年末調整の「ひとり親控除」とは?寡婦控除との違いや対象者を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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年末調整の「ひとり親控除」とは?寡婦控除との違いや対象者を解説

シングルマザーの家庭

年末調整における「ひとり親控除」について、どんな制度か知らない方も多いでしょう。なぜなら、ひとり親控除は令和2年度に法改正された最近の制度であるためです。

「ひとり親控除」を知らないと、年末調整の申告を間違ってしまう可能性があるため注意が必要です。給与計算の担当者は、ひとり親控除を詳しく理解することで、年末調整の申告を正しくおこなうことができます。

本記事では、ひとり親控除の基礎知識や寡婦控除との違い、申告する際の書き方について解説していきます。

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1. 年末調整における「ひとり親控除」とは

控除

令和2年以後の年末調整による所得税の計算から、「ひとり親控除」が適用されました。

「ひとり親控除」とは、納税者の親が母親か父親のどちらか1人であるときに、一定の所得控除を受けられる制度のことです。

「すべてのひとり親家庭に対して公平な控除をおこなう」という観点から、性別や婚姻歴に関係なく申告することができます。ひとり親控除では、子供の年齢に制限はありません。そのため、対象条件を満たしていれば、子供の年齢に関係なくひとり親控除を受けることが可能です。

ひとり親控除は、2024年時点でも比較的新しい制度です。そのため、従業員が申告漏れをしないようにアナウンスしてあげましょう。

2. ひとり親控除と寡婦控除の違い

比較する女性

ひとり親控除は、従来の「寡婦控除」が生まれ変わった制度となるため、似ている点が非常に多いです。しかし、これらの制度には明確な違いがあります。

寡婦控除とは、納税者自身が寡婦であるときに一定の所得控除を受けられる制度のことです。この寡婦控除を受けるには、下記2つの条件を満たす必要があります。

  1. 夫と離婚したあとに婚姻をしておらず、扶養親族がいる合計所得金額が500万円以下の人
  2. 夫と死別したあとに婚姻をしていない、もしくは夫の生死が明らかでない合計所得金額が500万円以下の人

つまり、寡婦控除を受けられる対象者は女性であり、同時に婚姻歴が必要となります。

一方、「ひとり親控除」では婚姻歴の条件はありません。また、シングルマザーとシングルファザーの両方が対象となっています。

「ひとり親控除」は「婚姻歴があること」が条件ではないため、寡婦控除では適用できなかった「未婚」という大きな問題を解決しています。

現代の問題に合わせて法改正がされていることから、所得税法はライフスタイルの多様性に対応しつつあるのです。

参考:No.1170 寡婦控除|国税庁

3. 年末調整での「ひとり親控除」の対象者

ターゲティング

国税庁は「ひとり親」の定義を下記のように示しています。

「『ひとり親』とは、現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない一定の者のうち、次に掲げる要件を満たすものをいいます。」

  1. その者と生計を一にする子を有すること
  2. 合計所得金額が500万円以下であること
  3. その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者がいないこと

上記をひとつずつ解説していきます。

参考:No.1171 ひとり親控除|国税庁

3-1. その者と生計を一にする子を有すること

ここでの「生計を一にする子」は、その年分の総所得金額などが48万円以下であり、同時にほかの人の同一生計配偶者、もしくは扶養親族になっていない人に限られます。

この場合の「総所得金額などが48万円以下」というのは、子にアルバイトなどの収入があるケースでは給与収入が103万円以下である場合と同義です。

ちなみに、「生計を一にする」といっても同居は要件となっていません。

例えば、大学のために子供が一人暮らしをしている、仕事のために子供と離れて暮らしているという場合でも、額資金や生活費の送金がおこなわれていたり、余暇には一緒に暮らしていたりすれば「生計を一にする」として認められます。

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3-2. 合計所得金額が500万円以下であること

納税者自身の合計所得金額が500万円を超えている場合、ひとり親であったとしても「ひとり親控除を適用するほど困っていないだろう」という判断をされてしまい、本制度の控除は受けられません。

つまり、本制度を受けるにあたってはひとり親である同時に、所得に困っている家庭に限定されます。

3-3. その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者がいないこと

納税者自身が婚姻届を提出していなかったとしても、同居しているなど生計を共にする事実婚の相手がいる場合は本制度を適用できません。また、この場合の「その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者」は、国税庁において下記のように定められています。

イ その者が住民票に世帯主と記載されている者である場合には、その者と同一の世帯に属する者の住民票に世帯主との続柄が世帯主の未届の夫又は未届の妻である旨その他の世帯主と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる続柄である旨の記載がされた者

ロ その者が住民票に世帯主と記載されている者でない場合には、その者の住民票に世 帯主との続柄が世帯主の未届の夫又は未届の妻である旨その他の世帯主と事実上婚姻 関係と同様の事情にあると認められる続柄である旨の記載がされているときのその世帯主

引用:ひとり親控除及び寡婦控除に関するFAQ(源泉所得税関係)|国税庁

内縁関係だけでなく、元配偶者についても同様です。また、離婚後、引越し先の家が見つかるまで同居を継続している、などの場合も、控除が認められない可能性もあるので注意しましょう。

4. 年末調整での「ひとり親控除」の控除金額

金額

ひとり親控除の控除金額は35万円となっています。

一方、令和2年分以後の寡婦控除は控除金額が27万円であるため、ひとり親控除のほうが少しだけ控除金額が大きいです。なお、ひとり親控除と寡婦控除は両方を同時に適用できません。

そのため、寡婦控除ではなくひとり親控除を適用させる場合、ひとり親控除における35万円の控除金額だけが適用されます。

5. 年末調整で「ひとり親控除」を申告する際の書き方

書類の記入

ひとり親控除は令和2年以後の年末調整から実施された制度であることから、「書き方がわからない」という方もいるかもしれません。書き方を間違えて申告してしまうと、正しく適用されないため注意しましょう。

ひとり親控除は仮に対象者であったとしても、給与等の支払い者に申告しなければ適用されません。そのため、年末調整の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」にて必ず申告しましょう。

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は配偶者控除や扶養控除、障害者控除などあらゆる控除を受けるために欠かせない書類です。

令和3年度以降は、「ひとり親」または「寡婦」に該当する事実の記載は必要ありません。そのため、ひとり親控除に該当する場合は「寡婦」の下にある「ひとり親」の欄にレ点チェックを入れましょう。

ただし、年末調整の書類の書き方や申請フォーマットは年度によって異なるため、毎年確認する必要があります。

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6. 【ケース別】年末調整のひとり親控除についてよくある質問

年末調整におけるひとり親控除について、実際のケースを通じてよくある質問を確認していきます。ひとり親になった場合や、元配偶者から養育費を受け取っている場合など、具体的な状況に応じた情報が役立ちます。各ケースにおける適用条件や手続きの流れを理解することで、控除を正しく申告できるようになりましょう。

6-1. 年の途中で離婚・死別によるひとり親になったケース

1年の途中で離婚や死別によりひとり親になった場合、ひとり親控除を受けられるかどうかは、年末の12月31日時点の状況によって判断されます。たとえ離婚後に子どもが生まれた場合でも、12月31日時点でその子どもを扶養していれば控除の対象となります。さらに、離婚成立後に年末調整が済んだ場合でも、確定申告を行うことで控除を受けることが可能です。このように、状況に応じた柔軟な対応が求められます。

6-2. 元配偶者から養育費を受け取っているケース

元配偶者から養育費を受け取っている場合、子どもが「元配偶者に扶養されている」と見なされることがあります。これは、養育費が扶養義務の履行として支払われていると解釈されるためです。このため、元配偶者が子どもをひとり親控除または扶養控除の対象とすることができる場合があります。

ただし、同じ子どもを対象にして、元配偶者と自分の両方で控除を受けることはできません。元配偶者の控除が認められれば、自分の控除は適用されません。逆に、自分が養育費を支払っている立場であれば、子どもと同居していなくても生計を一にしていると認定され、扶養控除を受けることができる可能性があります。具体的な判断については、税務署や税理士に相談することをおすすめします。

7. 年末調整のひとり親控除の要件を理解して、対象者や控除額を正しく申告しよう

書類を確認する女性

本記事では、ひとり親控除の基礎知識、寡婦控除との違い、申告する際の書き方について解説しました。

ひとり親控除は、納税者の親が母親か父親のどちらか1人であるときに、一定の所得控除を受けられる制度です。

従来の寡婦控除とは異なり、ひとり親控除は性別や婚姻歴が条件に含まれません。そのため、未婚のシングルマザーやシングルファザーでもひとり親控除の対象者になる可能性があるのです。

もしひとり親控除の対象者であれば、本記事でひとり親控除の理解を深めたうえで申告することをおすすめします。

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