業務フローとは?わかりやすい書き方のルールや手順、作成ポイントを紹介
更新日: 2024.5.31
公開日: 2024.4.23
OHSUGI
業務フローとは、仕事の流れが視覚的にわかるように時系列順で記述されたフローチャートです。業務をわかりやすく図にすることで、引き継ぎや業務改善をおこなう際に活用できます。
しかし、業務フローを作成したことがない担当者のなかには、「書き方やルールがわからない」「どのような点に気をつければいいかわからない」という方もいるでしょう。
本記事では業務フローの役割と目的、基本的な表記ルールと作成手順、導入するうえでのポイントを解説します。業務フローを活用して、業務課題の発見と改善、生産性の向上に役立ててください。
目次
「承認までの流れが遅い」「今誰が稟議を持っているのかがわからない」「承認のためだけに出社しなければいけない」 などのお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ワークフローをシステム化することで、以下のようなメリットがあります。 ①リアルタイムでの承認・進捗状況が把握できる ②リモートワークなどどこにいても稟議対応ができる ③稟議の紛失リスクがない
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1. 業務フローとは
業務フローとは、業務の流れを図形を用いて可視化したフローチャートです。「だれが」「いつ」「どのような業務を」といった業務の各行程を図形や矢印を用いて表現します。
業務フローは大規模なプロジェクトや業務の引き継ぎ、業務改善をする際に作成されることが一般的です。シンプルなフォーマットであるため、業務マニュアルや引継ぎ書に添付することで業務が理解しやすくなるでしょう。
2. 業務フローの目的・役割
業務フローの役割、作成する目的はおもに次の3つです。
- 社内の情報共有に役立てる
- 問題点を把握して業務改善につなげる
- 業務理解が進んで生産性を向上させる
それぞれの役割・目的について、以下において詳しく説明します。
2-1. 社内の情報共有に役立てる
業務フローの最初の役割・目的は、社内の情報共有に役立てることです。業務フローを用いることで、業務に詳しくない従業員にも業務内容を理解してもらいやすくなります。
従業員数が少なく異動があまりない企業では、業務が属人化している事例は少なくありません。いざ担当者が異動になると、引き継ぎに時間がかかる可能性もあります。
業務フローは決まった記号や図を用いるため、視覚的にイメージしやすいことが特徴です。業務に詳しくない新入社員にも業務が理解しやすく、引き継ぎがスムーズになるでしょう。
2-2. 問題点を把握して業務改善につなげる
業務フローを作ることで問題点を把握でき、業務改善につながることが役割・目的です。
業務フローによって業務を整理するには、それぞれの行程・作業をリストアップすることが欠かせません。さらにチャートにおこして可視化することで、業務における問題点がわかりやすくなります。
問題が明らかになれば、無駄な業務をなくす、順番を入れ替えるなどの業務改善が可能です。社内で頻繁に滞っている業務がある場合、業務フローを導入して作業の流れを見直してみましょう。
2-3. 業務理解が進んで生産性を向上させる
業務フローの作成は業務改善および生産性向上に直接寄与します。業務フローを用いることで業務全体のプロセスが可視化され、無駄や改善点が浮き彫りになります。これにより社員全員が業務の全体像を理解しやすくなり、業務の現状と具体的な改善策を共有できます。
特にECRSの法則に基づいて業務を見直すことでさらなる効果が期待できます。この法則はEliminate(不要なプロセスの排除)、Combine(関連作業の統合)、Rearrange(作業順序の変更)、Simplify(作業の簡素化)の四つの観点から業務を分析し、効率化を図るものです。
例えば不必要な作業を排除し、関連する業務を統合することで作業の流れがスムーズになります。また業務フローを作成し業務プロセス全体を見直すことでミスの発生を防ぐ手立てを講じることが可能です。順序を変更することで作業の効率が劇的に向上することもあります。
業務フローの作成は単なる図表作成に留まらず、生産性向上のための具体的な第一歩です。
3. 業務フローの書き方の基本ルール・凡例
業務フローの書き方のルールは次の3つです。
- フローに関わる人を列で表記する
- 図形を使って業務プロセスを記述する
- 業務の流れを左右・上下で表す
職場によって、あるいは使用するツールによってはより細かいルールが決められている場合もあります。あくまでも基本的なルールとして理解してください。
3-1. フローに関わる人を列(スイムレーン)で記述する
まずは業務フローに関わる人を列で表記します。「だれが」で業務に関わっている人をすべて書き出しましょう。基本的には、1列に1名の人の名前を書きます。
上記のような書き方をプールのレーンに見立てて「スイムレーン」と呼ぶこともあります。個人名だけでなく部署や職務がある場合には、あわせて明記してください。
3-2. 図形や記号を使って業務プロセスを記述する
次に、複数の図形を使って業務プロセスを記述します。業務フローで使われる代表的な図形は以下のとおりです。
開始・終了
業務の開始・終了で使われる図形です。
何をきっかけに業務が始まり、そして終わるのかを記述します。
プロセス・処理
なにかしらの処理やプロセスを表す図形です。
基本的には一つの作業を一つの図形で表すことを意識し、一連の作業であっても一つの図形には書かないようにしましょう。
判断
フローにおいて、特定の条件が揃ったときに分岐が発生する場合に使用する図形です。
内部に分岐条件を書き、各頂点からは条件を満たしたときの矢印を記述します。
データベース・システム図
データベースそのものや、データをデータベースに記録する処理を表す図形です。
内部にはどのような情報が保存されているのかがわかるように記述します。
矢印
作業や処理の流れを表現するのに使用する図形です。
3-3. いつどのような業務なのか流れを左右・上下で表す
上記に説明したような図形を用いて、業務の流れをスイムレーンに記述します。人から人へと引き継がれる業務は左から右、同じ人で業務が続く場合には上から下へ記述することが基本です。
もちろん業務が複雑になってくると、これらのルールに当てはまらない場合も出てくるでしょう。事前に社内でルールを決めておき、共通の記法で記述しておくことが、見やすい業務フローを書くポイントです。
4. 業務フローの作る際におすすめな手順
業務フローを作る際の典型的な手順は次の通りです。
- 業務フローを作る目的を決める
- 業務フローに関わる人物を整理する
- 業務の手順を整理する
- 時系列に沿って業務の流れを記述する
以下においてそれぞれの手順を解説します。
4-1. 業務フロー導入の要件定義を行う
業務フローを導入する際には、なんのために作成するのか、目的を決めておきましょう。目的次第でだれの目線に立って作成するかが変わるためです。
例えば引き継ぎが目的であれば、後任者が業務内容を正確に把握するために詳細に業務フローを記述しなくてはなりません。業務改善が目的ならば、企業の上位層が業務の流れと概要を把握できるように記述する必要があるでしょう。
業務フローの目的を明確にすることで、どの程度の粒度で業務内容を記載したらいいかが明確になります。
4-2. 業務フローに関わる人物を整理する
次に、業務フローのスイムレーンに書かれる人物をすべて書き出して整理します。
注意すべきことは、社外の人間が業務フローに関わってくる場合があることです。例えば社外の取引先に業務を委託している場合、それも記載する必要があります。
また、役所などの官公庁と書類のやり取りが必要な場合には忘れずに関係者に設定し、業務フローに記載しましょう。
4-3. 業務や作業の手順一覧を整理する
業務フローに関わる人物が書き出せたら、業務フローにあうように業務の手順を整理します。
ポイントは、「いつ」「どのような場合に」「だれが」「どのような作業を」おこなうのかを詳細に書き出しておくことです。あとから図形で記述することを想定して、なるべく細かい粒度で詳細に記載しましょう。
業務フローのなかで、一つでも抜けている作業があると意味をなさなくなります。実際に作業をおこないながら手順を整理すると、抜け漏れをなくして確実に書き出せるでしょう。
4-4. 時系列に沿って業務の流れをマニュアルや手順書に資料化する
業務が整理できたら、図形を用いてスイムレーンに業務の流れを記載します。
ポイントは、一目で見たときに業務がわかりやすいよう、業務フローはできるだけ一枚に収めることです。タスクがつながりやすいように関係者の順番を入れ替える、図形の配置を検討するなど工夫を凝らしましょう。
5. 業務フローを導入する際に意識すべきポイント
業務フローを導入する際には、次の3つのポイントを意識しましょう。
- 記載ルールや粒度を複数人で決定し共有する
- 業務の開始・終了をわかりやすくする
- 業務全体が把握できるように一枚にまとめる
- 変更がある際は変更点がわかりやすいように記載する
以下においてそれぞれのポイントを詳しく説明します。見やすい・理解しやすい業務フローを作ることで情報共有に役立てましょう。
5-1. 記載ルールや粒度を複数人で決定し共有する
業務フローを作る前には、フローの表記ルールを決めて関係各所に共有することがポイントです。ルールが統一されていないと、複数のフォーマットや記法が出てきて混乱を招きかねません。
最初の段階で整備しておくとよいルールは、主に次のカテゴリです。
- 業務フローのフォーマット
- 使用する記号と記法
- 記載する粒
上記のルールを明文化しておき、社内・チーム内で共有しましょう。
最初からさまざまな状況を想定して、細かいルールや図形を設定する必要はありません。最低限の図形・最低限の記載ルールでだれでも簡単に業務フォーマットが作れるように心がけましょう。
5-2. 業務の開始・終了をわかりやすくする
業務フローを導入する際、業務の開始・終了をわかりやすくすることも重要です。どこで開始・終了するのかがわからないとフローが理解しにくくなり、業務をおこなう際に手間取る可能性があります。
一つの改善策として、開始・終了の図形のデザインを変えて、ほかの図形よりも目立たせることが有効でしょう。事前に検証をおこなってフォーマットを準備しておく必要があります。
また、同じ業務であっても開始・終了のポイントが複数出てくる状態は、可読性を下げる原因です。「一つのフローに開始・終了はそれぞれ一つずつ」などのルールを設定するとよいでしょう。
5-3. 業務全体が把握できるように一枚にまとめる
業務フローは、業務全体が把握できるように一枚にまとめて一目でわかるようにしておくこともポイントです。複数ページに渡ると業務の流れがわかりにくくなり、業務フローの良さが失われてしまいます。
場合によってはプロセスが多く、フローが長くなる業務もあるかもしれません。新たに開始・終了点を設けてフローを分けるか、粒度を落として簡易的なフローにできないか検討してください。
また、紙に業務フローを印刷する場合、視覚的に見やすいように紙や文字のサイズに配慮する必要もあります。
5-4. 変更がある際は変更点がわかりやすいように記載する
業務フローに変更がある場合、変更点をわかりやすく記載することが重要です。まず、変更点がわかりにくいと従業員は最新の業務フローを理解するのに時間がかかり、効率が低下します。さらに、情報の透明性を確保することで、変更の必要性やその影響を全員が正確に認識できるため、組織全体の適応がスムーズになります。最適な方法は変更箇所に明確なマーカーや注釈を加えることです。これにより、誰が見ても一目で最新の業務フローを把握することができ、ミスや誤解を防げます。結果として、プロジェクトの進行が円滑になり、全体的な生産性も向上します。
6. 業務フローに関するよくある質問
業務フローに詳しく説明してきましたが、書き方や手順に関連して抑えておきたいポイントをよくある質問として紹介します。業務フローを活用するために正しく理解して導入を進めましょう。
6-1. 業務フローとワークフローの違いは何ですか?
業務フローは業務全体の流れや関係者の役割を明確にし、円滑なコミュニケーションとタスクの進行管理を支援する視覚的表現です。一方、ワークフローは具体的な作業手順やタスクの流れを追跡し、業務プロセスの改善や効率化を追求します。要するに、業務フローは全体像を整理し、各工程や関係者の役割を明確にすることに重点を置き、ワークフローは実務的な指示や具体的な作業手順の効率化に焦点を当てています。”
7. 業務フローを活用して生産性の向上につなげよう
本記事では、業務フローの役割と書き方の基本的なルール、作成する際の流れとポイントについて解説しました。
業務フローは仕事の流れを可視化したフローチャートのことです。全体的な業務の流れを視覚的に理解できるため、引継ぎや業務改善をおこなう際に効果を発揮します。
業務フローを作る際には、まず作成する目的を明確にすることが大切です。目的に沿って、社内外の関係者を整理してから業務を細かくタスク化し、時系列順に業務の流れを記載します。
社内で効果的に業務フローが活用されるようにするためには、事前に表記ルールを共有しておくことがポイントです。業務フローを通じて業務課題を洗い出し、生産性の向上につなげましょう。
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