所得税率は所得金額で変わる!税率改定の影響や注意すべきポイント - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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所得税率は所得金額で変わる!税率改定の影響や注意すべきポイント

所得税

所得税額を正しく算出するためには、所得税の計算方法だけでなく所得税率の仕組みについても知っておく必要があります。また、譲渡所得についても知っておいた方がさまざまなケースに対応しやすくなります。

本記事では、税率改定の影響や注意ポイントを交えながら、難しい所得税率の仕組みについて分かりやすく解説します。

関連記事:所得税とは?納税方法や確定申告が必要な人・不要な人について解説

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1. 所得税率とは

変更

所得税率は所得税の計算をするうえで欠かせないものです。採用されている超過累進課税の内容と、最新の所得税率の確認方法を知っておきましょう。

1-1. 所得税の計算に必要な税率

所得税率は所得税の計算に必要な税率です。

所得税率は所得が多くなるほど段階的に税率を高くする累進課税のひとつ「超過累進課税」を採用しています。
超過累進課税とは、所得額が一定の額を超過した場合、超過した部分にだけ高い税率を適用させるものです。

累進課税には、超過累進課税の他にも「単純累進課税」というのがあります。
単純累進課税では、一定の額を超えた場合、所得額全体に対して高い税率が適用されるため、僅かな所得差で一方に高い税金が課せられるといった不公平さが生まれます。

そのため、納税の公平さを保つうえでも、所得税率では超過累進課税が用いられています。

関連記事:所得税における累進課税制度とは?基礎知識やメリット・デメリットを解説

1-2. 令和6年の所得税率の確認方法

所得税率は、5%、10%、20%、23%、33%、40%、45%と所得に応じて7段階に区分されています。
例えば課税所得額300万円であった場合は、次のような計算になります。

【超過累進課税の計算方法】
1,949,000円×5% 
1,051,000円×10%

このように、超過した分に対して次の段階の税率が適用されるのが超過累進課税ではありますが、上記の方法だと計算が煩雑となるため、下記の速算表を用いて簡単に算出することができます。

速算表を用いると以下のような計算方法になります。

【速算表を用いた計算方法】
3,000,000円×10%-97,500円

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超330万円以下 10% 9万7,500円
330万円超695万円以下 20% 42万7,500円
695万円超900万円以下 23% 63万6,000円
900万円超1,800万円以下 33% 153万6,000円
1,800万円超4,000万円以下 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円

参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

2. 所得税の計算方法

はてな

実際に所得税率を使って所得税を計算する方法を解説していきます。所得税の計算で忘れてはならない控除できる項目と、復興特別所得税についても知っておきましょう。

2-1. 所得税の計算

所得税は、1年間の個人が得た収入に対して課せられる税金で、次の計算式によって求められます。

所得税=課税所得金額×所得税率-税額控除などの控除額

課税所得金額とは、収入金額から経費や各種所得控除を引いた金額のことです。
課税所得金額に所得税率を乗じて所得税を算出します。

ここで注意が必要なのが、所得税率は一律ではないということです。
所得税の計算では、所得が多くなるほど所得税率が高くなる「超過累進課税」が採用されています。

超過累進課税の仕組みについて、次に詳しく解説します。

関連記事:所得税の計算方法は?計算を効率良く行う方法や年収が変わった場合について

2-2. 所得税の計算で控除できるもの

所得税を計算する際に、扶養家族の有無や特定の支出など控除することができるものがあります。

控除できるものの種類は以下のとおりです。

  • 基礎控除
  • 扶養控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 寡婦控除
  • ひとり親控除
  • 勤労学生控除
  • 障害者控除
  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 寄附金控除

以下の記事で各控除について解説しています。より詳しく知りたい方は合わせてご確認ください。

関連記事:所得税における控除とは?控除の種類や所得控除を受ける方法を解説

2-3. 復興特別所得税も忘れずに計算する

平成25年から令和19年までの間、所得税と一緒に「復興特別所得税」を納める必要があります。

復興特別所得税は、災害からの復興に必要な財源確保を目的としており、被災者支援や産業の再生に使用される税金です。

復興特別所得税は「所得税×2.1%」で計算します。

関連記事:所得税とは?納税方法や確定申告が必要な人・不要な人について解説

3. 譲渡所得にかかる税率

はてな

所得税率は譲渡所得を計算する際にも必要になります。短期譲渡と長期譲渡に分けて税率と計算方法を確認していきましょう。

3-1. 短期譲渡・長期譲渡の税率とは

譲渡所得とは、物件や土地を売却して発生した所得のことを指します。この譲渡所得には「短期譲渡」と「長期譲渡」があり、税率もそれぞれ異なります。

  資産の保有期間 税率
短期譲渡 5年以下 39.63%
長期譲渡 5年以上 20.315%

短期譲渡の方が税率が高くなっており、短期間で売買を繰り返すと税金が高くなる仕組みになっています。これは国の資産の必要以上の売買を抑制したいという思惑があり、長期間資産を保有し続ける人ほど手放した際に優遇される制度です。

この違いを十分に理解した上で譲渡所得を計算するようにしましょう。

3-2. 譲渡所得の税額の計算方法

譲渡所得を計算する際は、まずは譲渡所得金額を求める必要があります。

譲渡所得金額を求める計算式は以下の通りです。

譲渡所得金額=収入金額 – (取得費 + 譲渡費用) -特別控除額

この譲渡所得金額を用いて、譲渡所得税は以下の計算式で求めます。

所得税額=課税譲渡所得×税率(所得税および住民税)

給与などの所得に対する所得税と、譲渡所得では税率や計算方法が大きく異なります。不動産の売却があり、譲渡所得が発生している場合は必ずこの計算方法を用いて正確に求めるようにしましょう。

参考:譲渡所得の計算のしかた(分離課税)|国税庁

4. 所得税率は改定されることがある

時計

所得税率は一定ではなく、変更されることがあります。所得税率の変更によってどのような影響があるのか、注意したいポイントと併せてみていきましょう。

4-1. 所得税の税率改定による影響

2015年の税制改正によって所得税の税率が一部改定となりました。
新たに「4,000万円以上、45%」という税率の枠が追加されたことで、従来の6段階から1段階増え7段階となっています。

具体的な税率の変更内容は、以下のとおりです。
※5〜40%の税率は省略しています。

【2014年までの税率】 【2015年以降の税率】
1.000円 から 1,949,000円まで 税率:5%、控除額:0円 1.000円 から 1,949,000円まで 税率:5%、控除額:0円
18,000,000円 以上 税率:40%、控除額:2,796,000円 18,000,000円 から 39,999,000円まで 税率:40%、控除額:2,796,000円
40,000,000円 以上 税率:45%、控除額:4,796,000円

これにより、4千万円以上の高額所得者のみに対して、納税額が引き上げされることになりました。

他の区分に関しては、従来のままの税率が適用となるため、所得税の計算で特に気をつけなくていけないのは、4千万円以上の所得者に対してのみです。

しかし、そもそも2,000万円を超える給与所得者に関しては企業側では源泉徴収をおこなわず、個人で確定申告をしてもらうため、この改定による企業への影響はほとんど無いと言えるでしょう。

しかし、超過累進課税の税率では194万9,000円までは5%、194万9,000円超は10%と税率が倍となるため、一段階間違えただけで所得税額に大きな差が出てきます。税率の改定で大きな影響はないと考えられますが、所得税の計算する際には十分な注意が必要です。

4-2. 所得税率の改定で注意すべきポイント

次の所得税率の改定がいつおこなわれるかは定かではありません。そのため、毎年以下のポイントに注意して最新の情報を入手するようにしましょう。

正しい所得税率を適用させる

所得税率は超過累進課税となっていますが、超過した所得額にそれぞれ税率を乗じて算出する方法はミスが起こりやすいです。
前述でも紹介した速算表を用いた計算によって算出する方がミスも少なくおすすめです。

また、所得額が多くなるほど所得税率は高くなるため、誤って高い税率を適用しないように、控除額の適用漏れがないよう課税所得額を算出した方が良いでしょう。

万が一、所得税の計算ミスがあった場合、状況によっては確定申告が必要となることもあるため注意が必要です。

最新の所得控除の内容や適用額をチェックする

所得税率だけでなく、所得控除の内容や適用額も改正されることがあるため、計算の際は所得税率と合わせて注意しましょう。
特に最近の変更点で気をつけたいのが、全ての所得税納税者に適用される基礎控除額の改定です。

令和2年に基礎控除額が38万円から48万円に引き上げられました。
控除額を正しく適用させることで、節税効果にもつながるため、所得税率と合わせて常に最新の控除額をチェックするようにしましょう。

当サイトでは、本記事で解説した所得税の計算方法や計算時に気を付けるべきポイントについてまとめた資料を無料で配布しております。

税金の計算は人為ミスが起きやすいため、自社の計算方法が正しいか不安な点があるご担当者様は、こちらから「所得・住民税 給与計算マニュアル」をダウンロードしてご確認ください。

参考:No.1199 基礎控除|国税庁

5. 所得税率や譲渡所得を正しく把握して所得税率を計算しよう

計算所得税の計算では、所得税が多くなるほど税率が高くなる「超過累進課税」の所得税率を用いて計算します。
実際に計算する場合は、国税庁のホームページに掲載されている速算表を用いて計算するとミスがないでしょう。

2015年に所得税率が一部改定されていますが、高額所得者に関わる部分であるため、一般の給与所得者には大きな影響はないと考えられます。
しかし、今後税制の見直しによって所得税率が改定されることも想定されるため、計算する際は最新の所得税率をチェックすることをおすすめします。

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給与計算を手計算しているとミスが発生しやすいほか、従業員の人数が増えてくると対応しきれないという課題が発生します。 システムによって給与計算の内製化には、以下のメリットがあります。

・勤怠情報から給与を自動計算
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OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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