過重労働の基準とは?法的ラインや健康リスク・防止策をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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過重労働の基準とは?法的ラインや健康リスク・防止策をわかりやすく解説

目の疲労に苦しむ女性会計士

過重労働は、従業員の心身に深刻なダメージを与えるだけでなく、企業の生産性低下や法的リスクにも直結する重大な課題です。しかし、現場では「具体的にどこからが過重労働なのか」「法的な基準がどうなっているのか」を正確に把握できていないケースも少なくありません。

本記事では、過労死ラインや36協定の上限規制といった最新の法的基準をわかりやすく解説します。また、過重労働が発生する主な原因や、企業が取り組むべき具体的な防止策についても詳しく紹介します。




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1. 過重労働とは

肩こりに悩む実業家

過重労働とは、長時間の残業や休日出勤の常態化、不規則な勤務形態などによって、身体や精神に大きな負担をかける働き方のことを指します。また、時間的なことだけでなく、パワーハラスメント要素を含む叱責や、スキルや経験を超える責任を負わされる業務などにより精神的な圧力がかかることも過重労働とされます。

過重労働に対する法的な定義はありません。しかし、厚生労働省のガイドラインでは、「時間外・休日労働時間が月100時間を超える場合」もしくは「2~6ヵ月平均で月80時間を超える場合」は健康被害のリスクが高いとされており、これに該当する働き方をしている場合は過重労働だと考えられます。

参考:過重労働による健康障害を防ぐために|厚生労働省

1-1. 過重労働と長時間労働の違い

過重労働と長時間労働の違いは、心身に負担がかかることまで基準にしているかどうかです。

長時間労働というのは労働時間に焦点を当てた考え方で、長時間働くことを意味していますが、労働基準法で定められている法定労働時間(1日8時間以上・週40時間)を超えて労働することを指す場合もあります。

長時間労働の基準はあくまでも「労働時間」であり、心身に負荷がかかっているかどうかは関係ありません。

一方、過重労働というのは労働時間だけでなく、心身に負担がかかることも基準となっています。つまり、過重労働と判断される条件の一つにあるのが「長時間労働」なので、過重労働とは意味が異なります。

参考:労働基準法|e-Gov 法令検索

1-2. 過重労働と36協定の違い

過重労働は「働き方」を指す言葉で、36(サブロク)協定は「働くルール」を指しています。

36協定とは、法定を超えて労働者に時間外労働や休日労働をさせる場合に、企業が労働者と締結する取り決めのことです。時間外労働や休日労働の上限は36協定で定められますが、その内容は労働基準法の上限規制の範囲内でなければならず、企業が自由に無制限に設定できるものではありません。

36協定で定めた上限を超えて労働させた場合、その労働は違法となり、企業は行政指導や罰則の対象となるおそれがあります。このように36協定は、本来違法となる時間外・休日労働を例外的に認めつつ、その範囲に法的な上限を設けることで、過重労働を防ぐための重要な制度といえます。

関連記事:36協定における残業時間の上限を基本からわかりやすく解説!

2. 過重労働に該当する基準

テーブルの上の砂時計

日本では、労災認定や労働基準法の運用において、労働時間を中心とした客観的な基準が設けられており、これを超えると過重労働と判断されやすくなります。ここでは、過重労働に該当する目安や基準について、法的な枠組みや指針を整理します。

2-1. 過労死ライン

過労死ラインとは、厚生労働省が定める「脳・心臓疾患の労災認定基準」において、業務と発症との関連性が強いと評価される目安となる時間外労働時間を指します。具体的には、発症前1ヵ月に100時間を超える時間外労働、または発症前2〜6ヵ月の平均で月80時間を超える時間外労働が該当します。

この水準を超えると、業務による過重な負荷と脳・心臓疾患の発症との関連性が強く推定されるため、労災認定される可能性が高くなります。なお、「過労死等」とは、過労死等防止対策推進法第2条により、次のように定義されています。

  • 業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
  • 業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
  • 死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害

引用:過労死等防止対策|厚生労働省

従来の労災認定では、過重労働の有無が主に労働時間によって判断される傾向にありましたが、2021年の認定基準改正により、労働時間に加えて、深夜勤務や休日のない連続勤務、勤務間インターバルの短さなどの労働時間以外の負荷要因も含めて、業務による負荷を総合的に評価することが明確化されました。

そのうえで、発症前1ヵ月100時間超、または2〜6ヵ月平均80時間超という時間外労働の水準は、依然として「過労死ライン」として、業務と発症との関連性が強いと推定される重要な判断基準となっています。

参考:脳・心臓疾患の労災認定基準 改正に関する4つのポイント|厚生労働省

関連記事:残業の過労死ラインとは?時間・管理職の場合・企業の対策を解説

2-2. 時間外労働の上限規制の基準

法改正前は、企業と従業員が36協定(労使協定)を締結していれば、「1ヵ月45時間、1年間360時間」の労働時間延長が可能となっていました。また、「特別条項付き」にすれば、上記の延長時間を超えても、時間外労働をして良いとされていました。

しかし、2019年4月の労働基準法改正により、特別条項に次の制限が設けられました。

  • 時間外労働は年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計について、「2ヵ月平均」「3ヵ月平均」「4ヵ月平均」「5ヵ月平均」「6ヵ月平均」が全て1ヵ月当たり80時間以内
  • 時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヵ月が限度

なお、改正当初は建設業やドライバーなど一部の業種に対して36協定適用の猶予期間が設けられていましたが、この猶予期間はすでに終了しており、2024年4月からは上記の上限規制(一部特例あり)が適用されています。

このように、現在は特別条項付きであっても、明確に残業時間の上限が定められているため、これが過重労働の一つの基準となります。

参考:時間外労働の上限規制わかりやすい解説|厚生労働省

関連記事:36協定に違反したらどうなる?違反時の罰則や対象者、対処法を解説

2-3. 長時間労働者への面接指導の基準

過重労働に関する基準には、長時間労働者に対する医師の面接指導制度が連動しています。

労働安全衛生法では、1ヵ月の時間外労働および休日労働が80時間を超えた労働者について、企業はその事実を本人に通知し、医師による面接指導を受けるかどうかの申出の機会を与えることが義務付けられています。

労働者から申出があった場合、企業は医師による面接指導を実施しなければなりません。そのため、企業は従業員ごとに毎月の時間外・休日労働時間を把握・集計し、80時間を超える労働者がいる場合には、面接指導の対象となることを適切に案内する必要があります。

なお、残業時間の上限規制(36協定による管理)と、面接指導の対象となる80時間基準は、計算の考え方が異なります。上限規制は月や複数月平均などの枠組みで管理されますが、面接指導は「単月で80時間を超えたかどうか」で判断されます。

そのため、残業時間が36協定の上限に達していなくても、単月で80時間を超えていれば、面接指導の対象となる点に注意が必要です。

参考:長時間労働者への医師による面接指導制度について|厚生労働省

3. 過重労働の基準超過による企業側のリスク

グラフの分析

過重労働は、従業員の健康や生活に悪影響を及ぼすだけでなく、企業経営にも深刻なリスクをもたらします。

法定労働時間や過労死ラインを超える労働が常態化すると、業務効率の低下や人材流出、法的トラブルなど、多方面に影響を及ぼします。ここでは、企業が直面する主なリスクを整理します。

3-1. 生産性・組織パフォーマンスの低下

長時間労働は、一時的に労働量を増やす効果がある一方で、従業員の疲労や集中力低下を招き、結果的に生産性の低下や業務ミスの増加につながります。また、慢性的な過重労働は組織全体の士気を下げ、チームのパフォーマンスやイノベーション力の低下を引き起こす可能性もあるでしょう。

そのため、適切な労働時間管理や柔軟な勤務制度の導入などにより、従業員の健康と生産性を両立させる取り組みが求められます。加えて、定期的な業務負荷の見直しや、従業員の意見を反映した改善策の実施も重要です。

3-2. 離職増加による人材流出と採用力への悪影響

過重労働が常態化すると、従業員のワークライフバランスが崩れ、離職率が上昇します。優秀な人材の流出は、企業にとって知識やスキルの損失だけでなく、採用コストの増加や採用ブランドへの悪影響も招くでしょう。

現代では新たな人材の確保が難しくなっているので、過重労働は人材不足のリスクを高める可能性があります。従業員の健康を守ることはもちろん、安定した人材確保のためにも、企業は過重労働の防止に取り組むことが重要です。

3-3. 長時間労働に起因する労災認定のリスク

過重労働が従業員に与える影響の中でも、特に深刻なのは、長時間労働による脳・心臓疾患のリスク上昇であり、最悪の場合は過労死につながる可能性がある点です。厚生労働省の調査でも、慢性的な長時間労働は身体的・心理的ストレスを蓄積させ、脳卒中や心筋梗塞などの発症リスクを高めることが示されています。

つまり、長時間労働が原因で健康障害が発生した場合、労災認定の対象となる可能性が高まります。労災として認定されると、企業は労働保険料の増加や損害賠償のリスク、さらには社会的信用の低下といった影響を受けるおそれがあるのです。

参考:脳・心臓疾患の労災認定|厚生労働省

3-4. 法令違反による行政指導や罰則・損害賠償

過重労働が発生している場合、時間外労働の上限規制などの法令に違反していることも少なくありません。このような場合、行政からの指導や是正勧告の対象となります。

さらに、労働基準法違反は刑事罰(拘禁刑や罰金)の対象となるほか、過重労働によって従業員に健康被害が生じた場合には、民事訴訟による損害賠償のリスクもあります。

加えて、こうした法令違反や労働環境の不備は、企業の社会的信用にも直結するでしょう。ニュースやSNSでの情報拡散により、取引先や顧客の信頼を失うことで、取引停止などの二次的な損失につながる可能性もあります。

このように、過重労働の放置は単なる労務上の問題にとどまらず、企業経営全体に深刻なリスクをもたらすのです。

4. 日本における過重労働の現状

週労働時間が49時間以上の各国の割合

引用:令和5年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況 |厚生労働省

日本では、長時間労働の割合が海外と比較すると高いという特徴があります。2023年の厚生労働省の資料によると、日本では週の労働時間が49時間を超える労働者の割合が、15.2%となっています。

15.2%というと低く感じるかもしれませんが、このパーセンテージはアメリカやイギリス、ドイツなどの先進国よりも高く、男性だけで見ると約5人に1人が長時間労働をしているのが現状です。

年平均労働時間は減少傾向にあるものの、世界的に見ると長時間労働の割合は依然として高いです。長時間労働は過重労働につながる可能性があるため、適切な防止策が求められます。

4-1. 過重労働が発生する原因

過重労働が発生する原因の多くは、業務量や人手不足にあると考えられます。2023年の厚生労働省の資料によると、所定外労働が発生するのは「業務量が多いため」という理由が最も多く、38.4%でした。

次に多かったのが「人員が不足しているため」で29.8%、3番目に多かったのは「仕事の繁閑の差が大きいため」で16.5%となっています。

このような結果から、長時間労働や休日出勤の原因となるのは、業務量の多さや人手不足が大きく関係していると推測できます。過重労働を防ぐためには、業務量を適正化し、必要な人員を確保することが重要です。

参考:令和5年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況 |厚生労働省

5. 「働き方改革関連法」による過重労働対策とは

オフィスでの会議

過重労働対策は企業の責任ですが、日々の業務の中で対策だけに注力するのは容易ではありません。

国は企業が過重労働防止を適切におこなえるように、「働き方改革関連法」を施行しています。ここでは、この法律による過重労働対策について解説します。

なお、働き方改革関連法には、ここで紹介する内容のほかにも、「高度プロフェッショナル制度の創設」「正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の禁止」といった改正が含まれています。

参考:働き方改革関連法に関するハンドブック|厚生労働省

5-1. 中小企業における月60時間超え時間外労働の割増賃金率引き上げ

時間外労働や深夜労働には通常賃金の25%以上、休日労働には35%以上の割増賃金の支払いが義務付けられています。また、月60時間を超える時間外労働に対しては、割増率が50%以上に引き上げられます。

中小企業は当初、この月60時間超の時間外労働に対する50%以上の割増率の適用が2023年3月まで猶予されていました。しかし、2023年4月以降はすべての企業に義務化されています。

参考:2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます|厚生労働省

時間外労働が月60時間を超えるような長時間労働が常態化している企業では、賃金コストが増えるため、過重労働を抑制するインセンティブが働きます。

つまり、法律による割増賃金の引き上げは、単なる費用負担の増加だけでなく、労働者の健康を守り、働き方の改善を促す重要な仕組みとなっているのです。

関連記事:月60時間超残業の割増賃金率引き上げは中小企業も対象に!計算方法を解説

5-2. 年5日の年次有給休暇の取得義務化

働き方改革関連法では、「年間10日以上の有給休暇が与えられる全ての労働者に対して、年次休暇を付与した日から一年以内に最低でも5日間は取得させなくてはならない」という年次有給休暇の取得を義務づけています。

これは2019年4月の法改正で施行されたもので、年10日以上の有給休暇がある従業員には、必ず5日取得させなければならないというルールです。

有給休暇の取得と過重労働に直接的な関係はありませんが、半強制的であっても休みが取れれば、従業員は身体や心を休めることができるので間接的な過重労働対策となります。

従業員が少ない中小企業にとって義務化は負担かもしれませんが、義務を怠った場合は労働基準法の第120条により30万円以下の罰金が課されるので必ず取得してもらいましょう。

関連記事:有給休暇年5日の取得義務化とは?企業がおこなうべき対応を解説

5-3. フレックスタイム制の拡充

過重労働を防ぐには、フレックスタイム制を導入する方法も効果的です。

フレックスタイム制とは、コアタイム(必ず勤務していなければならない時間)に勤務していれば、出社時間も退社時間も従業員が自由に決められるという勤務制度です。

フレックスタイム制にすれば、「前日遅くまで残業したから10時出勤にする」「今週は法定労働時間分働いたからコアタイムだけ出勤する」というように、従業員の体調や予定に合わせて勤務スケジュールを決めることができるので、過重労働になりにくい環境を整えられます。

さらに、働き方改革関連法によりフレックスタイム制が拡充され、労働時間を調整できる期間(清算期間)は従来の1ヵ月から最大3ヵ月まで延長できるようになりました。これにより、業務量の増減に応じてより柔軟な働き方が可能となっています。

5-4. 勤務間インターバル制度の導入

勤務間インターバル制度とは、業務が終了した時間から次の日の勤務開始時間まで、一定以上のインターバル時間(休息時間)を設ける制度です。2019年4月の働き方改革関連法施行により、労働時間等設定改善法が改正されたことで、インターバル制度は企業の努力義務の対象となっています。

今までの過重労働対策というのは、「残業を減らす」「休日出勤をできるだけ削減する」など働く時間を短くするというアプローチが主流でした。しかし、そのためには業務自体を減らしたり人員を増やしたりすることが求められるので、現場レベルでは過重労働対策として難しいというのが実情でした。

勤務間インターバル制度は、「働く時間」ではなく「休む時間」にフォーカスした制度なので、企業が取り入れやすい対策です。業務間に十分な休息を確保して心身ともにしっかり休めれば、健康被害を減らす効果が期待できます。

5-5. 産業医による面接指導の強化

働き方改革関連法の改正により、「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されました。

産業医による面接指導は以前からありましたが、改正後は産業医の権限や面接指導内容がより強化されたことで、過重労働環境を改善する効果が期待できます。

面接対象となるのは、時間外・休日労働が月80時間を超えている従業員です。ただし、面接に関しては従業員からの申し出が必要になります。申し出があった場合は、企業は必ず面接指導を実施しなければなりません。

しかし、従業員が面接を希望しなかった場合は、産業医の面接指導は企業の努力義務となるため強制はできません。

なお、研究開発業務従事者および高度プロフェッショナル制度適用者については、時間外労働等が月100時間を超えた場合、本人の申し出に関わらず面接指導の実施が義務付けられている点にも留意が必要です。

参考:働き方改革関連法により2019年4月1日から「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます|厚生労働省

5-6. 【ポイント】2026年以降、過重労働規制はどう変わる?法改正の可能性と注意点

約40年ぶりに想定される労働基準法の大幅改正が検討されています。過重労働に関連して議論されている内容は、主に次の通りです。

  • 時間外・休日労働の上限規制の見直し
  • 連続勤務の制限
  • 勤務間インターバルの義務化
  • 「つながらない権利」の整備 など

この改正案は2026年の国会提出が見送られたと報じられています。しかし、今後大規模な改正がおこなわれる可能性は依然としてあります。企業としては、法改正に備えて社内環境を見直し、法令遵守が可能な体制を整備しておくことが重要です。

参考:「労働基準関係法制研究会」の報告書を公表します|厚生労働省

参考:労働基準法の改正案、26年国会提出見送り 成長戦略会議踏まえ検討|日本経済新聞

関連記事:2026年の労働基準法の改正は見送りへ!施行時期や議論中のテーマを解説

6. 過重労働を防ぐための対策

17時に帰宅

過重労働は従業員の健康や企業の生産性に深刻な影響を及ぼします。ここでは、過重労働を防ぐための具体的な対策を紹介します。

6-1. 全従業員の労働時間を正確に把握する

全従業員の労働時間を正確に把握することは、過重労働の予防に欠かせません。法定労働時間に加えて、時間外労働まで含めて管理すれば、「長時間労働」という過重労働の判断基準を定期的に確認できます。

これにより、過労リスクが高まる前に業務量の調整などの対応を迅速におこなうことが可能です。また、長時間労働が常態化している場合には、従業員の働き方への意識改革も重要です。

残業や休日出勤を当然とする考え方を改め、決められた勤務時間内に業務を終えることを基本とする文化を育てることで、自然と長時間労働の抑制につながります。

さらに、業務効率化により残業時間を削減した場合の評価制度や、有給休暇取得の推進制度などを導入することも効果的です。こうした取り組みを組み合わせることで、従業員の健康を守りつつ、生産性の向上も期待できます。

6-2. 業務内容と人員配置を再検討する

業務負担による過重労働を防ぐためには、業務内容と人員配置を再検討する必要があります。

まずは、従業員の労働時間を管理して、特定の従業員や部署に業務量が偏っていないかを確認しましょう。業務負担が大きい従業員や部署を把握すれば、労働時間が多い部署の人員を増やして、業務量を標準化できます。

ただし、人材確保が難しい場合は人員の追加が困難なこともあります。その場合は、業務を効率化するシステムの導入や外部委託の活用、業務内容の見直しといった手段で業務量を減らすことが効果的です。

従業員が担当する業務を減らすことで、自然と労働時間も短縮できます。

6-3. 評価制度や福利厚生を見直す

従業員が長時間労働をせずに高い成果を上げられる環境を整えるためには、評価制度や福利厚生の見直しが不可欠です。

従来の「勤務時間の長さ」を重視した評価では、どうしても長時間労働が奨励されてしまい、過重労働の温床となるおそれがあります。

そのため、評価基準を「成果や業務効率」に重点を置く形に改めることが重要です。例えば、プロジェクトの達成度や目標達成までのプロセス改善などを評価に組み込むことで、単純に残業時間が長い人だけが高く評価される状況を避けられます。

さらに、従業員が心身ともに健康で働き続けられる環境を整えることも、過重労働防止には欠かせません。具体的には、リフレッシュ休暇の導入や定期的なメンタルヘルス研修などが挙げられます。

こうした福利厚生を充実させることで、従業員は安心して効率的に働けられ、結果として企業全体の生産性や組織力の向上にもつながります。

6-4. 健康管理体制を整える【労働安全衛生法改正によりストレスチェック義務化に!】

従業員の健康を守ることは、過重労働防止の基本です。定期健康診断やストレスチェックを実施し、異常値や高リスク者がいれば早期に対応します。

さらに、産業医や保健師による面接指導、メンタルヘルス研修の実施、相談窓口の設置など、組織全体で健康管理を支援する体制を整えることで、長時間労働による健康被害を防止できます。

なお、現行の労働安全衛生法では、常時従業員50人以上の事業場に対して、年1回のストレスチェック実施が義務付けられています。一方、従業員50人未満の事業場では努力義務とされており、現時点では義務化されていません。

しかし、2025年5月に公布された労働安全衛生法の改正により、これまで努力義務だった従業員50人未満の事業場でも、ストレスチェックの実施が義務化されることになりました。施行は公布から3年以内の政令で定める日とされており、事業場には準備期間が設けられています。

過重労働が常態化している企業では、従業員に高いストレスがかかっている可能性があります。義務化により、早期にメンタルヘルスの問題を把握し、適切な対策を講じることが重要です。

参考:労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律について(報告)|厚生労働省

7. 過重労働の基準を把握して従業員の健康を守ろう

空を見上げる様々な職業の人々

過重労働は、従業員の身体的・精神的に大きな負荷がかかる働き方のことを指します。時間外・休日労働時間が月100時間を超えたり、2〜6ヵ月平均で月80時間を超えたりすると過重労働と判断されます。

故意かどうかに関係なく、過重労働をさせ続けることは、従業員のメンタルヘルス不調や過労死につながるリスクがあるので、企業は過重労働を防止しなくてはなりません。

過剰労働を防ぐためには、システムの導入による業務負担の軽減や配置の見直し、従業員の意識改革などが効果的です。過重労働が起こる環境を放置すると、大事な人材の損失にもつながるので、過重労働の基準と対策を把握して従業員の健康を守りましょう。

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jinjer Blog 編集部

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