しかし、書類を作っただけではワークフローとして機能しないため、どのように運用していくのかも合わせて検討する必要があります。
2-2. Googleフォームで作成する
Googleフォームは、Googleが提供するフォーム作成サービスです。さまざまな質問形式を設定し、オンラインで回答を収集できます。
質問項目を「部署名」「申請者名」「内容」など、必要な内容に設定すれば稟議書も作成可能です。作成する際は以下の流れで進めます。
- Googleフォームで書類のフォーマットを作成する
- Excelやスプレッドシートで承認ルートを作成する
- 必要な場合は通知や承認機能のプログラムを組み込む
承認や通知に関しては、スプリクトを組む必要がある点に注意が必要です。
またルート設定も別途おこなう必要があるため、高機能なワークフローシステムを作成するにはある程度の知識が求められます。
2-3. オープンソースを使って作成する
オープンソースとは、ソフトウェアを構成しているプログラムのソースコードを、無償で公開することを指します。使用用途も自由であるため、オープンソースを利用してワークフローシステムを組んでいくことが可能です。
前述した2つに比べ、柔軟性の高いワークフローシステムが作れるため、自社に合ったシステムの構築も実現可能です。
ただし、構築にはプログラミングの知識とスキルを持った人材が必要になります。また、トラブル発生時にも専門的な知識が必要であるため、ややハードルが高い作成方法です。
3. ワークフローシステムを自作する際のポイント
3-1. 目的や必要な機能を洗い出す
まずはワークフローシステムが必要な理由と、求められている機能を洗い出します。例えば下記のようなものです。
- 通知機能
- リマインド機能
- 承認や決裁処理の機能
- 完了やどこまで進んでいるかをわかりやすく表示する機能
そのほかにも、以下の内容も決めておくとよいでしょう。
- 承認や決裁の最大人数
- 見やすさ(どこにタスクがあるかすぐわかる)
あとから大規模に改修するとなると、時間も工数もかかります。あらかじめ、関係者にヒアリングして、必要な機能を絞ってから自作に入ることをおすすめします。
3-2. 自作にかかるコストや必要な人材を洗い出す
次にワークフローシステムの自作するために必要なコストを洗い出します。ここでいうコストは費用ではなく、かかる工数や必要な人材のことです。
3-2-1. 工数や時間
自作の場合、機能の洗い出しから始まり、設定や修正などさまざまな作業が生じます。それぞれどのくらいの工数や時間がかかるのか、見積もっておくとよいでしょう。その際は不測のトラブルに備え、余裕を持った見積もりにすると安心です。
3-2-2. 必要な人材
Googleフォームの場合はスクリプト、オープンソースの場合はプログラミングの知識がそれぞれ求められ、使うシステムによって必要な人材は変化します。使用するシステム別に「どのような知識やスキルが必要なのか」「それを持つ人材は誰か」などを洗い出し、必要な人材の確保が可能であるか確認しておきましょう。
トラブル対応や更新も必要になるため、ワークフローシステムの作成だけでなく、維持や管理ができる人材も考えておくことが重要です。
3-3. 組み込むタスクと登場人物を明確化する
部署によって仕事の内容は変わり、ワークフローも変化します。よってすべての部署で同じフォーマットを使えるとは限りません。
事前に「各部署でどのようなワークフローを進めているのか」「それぞれの内容は何か」をよく確認しておきましょう。そこからワークフローシステムに組み込むタスクと不要なタスクを仕分けます。それによって無駄のないワークフローシステムの自作が可能です。
3-4. 周辺システムとの連携を考える
ワークフローシステムは、単体で使うよりも他システムとの連携で利便性が飛躍的に向上します。勤怠管理システムや会計システムとの連携ができれば、複数の業務がまとめて効率化できます。
ワークフローシステムを構築する際は、連携させたいシステムやそのシステムとの親和性を確認しましょう。また、今後追加されるシステムやアップデートのことも含め、長期的な視点で考えることが大切です。
3-5. 現場の環境も整える
ワークフローシステムを自作できても、全員が問題なくすぐに使えるわけではありません。従業員ごとにITに関する知識やスキル、習熟度は異なるからです。
あらかじめワークフローシステムの使い方をレクチャーする場や、苦手な人をサポートできる機会を設けるとよいでしょう。それにより、システムの使い方が社員になじみ、ワークフローシステムが無駄にならなくなります。今後も進んでいくIT化に対応するためにも、環境の整備をしていきましょう。
3-6. スモールスタートで進める
自作のワークフローシステムをすぐに全社で稼働すると、トラブル時のフォローが追いつかず、業務改善が進まない可能性があります。まずは管理がしやすい限られた部署でスモールスタートしましょう。
それにより課題やトラブルが判明すれば、対応がしやすく迅速に改善できます。またそうした課題やトラブルの対策をマニュアルにまとめておけば、対策の質も標準化できるでしょう。
4. 自作したワークフローシステムを運用するメリット・デメリット
自作したワークフローの運用にはメリットとデメリットがあります。それぞれを把握し、自作するか既存のシステムを利用するか検討しましょう。
4-1. 自作したワークフローを運用するメリット
自作のワークフローシステムを運用するメリットは、以下の3つです。
4-1-1. 情報の漏えいを防止しやすい
自作のワークフローシステムは、情報の管理がしやすく、セキュリティも独自のものを取り入れられるため、情報漏えいのリスクを下げやすいです。メンテナンスも含めて自社内で完結できるため、機密情報を多く取り扱う場合も安心です。
4-1-2. 外注費やランニングコストを抑えられる
外部のシステムを使う際、タイプに応じて導入を含めた初期費用のほか、月額費用、サーバー費用や運用費など、ランニングコストがかかります。自作の場合は、こうした費用や発注時の開発費や人件費がかからず、コストを大幅におさえることが可能です。
4-1-3. 自社に合ったシステムを作れる
ワークフローシステムを自作する場合は、自社のワークフローに合ったものを作成できます。余分な機能や行程がなく、無駄を省いたシステムになるため、より効率的な処理が可能です。昨今リリースされているさまざまなシステムから導入する場合は、自社に合ったシステム探しや、導入後の調整が必要ですが、自作ならこうした手間がかかりません。
4-2. 自作したワークフローシステムを運用する際のデメリット
自作のワークフローシステムを運用するデメリットは、以下の3つです。
4-2-1. 高度なシステムには専門知識が必要
オープンソースを使った高度なシステムを作る際は、プログラミングの知識やスキルが必要です。自社にそのような人材が少ない場合、簡易なワークフローシステムしか作れず、自作に多くのリソースをかけた割に、業務効率化に至らないケースもあります。
4-2-2. システムの変更や拡張が困難
拡張性のあるシステムを構築できれば問題はありませんが、そうでない場合はシステムの変更や拡張をおこなうのが困難になる恐れがあります。より便利にするために機能を追加したり、仕様を変えたくなったりした場合には、システムの再構築が必要になるかもしれません。
その際に対応できる人材がいなければ、外注や新規採用をする必要がでてくるでしょう。
4-2-3. トラブルは自社で解決しなければならない
外部のシステムを使う場合は、トラブル時には対応してもらえます。トラブルの内容にもよりますが、数時間で回復することがほとんどです。
しかし自作のワークフローシステムでは、作った自社内でトラブルを解決しなくてはなりません。トラブルの状況によっては、原因が分からず解決ができない可能性や、修正が終わるまでシステムが使えず業務が停止する可能性があります。
5. ワークフローシステムの自作は計画的に進めよう
ワークフローシステムはGoogleフォームやオープンソースなどで自作することが可能です。しかし、実用に至るまでには複雑な工程をひとつずつクリアする必要があります。それには時間がかかるうえ、できあがったシステムに満足できる保証もありません。
自作をする場合は、社内の人材や開発にかかる時間などを考慮し、本当に自作が最適な手段であるか十分に検討しましょう。
社内に専門知識を持つ人がいない場合は、自作ではなく既存のワークフローシステムの利用を考えることも大切です。
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