有給休暇の5日取得義務で就業規則は変更が必要?手続きや罰則、記載例を解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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有給休暇の5日取得義務で就業規則は変更が必要?手続きや罰則、記載例を解説

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2019年4月に働き方改革関連法が施行され、年次有給休暇を1年につき5日取得させることが義務化されました。対象となるのは、年に10日以上の有給休暇が付与されるすべての従業員です。パートタイマーやアルバイト従業員であっても、条件を満たす場合は対象となります。

有給休暇取得義務化への対応として、「時季指定権の行使」「計画的付与」などが考えられますが、これらの措置を取る場合、あらかじめ就業規則の変更が必要です。従業員にとって不利益な変更となる可能性もあるため、就業規則を変更する場合は注意しましょう。就業規則に変更がないとトラブルにつながりかねません。

本記事では、有給休暇の取得義務化に対して就業規則を変更すべきケースや、その際の注意点を解説します。

関連記事:【図解付き】有給休暇付与日数の正しい計算方法をわかりやすく解説

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労務管理をおこなう上で、就業規則の「作成、届出・変更、さらには周知において」——正しく理解できていますか?

記載すべき項目のミスや、変更する際のルールの見落としは、法令違反や労基署からの指導といった深刻なトラブルを招きかねません。就業規則の管理ミスは企業リスクに直結するため、人事労務担当者であれば、必要な労働基準法を正しく理解しておくべきです。

当サイトでは、就業規則におけるルールをはじめ、労務管理の要となる「労働時間・休憩・休日・年次有給休暇」に関しても法的基準をわかりやすく解説した資料を無料配布しています。

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1. 有給休暇と就業規則の関係

はてな

有給休暇と就業規則は深いつながりがあり、必要な事項を明示しないと労働基準法に違反することもあります。有給休暇と就業規則のつながり、就業規則の届出義務など、まずは基本的な部分を確認していきましょう。

1-1. 有給休暇の取得ルールは就業規則への記載必須事項

就業規則は、常時10人以上の労働者を雇用している企業に対して、作成・届出・従業員への周知をしなければならないという決まりがあります。

就業規則には、必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」も定められています。

  •  始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項
  •  賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の 締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  • 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

この3つが就業規則における絶対的必要記載事項で、この中の「休暇」には有給休暇も含まれます。そのため、就業規則の作成義務が発生する企業は、必ず有給休暇に関する内容を就業規則に盛り込まなくてはなりません。

記載内容は、有給休暇の対象者や取得手続きに加えて、時季変更権、年次有給休暇の計画的付与など、自社にある制度に適した形にする必要があります。

参考:モデル就業規則について 第5章 休暇等|厚生労働省

1-2. 就業規則は労働基準監督署への届出が必要

前述した就業規則の作成・届出・従業員への周知をする義務は、労働基準法89条で定められているものです。

常時10人以上の労働者を雇用している企業は、就業規則を作成し、それを労働基準監督署に届け出て、従業員に周知することまでが義務とされています。

これを怠った場合は、労働基準監督署による指導がおこなわれる可能性があります。また、労働基準法120条1号によって、30万円以下の罰金といったペナルティも設けられているため、十分に注意しましょう。

なお、就業規則の変更をする際も同様に労働基準監督署に届出をしなければなりません。その際は「就業規則変更届」に必要事項を記入し、手続きをおこないます。

2. 有給休暇取得義務化で就業規則の変更は必要なのか

はてなのふきだし

2019年4月の労働基準法改正により、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、企業は毎年5日について確実に取得させることが義務付けられました。この制度の導入に伴い、多くの企業で就業規則の見直しが必要となりましたが、すべての企業において必ず変更が必要となるわけではありません。

すでに年5日取得義務に対応した条文が整備されている場合や、現行の運用と就業規則の内容が一致している場合には、改定をおこなわなくても適切に対応できることがあります。

しかし、新たに時季指定や計画的付与などの制度を導入する場合には、就業規則の記載内容を変更しなければなりません。

ここでは、就業規則の変更が必要となるケースと不要なケースを解説します。

2-1. 変更が必要なケース

有給休暇取得義務化への対応にあたり、新たな制度や運用方法を導入する場合には、就業規則の変更が必要となります。

就業規則は労働条件を明確に示す重要な文書であり、実際の運用内容と記載内容が一致していない場合には、労務管理上のトラブルや法令違反と判断されるリスクがあります。特に、有給休暇の取得方法や付与方法に変更を加える場合には、従業員の労働条件に直接影響を与えるため、制度の導入前に条文の整備をおこなうことが重要です。

また、変更をおこなう際には、労働基準法第89条に基づき、過半数代表者から意見を聴取したうえで、労働基準監督署へ届出をしなければなりません。ここでは、代表的な変更が必要となる具体的なケースについて整理します。

有給休暇の時季指定を導入する場合

有給休暇の取得義務化にともない、年5日分は使用者が時季指定をして有給休暇を取得させることが基本となりました。労働基準法第39条の新設条項である第7項においても、「労働者ごとにその時季を定めることにより」、使用者が年5日の有給休暇を取得させなければならないと規定されています。

なお、労働者がすでに5日分を取得している場合、使用者が時季指定権を行使することはできません。

使用者が有給休暇の時季を指定する場合、あらかじめ就業規則にその旨を記載し、時季指定ができる労働者の範囲や、時季指定をおこなう方法について明確に定義しておくことが必要です。

就業規則に時季指定権の記載がない場合は、就業規則を変更しなければなりません。就業規則に記載がないにも関わらず、有給休暇の時季指定をおこなった場合、30万円以下の罰金が科されることがあります。

有給休暇の計画的付与を導入する場合

有給休暇の取得率向上や業務計画の安定化を目的として、年次有給休暇の計画的付与制度を導入する場合にも、就業規則の変更が必要となります。

計画的付与制度とは、労使協定を締結することで、有給休暇のうち5日を超える部分について、あらかじめ取得日を計画的に割り当てることができる制度です。この制度を導入する場合には、就業規則において計画的付与の対象範囲や実施方法を明確に記載するとともに、別途労使協定を締結する必要があります。

その際、「事前に書面による労使協定を結んだ範囲で」「付与日数のうち5日を超える部分に関して」有給休暇を計画的に付与する旨が記載されていれば、就業規則としては問題ありません。

また、年5日の取得義務として確保すべき日数については、計画的付与の対象から除外する必要があるため、制度設計の段階で日数の取り扱いを明確に整理しておくことが重要です。制度の導入にあたっては、従業員への周知を十分におこない、理解を得ながら進めることが求められます。

有給休暇の基準日統一をおこなう場合

有給休暇の付与日を管理しやすくするために、入社日ごとに異なっている基準日を特定の日に統一する場合には、就業規則の変更が必要となることがあります。

基準日とは、年次有給休暇を付与する基準となる日を指し、この日を統一することで、有給休暇の管理や取得状況の把握が容易になります。ただし、基準日の統一をおこなう際には、従業員に不利益が生じないよう配慮することが重要です。

例えば、統一に伴い付与日数が減少したり、取得可能な時期が遅れたりする場合には、不利益変更と評価される可能性があります。そのため、基準日統一の必要性や合理性を明確にし、必要に応じて経過措置を設けるなどの対応をおこなうことが望ましいとされています。

従来の休暇制度を廃止し有給休暇制度を導入する場合

これまで特別休暇や代替的な休暇制度を中心に運用していた企業が、年次有給休暇制度を明確に整備する場合には、就業規則の変更が必要となります。特に、従来の休暇制度を廃止する場合には、労働者にとって不利益な変更と評価される可能性があるため、慎重な対応が求められます。

労働契約法第10条では、就業規則の変更によって労働条件を変更する場合には、その内容が合理的であり、かつ労働者へ周知されていることが必要とされています。そのため、制度を廃止する理由や新制度の必要性を明確にし、変更内容について十分な説明をおこなうことが重要です。

また、一定期間は旧制度を併用するなどの経過措置を設けることで、不利益性を緩和できる場合があります。

2-2. 変更が不要なケース

有給休暇取得義務化への対応として、必ずしもすべての企業で就業規則の変更が必要となるわけではありません。すでに年5日取得義務に対応した規定が整備されており、実際の運用内容と条文の内容が一致している場合には、改定をおこなわなくても法令上の要件を満たしているかもしれません。

ただし、条文が存在していても、その内容が現行制度と異なっている場合や、運用上の手続きが明確でない場合には、将来的なトラブルの原因となる可能性があります。

また、新たな制度を導入せず、従業員の自主的な取得によって年5日の取得が確保できている場合には、時季指定制度を導入する必要がない場合もあるでしょう。

ここでは、変更が不要と考えられるケースを解説します。

すでに年5日義務対応条文を記載している

就業規則の中に、年次有給休暇について年5日を確実に取得させる旨の規定や、時季指定に関する条文がすでに整備されている場合には、追加の変更をおこなう必要はありません。特に、労働基準法第39条第7項に基づいた記載があり、対象労働者の範囲や取得方法が明確に規定されている場合には、現行の条文で対応できる可能性があります。

ただし、法改正以前に作成された就業規則では、義務化に対応した内容が十分に反映されていない場合もあるため、条文の内容が最新の法令に適合しているかを確認することが重要です。また、運用手続きの詳細が不明確な場合には、補足的な規定を追加することも検討する必要があります。

就業規則の運用と条文が一致している

実際の有給休暇の取得方法や管理方法が、就業規則に記載された内容と一致している場合には、形式的な変更をおこなう必要がない可能性があります。例えば、従業員の自主的な取得により年5日以上の取得が恒常的に確保されている場合や、既存の制度の中で取得状況の管理が適切におこなわれている場合、新たな制度導入は不要かもしれません。

ただし、運用が就業規則に記載されていない方法でおこなわれている場合には、後にトラブルが発生した際に会社側の対応が不適切と判断される可能性があります。そのため、現行の運用状況を定期的に確認し、条文との整合性が保たれているかを点検することが重要です。

有給休暇の時季指定を導入しない場合

年5日の取得義務に対応する方法として、必ずしも時季指定制度を導入する必要はありません。従業員が自主的に有給休暇を取得し、結果として年5日以上の取得が確実におこなわれている場合には、時季指定を実施しなくても法令違反とはなりません。

このような場合には、就業規則の変更をおこなわずに現行制度を維持することが可能です。ただし、将来的に取得率が低下する可能性もあるため、取得状況を継続的に把握し、必要に応じて時季指定制度の導入を検討できる体制を整えておくことが重要です。

制度を導入しない場合であっても、取得状況の管理体制を明確にしておくことが求められます。

3. 有給休暇取得の就業規則を変更する際の注意点

注意のイメージ

有給休暇制度の見直しに伴い就業規則を変更する場合には、単に条文を修正するだけではなく、法的要件や運用面での注意点を十分に理解しておく必要があります。特に、有給休暇の取得方法や付与方法の変更は、労働者の労働条件に直接影響するため、変更内容によっては不利益変更と評価される可能性があります。

また、就業規則の変更には、過半数代表者からの意見聴取や労働基準監督署への届出など、法令で定められた手続きが必要です。さらに、計画年休の導入や特定の運用方法を採用する場合には、労使協定の締結が求められるケースもあります。ここでは、有給休暇制度の変更を進める際に押さえておくべき重要な注意点について整理します。

3-1. 不利益変更に該当するかの判断基準

有給休暇制度の変更内容によっては、従業員にとって不利益となる場合があり、その場合には労働契約法第10条に基づいた合理性の判断が求められます。不利益変更とは、就業規則の変更によって労働条件が従来よりも不利になることを指し、例えば取得方法の制限や、休暇の自由度が低下するような変更が該当する可能性があります。

不利益変更の有効性は、変更の必要性、内容の合理性、労働者への影響の程度、労働組合または過半数代表者との交渉経過、代替措置の有無などを総合的に考慮した判断基準です。例えば、業務運営上の必要性が高く、代替措置として別の休暇制度を設けている場合には、合理性が認められる可能性があります。

また、変更内容は業務上の必要性に鑑み、合理的である必要があります。労働基準監督署が合理性を判断するわけではありませんが、もし労働者が不満を感じて裁判をおこした場合、変更内容を認められない場合があります。

こうした事態を防止するため、不利益変更にあたる場合は、事前に労働者側とよく相談しておくことが大切です。従業員の負担や心情も考え、使用者の一方的な判断で変更をしないようにしましょう。

3-2. 就業規則変更の法的手続きと意見聴取義務

年次有給休暇の計画的付与制度(計画年休)を採用するに当たって労使協定を作成する場合は、以下の5つの項目について定める必要があります。

  1. 計画付与をする対象者
  2. 対象となる年次有給休暇の日数
  3. 計画的付与の具体的な方法
  4. 年次有給休暇の付与日数が5日以下の従業員の扱い
  5. 計画的付与を変更する際の手続き

明確な定義がなければ、トラブルの原因となってしまいます。例えば、制度を適用する範囲があいまいだったため、本来は時季指定をできない労働者に指定をおこない、労働基準法違反となるケースも考えられます。

使用者・労働者双方のため、制度内容は具体的に記載しておきましょう。なお、就業規則の規定例は、厚生労働省が発表しているガイドライン「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」で確認することができます。

なお、計画年休は全従業員に一斉に有休を取得させることができ、管理工数の削減が期待できますが、全ての有休を計画年休にできるわけではありません。従業員が自由に取得できる有休を5日分は残しておかなくてはならないため、その分の管理は依然として必要になります。

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3-3. 計画年休導入時の労使協定締結要件

有給休暇の計画的付与制度を導入する場合には、就業規則の変更に加えて、労働基準法第39条第6項に基づく労使協定の締結が必要となります。計画年休は、使用者が一方的に設定できる制度ではなく、労働者側との合意を前提として運用される制度であるため、協定内容を明確にしておかなければなりません。

労使協定には、計画的付与の対象となる労働者の範囲、対象となる有給休暇の日数、具体的な付与方法や日程の決定方法などを記載する必要があります。また、年5日の取得義務として確保しなければならない日数については、計画年休の対象から除外する必要があります。協定の内容が不十分である場合には、制度そのものが適切に運用されていないと判断される可能性があるため、条文の整合性を十分に確認しておくことが重要です。

3-4. 有給休暇制度で労使協定が必要となるケース

有給休暇制度の運用においては、計画年休以外にも労使協定の締結が必要となるケースがあります。

例えば、時間単位での年次有給休暇の取得を認める場合には、労働基準法第39条第4項に基づく労使協定を締結しなければなりません。時間単位年休は、育児や介護などの事情に対応しやすい制度として導入されることが多く、柔軟な働き方を支援する手段として活用されています。

また、標準報酬日額によって有給休暇中の賃金を支払う場合にも、労使協定が必要となります。この場合には、対象労働者の範囲や支払方法を明確にし、就業規則との整合性を確保することが重要です。労使協定は単独で効力を持つものではなく、就業規則と一体的に運用されることが多いため、両者の内容が矛盾しないよう確認することが求められます。

3-5. 取得管理簿の整備と監督署調査への対応

年次有給休暇の取得状況については、労働基準法施行規則第24条の7に基づき、使用者が管理簿を作成し、一定期間保存する義務があります。

この管理簿には、労働者ごとの付与日数、取得日、残日数などを記録する必要があり、適切な管理体制を整備しておくことが重要です。保存期間は、作成日から3年間とされており、労働基準監督署の調査が実施された際には、提示を求められるかもしれません。

監督署調査は、年5日の取得義務が適切に履行されているかどうかを重点的に確認することもあります。そのため、取得状況を定期的に確認し、未取得者が発生しないよう管理する仕組みを構築しておくことが重要です。

また、紙媒体だけでなく勤怠管理システムなどを活用して電子的に管理する方法も一般的となっているので、記録の正確性と検索性を確保しておきましょう。

4. 就業規則への有給休暇の記載例

就業規則のルールを変更する

就業規則に有給休暇について記載する際の例として以下のようなケースを紹介します。

  • 有給休暇を時季指定する場合
  • 有給休暇を計画的付与する場合
  • 有給休暇を基準日統一する場合
  • 有給休暇を前倒し付与する場合
  • 有給休暇の半日単位での取得を認める場合

それぞれの記載例をモデルとして、自社の就業規則に活かしましょう。

なお、いずれのケースであっても有給休暇中の賃金は平均賃金で計算する、もしくは標準報酬日額で計算するといった計算方法についての規則を設けておきます。また、有給休暇の買い取りについて就業規則に記載することは、原則認められていないため注意が必要です。

4-1.有給休暇を時季指定する場合

有給休暇を時季指定する場合の就業規則への記載例は次のとおりです。

【就業規則〇〇条】

年次有給休暇が10日以上与えられた労働者は、付与日から1年以内に、該当する労働者の年次有給休暇日数のうち5日をあらかじめ時季を指定して取得させる。なお、時季を指定する際は会社が該当労働者の意見を尊重したうえで取得させる。

ただし、労働者自身の請求によって年次有給休暇を取得した場合(使用者が時季変更権を行使した場合も含む)もしくは労使協定に基づき、年次有給休暇の計画的付与によって年次有給休暇を取得した場合は、該当する日数を時季指定の5日から控除する。

時季指定を就業規則に記載する場合は、会社が従業員にヒアリングして本人の意見を尊重することが大切です。

4-2.有給休暇を計画的付与する場合

有給休暇を計画的付与する場合は次のように就業規則に記載します。

【就業規則〇〇条】

従業員の過半数代表者との書面の協定により、各従業員が有する年次有給休暇のうち5日を超える日数は、時季を指定して取得させることがある。

先述のとおり、就業規則に計画的付与について記載する場合は、事前に書面で結んだ労使協定の範囲かつ、付与日数のうち5日を超える部分について時季を指定することを盛り込んでおきましょう。

4-3.有給休暇を基準日統一する場合

有給休暇の基準日とは会社が従業員に有給休暇を付与する権利が発生する日です。有給休暇は通常、次のような状態になると権利が発生します。

  • 入社から6ヵ月間継続して勤務している
  • 期間中全労働日のうち8割以上を出勤している

しかし、有給休暇の付与タイミングは従業員の入社日によってバラつきがあるため、管理ミスが起きかねません。そのため、基準日統一(斉一的付与)として、付与日を統一することが可能です。有給休暇の付与日を統一する際は、その旨を次のように就業規則に記載しましょう。

【就業規則〇〇条】

年次有給休暇の更新(基準日)は毎年〇月〇日とし、次の日数を付与する。ただし、入社後6ヵ月を経過しない従業員は更新の対象としない。

例えば付与日を4月1日に統一するのであれば、4月1日が更新日であることを記載します。

4-4.有給休暇を前倒し付与する場合

有給休暇は前倒し付与が可能です。有給休暇を前倒しで付与する場合は次のように就業規則に記載しましょう。

【就業規則〇〇条】

  1. 入社日に年次有給休暇を5日付与し、6ヵ月間継続して所定労働日数の8割以上出勤した者には年次有給休暇を5日付与する。
  2. 1年以上の継続勤務をした者には1年経過につき、該当期間に8割以上の出勤した場合に1日(3年以上継続勤務をした者には1年を経過する度に2日)を加算して法定通りに年次有給休暇を付与する。ただし、日数は1年で20日を限度とする。

有給休暇を前倒しで付与するタイミングは会社側が設定可能です。しかし、次の付与日は前倒しした付与日から1年後もしくはそれ以前にする必要があります。また、必ず法定日数以上の有給休暇を与えられるように調整しましょう。

関連記事:有給休暇の前借りは違法になる?従業員から依頼された場合の対応方法を解説

4-5.有給休暇の半日単位での取得を認める場合

有給休暇は半日単位で取得もできます。有給休暇を半日単位での取得を認める際も就業規則に次のように記載しておきましょう。

【就業規則〇〇条】

  1. 会社が事前に承認した場合、年次有給休暇を半日単位で取得できる。
  2. 1に基づき半日単位で取得した場合の始業終業時刻は以下のとおりとする。なお、年次有給休暇を半日単位で取得した場合は、終業時刻を超過する労働は認めない。

【午前休】始業時刻:午後1時、終業時刻:午後6時、休憩:15時から45分間
【午後休】始業時刻:午前9時、終業時刻:午後1時

なお、有給休暇を半日単位で取得できるようにするかどうかは会社の任意です。

有給休暇は半日単位以外にも時間単位での取得も可能です。時間単位で有給休暇を取得できればワークライフバランスの実現が目指せる一方、管理が煩雑になる可能性があります。そのため、時間単位での有給休暇取得を認めるかどうかは自社の状況に応じて検討しましょう。

関連記事:時間単位の有給休暇とは?制度内容や導入方法を解説

5. 有給休暇制度変更時の労使トラブルと対応策

従業員ブロック

有給休暇制度を見直す際には、法令上の要件を満たしていたとしても、運用方法によっては労使間のトラブルが発生する可能性があります。特に、時季指定の導入や計画年休の設定、取得方法の変更などは、従業員の働き方や私生活に直接影響するため、不満や誤解を招きやすい分野です。

制度変更が労働契約法第10条に定められた不利益変更と評価されるかどうかは、合理性や周知の状況によって判断されます。そのため、制度設計だけでなく、変更時の説明や運用方法にも十分な配慮が求められます。

ここでは、有給休暇制度の変更時に発生しやすい代表的なトラブルとその対応策について整理します。

5-1. 時季指定への反発

年5日の年次有給休暇について使用者が時季指定をおこなう制度は、労働基準法第39条第7項に基づく義務であり、企業としては確実な運用が求められます。しかし、従業員にとっては取得時期の自由度が制限されると受け取られることがあり、制度導入時や運用初期に反発が生じることがあります。

このような反発を防止するためには、時季指定を一方的に通知するのではなく、あらかじめ従業員の希望時期を確認する仕組みを設けることが有効です。例えば、年度初めに取得希望時期を提出させ、その内容を踏まえて会社が最終的に時季を指定する方法などが考えられます。また、就業規則において時季指定の対象範囲や実施手順を具体的に明示し、制度の透明性を確保することも重要です。

制度の趣旨や法的背景を十分に説明することで、理解を得やすくなり、運用上の摩擦を軽減できます。

5-2. 計画年休による不公平感

計画的付与制度は、有給休暇の取得率向上や業務計画の安定化に有効な制度ですが、運用方法によっては従業員間で不公平感が生じることがあります。例えば、一部の部署のみが繁忙期の影響を受けて計画年休の日程を調整できない場合や、個別の事情が十分に考慮されない場合には、不満が蓄積しやすくなります。

こうした問題を防ぐためには、計画年休の対象範囲や付与方法について、労使協定の段階で具体的に整理しておくことが重要です。特に、部署ごとの業務特性を考慮し、必要に応じて対象部署を分けて設定する方法も有効です。

また、計画年休を設定した後であっても、やむを得ない事情がある場合には日程変更が可能であることを制度上明確にしておくと、従業員の納得感を高めやすくなります。制度の公平性を担保するためには、形式的な運用ではなく、実態に応じた柔軟な対応が求められます。

5-3. 取得方法変更が不利益と評価される場合

有給休暇の取得方法を変更する場合には、その内容によっては労働者にとって不利益な変更と評価される可能性があります。例えば、従来は自由に取得できていた休暇の一部を計画年休として固定する場合や、取得申請の期限を厳格化する場合などは、労働者の自由度が制限されると受け取られるかもしれません。

このような変更が不利益変更と評価されるかどうかは、労働契約法第10条に基づき、変更の必要性、内容の合理性、労働者への影響の程度、代替措置の有無などを総合的に考慮して判断されます。そのため、制度変更を実施する際には、変更理由や必要性を明確に整理したうえで、十分な説明期間を設けることが重要です。

また、経過措置を設ける、一定期間は旧制度との併用を認めるなどの配慮をおこなうことで、不利益性の緩和につながる場合があります。制度変更は単なる規定改定ではなく、労働条件の変更であることを踏まえた慎重な対応が求められます。

6. 有給休暇に関連する就業規則を変更する場合は労働者との関係に注意しよう

電球と男性

有給休暇取得義務化への対応として就業規則を変更する場合には、単に法令に対応するだけでなく、労働者との関係性を踏まえた慎重な対応が重要です。

時季指定や計画年休の導入、基準日の統一などは、企業にとって管理上のメリットがある一方で、労働者にとっては取得方法や自由度に影響を及ぼす可能性があります。そのため、変更内容が不利益変更に該当するかどうかを事前に確認し、合理性や必要性を整理したうえで進めることが求められます。

また、過半数代表者からの意見聴取や労使協定の締結、取得管理簿の整備など、法的手続きを適切に実施することも欠かせません。

休暇制度を廃止して有給休暇に置き換えるなど、労働者にとって不利益となる変更をする場合は、労働者に徹底周知をしたうえで合意を得る必要があります。

就業規則を適切な手続きで変更し、計画的で無理のない有休管理をおこないましょう。

関連記事:労働基準法で義務化された有給休暇消化を従業員に促す3つの方法
関連記事:有給休暇年5日の取得義務化とは?企業がおこなうべき対応を解説
関連記事:年次有給休暇とは?付与日数や取得義務化など法律をまとめて解説

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記載すべき項目のミスや、変更する際のルールの見落としは、法令違反や労基署からの指導といった深刻なトラブルを招きかねません。就業規則の管理ミスは企業リスクに直結するため、人事労務担当者であれば、必要な労働基準法を正しく理解しておくべきです。

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