残業の過労死ラインとは?時間・管理職の場合・企業の対策を解説
公開日: 2025.1.31 OHSUGI
「残業の過労死ラインの時間を知りたい」
「管理職の残業の過労死ラインについて知りたい」
上記のようにお悩みの方も多いでしょう。
厚生労働省による残業の過労死ラインの時間は、1ヵ月あたり100時間超え・月平均80時間超えのいずれかです。
また、基本的に管理職は残業の過労死ラインの適用除外対象となります。
本記事の内容は、残業の過労死ラインの概要や時間、法律による残業の上限規制や残業の過労死ラインを超えないための企業の対策の解説です。
そのほかに、管理職の残業の過労死ラインや管理監督者の勤怠管理の義務化についても解説しているため、ぜひ参考にしてください。
タイムカードや出勤簿などで勤怠管理をしてる場合、以下のような課題はないでしょうか。
- 打刻漏れの確認や労働時間の集計だけで数日かかってしまう
- 有給休暇の残日数確認の問い合わせ対応が業務を圧迫している
- シフトの収集や作成に時間がかかって他の業務ができない
そのようなお悩みをお持ちの方におすすめなのが、勤怠管理システムの導入です。システムであれば打刻漏れを減らせるほか、労働時間は自動集計されるため、ミスと工数を減らすことが可能です。
このほかにも便利な機能で勤怠管理の工数削減ができるため、勤怠管理システムで何ができるか気になる方は、こちらからクラウド型勤怠管理システム「ジンジャー勤怠」の紹介資料をご覧ください。
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1. 残業の過労死ラインとは
残業の過労死ラインとは、過労死につながる疾患や精神障害のリスクが高まる過度な残業の時間のことです。労働災害認定における過労死の判定にも用いられます。
法律における過労死とは、業務の過重な負荷により以下のような疾患を発症して死亡することです。
- 脳血管疾患
- 心臓疾患
加えて、業務の強い心理的負荷により精神障害を発症して自殺や死亡することも含みます。
法律における過労死の原因となる疾患や精神障害を表にまとめました。
疾患 | ・脳内出血
・くも膜下出血 ・脳梗塞 ・高血圧性脳症 ・心筋梗塞 ・狭心症 ・心停止 ・解離性大動脈瑠 |
精神障害 | ・統合失調症
・気分障害(うつ病) ・神経症性障害 ・ストレス関連障害 ・特定不能の精神障害など |
つまり、残業の過労死ラインを超えた残業を続けていると、上記の疾患や精神障害の発症リスクが高まります。
最悪の場合には、上記の疾患や精神障害が原因となり過労死する可能性も否めません。
2. 厚生労働省による残業の過労死ラインの時間
厚生労働省による残業の過労死ラインの時間は、以下のいずれかです。
対象期間 | 残業の過労死ラインの時間 |
疾患や精神障害の発症直前の1ヵ月間 | 1ヵ月あたり100時間超え |
疾患や精神障害の発症直前の2~6ヵ月間 | 月平均80時間超え |
上記の1ヵ月あたり・月平均の時間(残業の過労死ライン)から導きだした、1日あたりの残業の目安時間を見ていきましょう。
残業の過労死ラインの時間 | 1日あたりの残業の目安時間(1ヵ月に20日勤務の場合) |
1ヵ月あたり100時間超え | 1日あたり5時間以上 |
月平均80時間超え | 1日あたり4時間以上 |
厚生労働省によると6ヵ月平均の残業時間が45時間超えになると、労働と健康障害の関連性が高まるといわれています。上記と同様に1ヵ月あたり20日勤務で、1日あたりの残業の目安時間を計算すると2時間15分以上です。
つまり、厚生労働省による残業の過労死ラインの時間と比べると、1日あたりの残業の目安時間の違いは約2倍以上あります。
残業の過労死ラインを超えた残業を続けることが、いかに健康障害リスクを高めるかがわかる比較結果です。
3. 過労死ラインを超えないために法律で残業の上限規制がある
過労死ラインを超えないために、以下のような法律による残業(時間外労働)の上限規制があります。
- 1ヵ月あたり45時間
- 年間あたり360時間
ただし、臨時的な特別の事情があり労使が合意している場合の上限規制は、次のとおりです。
- 年間あたり720時間
- 時間外労働・休日労働の合計は1ヵ月あたり100時間未満
- 時間外労働・休日労働の合計で、2ヵ月間から6ヵ月間までのすべての平均値が1ヵ月あたり80時間
- 1ヵ月あたり45時間を超える時間外労働ができるのは年あたり6ヵ月間
なお時間外労働とは、1日あたり8時間、もしくは1週間あたり40時間までの労働時間を超過する労働のことを指します。
上記の上限規制に違反した企業には罰則が科せられる可能性があることを理解しておきましょう。
参考:よくあるご質問(時間外労働・休日労働・深夜労働)|厚生労働省 大阪労働局
4. 管理職は基本的に残業の過労死ラインの適用除外対象
管理職(管理監督者)は、基本的に前項で解説した法律の時間外労働の上限規制の対象外となるため、残業の過労死ラインの適用除外対象です。
つまり、管理職(管理監督者)には残業時間の制限がありません。また、残業代(割増賃金)の支払義務がないため無給で残業します。
ただし、管理職(管理監督者)に対しても、22時から翌日5時までの労働については割増賃金の支払義務があることを覚えておきましょう。
なお、法律における管理監督者に該当するかどうかの主な判断基準は以下のとおりです。
- 職務内容
- 責任
- 権限
- 勤務形態
- 賃金などの待遇
残業の支払義務がないことを悪用し、一般従業員を名ばかりの管理職にする企業も存在するため、法律による管理監督者に関する定めがあります。
参考:労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために|厚生労働省
5. 2019年より法律で管理監督者の勤怠管理が義務化された
働き方改革関連法の一つとして、2019年より法律で管理監督者の勤怠管理が義務化されました。
改正労働安全衛生法に基づき、一定の労働時間を超える従業員は医師による面接指導を受けなければなりません。
対象者を見つけるためには、対象者の労働時間の把握が必要なため、勤怠管理が義務化されました。加えて、厚生労働省の通達により対象者に管理監督者が含まれています。
働き方改革関連法により、一般従業員の時間外労働の上限規制が設けられました。結果、管理監督者の残業を含む時間外労働の負担増加を懸念する声があったことも義務化の背景の一つでしょう。
加えて、2016年に大手企業の管理監督者が残業の過労死ラインを超えた残業を理由に自殺して注目を集めたことも義務化の背景の一つです。
管理監督者の勤怠管理の義務化により、管理監督者の長時間労働の抑制が期待されています。
参考:客観的な記録による労働時間の把握が法的義務になりました|厚生労働省 島根労働局
6. 従業員が残業の過労死ラインを超えないための企業の対策
従業員が残業の過労死ラインを超えないための企業の対策は、以下の3つです。
- 長時間労働の削減
- 組織の風土や体質の変化
- ワークライフバランスの推進
各対策の詳細を見ていきましょう。
6-1. 長時間労働の削減
従業員が残業の過労死ラインを超えないために企業が実施する対策の一つは、長時間労働の削減です。
長時間労働を削減するためには、まず従業員の正確な労働時間を把握する必要があります。
例えば、従業員の出退勤や残業時間などの勤務状況を可視化して一元管理する勤怠管理システムの導入も一つの手段です。
続いて、残業時間の多い従業員を洗い出し、残業が多い理由を聞き取りして労働時間を削減するための方法を検討しましょう。
例えば、聞き取りで残業の原因が業務量の多さだった場合は、上司を含めて対策を講じる必要があります。
就業規則や36協定などの残業時間の上限を従業員に周知徹底したり、残業を許可制にしたりする方法も有効です。
6-2. 組織の風土や体質の変化
企業によっては組織の風土や体質の変化も、従業員が残業の過労死ラインを超えないための対策となります。
例えば、残業することがあたりまえになっている企業や、上司が残業している場合は部下も残業しなければならない企業などに有効です。
残業があたりまえの企業では、業務量を見直したりノー残業デーを作ったりして労働時間の削減を目指します。
上司の残業に部下がつきあう風潮がある企業では、部下の無駄な残業を廃止する方法を検討しましょう。風潮を変えるために上司と面談したり、上司が率先して定時で帰ったりするなどが有効です。
6-3. ワークライフバランスの推進
ワークライフバランスの推進も、従業員が残業の過労死ラインを超えないための対策の一つです。
以下のような取り組みを実施し、従業員が仕事とプライベートの両方を充実させられる働き方を提案します。
- 年次有給休暇の取得促進
- 長時間労働の是正
- 休暇制度の導入
- 相談窓口の設置
結果、従業員の生産性アップが見込まれるため、残業の削減効果を期待できます。また、従業員の労働意欲が増したり心身ともに健康になったりする効果も見込めるでしょう。
7. 従業員が残業の過労死ラインを超えないように対策を講じよう
残業の過労死ラインとは、過労死につながる疾患や精神障害の発症リスクが高まる過度な残業の時間のことです。
厚生労働省によると、残業の過労死ラインの時間は1ヵ月あたり100時間超えか、月平均80時間超えとされています。ただし、一般従業員の残業時間には法律による上限規制があります。
一方、管理職は上限規制の対象外のため、残業の過労死ラインについても適用除外対象です。つまり、管理職には残業時間の制限がありません。
2019年から管理監督者の勤怠管理が義務化となり、管理職の過労死ラインを超える残業の予防につながると期待されています。
残業の過労死ラインについて理解を深めるとともに、従業員が残業の過労死ラインを超えないための対策についてもぜひ検討してください。
タイムカードや出勤簿などで勤怠管理をしてる場合、以下のような課題はないでしょうか。
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