復職とは?従業員を復職させる条件や手続きを解説
更新日: 2024.11.21
公開日: 2024.11.11
OHSUGI
「復職とは?」
「従業員を復職させる条件はある?」
「従業員が復職する際の手続きや注意点が知りたい」
上記のような疑問をお持ちではありませんか。
復職とは、法律や企業独自で定められた休業や休職を取得した従業員が元の職場で働くことです。従業員を復職させるには、条件やタイミングを理解したうえで、適切な手続きをおこなわなければなりません。
本記事では、従業員を復職させる条件や手続きについて詳しく解説します。また、従業員が復職する際の注意点についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 復職とは
復職とは、法律や企業独自で定められた休業や休職を取得した従業員が元の職場で働くことです。企業によっては「職場復帰」とよばれる場合もありますが、復職と同じ意味で使用されます。
主に以下の理由で休業や休職をしたのちに、復職するケースが一般的です。
- 病気や怪我など健康上の理由
- 出産
- 育児
- 介護
- 留学
出産や育児のように、一定期間休職(休業)させて復職させることが法律で義務づけられているものもあります。
企業は従業員がスムーズに復職できるよう体制を整えることが大切です。
参考:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律|e-Gov 法令検索
2. 企業の復職率
企業の復職率は、休業や休職の取得理由によって異なります。それぞれの復職率について、以下の表にまとめました。
休業や休職の取得理由 | 復職率 |
介護休業 |
|
育児休業 |
|
病気休職 |
|
介護休業や育児休業の復職率は90%を超える一方、病気休職による復職率は51.9%です。
参考:「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」調査結果|独立行政法人労働政策研究・研修機構
3. 従業員を復職させる条件
従業員を復職させる条件は、以下のとおりです。
- 従業員が復職したい意思をもっているか
- 保育所の入所が決まっているか
- 業務できるまで病状が回復しているか
従業員を復職させるためには、働く意思をもっているか確認することが大切です。従業員から復職を希望された場合は、面談などを通して復職する理由や働ける環境が整っているか確認しましょう。
育児休業から復職を希望する従業員がいる場合は、子どもの保育所が決まっているか確認することも必要です。もし保育所が決まっていなければ、1歳6ヵ月もしくは2歳になるまで育児休業を延長できる旨をアナウンスしてください。
病気休職から復職を希望する従業員の場合は、業務が遂行できるまで病状が回復しているか確認しましょう。病状が改善しないまま復職させると、病状の悪化や再休職する可能性もあります。
主治医からの診断書や従業員との面談をおこなって、復職させるか慎重に判断してください。
4. 従業員を復職させるタイミング
従業員を復職させるタイミングは、休業や休職の取得理由によって異なります。それぞれのタイミングについて、以下の表にまとめました。
休業や休職の取得理由 | 復職のタイミング |
育児休業 |
|
病気休職(傷病休職) |
|
介護休業 |
|
介護休業の期間は、法律により93日間と定められています。従業員より延長などの申し出がなければ、書面にて休業終了の通知をしたうえで、復職の手続きをおこないましょう。
育児休業の場合は、法律に基づいて子どもが1歳を迎えるまでに保育所が決まっていれば復職手続きをおこないます。育児休業を延長した場合は、保育所が決まったタイミングで復職手続きをおこなってください。
病気休職の場合は、法律上の休職期間は定められていません。主治医や産業医による判断をふまえて、復職させる時期を検討してください。
参考:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律|e-Gov 法令検索
5. 従業員が復職する際の手続き
従業員が復職する際の主な手続きは以下のとおりです。
- 従業員と復職面談をおこなう
- 復職支援プランを作成する
- 復職後のフォローアップをおこなう
それぞれの手続きについて詳しく解説します。
5-1. 従業員と復職面談をおこなう
従業員より復職の申し出を受けたら、面談を実施しましょう。復職前に従業員とコミュニケーションを図ることで、働き方や配慮してほしい内容などを具体的に確認できます。
面談の際にヒアリングする内容は以下のとおりです。
- 復職する具体的な理由
- 復職日
- 勤務時間や雇用形態の希望
- 勤務で配慮してほしい内容など
病気休暇から復職する場合は、現在の健康状態や通院の頻度なども確認しましょう。介護休暇から復職する場合は、仕事と介護を両立できるように希望する支援について把握することも大切です。
5-2. 復職支援プランを作成する
従業員と復職面談をおこなったあとは、ヒアリングした内容をふまえて復職支援プランを作成しましょう。復職支援プランを作成することで、従業員の要望に沿ったサポートを実施できます。
復職支援プランは、介護休業・育児休業・メンタルヘルスによる病気休職の理由によって、策定方法が異なります。以下の厚生労働省の資料を参考に、従業員に合う支援プランを検討してください。
参考:~介護に直面した従業員への支援~「介護支援プラン」策定マニュアル|厚生労働省
参考:~円滑な育休取得から職場復帰に向けて~中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル |厚生労働省
参考:〜メンタルヘルス対策における職場復帰支援〜心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き|厚生労働省
5-3. 復職後のフォローアップをおこなう
従業員が復職したあとは、定期的にフォローアップをおこないましょう。業務に支障が生じていないか、ほかの従業員とコミュニケーションが図れているかなどを確認し、状況に応じてフォローします。
6. 従業員が復職する際の注意点
従業員が復職する際の注意点は以下のとおりです。
- 復職後の労働条件や賃金について明確に伝える
- 復職した従業員と積極的にコミュニケーションを図る
- 産業医や上司と連携してサポートをおこなう
それぞれの注意点について詳しく解説します。
6-1. 復職後の労働条件や賃金について明確に伝える
従業員が復職する際は、復職後の労働条件や賃金について明確に伝えましょう。
介護や育児を理由に時短勤務制度を利用する場合は、賃金が減る可能性があります。従業員が企業に対して不満をもつことがないように、減額率などを就業規則に記載することが大切です。
なお、2025年4月より、時短勤務制度の活用を促すための「育児時短就業給付」が新設されることが決定されました。対象者は、時短勤務制度を利用している2歳未満の子どもをもつ従業員です。
育児時短就業給付に関する詳しい概要は、以下の厚生労働省の資料をご確認ください。
6-2. 復職した従業員と積極的にコミュニケーションを図る
従業員の復職が決定したら、積極的にコミュニケーションを図りましょう。復職後は介護や育児との両立がうまくいかなかったり、慣れない業務で体調を崩したりする可能性があります。
積極的にコミュニケーションを図れると、従業員の不安や悩みを聞き出すことで、改善策を検討することも可能です。
6-3. 産業医や上司と連携してサポートをおこなう
病気休職から復職する従業員がいる場合は、産業医や上司と連携してサポートしましょう。再休職することがないように、産業医や上司と定期的に面談を設けて、従業員の状態を把握することが大切です。
もし業務上の問題点がある場合は、産業医などに相談したうえで、職場復帰支援プランを見直します。産業医などと連携する際は従業員の健康情報が漏れないように、情報を取り扱う担当者を明確にし、情報漏洩防止に努めてください。
7. 復職への知識を深めて従業員を適切にサポートしよう
復職とは、法律や企業独自で定められた休業や休職制度を利用した従業員が元の職場に復帰することです。
従業員を復職させるタイミングは、休業や休職を取得した理由によって異なります。介護・育児休業の場合は、法律で定められた期間を超えた際や保育所が決まってから復職の手続きをおこないましょう。
病気休職の場合は、主治医や産業医の判断をふまえて、適切な時期を検討してください。復職への知識を深めて、従業員を適切にサポートしましょう。
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