仕訳とは?基本的な考え方や仕訳の方法、注意点などを分かりやすく解説
更新日: 2025.1.31
公開日: 2022.5.13
jinjer Blog 編集部
決算書の作成において最初におこなう作業が仕訳です。そのため、仕訳の意味やルールを正確に理解していないと、会社の経営状況を把握することができません。
本記事では仕訳の基本的な部分や仕訳例を解説し、とくに重要な貸借対照表や損益計算書についても触れていきます。
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86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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1.仕訳とは?
まずは仕訳がどのような業務を指すのか、基本的な部分と仕訳帳の重要性を知っておきましょう。
1-1. すべての取引を帳簿に記載する業務
仕訳は、簿記においてどのような取引が発生してどのようにお金が動いたかを分類する作業をいいます。
仕訳を記録した仕訳帳をもとに、最終的に貸借対照表や損益計算書などの決算書を作成するため、仕訳は経理の仕事でとても重要な作業です。
仕訳をミスしてしまうと、会社の確定申告が正しくできなくなる場合があるほど重要なため、仕訳の計上漏れや勘定科目間違いには気を付けなければなりません。
取引と勘定科目は漠然とした意味は知っているかもしれませんが、念のためそれぞれが指すものを正確に理解しておきましょう。
取引とは
簿記でいう「取引」とは、「売り上げて現金が増えた」「備品を買って現金が減った」のように、何らかの理由でお金が増減することを指します。
「A社と取引をした」「B社と取引があった」のように、企業間の交渉のような意味を持つ取引という言葉とは異なるものです。お金が動いた場合はすべて取引に該当するため、適切な勘定科目で仕訳をすることになります。
勘定科目とは
勘定科目とは、取引が発生した際におこなう仕訳において「お金を何に使ったか」「なぜ入金されたのか」などをわかるようにする見出しのようなものです。家計簿で電気代を光熱費に入れたり、食材の購入を食費にいれたりする作業と同じだと考えるとわかりやすいでしょう。
勘定科目は5つのグループに分かれており、その中からさらに細分化されています。仕訳をする際はこの勘定科目を正確に指定することが重要です。
1-2. 仕訳帳は主要簿のひとつ
仕訳帳は主要簿に分類される帳簿の一つです。決算時に必要になるため、欠かさずに作成しなくてはなりません。
主要簿には、仕訳帳と総勘定元帳の2つが該当します。仕訳帳は全ての取引を日付順で記帳した帳簿です。その一方、総勘定元帳は取引を勘定科目別に記帳している帳簿である点が異なります。
仕訳帳に記載するべき項目は以下の通りです。
- 年月日
- 勘定科目
- 金額
- 摘要(取引先や販売数量など)
勘定科目と金額は借方、貸方それぞれに記帳します。ここからは、勘定科目とその考え方について解説していきます。
関連記事:仕訳帳の項目ごとの書き方や仕訳する際の考え方を紹介
2. 仕訳の基本的な考え方
仕訳は、「5つのグループごとに、増減によって借方と貸方のどちらに記入するべきか決まっている」というルールに従っておこなわなければなりません。
取引によっては、仕訳に使う勘定科目の候補が複数挙がることもあるため、どのグループに該当するのか、借方なのか貸方なのか迷ってしまう場合もあります。
しかし、
- 勘定科目がどのグループに分類されるのか
- グループごとの法則
の2点を覚えてしまえば、仕訳の際に迷わずにスムーズに作業ができるでしょう。
後述する貸借対照表と損益計算書でも出てくる内容ですが、それぞれのグループの位置を覚えてしまえば、上記の借方・貸方のルールを簡単に覚えられます。
貸借対照表と損益計算書は以下のように作成されます。
貸借対照表
借方 | 貸方 |
資産 | 負債 |
純資産 |
損益計算書
借方 | 貸方 |
費用 | 収益 |
利益 |
この位置関係を理解しておけば、借方に記載してある項目が増えたら借方に、貸方に記載してある項目が増えたら貸方に記入することも一連の流れでおこなえます。
3. 仕訳のルールと勘定科目
3-1. 勘定科目の種類
取引の内容は大きく以下の5つのグループに分類されます。
- 資産
- 負債
- 純資産
- 費用
- 収益
上記のグループの中で更に細かく分類したものを「勘定科目」といいます。
勘定科目は、お金が増減した理由がわかるように設定するものであるため、建物を買って現金が減ったのであれば、「建物」が増えて「現金」が減ったという仕訳になり、勘定科目は、建物と現金を使用します。
5つの分類がどのような取引を指すのか、確認していきましょう。
資産 | 資産は勘定科目の「現金・売掛金・当座預金・土地」など、財産になるものをいいます。 資産に分類される売掛金とは、商品を売り上げた収益を後日受け取る約束をしたもののことです。 |
負債 | 負債は借金や支払い義務のあるものをいい、「買掛金・支払手形・未払い費用」などが勘定科目にあります。 |
純資産 | 純資産は会社設立時に株主が出資した金額である「資本金」などの勘定科目があります。 |
費用 | 収益は勘定科目の「売上・受取利息」などで、利益を生み出すもののことです。 |
収益 | 費用は勘定科目の「仕入・給料・家賃」などで、収益を得るためにかかったお金のことです。 |
慣れないうちはこうした勘定科目の意味を知っても、あまり理解ができないかもしれません。しかし、よく使われる勘定科目から理解していけば、考え方がわかってくるはずです。まずは勘定科目の種類を覚えつつ、間違いのない仕訳を心がけましょう。
関連記事:仕訳帳の扱い方とは?基本的な部分を5つの分類から詳しく紹介
3-2. 借方・貸方と仕訳法則
仕訳をする際は、左側を「借方」・「右側」を貸方と呼び、取引の内容を借方と貸方に分類して記録します。
勘定科目は「資産・負債・純資産・費用・収益」の5つのグループに分けられますが、このグループによって増減した場合に借方に記入するか、貸方に記入するかが変わってきます。この記入のルールを仕訳法則といいます。
各勘定科目についての考え方は以下の通りです。
資産…増えたら「借方」・減ったら「貸方」
負債…増えたら「貸方」・減ったら「借方」
純資産…増えたら「貸方」・減ったら「借方」
収益…増えたら「貸方」・減ったら「借方」
費用…増えたら「借方」・減ったら「貸方」
たとえば、「1,000円の商品を現金で売った」という取引の場合は、以下のように仕訳をします。
日付 | 借方 | 貸方 |
2022年4月1日 | 現金 1,000 | 売上 1,000 |
増減した金額=現金が1,000円増えた
増減した理由=商品を売り上げた
というように原因と結果にわけて記録している状態が上の表です。
増減した金額と増減した理由を記録するため、借方と貸方で金額は必ず一致します。
3-3. よくある勘定科目と仕訳例
以下は5つの仕訳グループの頻出勘定科目一覧です。
資産 | 現金、小口現金、当座預金、普通預金、前払費用、仮払金、立替金、商品、建物、車両、備品、減価償却累計額 |
負債 | 買掛金、借入金、未払金、前受金、仮受金、預り金、未払法人税 |
純資産 | 資本金、資本準備金、利益準備金 |
費用 | 仕入、給与、賞与、法定福利費、福利厚生費、消耗品費、減価償却費、通信費、家賃、水道光熱費、保険料、租税公課、交通費、支払手数料、雑費、法人税や事業税等など |
収益 | 売上、受取利息、雑収入 |
この中で特に登場することが多いのは、費用や収益の勘定科目です。さまざまな取引が該当するため、勘定科目もかなりの数があるためどこに仕訳をするか迷うことが多いでしょう。
3-4. 仕訳に戸惑いやすい勘定科目
給付金の支給や、あまり使わない勘定科目での仕訳など、どの勘定科目を使ってどのように仕訳をすれば良いのか、わかりにくい場面もあります。
労災事故が起きた際の給付や持続化給付金など、仕訳するタイミングや、振り込まれるタイミングによって勘定科目が変化するものもあるため、注意が必要です。
日々の仕訳は、仕訳帳に記録され、最終的には決算書の作成につながる大切な作業です。仕訳の仕方や勘定科目の選択に不安がある場合には、丁寧に調べましょう。
とはいえ、不安な勘定科目が出てきた際に毎回インターネットで検索するのは手間がかかってしまいます。勘定科目に不安がある場合に、お手元ですぐに確認して頂けるよう、当サイトでは「勘定科目と仕訳のルールブック」というガイドブックをご用意しました。
80種類以上の勘定科目の仕訳一覧表や、それぞれの勘定科目の仕訳例を、貸借対照表を用いて解説しています。こちらから無料でダウンロード出来ますので、不明点をその都度解消しながら、間違いのない仕訳帳を作成しましょう。
関連記事:持続化給付金の仕訳の考え方や具体例を紹介
関連記事:労働保険料を仕訳する際のポイントや具体例を紹介
4. 貸借対照表と損益決算書
仕訳をおこない、仕訳帳と総勘定元帳という主要簿を作成し、これらをもとに作成するのが決算書です。
その決算書は会社の財政状況を把握するための貸借対照表と、経営成績を把握するための損益計算書にわけられます。
最初におこなう仕訳をもとに、決算書作成までの帳簿が記録されますが、どの帳簿の時点でも借方と貸方は必ず一致しているはずです。
それでは貸借対照表と損益計算書を一つずつ解説していきます。
4-1. 貸借対照表
貸借対照表とは、財務三表のひとつである時点における会社の資産状況を示す重要書類です。資産・負債・純資産の金額と内訳が記載されるため、資産調達方法や財務状況が明確になります。
賃借対照表の記載例は以下のようになります。
資産 金額 | 負債・純資産 金額 |
現金 30,000 | 買掛金 10,000 |
売掛金 20,000 | 資本金 40,000 |
合計 50,000 | 合計 50,000 |
貸借対照表では、借方の合計金額と貸方の合計金額は必ず一致しなくてはなりません。作成する際はこの点に十分に注意しましょう。
4-2. 損益計算書
損益計算書は、ある一定の期間の利益と支出を示す表です。利益が発生した理由やその金額、発生した支出の内容や金額などを対照表示し、当期純利益がわかるようにまとまっています。損益計算書も会社の経営状況を知るうえで欠かせない書類のひとつです。
損益計算書は以下のように記載します。
費用・純利益 金額 | 収益 金額 |
仕入 10,000 | 売上高 150,000 |
給料 90,000 | |
当期純利益 50,000 | |
合計 150,000 | 合計 150,000 |
損益計算書は、借方の費用(仕入・給料)と貸方の収益(売上高)を足しても一致しません。
その一致しない分を足して、合計金額が同じになるように調整するのですが、その足した金額を記入する場所が借方だった場合は、その金額分が純利益となります。
今回作成した損機計算書は、
貸方の収益(売上高)150,000-借方の費用(仕入+給料)100,000=50,000
となり、収益の方が50,000多い結果になったため、当期の純利益が50,000円だったことを表しています
5. 仕訳をする際の注意点とポイント
5-1. 借方・貸方の金額が一致しているか
仕訳では借方と貸方の金額が一致しなくてはなりません。借方と貸方は左右に分かれて表示されているため、左右の数字が一致することを1つ仕訳をするごとに確認しましょう。
もしも数字が一致していない場合は、何らかの間違いがある可能性が高いです。単純な入力ミスや元の数値の間違いなど、原因は様々です。
なお、勘定科目が2つ以上になる取引があった場合は、合計額が借方と貸方で一致していれば問題ありません。
5-2. 勘定科目を正確に把握する
勘定科目は非常に数が多く、よく使う科目から1年に1回しか使わないものまで使用頻度もまちまちです。
すべてを覚える必要はありませんが、よく使う勘定科目だけでも覚えておくと業務がとてもスムーズになります。よく使われる「売掛金」「現金」「普通預金」や、自社で頻繁に発生する取引の勘定科目だけでも覚えておくことをお勧めします。
この勘定科目はどのグループなのか、借方と貸方のどちらなのかなど、基本的な部分だけでも覚えるようにしましょう。
5-3. 必要に応じて補助簿を作成する
補助簿は主要簿(日記帳・仕訳帳・総勘定元帳)を補助するために作成する帳簿です。法律上の作成義務はありませんが、必要に応じて作成するようにしましょう。
補助簿には「補助記入帳」と「補助元帳」の2種類があります。仕訳帳の作成をサポートするのが補助記入帳で、総勘定元帳の作成をサポートするのが補助元帳です。
売掛金や買掛金、普通預金などの取引が多く、計算や管理が大変な場合は特に補助簿がないと業務効率が落ちたり、ミスが発生したりしやすくなります。補助簿があれば取引内容がしやすくなり、業務効率もあがるでしょう。
6. 仕訳は決算に関係する書類の作成に欠かせない重要な業務
仕訳は会社で起きた取引の内容を記録する作業になりますが、その後の帳簿作成や決算書の作成の元となる重要な部分です。
会社のお金がいつどのような理由で増減したのかを把握するための作業であるため、小さなミスも許されません。
仕訳帳の作成方法には手書きやエクセル、会計システムなどがあります。
仕訳帳を手書きしている場合、仮に仕訳の時点で仕訳計上漏れや金額記載ミスがあった場合は、ミスした仕訳を探し出すところから始める必要があります。また、エクセルでの仕訳帳作成も、手作業で一つ一つ入力すると手間がかかったり入力ミスが起こったりする可能性があります。
会社の取引の回数はとても多く、どうしても人為的ミスを100%なくすことは難しいでしょう。
会計システムでは、面倒な仕分け作業をスピーディーにミスなくおこなうことができ、経理業務を効率化することができます。
ミスのない仕訳をして正しく決算書類を作成するために、自社の会計業務を今一度見直してみましょう。
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