労働時間に休憩は含まれる?労働基準法での休憩時間の定義と計算ルールを解説
更新日: 2025.3.21
公開日: 2020.3.25
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休憩時間は労働者にとって、ランチタイムやコーヒーブレイクの時間として、心身を休めるための重要な時間です。では、この休んでいる時間も労働時間に含まれるのか、回答に不安がある方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、休憩時間は労働時間に含まれません。しかし、休憩には労働基準法で定められた定義があり、労働時間と見なされることもあるため使用者は注意が必要です。
この記事では、何が休憩と見なされるのか、その定義や、付与する際のルール、計算方法などを解説していますのでぜひ最後まで読んで参考にしてください。
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1. 労働時間に休憩は含まれない
労働時間に休憩は含まれません。
労働時間と休憩時間のルールは、労働基準法第34条に次のとおり定められています。
使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない
このように休憩時間は労働時間に応じて付与が義務付けられています。休憩時間中、従業員は労働から離れ使用者の指揮命令下にはいないため、休憩中の時間は労働時間に含まれません。したがって、使用者は休憩にあてられた時間に対して賃金を支払う義務もありません。
なお、労働時間に似た単語として勤務時間が挙げられます。明確な定義はありませんが、一般的には両者の違いは休憩を含むかどうかです。労働時間に休憩時間は含まれませんが、勤務時間には休憩時間が含まれます。例えば、始業時間が9時で終業時間が17時、休憩が1時間の場合、勤務時間は8時間ですが、労働時間は7時間です。
1-1. 休憩とは
労働基準法における休憩とは、「従業員が仕事から完全に離れている状態」のことです。使用者が従業員に対して、休憩時間中に何らかの業務を任せている場合は、休憩時間になりません。
労働基準法には、「休憩の3原則」が定められています。「途中付与の原則」「一斉付与の原則」「自由利用の原則」の3つを満たすものが休憩です。
3-1. 労働時間の途中に付与する
休憩時間は、労働時間の途中に与えなければなりません。
たとえば、労働時間が7時間の場合、最低でも45分の休憩が労働時間の途中で付与される必要があります。
休憩時間はいらないから、その分早く帰りたいといって「3時間働いて15分休憩し、さらに4時間働いた後に終業時間よりも30分早く退社する」といった場合では、30分が労働時間の途中ではなく後に付与されているので、この場合おける実質の休憩時間は15分です。
法令違反であり、このままだと処罰対象とされます。
3-2. 休憩時間は一斉に付与する
労働基準法第34条2項では、「休憩時間は、一斉に与えなければならない。」と規定しています。休憩時間を労働者ごとに変えることは、制度上認められていないわけです。
ただし、労使間において別途協定がある場合は、一斉ではなく交代などによる休憩時間の付与でも問題はありません。
さらに、労使協定がない場合でも、労働基準法別表第1に掲げる業種(運送業、商業、金融・広告業、映画・演劇業、郵便・信書便・電気通信業、保健精製業、接客娯楽業、官公署の事業)に該当する場合、一斉休憩の例外が認められています。
関連記事:企業の労働時間における「休憩」の考え方や計算方法とよくある疑問を解説
3-3. 休憩時間は従業員の自由に使わせる
同じく労働基準法第34条3項において「使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない。」と規定されています。
休憩時間というと食事休憩になることが多いですが、休憩時間に病院へいったり、ちょっとした買い物をしてきたりなど、従業員が労働から離れて自由に使える時間としなくてはなりません。
2. 休憩を与える際に押さえておくべきルール
続いて休憩を与える際に担当者が押さえておくべきルールをまとめて紹介します。
2-1. 休憩を与える対象
休憩時間は、雇用形態(正社員・契約社員・パート・アルバイトなど)を問わずに、原則として「条件を満たす、すべての労働者」に付与しなくてはいけません。たとえ本人が「休憩はいらない」と申し出た場合でも、必ず休憩時間を取得させましょう。
2-2. 休憩時間の計算方法
休憩時間の確保については、労働基準法第34条において「労働時間が6時間を超えて8時間以内の場合は少なくとも45分」および「労働時間が8時間を超える場合は、少なくとも60分」と定められています。
そのため、制度上は、労働時間が6時間ちょうどの場合、休憩なしでも問題はないとされます。8時間を超えて時間外労働を行う場合は、最低限60分の休憩時間を確保すれば、違法とはみなされません。
休憩時間については罰則規定も設けられているので、雇用主である企業は厳守が原則です。
2-3. 適切な休憩を付与していない場合の罰則
これらのルールに従わず、使用者が従業員に適切な休憩時間を与えなかった場合の罰則は「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑」です。
労働基準法は刑罰が存在する法律であるため、違反すると処分されるおそれがあります。多くの場合、企業の経営者や会社そのもの、現場の管理職などが罰則の対象です。
また、従業員に適切な休憩を取らせず過酷な労働を強いていることが世間に広まれば、企業イメージが大きく損なわれることになるでしょう。
2-4. 給与は労働時間から休憩時間を控除して計算する
賃金支払いの義務がある労働時間に休憩時間は含まれません。
例えば、9時に出社して17時に退社する労働形態の場合、職場にいる時間は合計8時間です。しかし、この8時間のうち、12時から12時45分までを休憩と定めているならば、労働時間は7時間15分と計算されます。
会社にいる時間ではなく、実際に働いた実労働時間をもとに給与計算がおこなわれるので、パートやアルバイトなどの時給で給与が支払われるケースでは特に注意が必要です。
関連記事:勤怠管理における休憩時間の取り扱いとは?労働基準法の基礎知識を解説
3. 休憩時間を与えるときの注意点
これまでの章で、休憩時間の定義や付与すべき時間数、付与のしかたなどの基本的なルールを解説しました。そのうえで、勤怠管理の担当者や使用者が休憩を与える際に注意すべき点を紹介します。
3-1. アルバイト・パートの休憩時間は正社員と同じ
正社員の他にパート・アルバイトや派遣社員、契約社員を雇用している場合も、休憩時間を付与する際のルールは雇用形態によらず同じです。
パート・アルバイトや派遣社員にも労働基準法で定められている通り、労働時間に応じて休憩時間を与える必要があります。
たとえば、同じ時間働いているにもかかわらず、「正社員には7時間労働で45分の休憩を与えるが、派遣社員には30分の休憩にしている」といった取り扱いはできません。
雇用形態の違いによらず、労働基準法に定められているルールで休憩時間を与えましょう。
3-2. 就業形態が異なっても休憩時間の取り扱いは同じ
就業先での働き方が、時短勤務や裁量労働制である場合においても、休憩時間を付与する際のルールは通常通りになります。
時短勤務は原則6時間の勤務時間となるため、休憩時間を取らせることは必須ではありません。ただし、1分でも残業をしてしまえば労働基準法違反になってしまうので、休憩時間を取得させるケースが多くなります。
また裁量労働制も休憩時間は適用されます。ただし、実労働時間ではなくみなし労働時間で考えますので、みなし労働時間が6時間を超えているかで判断しなければなりません。
上記のように、就業形態の違いによらず休憩時間は適用されますので、労働基準法に沿って与えましょう。
関連記事:時短勤務者の休憩時間は?その上限や注意点を詳しく解説
関連記事:裁量労働制とは?労働時間管理における3つのポイントを徹底解説
3-3. 休憩しながら簡単な仕事をすることは、休憩時間とみなされない
仕事に追われている労働者のなかには、昼食中にパンやおにぎりを食べながら、仕事を続けるという人もいるかもしれません。
しかし、労働基準法第34条3項では、使用者=企業側が労働者に対して休憩時間を自由に利用させるべきことが規定されており、休憩中は仕事から完全に解放されている必要があります。たとえ労働時間中におこなっている業務よりも簡単な作業であっても、休憩時間におこなうと労働時間と見なされ、その分の賃金の支払いが必要になります。
具体的にどのようなケースが休憩と見なされず、労働時間とされるかは、以下の章で解説します。
4. 業務から離れていても休憩と見なされないケース
デスクから離れていたり、休憩室にいたりする場合でも、業務から完全に開放されて自由な行動を取れる状況でない限り休憩にはなりません。よくある休憩に該当しないケースを知っておきましょう。
4-1. 休憩中も電話や来客対応をする
企業における休憩の原則として、非常に重要なのが「仕事から開放されている」点です。例えば、休憩中でも顧客の電話や訪問に対応する必要があったり、電話に備えてオフィス内で食事を取ることを指示していたりする場合、休憩ではなく業務の待ち時間になります。
上司や管理者が明確な指示をしていなくても、暗黙の了解で労働を任せていれば休憩時間になりません。
4-2. 休憩中に簡単な作業をする
従業員が休憩時間中に、休息や食事をとりつつ簡単な作業をすることがあります。書類の確認や申請書の作成などはよくあるケースです。しかし、こうした「ながら作業」だとしても、労働から完全に開放されていないとみなされて休憩になりません。
4-3. 労働時間中の仮眠やたばこ休憩
当直や宿直勤務がある企業では、仮眠時間が設けられていることが多いです。眠っている間は労働をしていないことから、仮眠中は休憩時間とみなす企業があります。しかし、仮眠をしていても必要に応じて業務に復帰しなくてはいけない場合は、労働から完全に開放された時間にはならず、休憩に該当しないと判断されやすいです。
また、同様にたばこ休憩中も業務から離れていない場合は、休憩時間にみなされないケースがあります。
仮眠やたばこ休憩においては、判断基準が明確ではありません。そのため、もしもトラブルになった際はどのような判断が下されるか、現時点では正確な回答を誰ひとり持ち合わせていない点に注意しましょう。
5. 休憩についてよくある質問
休憩を正しく与え運用するために、よくある質問をまとめました。実際に質問された場合に正しく回答できるようケースごとにポイントを押さえておきましょう。
5-1. 分割して付与することはできる?
休憩時間は、分割して付与することができます。
たとえば、休憩時間を90分として、お昼休憩に60分、午前と午後にそれぞれ15分ずつの休憩を付与するなど、分割付与が可能です。
ただし、分割して付与したとしても、休憩時間は労働時間の途中に与えなくてはならないルールに変わりはありません。「休憩せずに働いて、その分早く帰る」といった取り扱いはできませんので、注意しましょう。
5-2. 残業が発生したら追加で休憩をとらせるべき?
休憩をどれくらい与えるかは労働時間によって定められています。残業をしたことで実労働時間が6時間を超えた場合は合計45分、8時間を超えた場合は合計1時間の休憩が、追加で必要です。
例えば、勤務時間が9時から17時までの場合、所定労働時間は7時間15分で休憩は45分必要になります。この会社で1時間残業すると総労働時間が8時間15分となり、1時間分の休憩が必要になるため、追加で15分の休憩が必要になります。
5-3. 労働時間が6時間ちょうどの場合は休憩が必要ですか?
労働基準法で定められた休憩時間は、労働時間が6時間を超えたときから発生します。そのため、労働時間が6時間ぴったりで1分も超過していない場合は、休憩を取らせる必要はありません。
反対に、1分でも超過した場合は、45分の休憩が必要になります。パートやアルバイト従業員のシフトを決める際は、この点に注意するとよいでしょう。
5-4. 休憩時間が取れなかったときはどうする?
例えば、飲食店のパートやアルバイト労働者などで、お昼時などのピーク時に十分な休憩時間を取らせることができなかったケースが考えられます。
この場合、休憩せずに働いてもらった時間分は必ず給与を支払うようにしましょう。時間外労働が発生した場合は、割増賃金を支払うことがルールです。
また、法律で決められている労働時間を付与できるよう、時間をずらすなどして、後からでも規定の休憩時間をとらせるようにしましょう。
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6. 労働時間と休憩時間はまったく別!休憩時間は給与算定の対象外
労働時間と休憩時間は、法律上、明確に区分されています。労働基準法第34条3項では、労働者が労働から完全に解放されている時間のことを休憩時間とされているので、もし簡単な業務でも続けていたらその時間は休憩とはみなされません。
ただし、使用者が作業の指示をしていないにも関わらず労働者が自主的に休憩中に仕事をし、その分の給料を要求するのは不当といえるでしょう。
企業側と労働者側が休憩時間の計算方法や付与ルールをきちんと理解し、適正に運用できるよう両社がルールを順守することが重要です。
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