深夜残業とは?今さら聞けない定義や計算方法を徹底解説
更新日: 2022.12.7
公開日: 2020.6.3
OHSUGI
22時~5時の間におこなう残業を深夜残業といい、その時間内の労働では通常の給料よりも割増した賃金を支払うことが企業に義務付けられています。
この記事では深夜残業の定義から計算方法まで詳しく解説します。適切な残業代が支払われているのか気になる方は、ぜひ本記事を活用して、残業代を計算してみてください。
残業時間の法改正と管理効率化BOOK
働き方改革による法改正で、残業時間の管理は大幅に変化しました。
大企業への適用から始まったこの法改正ですが、いまや中小企業にも適用されました。
この法律には罰則もあるので、法律を再確認し適切な管理ができるようにしておきましょう。
今回は「残業時間に関する法律と対策方法」をまとめたルールブックをご用意いたしました。
1. 深夜残業の定義とは
深夜残業とは、文字通り深夜の時間帯におこなう残業のことです。
深夜残業の場合、残業手当に加え深夜手当が付くことになるので、通常の残業のときよりも高い報酬が支払われます。しかし、従業員側が深夜残業の仕組みをよく把握していないことを利用して、不当な賃金で働かせている企業もなかにはあるので、注意が必要です。
深夜残業を明確に定義するためには、残業とは何か、深夜労働とは何かということについて理解を深める必要があります。そこで、以下で残業と深夜労働について詳しく説明します。
1-1. 残業の定義を確認しよう
残業とは、一般にあらかじめ決められていた就業時間を超えて働くことを指す言葉です。あらかじめ決められていた就業時間は、所定労働時間と呼ばれることもあります。
所定労働時間は、企業と従業員の間で自由に決めることができ、人によっては所定労働時間が6時間であったり、8時間であったりさまざまです。
しかし法律上では、法定労働時間を超えた時間を残業とみなします。日本の法律では、法定労働時間を8時間と定めており、それを超える場合は時間外労働となり、会社側は従業員に対し割増賃金を支払うことになっています。
たとえば、9時~17時勤務で1時間の休憩がある場合、所定労働時間は7時間になります。この場合、1時間の残業をしたとしても、法定労働時間の8時間を超えないため、会社は割増賃金を支払う義務はありません。
一方、2時間の残業をして19時に帰宅した場合は、労働時間が9時間になるため、企業は残業した時間に対して割増賃金を支払う必要があります。
残業の定義や法律の内容について図解している「残業管理ルールBOOK」はこちらからダウンロードできます。ご活用ください。
【関連記事】残業時間の定義とは?正しい知識で思わぬトラブルを回避!
1-2. 深夜労働となる時間帯
深夜労働という言葉が指す「深夜」とは、22時~翌5時までの時間帯のことです。この時間帯に働く場合は、深夜労働とカウントされます。
たとえば、夕方17時から24時まで働く場合は、22時~24時までの2時間分が深夜労働としてカウントされます。深夜労働を課す場合、企業は割増賃金を支払う必要があります。
【関連記事】夜勤の定義や労働時間の正しい計算方法を解説
1-3. 深夜残業とは何時から何時まで?
深夜残業とは、22時から5時の間に時間外労働をすることです。残業をしていて深夜時間に及んだ場合の他、4時など早朝から働き始め、法定労働時間を超えた場合も深夜残業に当てはまり、50%以上の割増率で割増賃金の支払いが必要になります。深夜残業の具体例を見てみましょう。
この場合は、労働時間は7時間となるため、法定労働時間は超えません。したがって、残業に対する割増はありませんが、深夜労働に対する割増賃金は必要になります。
この場合は、労働時間は9時間となるため、法定労働時間を超える1時間の残業があります。また、22時~27時までの間は深夜労働となるため、深夜残業が1時間発生します。
2. 深夜残業は違法ではない?
深夜残業は場合によっては違法となるので注意が必要です。たとえば36協定を結ばずに深夜残業を行う場合や、18歳未満の従業員に深夜残業を課すのは違法です。
36協定とは会社と労働者の間に結ばれる残業に関する規定のことです。そもそも残業を行うためには、36協定を締結することが必須です。これは深夜残業であろうが、通常残業であろうが変わりません。
18歳未満の人を年少者と呼び、8時間以上の労働を課すことを法律で禁じています。加えて、22時~5時の深夜帯に勤務させることも禁じられています。
そのため年少者に深夜残業を課すことは、残業と深夜という2つの面でいけないことです。なお18歳以上の場合は、残業も深夜勤も許されているため、未成年者だからといって深夜残業がいけないという訳ではありません。
法律に対応した適切な残業時間の管理をしっかりと理解して管理をしていきましょう。
3. 深夜労働の残業代の計算方法
本項目では、深夜労働の残業代の計算方法についてご紹介します。深夜残業の計算式は以下の通りになります。
と表すことができます。この式からわかるように、「時給」「割増率」「残業時間」の3つを掛け合わすことで、残業代を求めることができます。
3-1. 時給を求める
給与がもともと時給制の場合は、その時給を用いて計算すればよいので難しくはありません。一方、月給制の場合は、時給に換算する必要があるため、少し手間がかかります。
月給を時給に換算する場合は、諸手当を除いた月給を月の平均所定労働時間で割ると求めることができます。月の平均所定労働時間は、人によって異なりますが、概ね170時間前後であるのが一般的です。
月給にどの手当を含めるかという点は少々厄介です。なぜなら手当によって扱いが変わってくるからです。月給の中に含めてよい手当には、役職手当・地域手当・調整手当・業務手当などが該当します。
一方、月給に入れるべきでない手当には、家族手当、残業手当、深夜手当、賞与、通勤手当、住宅手当などが該当します。具体例をひとつ出しておきましょう。
基本給が20万円、役職手当が5万円、家族手当が2万円、月の平均労働時間が170時間とします。この際、家族手当は月給には含めないので、月給は役職手当を含めた25万円となります。この25万円を平均労働時間170時間で割ると、時給は1,470円と計算できます。
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【関連記事】月の所定労働時間|平均の出し方や残業時間の上限について詳しく解説
3-2. 割増率を求める
次に割増率を求めます。割増率は、時間外労働なのか、それとも法定休日の労働なのかによって変わります。
時間外労働、つまり法定労働時間を超えた残業の場合は、時給が1.25倍になります。一方、法定休日の労働の場合は、時給が1.35倍に割増されます。
22時~5時に働く深夜労働の場合、さらに時給が0.25倍割増になります。つまり深夜の時間外労働の場合、時給が1.5倍に、深夜の法定休日の労働の場合は時給が1.6倍になります。
【関連記事】深夜残業による割増はどれくらい?計算方法を詳しくご紹介
3-3. 残業時間を求める
最後に残業時間を求めます。
前述の通り、給与計算をおこなう際は、給与計算をおこなう際は、法定労働時間の8時間を超えた部分が残業扱いになります。所定労働時間が6時間や7時間であっても、勤務時間が8時間を超えた段階で、割増賃金が適用できるので注意が必要です。
さらに、深夜残業にあたるのは22時~5時の間に行った時間外労働になります。次の章で具体例を用いて確認してみましょう。
4. 深夜残業の計算の具体例
時給、割増率、残業時間の求め方を解説したので、最後にこれらを用いて残業代がいくらになるのかを計算してみましょう。ここでは、以下のような給与、勤務時間の場合を考えてみます。
・基本給は20万円
・役職手当2万円、地域手当4万円
・通勤手当3万円、住宅手当5万円
・月の平均所定労働時間は170時間
・月の総残業時間は60時間(うち20時間分は深夜労働)
まずは月給を時給換算することから始めましょう。役職手当、地域手当は月給に含める手当、通勤手当と住宅手当は月給に含めない手当であるので、月給は基本給+役職手当+地域手当の26万円となります。この月給を月の平均所定労働時間で割ると、時給は1,529円と計算できます。
次に残業代を求めます。残業代は通常の残業と深夜残業に分けて計算をおこないます。通常の残業時間は、総残業時間から深夜残業時間分の20時間を引いた40時間であるため、40時間分の残業代は以下のように計算をすることができます。
次に、深夜残業に該当する20時間分の残業代を以下のように計算します。
以上の2つから、月の残業代は「76,54+45,870=122,410円」と計算することができます。
5. システムを用いて給与計算を簡単におこなおう
深夜残業とは、22時~5時の間におこなう残業のことで、企業側は従業員に深夜残業を課す場合、通常の給料よりも割増した賃金を支払うことが義務付けられています。
給与計算は従業員の給与に直結するため、ミスは許されません。勤怠管理システムと給与計算システムを連携させることで、従業員の出退勤記録をもとに、残業代や深夜労働代を含めた給与計算を自動でおこなってくれます。
これを機にシステムの導入をご検討されてみるのはいかがでしょうか。
残業時間に関する法律と効率的な管理を確認しておきましょう。
近年、働き方改革の背景から、勤怠管理の方法を見直す企業が増えてきております。
残業時間の抑制や有給休暇の取得義務など、法改正によって管理すべき項目が増えたためです。
勤怠管理のご担当者様は、まずは働き方改革で変化した法改正の内容をしっかりと理解し、
その対応方法を確認するところから始めておきましょう。
今回は「残業時間の管理」についてのお役立ち資料をご用意いたしましたので、ぜひご覧ください。
資料では以下の内容を知ることができます。
・法改正によって変化した残業時間の管理
・タイムカードや出勤簿での勤怠管理における課題
・残業管理の課題に対する解決策
法律に対応した管理を実現するため、ぜひ「残業時間の管理ルールブック」をご参考にください。
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