令和8年度の雇用保険料率は引き下げに|事業の種類や保険料率の変更タイミングを解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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令和8年度の雇用保険料率は引き下げに|事業の種類や保険料率の変更タイミングを解説

木の人形

雇用保険は、失業時の生活支援や再就職支援、育児休業給付などをおこなう公的保険制度です。雇用保険料は、事業主と労働者の双方が負担しており、毎年度見直される「雇用保険料率」に基づいて算出されます。

令和8年度(2026年度)の雇用保険料率は、令和7年度(2025年度)から引き下げられました。また、雇用保険料率は一律ではなく、「一般の事業」「農林水産・清酒製造の事業」「建設の事業」など、事業の種類によって異なります。

人事労務担当者は、年度ごとの保険料率改定や変更タイミングを正しく把握し、給与計算や社会保険手続きへ適切に反映することが重要です。

本記事では、令和8年度の雇用保険料率の変更内容や、事業の種類ごとの違い、保険料率が変更されるタイミングなどを解説します。

雇用保険の計算ミスは追徴金を言い渡されるかも
正しい計算方法と加入条件をくわしく解説

雇用保険への加入は、従業員が離職した時の手当だけでなく、出産や労災による補償など、会社と従業員を守るための公的保険です。
健康保険など「ほかの社会保険」と同様に加入が義務付けられていますが、雇用保険だけ計算方法や負担割合が異なるため、注意しなければなりません。

万が一、誤って納付してしまった場合、未納分の保険料だけでなく、追徴金もまとめて徴収される可能性があります。
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1. 雇用保険料率とは?

お金と盾

雇用保険料率とは、雇用保険料を計算する際に用いる割合です。雇用保険料は、従業員に支払う賃金に雇用保険料率を掛けて算出します。

雇用保険料率は毎年度見直されており、事業の種類によっても異なります。また、雇用保険料は企業(事業主)と従業員の双方が負担する仕組みとなっているため、人事労務担当者は最新の保険料率を正しく把握しておくことが重要です。

この章では、令和8年度の雇用保険料率と、雇用保険制度の概要について解説します。

参考:雇用保険料率について|厚生労働省

1-1. 令和8年度の雇用保険料率は前年より引き下げ

令和八年度の雇用保険率

引用:事業主・被保険者の皆さまへ 令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内|厚生労働省

従業員が雇用保険に加入した場合、企業と従業員は、それぞれ定められた割合に応じて雇用保険料を負担します。この計算に使用される割合が「雇用保険料率」です。

令和8年度の雇用保険料率は、一般の事業の場合、令和7年度の「14.5/1,000」から「13.5/1,000」へ引き下げられました。前年度比で「1/1,000(0.1%)」の引き下げとなります。

また、令和5年度・令和6年度は「15.5/1,000」だったため、令和7年度・令和8年度と2年連続で引き下げがおこなわれています。

雇用保険料率を誤ると、給与計算や労働保険料の申告・納付に影響する可能性があります。年度ごとの改定内容や変更タイミングを確認し、給与システムや控除設定へ適切に反映しましょう。

関連記事:雇用保険料の引き上げ・引き下げとは?令和8年4月以降の雇用保険料率と引き上げ背景・企業への影響を解説

1-2. そもそも雇用保険とは

雇用保険とは、労働者の生活や雇用の安定、再就職の促進などを目的とした公的な労働保険制度です。

雇用保険には、失業時の生活を支える「求職者給付(失業手当)」のほか、育児休業給付や教育訓練給付など、働く人を支援するさまざまな給付制度があります。

代表的な給付には、次のようなものがあります。

  • 求職者給付(失業手当など)
  • 育児休業給付
  • 教育訓練給付
  • 高年齢雇用継続給付

なお、同じ労働保険である労災保険は、業務中や通勤中の負傷・疾病などを補償する制度です。一方、雇用保険は、失業や育児、能力開発など、労働者の雇用継続や生活支援を目的としている点に違いがあります。

関連記事:雇用保険とは?パート・アルバイトの加入適用や給付内容についてわかりやすく解説

2. 雇用保険料率の仕組み

はてなと虫眼鏡

雇用保険料率は、一律ではありません。事業主と労働者で負担割合が異なるほか、「一般の事業」「農林水産・清酒製造の事業」「建設の事業」の3区分によっても保険料率が変わります。

人事労務担当者は、「令和8年度は13.5/1,000」といった全体の保険料率だけでなく、労使それぞれの負担割合や、自社に適用される事業区分も正しく把握しておく必要があります。

この章では、雇用保険料率の内訳と、事業の種類ごとの違い、適用タイミングについて解説します。

2-1. 雇用保険料は会社と従業員で負担割合が異なる

雇用保険料は、企業と従業員で負担割合が50%ずつ折半されているわけではありません。

従業員が負担するのは、「失業等給付」と「育児休業給付」に関する保険料です。一方、企業はこれらに加えて、「雇用保険二事業(雇用安定事業・能力開発事業)」の保険料も負担します。そのため、事業主負担分のほうが、労働者負担分より高く設定されています。

例えば、令和8年度の一般の事業では、労働者負担は「5/1,000」、事業主負担は「8.5/1,000」です。これらを合計した「13.5/1,000」が、令和8年度の雇用保険料率となります。

2-2. 雇用保険料率は業種によっても違う

雇用保険料率は、事業の種類によっても異なります。事業は大きく次の3つに区分され、それぞれ異なる保険料率が設定されています。

事業の種類

特徴

一般の事業

標準的な保険料率

農林水産・清酒製造の事業

季節的雇用が発生しやすい

建設の事業

現場単位の雇用となり、短期雇用が発生しやすい

一般の事業の保険料率が最も低く、建設の事業が最も高く設定されているのは、業種ごとに雇用の安定性や失業リスクが異なるためです。例えば、農林水産業では季節によって業務量が変動しやすく、建設業では工事や現場ごとに短期雇用が発生しやすいため、失業給付が必要になるタイミングが比較的多いといわれています。

なお、農林水産に関連する事業であっても、すべてが「農林水産・清酒製造の事業」に該当するわけではありません。園芸サービス、牛馬の育成、酪農、養鶏、養豚、内水面養殖および一定の船員を雇用する事業は、一般の事業の料率が適用されます。

さらに、建設の事業では、建設事業主向けの助成金など、雇用保険二事業による支援制度が用意されています。雇用保険料率は、単に業種名だけで決まるのではなく、事業の実態や制度上の区分を踏まえて適用される点に注意が必要です。

参考:労働保険関係用語集 特掲事業|厚生労働省
参考:建設事業主等に対する助成金|厚生労働省

2-3. 雇用保険料率の適用タイミングは毎年4月

雇用保険料率は、原則として毎年度見直され、4月から新しい保険料率が適用されます。

雇用保険料は、一般的に「賃金の支払日」ではなく、「賃金計算の締日(支払いが確定した日)」を基準に保険料率を判断します。そのため、給与の支払月だけで判断しないよう注意が必要です。

(例)

  • 月末締め翌月20日払いの場合:「4月30日締め・5月20日支払い」の給与から新しい雇用保険料率へ変更。
  • 20日締め当月末払いの場合:「4月20日締め・4月30日支払い」の給与から新しい保険料率へ変更。

給与計算システムや控除設定の変更漏れがあると、保険料の徴収誤りにつながるため、年度切替時は適用タイミングを事前に確認しておきましょう。

3. 雇用保険料の計算方法

電卓とお札

雇用保険料は、雇用保険料率を用いて、次の計算式で計算できます。

雇用保険料 = 従業員に支払われる賃金額 × 雇用保険料率

ここでは、雇用保険料の計算方法を4つのステップで解説します。

  1. 雇用保険の加入対象者を確認する
  2. 雇用保険料の対象となる賃金を確認する
  3. 適用される雇用保険料率を確認する
  4. 端数処理をおこなう

3-1. ステップ1:雇用保険の加入対象者を確認する

まず、雇用保険の加入対象者を、次の要件に照らして確認しましょう。

  • 週の所定労働時間が20時間以上である
  • 31日以上の雇用見込みがある

これらの条件を満たしても、季節雇用者や昼間学生など一部の労働者は適用除外となり、雇用保険に加入できない場合があります。

なお、今後は雇用保険の適用範囲が拡大される予定です。令和6年に成立した法改正により、2028年10月からは、週の所定労働時間要件が「20時間以上」から「10時間以上」へ引き下げられる予定となっています。

参考:第4章 被保険者について|厚生労働省

参考:令和6年雇用保険制度改正(令和10年10月1日施行分)について|厚生労働省

関連記事:雇用保険の加入条件とは?雇用形態ごとの条件や手続き方法を解説

3-2. ステップ2:雇用保険料の対象となる賃金を確認する

雇用保険料を計算する際は、計算の基礎となる賃金を確認します。雇用保険料の対象となる賃金には、労働の対償として従業員に支払われるものが含まれます。

基本給だけでなく、残業代や割増賃金、通勤手当、家族手当なども雇用保険料の計算対象です。特に通勤手当は、所得税では一定額まで非課税となりますが、雇用保険料の計算では賃金に含める必要があるため注意しましょう。

一方、役員報酬や慶弔見舞金、傷病手当金など、労働の対償といえないものは賃金に含まれません。手当の名称だけで判断せず、支給目的や実態を確認したうえで、計算対象に含めるか判断しましょう。

参考:雇用保険料の対象となる賃金|厚生労働省

3-3. ステップ3:適用される雇用保険料率を確認する

雇用保険料の計算に含まれる賃金が確定したら、適用すべき雇用保険料率をチェックしましょう。先述したとおり、雇用保険料率は「一般の事業」「農林水産・清酒製造の事業」「建設の事業」で異なります。また、事業主負担分と労働者負担分も分かれているため、自社に適用される区分と負担割合を確認したうえで計算することが重要です。

3-4. ステップ4:端数処理をおこなう

雇用保険料は、小数点以下を含む保険料率を用いて計算するため、1円未満の端数が発生することがあります。雇用保険料を給与から控除する場合、原則として、50銭以下の端数は切り捨て、50銭1厘以上の端数は切り上げて処理します。

例えば、給与が200,550円の場合、令和8年度の一般の事業における労働者負担率「5/1,000(0.5%)」で計算すると、雇用保険料は次のとおりです。

200,550円 × 0.5% = 1,002.75円

この場合、50銭1厘以上の端数が発生しているため、雇用保険料は1,003円となります。

ただし、労使間で慣習的な端数処理方法について特約がある場合は、その方法に基づいて処理することも可能です。給与計算システムの設定や社内ルールを確認し、継続的に同じ基準で処理しましょう。

参考:20 雇用保険被保険者からの雇用保険料の控除方法|厚生労働省

関連記事:雇用保険料の端数処理方法とは?計算のやり方や雇用保険料率について解説!

4. 雇用保険料率に関する注意点

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雇用保険料率は毎年度見直されるため、給与計算や労働保険料の申告・納付では、適用する年度や対象となる賃金を正しく確認する必要があります。この章では、人事労務担当者が押さえておきたい注意点を解説します。

4-1. 賞与に対しても雇用保険料はかかる

雇用保険料は、毎月支給される給与だけでなく、賞与・ボーナスも計算対象です。賞与額に雇用保険料率を掛けることで、賞与にかかる雇用保険料を計算できます。なお、賞与に対する雇用保険料率は、毎月の給与に対して適用する保険料率と同じです。

給与システムで賞与計算をおこなう際は、最新の雇用保険料率が反映されているか確認しましょう。

関連記事:雇用保険料は賞与から控除される?計算方法や保険料率、注意点を解説!

4-2. 雇用保険料は労災保険料と合わせて「労働保険料」として申告・納付する

雇用保険料は、労災保険料とあわせて労働保険料として申告・納付します。給与計算で従業員負担分を控除するだけでなく、事業主負担分を含めて労働保険料として処理する必要があります。

労働保険料は、年度の初めに概算で申告・納付し、翌年度の初めに前年度分の確定保険料との差額を精算します。この手続きを年度更新といいます。

雇用保険料率が改定されると、給与から控除する雇用保険料だけでなく、年度更新で申告する労働保険料にも影響します。年度切替の時期には、最新の雇用保険料率を確認し、給与計算システムや労働保険料の申告内容に反映しましょう。

期限までに申告・納付をおこなわないと、延滞金が発生する場合があります。雇用保険料率の変更を見落とすと、申告額の誤りにつながる可能性があるため注意が必要です。

参考:労働保険料の申告・納付|厚生労働省
参考:保険料を滞納すると?|厚生労働省

関連記事:労働保険料とは?計算方法や納付方法を解説

関連記事:雇用保険料の納付方法とは?仕組みや期限、納付書の書き方をわかりやすく解説

4-3. 65歳以上の従業員や日雇労働者の保険料計算

65歳以上の従業員も、雇用保険の加入条件を満たす場合は高年齢被保険者として雇用保険に加入します。この場合、雇用保険料は一般被保険者と同様に、賃金に雇用保険料率を掛けて計算します。

また、65歳以上の従業員は、複数の事業所での勤務を合算して一定の要件を満たす場合に、マルチ高年齢被保険者となるマルチジョブホルダー制度があります。マルチジョブホルダー制度で加入する場合でも、各事業主が雇用保険料を計算する際は、自社で支払う賃金に雇用保険料率を掛けて計算します。複数事業所の賃金を合算して、雇用保険料率を掛けるわけではないため注意が必要です。

日雇労働被保険者を雇用する場合は、一般保険料に加えて雇用保険印紙保険料の納付が必要です。高年齢被保険者や日雇労働被保険者は、通常の給与計算とは確認すべき点が異なるため、対象者がいる場合は加入区分や保険料率の扱いを個別に確認しましょう。

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関連記事:雇用保険料の計算方法は?保険加入後の計算時期や計算するときの注意点

5. 最新の雇用保険料率を確認して正しく保険料計算をしよう

書類に記入する

雇用保険料率は、事業の種類や事業主・労働者の負担区分によって異なります。給与計算では、自社に適用される事業区分と最新の雇用保険料率を確認したうえで、賃金や賞与に正しく反映することが重要です。

令和8年度の雇用保険料率は、令和7年度に続いて引き下げられました。年度切替時は、給与計算システムの設定や控除額、労働保険料の申告内容に誤りがないか確認し、正しい雇用保険料率にもとづいて保険料の計算・徴収・納付をおこないましょう。

雇用保険の計算ミスは追徴金を言い渡されるかも
正しい計算方法と加入条件をくわしく解説

雇用保険への加入は、従業員が離職した時の手当だけでなく、出産や労災による補償など、会社と従業員を守るための公的保険です。
健康保険など「ほかの社会保険」と同様に加入が義務付けられていますが、雇用保険だけ計算方法や負担割合が異なるため、注意しなければなりません。


万が一、誤って納付してしまった場合、未納分の保険料だけでなく、追徴金もまとめて徴収される可能性があります。
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