「年収の壁」撤廃はいつから?103万円・106万円それぞれの時期を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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「年収の壁」撤廃はいつから?103万円・106万円それぞれの時期を解説

はてな

「年収の壁」とは、一定の年収を超えることで税金や社会保険料の負担が増加するという仕組みを指します。これらの壁を越えると、収入に対する税金や社会保険の負担が増え、手取り額が減少してしまうことがあるため、この壁を意識して収入を調整している人も多くいるでしょう。

今回の制度改正で、103万円の壁が2025年から撤廃されることが検討されています。この変更により、103万円を超える収入を得ても、税金や社会保険料の負担増加を気にする必要がなくなります。
さらに、106万円の壁は2026年10月に撤廃される予定です。この壁を撤廃することで、年間収入が106万円を超える際に発生する社会保険料の負担が軽減されます。さらに、2027年10月には企業規模における要件も撤廃されるため、中小企業での雇用にも大きな影響を与えることが見込まれます。

この記事では、この年収の壁における撤廃の時期や影響を詳しく解説します。

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2024年末頃から”従業員の手取りが減少してしまう年収のボーダーライン”「年収の壁」の見直しを巡る動きが強まっています。
所得税の発⽣や社会保険加⼊の義務に関わる改正であるため、給与計算担当者の業務に直結します。そのため、担当者は正しく改正内容を理解し、メリットだけではなくデメリットも正しく把握しておく必要があります。

当サイトでは、給与担当者の方に向けて、「年収の壁」における政府の動向から、企業がとるべき対応まで解説した資料を無料配布しています。
資料では、100万、103万、106万、130万、150万、210万それぞれ年収の壁についての概要から、ボーダーラインを超えた際への影響を図解でわかりやすく解説しています。「年収の壁について手っ取り早く理解したい」という方は、ぜひこちらからダウンロードの上、お役立てください。

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1. そもそも年収の壁とは?

ビル

年収の壁は大きく分けて6つの種類があります。まずは年収の壁の概要について正しく理解するために説明していきます。

1-1. 年収の壁の種類

年収の壁とは、税金や社会保険料の負担が増加し実質的な手取りや生活水準に影響を及ぼすため、多くの人が意図的に年収を調整するボーダーラインのことを指します。

年収の壁には、税制上での年収の壁と社会保険に関係するもの大きく分けて6つの種類があります。

年収の壁 発生する負担 影響
100万円の壁 住民税 この年収を超えると、住民税が発生し、収入からの負担が増える
103万円の壁 所得税 この年収を超えると、税制上の扶養から外れ所得税がかかるため、受け取る手取り額が減少する
106万円の壁 社会保険料

※勤務先が従業員51人以上など条件を満たすとき

勤務先が51人以上の企業で働く場合、この金額を超えると社会保険料がかかり、手取り額が減少する
130万円の壁 社会保険料 この年収を超えると、扶養から外れるため、社会保険料の負担が増加する
150万円の壁 配偶者特別控除額が減る この年収を超えると、配偶者特別控除が減少し手取り額が減少
201万円の壁 配偶者特別控除がなくなる この年収を超えると配偶者特別控除が全く適用されなくなり配偶者が働く場合の収入計画に影響

このように、それぞれの年収の壁は、勤務形態や家庭状況によって異なった影響を及ぼすため、年収の壁を理解することは、個々のライフプランを考える上で重要です。

1-2. 撤廃される年収の壁は103万・106万の壁

年収の壁の中でも、今回撤廃されることが検討されているのは、103万円と106万円の壁です。

年収103万円の壁は、年収が103万円を超えると所得税が発生し、特にパートやアルバイトで働く人々にとっては、税負担が重くのしかかる要因となっていました。

2025年から、この103万円の壁が撤廃されることが検討されています。具体的には、年収が103万円から123万円までの範囲において、所得税が非課税となります。これにより、パートタイムで働く多くの人々が受けられるメリットが大きく、収入が増加しても税金の負担を気にせず働ける環境が整います。

さらに103万円の壁の中でも、特定扶養控除として103万円の上限が撤廃され、150万円を上限として学生アルバイトが収入を得たとしても、親の負担は増加しない制度が検討されています。

また、106万円の壁撤廃は、賃金が月額8万8,000円以上(年収106万円以上)となるラインを見直すものです。この改正は特にパートやアルバイトの働く人々にとって、年収の制約に縛られずに就業できる環境が整います。働きたい時間や量を自由に選べることは、ライフスタイルの変化にも対応しやすくなります。

1-3. 年収の壁が撤廃される背景

年収の壁が撤廃される背景には、経済環境の変化と社会的なニーズの増加が深く関わっています。
まず、103万円の壁について、この基準は1995年に設定されて以来、29年間も維持されていました。この間に、日本の経済環境は著しく変化しました。

具体的には、インフレによる物価上昇や最低賃金の引き上げ、さらには円安の進行などが挙げられます。これにより、当初の103万円という水準は、現在の生活水準に比べて実質的に低くなってしまったと言えます。そのため、103万円の壁を撤廃することで、経済状況に適した新たな基準を設けることが求められているのです。
次に、106万円の壁についてです。この壁は社会保険の適用ラインになっており、年収が106万円を超えると、パートタイム労働者にも社会保険が適用されることから、多くの人々が「年収を106万円以上にすると手取りが減る」という理由で、労働時間を調整しています。

このような状況では、働く意欲が抑制され、もっと働きたい人が所得の増加を諦めざるを得ないケースが増えていました。106万円の壁を撤廃することで、働くことへのハードルを低くし、労働者がより自由に働き方を選択できるようにすることが可能となります。

このように、年収の壁の撤廃は、長年の経済状況の変化と、労働者の働き方に対する意識の変化を反映したものと言えるでしょう。

関連記事:年収の壁とは?税金や社会保険の負担が生じる103万、106万、130万、150万の壁を解説

2. 103万円の壁の撤廃はいつから?

貯金箱

ではまず最初に、103万円の年収の壁がいつから撤廃される予定なのか説明します。

2-1. 2025年から103万の壁が撤廃

2025年から、年収の壁である103万円が撤廃され、新たに123万円に引き上げられることが検討されています。

この改正は、2025年分の所得から適用され、年末調整の際に新基準が反映される予定です。この変更により、年収が103万円を超えたとしても、税金面での負担が軽減されるため、より多くの人が働く意欲を持ちやすくなります。特定扶養控除についても同様に、2025年より制度化が検討されています。また、年末調整を担当する人事労務担当者にとっても、この変更は重要です。新しい基準が適用されることで、制度の理解や運用方法の見直しが求められます。

2-2. 103万円の壁撤廃による影響

103万円の壁が撤廃されることにより、大きな影響が期待されています。年収が123万円に達するまで、所得が非課税となるため、パートやアルバイトとして短時間労働に従事する人々にとって、経済的な余裕が生まれます。
具体的に見ると、年収103万円の場合には、基礎控除が48万円、給与所得控除が55万円となり、合計で103万円となります。しかし、年収123万円に到達する場合、基礎控除は58万円、給与所得控除は65万円へと引き上げられ、合計で123万円に達することになります。これは低所得者層に対する配慮が示されています。
一方で、住民税については、給与所得控除の引き上げが10万円しか行われないことが決まっています。これにより、住民税に関する影響は相対的に少ないと言えるでしょう。つまり、年収123万円に増加しても、住民税の負担は103万円の時と大きくは変わらないと感じる方が多いのではないでしょうか。

また学生アルバイトにおいても、これまでは親の負担額が増えるため上限額に注意をしながら働いていた環境から解放される見込みとなっています。

関連記事:年収103万円の壁が123万円へ引き上げ!どうなるのか影響を解説

3. 106万円の壁の撤廃はいつから?

106万円の壁

続いて、106万円の年収の壁撤廃の時期について説明します。段階的に変更されることが予定されていますので、正しく押さえておきましょう。

3-1. 2026年10月に106万円の壁が撤廃

106万円の壁の撤廃は、2026年10月に予定されています。

この「106万円の壁」とは、月額賃金が8万8,000円以上、つまり年収106万円を超えると、税金や社会保険料の負担が増えるため、多くの労働者は、年収がこの金額を超えないように就業時間を調整し、手取り額を維持してきました。2026年10月にこの賃金要件が撤廃されることで、時給が上がっても働く時間を気にせず、より多くの収入を得ることが可能になると期待されています。

この変更は、労働者が自らの生活に合わせて自由に働ける環境を整えるものとされています。

3-2. 2027年10月には企業規模要件も撤廃

加えて、2027年10月には、企業規模要件の撤廃が予定されています。この変更により、従業員数が51人以上の企業に限定されていた規制がなくなります。
これまでパートやアルバイトとして週20時間以上働く場合に社会保険が適用されるのは、一定の企業規模に限られていました。特に、従業員数が51人を超える企業でないと適用されず、多くの小規模企業で働く人々は社会保険の対象外となっていました。しかし、この企業規模の要件が撤廃されることで、より多くの働き手が社会保険の恩恵を受けられるようになります。
具体的には、大手企業だけでなく、個人経営の店舗や中小企業においても、同じ条件下で勤務している場合、社会保険の適用が受けられることになります。これにより、雇用条件がさらに平等化し、働く側の選択肢が広がることが期待されています。

3-3. 106万円の壁撤廃による影響

この制度改正により、106万円以上の年収がある場合、厚生年金に加入することになるため、加入者は将来の年金受給額が増加する可能性があります。具体的には、106万円以上の年収を得る労働者が厚生年金に加入することにより、年金として受け取る額が増えるだけでなく、医療保険や失業保険などの社会保険制度への加入拡大も期待されています。
またこの改正に伴い、事業者の保険料負担がどうなるかも注目されています。例えば、手取りの減少を避けるため、労働者の保険料負担割合を可変にするなどの措置が検討されています。これによって、企業にとっての保険料負担が軽減されることも見込まれていますが、中小企業の経済的な厳しさも背景にあるため、一律に良い影響だけがあるわけではありません。

4. 「年収の壁」撤廃のメリット・デメリット

メリットデメリット

続いて、年収の壁をより正確に理解するために、今回の制度改正で年収の壁が撤廃されることによってどのようなメリットとデメリットがあるのか、それぞれ開設します。

4-1. 103万円の壁撤廃によるメリット・デメリット

メリット

103万円の壁が撤廃されることで、働きたい従業員が増加する可能性があります。これにより、人手不足が深刻な状況にある企業にとっては、労働力の確保に繋がるでしょう。また、パートやアルバイトとして働くことを希望する従業員は、所得税の課税が上がることで、より多くの時間働く選択肢を持てるようになります。

更に、社会保険への加入が可能になることで、将来の年金受給額の増加や医療保険の充実が期待でき、長期的な家計の安定性が向上します。

デメリット

103万円の壁撤廃により、企業にとってのデメリットがいくつか考えられます。まず、従業員が103万円を超えて働くことで、106万円の壁を超える場合が増えると、社会保険料の負担が上がる可能性があります。これにより、企業の人件費が増加することが懸念されます。
また、年収106万円以上の従業員には厚生年金などの加入が義務付けられるため、特に小規模な企業にとっては経済的な負担が重くなるでしょう。さらに、扶養に入っている従業員が収入を増やすことが手取り額の減少につながる場合もあり、従業員の意欲低下を招く要因にもなり得るのです。

4-3. 106万円の壁撤廃によるメリット・デメリット

メリット

106万円の壁が撤廃されることで、パートやアルバイトで働く人々にとっては大きなメリットが生まれます。従来、年収が106万円を超えると社会保険料が天引きされ、手取り額が劇的に減少していました。この状況が改善されれば、多くの従業員が「もっと働きたい」と感じるようになるでしょう。
特に、少子高齢化が進む日本では、業界を問わず人手不足が深刻です。企業の中には人手不足が原因で倒産するケースも増加しており、特に小規模な企業においてその傾向が顕著です。従業員の働く時間が増えれば、企業は人手不足を解消できる可能性が高まります。
その結果、事業の継続や成長が促進されるため、経済全体にも良い影響を与えることが期待されます。したがって、106万円の壁撤廃は、働く人々にとってだけでなく、企業や経済全体にとっても重要な転機となるでしょう。

デメリット

106万円の壁が撤廃されると、社会保険への加入が必須となり、手取り額が減少します。これにより、従業員が実感する収入の圧迫感が増すでしょう。
さらに、企業も社会保険料の負担が増加するリスクがあります。従業員に対する企業の負担割合が引き上げられる可能性があり、結果として企業経営に影響を及ぼす恐れもあります。制度変更に伴った企業の対応が必要になるでしょう。

5. 103万円・106万円それぞれ年収の壁が撤廃される期間を押さえておこう

年収の壁

103万円と106万円の年収の壁は、それぞれの撤廃時期によって多くの人々の生活に影響を与える重要なテーマです。
まず、103万円の壁についてですが、2025年からこの壁が撤廃されることが予定されています。現在、この壁を超えると税の負担が大きくなるため、パートやアルバイトをする際に年収が103万円以内に抑えられることが一般的ですが、撤廃に伴い、より多くの収入を得ることが可能になります。
また、106万円においては2026年10月に撤廃される予定です。この年収の壁も、特に社会保険料の負担が軽減されることから、就労を希望する方々に新たな機会を提供するでしょう。さらに、2027年10月には企業規模要件も撤廃されるため、中小企業においてもフルタイムでの働き方がしやすくなります。このような変化により、ますます多くの人が就業を決断し、職場環境が多様化することが予想されます。
これらの年収の壁の撤廃は、単に収入を増加させるだけでなく、労働市場における働き方を大きく変える可能性があります。特に、従来の働き方に固定されていた多くの人々にとって、自由な選択がよりできるようになる点が注目されます。

関連記事:178万円の壁とは?引き上げはいつから?社会保険加入のメリット・デメリットまで解説

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2024年末頃から”従業員の手取りが減少してしまう年収のボーダーライン”「年収の壁」の見直しを巡る動きが強まっています。
所得税の発⽣や社会保険加⼊の義務に関わる改正であるため、給与計算担当者の業務に直結します。そのため、担当者は正しく改正内容を理解し、メリットだけではなくデメリットも正しく把握しておく必要があります。

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