給与計算は誰に頼む?税理士、社労士の違いとは
更新日: 2022.12.7
公開日: 2020.12.14
NOMURA
予算の関係で人材を採用できない会社もある一方、大企業では従業員が多く、給与計算や労務手続きに工数を割けたい会社も多くあります。
このように、会社の規模感や仕事量を踏まえて、外部に作業を依頼する企業も増えているのが現状です。
今回は、税理士や社労士どちらに給与計算を任せるか、それぞれのメリットやデメリットを中心にご紹介していきます。
【給与計算業務のまとめはコチラ▶給与計算とは?計算方法や業務上のリスク、効率化について徹底解説】
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1. 税理士と社労士の業務の違い
自社でシステムを取り入れて運用する場合や、税理士や社労士に委託するなど方法はさまざまです。従業員数や給与計算の進捗を踏まえて、給与計算をおこなう手法を見直してみましょう。
1-1.税理士
税務署の対応や企業のコンサルティングをおこなう専門家であり、「税務の代理」「税務書類の作成」「税務相談」といった項目が独占業務とされています。
国税庁のHPには下記のように記載されています。
税理士業務に付随して財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務や、税務相談業務に付随する財務相談、社会保険労務士業務(社会保険労務士法第27条、同施行令第2条)などがあげられます。
財務処理や税務処理の作成代理などの税金の管理や年末調整、税務署に提出する書類の作成手続きを中心におこなうのが税理士のお仕事です。
1-2.社労士
労働法や社会保険に精通したプロフェッショナルであり、これらに関する書類(就業規則や社会保険の手続きなど)作成や提出を代行することは、社労士にしか許されていない独占業務とされています。
労働基準監督課のHPには下記のように記載されています。
労働・社会保険の問題の専門家として、
①書類等の作成代行、②書類等提出代行、③個別労働関係紛争の解決手続(調整、あっせん等)の代理、④労務管理や労働保険・社会保険に関する相談等を実施するのが、社会保険労務士です。
社会保険に関する申告書の提出を行ったり、行政官公庁等の調査や処理を依頼者に代わって遂行したりなど、社会保険関連の手続きを中心に運用するお仕事です。
【社労士について知りたい方はコチラ▶社労士の給与計算業務とは|相場ややり方、準備すべきことをご紹介】
2. 税理士、社労士に依頼するメリット

中小企業のように労務のリソースが少ない場合、保険の手続きや給与計算などを依頼し、仕事の工数を減らしたい企業も多いでしょう。
その一方で大企業でも従業員数が多いため仕事を捌ききれず、外部に依頼するパターンは年々増えています。税理士や社労士に仕事を頼んだ時の特性を理解し、会社の規模感に合わせた手法を選定しましょう。
2-1.税理士
労務関連の専門知識を持つ事業者が、勤怠データを代行会社に送信し、給与計算や付帯業務の依頼をおこないます。給与計算のみ代行するケースのほか、毎月の給与集計作業に必要なタイムカードの計算や残業代、住民税の計算代行も可能です。
給与計算以外に「労務関連の知見がある方に仕事を任せたい」と考えている企業におすすめです。
2-2.社労士
労働および社会保険に関する円滑に実施できるよう、労働や税金に関しての書類を代行しています。給与計算の他にも、労務の人が足りていなかったり、従業員が多く手続きが捌き切れていなかったりなど課題を抱えている企業も多くあります。
入退社手続きや、労務手続(社保の定時決定・随時改定・賞与支払届・労働保険料申告等)も依頼できるため、給与計算以外に労務や税金関連でリソースが足りていない企業におすすめです。
3. 税理士、社労士に依頼するデメリット

税理士や社労士に依頼することで書類代行や労務相談できる一方、労務に関して相談できず、料金の過払いに繋がる可能性があります。
3-1.社労士
税理士とは違い、年末調整の法定調書の作成については税理士業務となるので、代行自体はできません。
大企業の多くは、外部に委託し、人事制度の策定や、教育研修・採用活動など、本来のコア業務に人的資源を投入するというケースが多いと思われます。
そのため、社会保険や残業の給与計算を正確におこなうために、年末調整に関わる給与計算を依頼するのも一つの手段です。
3-2.税理士
社労士とは違い、労務相談や雇用保険、雇用関連助成金などの代行を行わないパターンが多くあります。そのため、従業員の入退社や社会保険の手続きを委託したい企業には不便かもしれません。
雇用保険や社会保険の手続きをサポートして欲しい場合には、社労士に依頼してみてはいかがでしょうか。
4. 税理士、社労士に依頼する相場

4-1. 税理士の相場
社員数 | 報酬相場 |
1人 | 1000円~2000円 |
5~9人 | 5,000円~ |
10~19人 | 10,000円~30,000円 |
20~29人 | 20,000円~4,5000円 |
30~49人 | 40,000円~70,000円 |
50人~ | 50,000円~ |
従業員数に応じて費用は変動する形になっています。従業員1人あたり1,000~2,000円程度の値段になっていますが、規模感の大きい会社ほど依頼費用がかかる傾向があるので注意が必要です。
また、確定申告や年末調整など、依頼する業務範囲を増やすと費用が加算されるため、料金プランは事前に税理士事務所に問い合わせた上で、依頼をおこないましょう。
4-2. 社労士の相場
社員数 | 報酬相場 |
~4人 | 20,000円~ |
~10人 | 25,000円~ |
~20人 | 35,000円~ |
~30人 | 45,000円~ |
~50人 | 60000円~ |
給与計算の他に、就業規則の作成や届出、従業員の入退社手続き、社会保険料変更手続きなどを依頼範囲に含めると、その分の費用が加算されます。
社労士に給与計算を依頼する場合の費用も、税理士と同じく従業員数次第で変動するのが一般的です。
このほかに、就業規則の作成や届出、従業員の入退社手続き、社会保険料変更手続きなどを依頼範囲に含めると、その分の費用が加算されます。
税理士、社労士それぞれに依頼する値段に大きな差異はありませんが、給与計算の他に依頼したい業務を踏まえた上で依頼先を選定していきましょう。
関連記事:給与計算を社労士に依頼する手順や相場、準備すべきことは?
5. 誰に頼むべきか

これまで、税理士と社労士の業務範囲や、依頼することによるメリットやデメリットをご紹介しました。
給与計算の方法は会社の規模や、予算、従業員の数に合わせて給与計算をおこなう必要があります。
例えば、大企業では、社会保険・残業の給与計算を正確にしたい企業は、社労士に依頼する傾向にあります。
それに対して、中小企業では、会社全体で持っている予算も少ないため、相談ベースで依頼するパターンも増えています。
給与計算は、保険料や給与の数え間違いが多いお仕事です。正確性を保つためにも、第三者に委託してみてはいかがでしょうか。
6. まとめ
税理士や社労士に依頼することで、給与計算から派生する労務手続きなどを手助けしてくれるパターンも多くあります。
労務も財務の専門家に仕事を依頼することで、労働環境の整備や雇用保険の手続きなど他の仕事に取り組むこともできます。税理士や社労士に仕事を依頼することによるメリットやデメリットを理解し、会社の規模感に合わせた手法を選定しましょう。
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