雇用保険料の引き上げ内容は?背景・理由や影響について解説 | jinjerBlog

雇用保険料の引き上げ内容は?背景・理由や影響について解説

失業や育児などで働けなくなった人や、スキルアップを目指している人が給付を受けられる「雇用保険」。新型コロナウイルスの影響を受け、2022年10月に雇用保険料を引き上げることが決定したことにより、今後労働者と使用者の負担が大きく増加することが予想されています。

この記事では、今年10月に控えている雇用保険料引き上げの概要やその理由、引き上げによる影響について解説します。スムーズに対応できるよう、早いうちから正しい知識を身につけておきましょう。

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1. 2022年10月、雇用保険料の引き上げへ

雇用保険に加入している労働者や企業が支払う保険料は、実は毎年見直しが行われています。失業保険の受給者数や保険料の積立金などをもとに保険料率は見直されており、変更がある場合は4月1日から施行されることが一般的です。

ところが、近年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、雇用保険の予算や積立金が大きく圧迫されています。その状況に鑑みて、2021年12月の「2022年度予算編成」の閣僚折衝において、急遽雇用保険の引き上げについて合意されました。

今年10月に控えている雇用保険料の引き上げとは、どういった内容なのでしょうか。まずは、基本的な概要について見ていきましょう。

1-1. 今後の雇用保険料の引き上げ内容

今回合意された雇用保険料の引き上げは、2022年10月から半年間「失業等給付」の保険料を0.6%に引き上げるといった内容です。失業等給付とは、失業手当などの財源となる保険料のことです。

現行の雇用保険料と引き上げ後の雇用保険料について以下にまとめたので、比較してみましょう。[注1]

現行の雇用保険料と引き上げ後の雇用保険料

これにより、従来は「労働者負担0.3%+企業負担0.6%=合計0.9%」であった雇用保険料が、「労働者負担0.5%+企業負担0.85%=合計1.35%」まで引き上げられることになります。

なお先述したとおり、雇用保険料の変更は4月1日より適用されることが一般的です。しかし、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」の第12条第5項によると、必要があると認められているときは1年以内の期間に限って保険料率を変更できると定めています。[注2]こういった必要な財源を確保するための特例を「弾力条項」と呼び、今回はこの特例が適用されたことになるのです。

[注1]令和3年度の雇用保険料率について|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク
[注2]労働保険の保険料の徴収等に関する法律|e-Gov法令検索

1-2. 過去にあった雇用保険料の引き上げ

雇用保険料の引き上げは決して珍しいことではなく、今までも何度か保険料率が上がったことはありました。ここでは、過去の雇用保険料の推移について見てみましょう。[注3]

過去の雇用保険料の推移

なお、弾力条項が適用された年度も多数存在しており、平成に入ってからは4年度と14年度、19年度、22年度、24年度、28年度に税率が一時的に変更されています。

10月から雇用保険料は引き上げられますが、過去の保険料率と比較すると高すぎる水準というわけではありません。過去には19.5%の年度もあったため、そのときと比べるとまだ保険料率は低い水準にあると言えそうです。

とは言え、労使ともに保険料の負担が増えて打撃を受けることは間違いないでしょう。来年度も保険料の変更がある可能性は高いので、最新の情報をしっかりとチェックしておきましょう。

また、もし引き上げの対応を怠ってしまうと、そのまま納税におけるミスへとつながり、社会からも従業員からも信用を失ってしまうリスクがあるため、注意深く業務を行う必要があります。

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本資料で解説する方法は効率化も実現できるため、社会保険料の対応に関して不安な点があるご担当者様は、こちらから「社会保険料の給与計算マニュアル」をダウンロードしてご確認ください。

[注3]雇用保険率に関する参考資料|厚生労働省

2. 雇用保険料の引き上げの背景や理由

今年10月の雇用保険料の引き上げには、新型コロナウイルスの感染拡大が大きく影響しています。ここでは、今回雇用保険料の引き上げに至った背景や理由について2つ説明します。

2-1.雇用調整助成金の給付が増えたため

雇用調整助成金とは、従業員を休業させるときや休業させたときの手当を支払ったときなどに給付される助成金です。2020年からは、助成率と上限額を引き上げた特例措置が設けられています。

新型コロナウイルスの影響で休業する企業は激増し、それに伴って雇用調整助成金を申請する企業も増えました。厚生労働省の発表によると、2021年12月時点で5兆円を超える雇用調整助成金の支給が決定しており、月2,000億円のペースで増加していることがわかっています。[注4]

これだけの給付を行えば、財政の悪化は避けられません。そのため、雇用保険料の引き上げを行う必要性が高まったのです。

[注4]雇調金支給5兆円突破 22年度保険料、上げ幅焦点に|日本経済新聞

2-2.失業手当の給付が増えたため

新型コロナウイルスの影響で、失業手当の給付も増加しました。

失業手当は、職を失った人に対して給付を行い、生活や再就職の支援を行うための制度です。新型コロナウイルスによって業績の悪化や、事業縮小を余儀なくされた企業に解雇される労働者は決して少数派ではなく、職を失った多くの人が失業手当の給付を受けています。

2019年を100とした場合、2021年末には111.5%まで受給者数・申請者数が増加していることがわかっています。[注5]失業手当の受給者が増えれば、雇用調整助成金と同様に財政を圧迫することは避けられません。

雇用調整助成金に加えて失業保険の給付増加により、雇用保険の積立金はほとんど底をつく寸前となっており、すぐにでも財源を確保することが求められています。したがって、雇用保険料の引き上げが決定されたというわけなのです。

[注5]国際比較統計:失業給付受給者数・申請者数|独立行政法人 労働政策研究・研修機構

3. 雇用保険料引き上げによる影響

雇用保険料が引き上げられると、どのような影響が出るのでしょうか。ここでは、考えられる影響を3つ紹介します。

3-1. 労使ともに保険料の負担が増える

雇用保険料が引き上げられると、当然のことながら労使ともに保険料支払いの負担が増えます。

たとえば、月収30万円の会社員の場合、労働者負担は900円から1,500円、企業負担は1,800円から2,550円まで増加。1か月あたり・1人あたりの金額はそう大きく感じないかもしれませんが、継続的に負担が増加したり従業員数が多かったりする企業の場合、労働者の負担も企業の負担も大きなものとなります。

今後はさらに雇用保険料が増加することも考えられるため、より家計や企業財政への影響が心配となります。

3-2. 正規雇用が減る可能性がある

雇用保険料の引き上げによる負担増加を避けるために、企業は雇用保険への加入義務がある正規雇用の割合を減らす可能性があります。雇用保険が不要なフリーランスや短時間労働者ばかりを雇用し、正社員は少数派になっていく未来が待っているかもしれません。

近年は社会保険料の引き上げも行われているため、より正規雇用のハードルは高くなっていくでしょう。

3-3. 最低賃金がアップしても収入が増えにくくなる

最近は最低賃金の見直しが頻繁に行われており、労働者の待遇改善が推進されています。しかし最低賃金がアップされても、雇用保険料や社会保険料が引き上げられて控除される金額が増えれば、労働者の手元に残る給与は増えません。

結果的に、労働者の待遇がなかなか改善されない状態に陥ってしまう可能性が高いのです。

4. 雇用保険料引き上げをきっかけに、働き方について見直してみましょう

新型コロナウイルスによる給付金の増加により、財政はかなり逼迫しています。雇用保険の積立金は底をつく寸前の状態であるため、保険料の引き上げはやむを得ない対応だと言えるでしょう。

今後雇用保険料が上がり続ければ、労使ともに負担が増えることになりますし、企業が正規雇用者の雇入を減らす可能性もあります。時代とともにワークスタイルや価値観は変容していくものですが、今がまさに働き方について見直す転換期なのかもしれません。

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