業績管理とは?目的や実践手法、効率化するための方法・ツールを解説!
更新日: 2025.5.30 公開日: 2025.3.18 jinjer Blog 編集部

業績管理とは、企業目標を達成するための取り組みを管理する手法です。経営状況を正確に把握し、効果的な施策を取るために重要なため、上手に活用しなければなりません。
本記事では、業績管理の目的や実現方法について解説します。実践のコツや課題点についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードの上、お役立てください。
1. 業績管理とは

業績管理とは、ある企業が売上や販売数などに関して立てた目標に対し、進捗状況や達成度合いを管理することです。定期的な業績の見直しにより、企業の状態を客観視できるため、方向性の決定にも役立つでしょう。
業績管理は企業運営の向上になくてはならないものなので、効率的に管理することが求められます。業績管理には、月次決算や四半期ごとの決算なども含まれます。
1-1. 業績管理と経営管理の違い
経営管理とは、組織の目標を達成するために、経営戦略を見直したり、経営資源(ヒト・カネ・モノ)を最適に調整したりする取り組みです。業績管理と経営管理は、いずれも組織の目標を効率的に実現することを目的としています。
ただし、経営管理は「企業全体」に焦点を当てるのに対し、業績管理は「個人や部門」にフォーカスするという違いがあります。経営管理によってビジョンや戦略が策定され、その方向性に基づいて、業績管理で個人やチームの成果・プロセスが定期的に評価・改善されることで、組織全体の成長につながっていきます。
1-2. 業績管理と予算管理の違い
予算管理とは、あらかじめ設定した予算と実際の支出・収入(実績)を比較・分析し、予算が計画通りに活用されているかを確認しながら、必要に応じて方針や計画を見直すための管理活動のことです。予算管理と業績管理は、どちらも目標に対する進捗をモニタリング・評価し、改善につなげる点で共通しています。
ただし、予算管理は資金やコストといった財務面に焦点を当てるのに対し、業績管理は個人や部門の成果に焦点を当てるという違いがあります。業績を上げるためには、適切な予算の配分と管理が不可欠です。このように、業績管理と予算管理は互いに連携しながら、組織の目標達成を目指します。
関連記事:財務管理の業務内容や効率化のポイントをわかりやすく紹介
2. 業績管理の目的や必要性

業績管理は、なぜ必要とされるのでしょうか。ここでは、業績管理の目的や必要性について詳しく紹介します。
2-1. 経営状況を正確に把握し向上させる
業績管理を実施しない場合、経営が上手くいっているのか客観的に把握することが難しくなります。たとえ赤字などの問題が発生していても、発見や対応が遅れ、結果として組織の目標を達成できない可能性があります。
業績管理を実施することで、経営状況を可視化し、問題点やボトルネックを明確にすることが可能です。業績管理により洗い出された課題に対して適切な対策を講じ、実行に移すことで、効率よく組織目標の達成へとつなげることができます。
2-2. 社内リソースを最適化する
業績管理を実施すれば、売上が伸びている部署、利益が縮小しているサービスなど、経営状況を客観的に把握することが可能です。その結果、今後の成長が見込まれる部門や事業に対して、人材・コスト・資材・時間などの経営資源を重点的に投入することができるようになります。このように、社内リソースを最適化し、より効率的な経営を実現するためにも、業績管理は役立ちます。
2-3. 人事評価制度の活性化につながる
上司や管理者の主観により、人事評価をおこなっている場合、実際に成果を出している従業員が正しく評価されないなど、評価の基準が曖昧になる可能性があります。会社に対する従業員の不満につながれば、仕事に対するモチベーションが低下し、業務効率の低下や離職率の上昇を招く恐れもあります。
業績管理をおこなえば、どの部門、誰が成果を出しているのか、数値や実績に基づき客観的に把握することが可能です。これにより、公平な人事評価が実現され、従業員の満足度向上や労働生産性の向上にもつながります。
3. 業績管理に利用する2つの指標

業績管理に利用する主な指標は以下の2つです。
- KGI(Key Goal Indicator):重要目標達成指標
- KPI(Key Performance Indicator):重要業績評価指標
具体的な内容は次のとおりです。
3-1. KGI
KGIとは、組織が目指す最終的な目標(ゴール)のことです。一般的に、KGIは数値化され、定量的に設定されるのが特徴です。例えば、「次年度までに売上を10%増加させる」や「来期のLPサイトのコンバージョン率(CVR)を20%改善する」といった目標がKGIに該当します。
関連記事:KGIとKPIの違いは?それぞれの意味をわかりやすく解説
3-2. KPI
KPIとは、組織の目標達成に向けたプロセスを評価するための指標を指します。KPIは、最終目標であるKGIに到達するまでの「途中のチェックポイント(中間目標)」として機能し、必要に応じて軌道修正をするための材料となります。
KGIまでの過程を数値として可視化できるので、従業員一人ひとりのタスクを具体的に精査・管理することが可能です。また、KPIを継続的に見直すことで、改善のヒントが得られ、KGI達成に向けた施策も前向きに構築できます。
例えば、「売上10%アップ」というKGIに対するKPIは「今月の新規顧客獲得数10件」や「広告キャンペーンの実施」などが挙げられます。また、「CVRを20%改善する」というKGIに対しては、「キャッチコピーの見直し」や「申込ボタンの最適化」といった施策がKPIになります。
関連記事:KPI(重要業績評価指標)とは?KPIの意味やKGIとの違いをわかりやすく解説
4. 業績管理を実践する手法

業績管理は、ツールを活用すると、効率よく実施できます。ここでは、業績管理に役立つツールとその実践手法について詳しく紹介します。
4-1. エクセルツールを活用する
エクセルなどの表計算ソフトに、日々の取り組みを入力していくことで、業績管理を実現することが可能です。エクセルは、会社のパソコンに既にインストールされていることも多く、新たなコストをかけずに、ツールを用いた業績管理が始められます。また、関数を利用して、計算・集計作業を自動化すれば、業務効率の向上が期待できます。
一方で使用方法を誤ると、設定していた関数が消されて正しく処理できないような不都合が生じる恐れがあります。複雑な処理をおこなうには一般的な関数では間に合わず、マクロの作成が必要です。エクセルツールでの業績管理に限界を感じたら、他のツールや手法を検討しましょう。
4-2. 業績管理システムを導入する
業績管理システムとは、社内の業績に関わる情報を一元的に管理し、効果的に活用するためのツールです。人事管理システムや人事評価システムに組み込まれた業績管理機能で代用することもできます。
業績管理システムを活用すれば、業績データをリアルタイムで集計・分析し、経営状況を迅速に把握できます。また、データがシステム上で一元管理されるので、情報共有がしやすくなり、経営層やマネジメント層は、意思決定を早めることが可能です。
ただし、業績管理システムを導入・運用するためには、時間とコストがかかります。また、業績管理システムと一口にいっても多様なタイプがあるので、複数のツールを比較し、自社に合ったシステムを採用することが大切です。
関連記事:人事評価システムは必要?比較する際におすすめの選び方やメリットを解説
5. 業績管理のよくある課題や問題点

ここでは、業績管理のよくある課題や問題点について詳しく紹介します。事前に把握し、対策を講じておくことで、効率よく業績管理を実現することができます。
5-1. 評価基準が曖昧で主観的な評価になりやすい
業績管理の評価の基準を明確にしていない場合、上司や管理者の偏見・好みで評価してしまい、公平性が欠け、従業員の不満につながる可能性があります。
結果として、生産性が低下し、業績管理の目的を果たせない恐れもあります。業績管理を実施する場合、その評価方法もあらかじめ明確にすることが大切です。また、上司・管理者が正しく評価できるよう、研修を設けるのも一つの手です。
5-2. データ収集・分析に時間と労力がかかる
業績管理を始めるには、それのもととなるデータの収集が不可欠です。また、データを手に入れたら、集計・分析をおこない、改善につなげる必要があります。
このような過程には、時間と労力がかかります。データ収集・分析に多くの時間が取られると、コア業務に集中できず、成果につながらない可能性もあります。
業績管理のプロセスに悩みを抱えている場合、業績管理システムの導入を検討しましょう。自社の課題・目的にあわせて、必要な機能が搭載されたツールを採用することが大切です。
5-3. 業績管理の形骸化による従業員のモチベーション低下
業績管理をすることにこだわり過ぎて、目的を見失ってしまうことも少なくありません。業績管理をしても、成果につながらなければ、従業員のモチベーション低下につながる恐れもあります。
業績管理をする場合、その目的をまず明確にすることが大切です。KGI・KPIの指標を活用することで、目標を定量的に設定でき、効率よく業績管理をおこない、目標達成を目指すことができます。
6. 業績管理を効果的に実現する方法とポイント

ここでは、業績管理を効果的に実現する方法とポイントについて詳しく紹介します。自社の業績管理に役立ちそうな点があったら、ぜひ採用してみましょう。
6-1. KPIを複数設定する
業績管理を効率化するために、KPIを複数の切り口から設定しましょう。
業績管理の肝は、未達成のKPIを分析することにあります。なぜ達成できなかったのかを深掘りしていくことで、自社の業績アップに役立つのです。
例えば、売上10%アップのKGIには「新規顧客を10件獲得」「既存顧客の単価を20%アップ」など複数のKPIを設定します。ECサイトのCVRを20%改善するKGIには「ファーストビューの画像を変更」「LPの操作性を改善」など別の切り口でKPIを設定するとよいでしょう。
複数あるKPIのなかから、問題のあるものや、優先的に評価するべきものに注目して評価すると効率的に業績管理がおこなえます。
6-2. PDCAサイクルを活用する
PDCAサイクルを活用するのも業績管理をおこなううえで重要です。
データをもとに計画(Plan)を立て、施策を実行(Do)し、結果を評価(Check)します。このあと評価をふまえて改善策(Act)を練るところまでを必ずワンセットにしましょう。
6-3. 定量評価を意識する
業績管理をする場合、目標は数値化し、定量的に設定することがポイントです。定量的な目標は、個人的な偏見や感情に左右されにくく、客観性を高めることができます。
従業員の認識を統一し、業績管理を進めることで、効率よく目標達成を目指すことが可能です。また、目標が数値化されていれば、進捗状況も簡単に把握できるので、公平な人事評価が実現されやすくなります。
6-4. 情報を一元管理できるよう配慮する
部門をまたがり情報を一元管理するのも、業績管理の精度をあげるのには大切です。
全社で情報を共有し、常に最新のデータに更新していけば、業績管理の精度が向上します。部門間の連携が必要なケースも多々あるため、可能な限り部署内に閉じず、全社的な共通システムを導入するのが有用です。
必要なとき、いつでもリアルタイムで情報が得られるシステムを構築しておけば、問題発生時にもスムーズに対処できます。
6-5. 従業員が主体的に業績管理に取り組むよううながす
従業員が主体性をもって業績管理に取り組むよううながしましょう。
実際に業務を遂行するのは現場の従業員です。従業員の当事者意識が芽生えれば、現場ならではの気づきを活かした戦略が練れます。
経営陣からの指示で仕方なく業績管理に取り組んでいたのでは、なかなか自主性は生まれないため、業績管理の意義をしっかり伝えましょう。
7. 業績管理のポイントを押さえ企業の発展に活かそう

業績管理は、企業の目標に対する達成状況を管理することです。経営状況の把握や社内リソースの最適化などに有用で、指標にはKGIやKPIを使って判断するのが一般的です。
上手に活用すれば経営の効率化につながります。ポイントを押さえ、企業の発展に活かしてください。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードの上、お役立てください。
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