給与振込申請書とは?書き方やテンプレートを紹介
更新日: 2025.9.3 公開日: 2025.2.9 jinjer Blog 編集部

給与振込申請書とは、従業員が給与を振り込みで受け取ることを申請する書類です。
本記事では、給与振込申請書の書き方やテンプレートを紹介します。また、給与振込申請書の作成・提出時の注意点や、提出後の手続きの流れについても解説します。
最後まで読むことで、給与振込申請書を正しく理解し、スムーズな給与管理を実現するための具体的な手順を把握できるでしょう。
目次
労務担当者の実務の中で、給与計算は出勤簿を基に正確な計算が求められる一方で、Excelからの手入力や別システムからのデータ共有の際、毎月のミスや抜け漏れが発生しやすい業務です。
さらに、昇格や人事異動に伴う給与体系の変更や、給与計算に関連する法令改正があった場合、更新すべき情報も多く、管理方法とメンテナンスにお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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◆解決できること
-
勤怠データをワンクリックで取り込めるため、勤怠の締めから給与計算までをスムーズに自動化できる
-
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1. 給与振込申請書とは


給与振込申請書とは、従業員が給与を振り込みで受け取ることを申請し、振込先銀行口座を登録する書類です。
労働基準法(労働基準法第24条)では、給与の支払いは原則現金とされています。そのため、給与振込申請書がないと銀行や郵便局への振り込みによる給与支払いができません。
また、給与振込申請書を使用することで、従業員の銀行口座情報を正確に管理できるため、給与支払いを円滑におこなえるようになります。
1-1. 給与振込申請書と給与振込口座依頼書の違い
給与振込申請書と給与振込口座依頼書の違いは以下の表のとおりです。
| 項目 | 給与振込申請書 | 給与振込口座依頼書 |
| 目的 | 企業が従業員の給与振込先を新規に登録・管理するため | 振込先口座を指定・変更するための |
| 使用する場面 | 主に新入社員が口座情報を申請するときに使用される | 従業員が振込先を変更するときに使用される |
| 特徴 | 従業員が銀行振込での給与受け取りに同意する、法的な文書としての性質がある | 実務的な情報提供の側面がある |
目的や使用する場面が若干異なりますが、違いは厳密なものではなく、多くの企業では実質的に同じ目的で使用されています。
1-2. 給与振込申請書と給与振込同意書の違い
給与振込申請書とは、従業員の銀行口座を登録するための書類です。一方、給与振込同意書とは、給与振込に同意したことを証明するための書類で、目的や役割に違いがあります。ただし、給与振込申請書が給与振込同意書を兼ねるケースもあります。
労働基準法第24条の「通貨払いの原則」に基づき、給与は原則として現金で支払わなければなりません。しかし、利便性の観点からも、現金手渡しでなく、口座振込で給与が支払われるケースが一般的です。
この場合、必ず従業員からの同意が必要です。もしも従業員からの同意なく、給与を口座振込した場合、労働基準法違反になる可能性もあります。そのため、給与振込同意書を用いて、従業員から同意が得られたことをきちんと証拠として残しておくことが大切です。
関連記事:賃金支払いの5原則とは?例外や守られないときの罰則について
2. 給与振込申請書の書き方・テンプレート


給与振込申請書は、企業ごとに様式や書き方が異なります。企業によっては特定の金融機関を指定するケースもあります。ゆうちょ銀行の場合、記号番号の記載が必要な場合もあるため注意が必要です。
なお、振込先の名義は従業員本人でなければならず、他人名義の口座は利用できません。記載後は、内容に誤りがないか再確認し、指定の部門に提出してもらいましょう。ここからは、給与振込申請書の記載事項やテンプレートについて紹介します。
2-1. 給与振込申請書の記載に必要な事項
給与振込申請書の記載に必要な項目は次のとおりです。
- 提出年月日
- 会社名
- 部署名
- 社員番号
- 氏名
- 金融機関名
- 支店名(支店番号が必要な場合もある)
- 預金の種類(普通預金、当座預金など)
- 口座番号
- 口座名義人(本人名義の口座でなければならない)
- 捺印
- 給与の振込支給に対しての同意文章
項目をすべて正確に記載することが、給与振込のトラブルを防ぐ第一歩となります。記入後には必ず内容を再確認し、記入漏れや誤記がないことを確認しましょう。
金融機関がゆうちょ銀行の場合には記号番号も必要になります。
いずれの金融機関の場合でも、口座名義人は従業員本人でなければならない点に注意が必要です。また、フリガナも必ず確認して間違いなく振込がおこなえるように準備しておきましょう。
2-2. 給与振込申請書の書き方
給与振込申請書は、企業ごとに様式や書き方が異なります。所定のフォーマットがある場合は、記載例に従って記入するよう案内しましょう。
振込先の金融機関に制限がある場合は、給与振込申請書を渡す際や注意事項を記載した書類で明確に伝えておくとスムーズです。また、ゆうちょ銀行への振込をする際は、記号番号が必要なためその欄も必ず埋めてもらうようにしましょう。
近年は印鑑の廃止が進んでいますが、給与振込申請書には従業員本人の署名・捺印が必要です。給与振込申請書をこれから準備する際は、この欄も忘れずに準備するようにしましょう。
なお、給与振込申請書は無料で配布されているテンプレートの利用もできます。次に紹介するテンプレートでは必要事項を網羅しているため、テンプレートをお探しの際はご活用ください。
2-3. 給与振込申請書のテンプレート
給与振込申請書のテンプレートは以下のとおりです。
新しく給与振込先口座を指定してもらう時と、変更をする際のどちらにも使えます。
| 令和○○年○○月○○日給与振込申請書
1.基本情報 会社名:______________ 御中 部署名:______________ 社員番号:_____________ 氏名(フリガナ):__________________ 印 私は、給与および賞与の振込支給に同意いたします。 振込先は下記の通り( 申請 ・ 変更 )します。 2.振込先情報 金融機関名:__________________ 支店名(支店番号):__________(_____) 預金の種類(普通・当座):__________ 口座番号:________________ 口座名義人(カタカナ):________________ |
給与振込申請書の形式は企業が自由に決められるものです。
テンプレートは自社に必要な情報や、処理がしやすいようにカスタマイズしても問題ありません。しかし、必要事項が欠けてしまうと給与振込申請書として認められない可能性があるため、項目を減らす際は十分に注意しましょう。
3. 給与振込申請書を提出してもらうときの注意点


給与振込申請書を作成し、提出してもらう際、気を付けるべき点がいくつかあります。ここでは、給与振込申請書の作成・提出における注意点について詳しく紹介します。
3-1. どこでもらえるか案内しておく
給与振込申請書は、入社手続きの際に従業員に手渡しや郵送で交付し、記入・提出してもらうのが一般的です。しかし、後で振込先を変更したいと考える従業員もいるかもしれません。
そのような場合に備えて、事前に給与振込申請書(給与振込口座依頼書)がどこでもらえるのか明確にし、従業員に申請フローも周知しておくことで、スムーズに手続きできるようにしましょう。
3-2. 提出期限を明確に伝える
給与振込申請書を適切に提出してもらうためには、提出期限を明確に伝えましょう。
期限を定めてそれを伝えておかないと、給与振込の準備が間に合わず、振込の遅延が発生する可能性があるためです。
例えば、新入社員が入社したときや振込先口座の変更が必要なとき、給与計算の締日までに申請書を受け取る必要があります。
新入社員は新しい環境で覚えることも多く、事務作業が後回しになりがちです。リマインドをして必ず期限を守ってもらうように工夫しましょう。
3-3. 記入方法や必要事項を事前に説明する
給与振込申請書の記入漏れや誤記入を防ぐために、事前に記入方法や必要事項をわかりやすく説明することが大切です。
例えば、金融機関名や支店名の正式名称、口座番号、名義人名などを正確に記載していなければ、給与振込が正常におこなわれません。
もしも記入ミスがあれば、差し戻しおよび再提出が必要になり、結果として手続きが遅れることもあります。
あらかじめ記入例や注意点を記載したマニュアルを渡したり、疑問点があればすぐに確認できるよう相談窓口を設けたりして、対策をしておきましょう。
3-4. 個人情報の取り扱いに注意する
給与振込申請書には、銀行口座情報や個人情報が含まれるため、取り扱いには注意しましょう。
例えば、提出された申請書を無造作に保管することや、第三者が容易にアクセスできる状態にすると、情報漏洩のリスクが高まります。
個人情報保護法に基づき、社外秘の情報が外部に漏れないよう、給与振込申請書を施錠可能な場所に保管することが推奨されます。また、給与振込申請書の情報を取り扱う責任者を決めておくことも大切です。
人情報の適切な管理は、従業員との信頼関係を構築するだけでなく、企業の信用を守るためにも重要です。細心の注意を払い、万が一のトラブルを未然に防ぎましょう。
3-4. 記載ミスに十分に注意する
給与振込申請書の重要性や書き方を十分に説明しても、どこかで記載ミスや記載漏れは発生してしまいます。
口座番号や口座名義人の表記、フリガナなどは特に記載ミスが発生しやすいです。ゆうちょ銀行の記号番号や口座種類の選択、押印などは漏れが発生しやすい部分であることを覚えておきましょう。
記載ミスは企業側では気づけないことが多いですが、記載漏れは気づきやすいです。必要事項がすべて埋められているか、十分に確認しましょう。
情報が正確でない場合、給与の振り込みができなかったり、大幅に遅れてしまったりするため、トラブルになる可能性があります。
4. 給与振込申請書提出後の流れ


給与振込申請書の提出後の流れは次のとおりです。
- 申請書の内容を確認する
- 給与システムに新しい口座情報を登録する
- 従業員への登録完了を通知する
- 指定口座に給与振込する
注意点や細かい手続きを順番に解説していきます。
4-1. 申請書の内容を確認する
給与振込申請書が提出されたら、最初に記載内容を確認しましょう。
誤りや記入漏れがある場合、給与振込が遅れる可能性があるため慎重にチェックします。
特に重要なのは、金融機関名や支店名(支店番号)、口座番号、名義人が正確であることです。例えば、口座番号に1桁でも間違いがあれば、給与が振り込まれず、従業員に不利益を与えることになります。
申請書に不備が見つかった場合は、すみやかに従業員に連絡し、修正や再提出を依頼しましょう。
4-2. 給与システムに新しい口座情報を登録する
申請書の内容が確認できたら、給与システムに新しい口座情報を登録します。
給与システムは多くの業務を自動で処理できますが、最初の情報入力は手作業です。ミスがないように二重チェックをし、十分に注意しましょう。入力ミスは振込エラーを引き起こし、給与支払いの遅延につながる可能性があるためです。
例えば、金融機関名や支店番号、口座番号の入力を一つひとつ正確に進めるなど、データの整合性を確認します。また、システムによっては登録内容を再確認する機能があるため、活用すると効果的です。
4-3. 従業員への登録完了を通知する
新しい口座情報が給与システムに登録されたら、完了を従業員に通知します。
振込先の変更があった場合、従業員は次回の給与が正常に振り込まれるか不安に感じることがあるため、完了を伝えることが大切です。いつの給与振込から新しい口座になるのかという部分も明確にしておきましょう。
4-4. 指定口座に給与振込する
給与の支払い日が近づいてきたら、指定された口座へ給与を振り込みます。
給与システムを利用している場合は、従業員の給与や口座情報をシステムに登録しておけば自動で処理がされます。
給与振込が完了した後は、従業員が正常に受け取れているかを確認しましょう。万が一のトラブルには迅速に対応することで信頼関係を築けます。
5. 給与振込申請書に関連するよくある質問


ここでは、給与振込申請書に関連するよくある質問への回答を紹介します。
5-1. 給与振込口座の登録を拒否されたら?
会社側で給与振込口座を指定しているケースも少なくないでしょう。そのような場合、従業員から「既に開設している口座を使いたい」といった理由で、給与振込申請書(給与振込同意書)の記入を拒否されることも考えられます。
従業員の同意なしに、会社が指定した口座への振込を強制することは認められていません。もしも同意が得られなかった場合、労働基準法に基づき、現金で手渡しするか、従業員が希望する口座に振込をする必要があるので注意しましょう。
5-2. 給与振込申請書は電子化できる?
給与振込申請書の形式は法律で定められていないので、電子化して交付・管理することも可能です。給与振込申請書を電子化すれば、わざわざ紙の書類を手渡す必要がなくなるため、手続きを効率化できます。
ただし、給与振込申請書には、重要な個人情報が含まれます。第三者に情報が漏れないよう、正しくアクセス権限を付与するなど、十分なセキュリティ対策をおこなうことが大切です。また、給与振込に関して同意が得られたかどうかも重要な情報となるので、必ず本人から申請書が提出されたかどうかチェックしましょう。
5-3. 振込先を複数にしたいと言われたら?
給与を複数の口座に分けて振り込むこと自体は違法ではありません。ただし、就業規則や雇用契約書などで振込先を複数に分けることが可能である旨を明記していない場合、従業員の希望に基づき振込先を複数にする義務はありません。そのため、今一度、就業規則や雇用契約書の内容を見直し、必要に応じて改訂も検討しましょう。
6. 給与振込申請書を正しく理解してスムーズな給与管理をしよう


本記事では、給与振込申請書の基本情報や書き方、テンプレートの活用方法、提出時の注意点、そして提出後の流れについて解説しました。
給与振込申請書とは、従業員が適切に給与を受け取るための重要な書類であり、企業にとっても給与管理の基盤となるものです。
給与振込申請書の意味を正しく理解し、適切に運用することで、企業と従業員双方にとってスムーズな給与管理を実現しましょう。



労務担当者の実務の中で、給与計算は出勤簿を基に正確な計算が求められる一方で、Excelからの手入力や別システムからのデータ共有の際、毎月のミスや抜け漏れが発生しやすい業務です。
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