組織分析とは?フレームワークの7S・SWOT分析・PPM分析を解説
更新日: 2025.11.17 公開日: 2025.2.14 jinjer Blog 編集部

「組織分析の概要を知りたい」
「組織分析のフレームワークについて知りたい」
上記のようにお悩みの方も多いでしょう。
組織分析とは、業務のパフォーマンス向上や企業の持続的成長のために、フレームワークを用いて組織の課題や改善点を明確にすることです。代表的なフレームワークには、7S・SWOT分析・PPM分析などがあります。
また、近年は企業に対してストレスチェックが義務付けられています。フレームワークとストレスチェックを併用することで、より精度の高い組織分析ができるようになり、組織全体の問題点を客観的に把握することも可能です。
本記事では、組織分析の概要や代表的なフレームワーク、ストレスチェックの必要性や活用方法などを解説していきます。
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1. 組織分析とは


組織分析とは、組織が抱えている課題や全体像を把握するために、フレームワークにより細分化した各要素の詳細を明確にし、新たな情報を引き出すことです。
フレームワークとは、学者やコンサルタントなどの専門家が考案した効率的に精度の高い分析ができる思考の枠組みのことを指します。
組織分析には幅広い情報の整理が必要ですが、各フレームワークの枠組みに要素をあてはめていくだけで、精度の高い分析結果を導き出せるでしょう。目的に沿うフレームワークを選び、それぞれの法則や規則などに沿って分析を進めることで課題が発見できたり組織全体の現状が把握することが可能になります。
2. 組織分析の代表的なフレームワーク


組織分析の代表的なフレームワークは、以下の3つです。
- 7S
- SWOT分析
- PPM分析
ここでは、各フレームワークについて解説していきます。
2-1. 7S
組織分析の代表的なフレームワークの一つは、米国のマッキンゼー社が考案した7Sです。
組織が持つ7つの経営資源(以下「7要素」)の現状を把握し、組織が望む状態との差を明らかにできます。
7Sの呼び名の由来は、7要素の頭文字です。また、以下の7要素のうち3要素は組織の制度を示す「ハード」に、残りの4要素は潜在的な部分を示す「ソフト」に区分されます。
| ハード | Strategy(戦略) | 目標達成のための限られた財的・人的資源の配分に関する一定期間の行動方針や計画のこと |
| Structure(組織構造) | マトリクス型組織や分権化など、組織のしくみに関する特徴のこと | |
| Systems(システム) | マネジメントシステムや報告パターンなど、恒常的な方法のこと | |
| ソフト | Skills(スキル) | 特許やリサーチ力など、組織がもつ顕著な能力のこと |
| Staff(人材) |
|
|
| Style(組織風土・経営スタイル) |
|
|
| Shared values(共通の価値観) | 組織の理念や指標などのこと |
各要素を分析したのち、それぞれの関連要素と連動させて分析するため、各要素の相互関係の把握にも役立つフレームワークです。
2-2. SWOT分析
ハーバードビジネススクールで開発されたSWOT分析も、組織分析の代表的なフレームワークの一つです。
以下の4つの要因について洗い出すことで、自社の現状や将来的な変化を分析できるため、特定の目標の実現可否についても判断しやすくなります。
| 内部環境要因 | Strength(強み) | 自社の強みとなる能力や競合に対する優位性など |
| Weakness(弱み) | 競合に劣る自社の能力や製品・サービスの弱みなど | |
| 外部環境要因 | Opportunity(機会) | 市場環境や競合の変化など、自社に好影響をもたらす外的要因 |
| Threat(脅威) | 法改正や競合の変化など、自社に悪影響をもたらす外的要因 |
経営資源の最適化や改善計画、今後の事業目標や行動指針などの策定にも役立つフレームワークです。
また、各要素のリストアップ後に他要素と連動させて分析する手法をクロスSWOT分析と言います。クロスSWOT分析を活用すれば、単体要素の分析よりも多くの戦略を導き出せるだけでなく、新たな課題や自社の強みなどの発見も期待できるでしょう。
2-3. PPM分析
組織分析の代表的なフレームワークには、米国のコンサルティング会社が考案したPPM分析もあります。
市場成長率・市場占有率の2軸のなかにある以下の4つのグループに、自社の事業や製品などを分類して、適切な経営資源の配分を目指す分析手法です。
| (高い)
市場成長率 (低い) |
問題児(Problem Child) | 花形(Star) |
| 負け犬(Dog) | 金のなる木(Cash Cow) | |
| (低い) 市場占有率 (高い) | ||
各グループの特徴や分類の仕方は、下記のようになります。
| 花形(Star) |
|
| 金のなる木(Cash Cow) |
|
| 問題児(Problem Child) |
|
| 負け犬(Dog) |
|
PPM分析により、客観的に自社事業の現状のポジションを把握できるでしょう。また、現状の結果ではなく将来性を見越した投資判断の際にも役立ちます。
3. 組織分析とともに必要なストレスチェックとは


ストレスチェックは、労働者のメンタルヘルスの不調を未然に防ぐことを目的に、2015年12月からスタートした制度です。労働者数が50人未満の事業所に対しては「努力義務」となっていますが、それ以上の労働者がいる事業所にはストレスチェックが義務付けられています。
ストレスチェックと組織分析は直接的な関係はないものの、従業員のストレス度合いが高ければ、その原因が職場環境や人間関係などにあることが考えられます。つまり、ストレスチェックの結果は、組織分析の目的の1つである「職場の問題・課題を洗い出す」ということに関連しているので、今一度内容を確認して重要性を認識しておきましょう。
参考:ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて|厚生労働省
3-1. ストレスチェックの必要性
ストレスチェックの一番の目的は、労働者がメンタルヘルス不調を訴える前に防ぐことです。労働者によってストレスとなる原因は異なりますが、人間関係や長時間労働、業務量や業務内容の問題などが挙げられます。ストレスチェックをおこなうことで、職場に何らかのストレス要因があるとわかれば早急に対処することが可能になります。
また、定期的にストレスチェックをすることで、従業員自身がストレスを溜めないためのセルフケアをしたり、パワハラやセクハラなどを抑止したりする効果も期待できます。
さらに、メンタルヘルス対策をおこなう企業に対しては、従業員の帰属意識やエンゲージメントの向上も期待できるので、さまざまなメリットが得られます。
3-2. ストレスチェックには導入義務がある
ストレスチェックには導入義務があるため、対象となる企業は必ず実施しなければなりません。
労働者の健康面を守る「労働安全衛生法」の改正がおこなわれたことから、労働者が50人以上の事業所は全従業員に対して、年に1回のストレスチェックをすることが義務付けられています。「全従業員」というのは正規雇用だけでなく、下記の条件を満たしているパート・アルバイトも対象となっているので、見逃さないようにしましょう。
- 労働契約に期間の定めがない従業員
- 契約期間が1年以上の従業員
- 週の労働時間数が正社員の1週間の労働時間の4分の3以上の従業員
ただし、派遣社員に関しては、雇用者が派遣元の企業となるので、派遣先でストレスチェックをおこなう必要はありません。
3-3. ストレスチェックの集団分析は努力義務となっている
組織分析へのストレスチェックの活用方法は、集団分析の結果から組織の問題点を洗い出して職場環境の改善に役立てる方法です。
ストレスチェックの集団分析とは、部署やグループごとに集計したストレスチェックの結果に基づくストレス状態や傾向の分析です。グループごとの問題点が明確になるため、より効果的な職場環境の改善が期待できるでしょう。
集団分析をおこなう場合は、10人以上のサンプルをもとに分析するのが原則です。10人未満で分析してしまうと、個人を特定しやすくなるリスクがあるので、結果を元に組織分析に活用する際に、サンプルを提供してもらう従業員全員の許可が必要になります。
ただし、ストレスチェックの集団分析は努力義務であるため、人数に関係なくストレスチェックの実施者への依頼が必要です。
4. 組織分析の結果を有効活用する方法


組織分析の結果を有効活用する方法は、分析結果を反映した具体的な施策を策定して実施することです。
組織分析により課題や組織の全体像の把握は可能ですが、課題を解決したり企業成長を促したりするためには何らかの行動が必要になります。
分析により現状を正しく把握し、課題解決や企業成長につながる新戦略を策定して実施しましょう。組織分析に用いるフレームワークによっては、事業拡大やコスト削減につながる新たな発見も期待できます。
組織課題を解決するための方針や施策を策定する際などに、経営幹部で分析結果を共有するとより有効活用できるでしょう。
4-1.分析結果をもとに対策を話し合う
組織分析の結果が出たら、まずは分析結果をもとに対策を話し合いましょう。
話し合う際には、分析結果を可視化して課題に対する共通認識を持つことも重要です。課題に関して、経営陣や管理者の認識がずれてしまっていると、建設的な話し合いができなくなるだけでなく、効果的な改善策を引き出すことができません。
例えば、人間関係に問題がある場合は、「フレックスタイムのせいで部署内の連携が取りづらくなっている」「上司が業務に消極的なせいで部下のやる気が低下している」など、結果をさらに分析して具体的に掘り下げる必要があります。
一見難しく感じるかもしれませんが、フレームワークをしっかり分析すれば、具体的な課題が把握しやすいので、それに対して対策を話し合ってください。
4-2.企業体質や職場環境を改善する
対策を出し合ったら、実際に企業体質や職場環境の改善に着手します。ここで重要となるのが、場当たり的な改善をしないということです。
例えば、「従業員一人ひとりの業務負担が大きい」という課題に対して、「人員を増やす」「工程を見直す」というのは場当たり的な改善になります。課題の要因となる、「なぜ業務負担が大きいのか」という点に着目しないと、また同じ課題が発生するかもしれません。
人員を増やして解決するのか、システムを導入した方が良いのかなど、現場の声を聞いて柔軟に対応することが効率よくかつ無駄のない改善策につながります。
5. 組織分析のフレームワークの成功事例


組織分析のフレームワークの成功事例として、以下の2社の事例を紹介します。
- A社
- B社
ここでは、各社の成功事例の詳細について見ていきましょう。
5-1. A社|7Sを用いた事例
組織分析のフレームワークに7Sを用いたA社の成功事例の詳細は、以下のとおりです。
| 分析前の課題 | 顧客情報が一元管理されていない結果、有力情報の見逃しや検索に時間がかかるなどの問題が生じていた |
| 7Sのハード要素の分析による対策 | 情報管理に関するシステムを見直し、情報を一元管理できる情報管理システムを導入した |
| 7Sのソフト要素の分析による対策 | 社内風土を見直して社内SNSを普及させ、従業員間での容易な情報交換の場を提供した |
分析前の課題を洗い出し、それに対処できる対策をおこなうことで、有力情報や顧客への対応がスムーズになり、成長スピードがアップしました。
5-2. B社|SWOT分析を用いた事例
組織分析のフレームワークにSWOT分析を用いたB社の成功事例の詳細は、以下のとおりです。
| 内部環境要因 | Strength(強み) |
|
| Weakness(弱み) |
|
|
| 外部環境要因 | Opportunity(機会) |
|
| Threat(脅威) |
|
これらの分析結果を踏まえて、B社ではネット通販に特化した新たなサービスを導入しました。また、人材不足を補うために業務効率を向上させる新たなツールを導入するという改善策も明確になりました。
結果、成長が高止まりしていたブランド力のある事業の戦略を見直すことで、成長を加速させた成功事例です。
6. 組織分析により企業の課題を洗い出そう


組織分析とは、7S・SWOT分析・PPM分析などのフレームワークを用いて、自社の課題や全体像などを明確にすることです。またフレームワークと併用して、ストレスチェックの集団分析を活用して、組織の課題を見つける方法もあります。
ただし、組織分析では単にデータを集めて課題を見つけるだけでは意味がありません。
組織分析の結果を有効活用するためにも、経営幹部で情報を共有するなどして、企業の課題を洗い出して具体的な施策を検討しましょう。分析結果を踏まえた改善策を実施すれば、業務改善や業績向上などの成果につなげることも可能です。
本記事で紹介した成功事例なども参考にしつつ、組織分析を実施して企業成長に役立ててください。
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