従業員が出産手当金をもらえないケースとは?支給条件や対応策を解説
更新日: 2026.5.29 公開日: 2025.6.13 (特定社会保険労務士)

「出産手当金はだれでももらえるの?」
「なぜ支給されないケースがあるの?」
こうした疑問は、出産を控えた従業員だけでなく、人事担当者にとっても重要なポイントです。出産手当金は、産前産後の収入源を補う大切な制度ですが、加入している保険の種類や働き方、給与の支払い状況などによっては支給されないケースもあります。
企業が正しい知識を持ち、従業員へ適切な情報提供や支援ができる体制の構築は、信頼関係の構築や人材定着にもつながるでしょう。
本記事では、出産手当金が支給されない具体的なケースと支給条件を整理したうえで、対象外となる従業員への対応策や関連制度を解説します。制度の内容を把握し、誤解のない案内ができる状態を目指しましょう。
育児・介護休業に関する法改正が2025年4月と10月の2段階で施行されました。特に、育休取得率の公表義務拡大など、担当者が押さえておくべきポイントは多岐にわたります。
本資料では、最新の法改正にスムーズに対応するための実務ポイントを網羅的に解説します。
◆この資料でわかること
- 育児・介護休業法の基本と最新の法改正について
- 給付金・社会保険料の申請手続きと注意点
- 法律で義務付けられた従業員への個別周知・意向確認の進め方
- 子の看護休暇や時短勤務など、各種両立支援制度の概要
2025年10月施行の改正内容も詳しく解説しています。「このケース、どう対応すれば?」といった実務のお悩みをお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 従業員が出産手当金をもらえないケースはある


出産手当金は、出産すれば必ず受け取れるものではありません。加入している健康保険の種類や立場、休業中の給与の支払い状況などによって、支給対象外となるケースがあります。
出産手当金は、健康保険の「被保険者」が出産を理由に仕事を休み、その期間中に給与が支払われない場合に、生活を支えるための給付として設けられた制度です。そのため、条件を満たしていなければ、出産していても支給されない点に注意が必要となります。
「もらえると思っていたのに対象外だった」という認識のズレは、従業員の不安や不信感につながりやすい部分です。人事担当者としては、あらかじめ対象範囲や条件を整理し、誤解のない説明ができる状態を整えておくことが重要です。
また、出産手当金の対象外となる場合でも、育児休業給付金など別の制度は対象になるケースもあります。状況に応じて代替となる制度を案内することも、企業に求められる対応のひとつです。
1-1. 出産手当金の概要と制度趣旨
出産手当金は、健康保険の被保険者が出産のために仕事を休み、給与を受け取れない期間の生活を支える目的で支給される給付です。
対象となる期間は、「出産日(実際の出産が予定日より遅れた場合は出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日まで」の産前産後休業期間です。この間に企業から給与が支払われていない、または支払われていても出産手当金より少ない場合に、その差額または全額が支給されます。
制度の目的は、出産前後の女性が安心して休業できる環境を整えることにあります。収入の不安を軽減することで、無理な就労を防ぎ、母体の健康確保と出産後の生活の安定につなげる役割を担っています。
一方で、この制度はあくまで「健康保険の被保険者」を前提としているため、加入状況によっては対象外となる点が実務上の大きなポイントです。
参考:出産手当金|協会けんぽ
関連記事:出産手当金は扶養家族の出産時にはもらえない?給付の条件やもらえる補助金を解説
2. 出産手当金がもらえないケース


出産手当金がもらえないケースは、次のとおりです。
- 国民健康保険に加入している
- 健康保険の扶養に加入している
- 健康保険の任意継続制度に加入している
- 休職中に給与を受け取っている
- 申請期限(2年)を超えている
ここでは、それぞれのケースについて詳しく解説します。
2-1. 国民健康保険に加入している
国民健康保険には、出産手当金の制度が設けられていないため、加入者は受給できません。出産手当金は、企業の社会保険に加入する「被保険者」に対して休業中の所得を保証する制度だからです。
主に、フリーランスや自営業者のほか、パート・アルバイトなどで週の所定労働時間が20時間未満など社会保険加入条件を満たしていない従業員がこれに該当します。
特に、出産予定の従業員が退職を検討している場合は、退職のタイミングや加入期間によっては出産手当金の受給資格が失われる可能性があります。退職後も引き続き受給するための要件(資格喪失後の継続給付)について、正しく案内することが重要です。退職後の受給要件は、2-3章にて詳しく解説します。
2-2. 健康保険の扶養に加入している
家族の健康保険の扶養(被扶養者)として加入している場合も、出産手当金の支給対象外となります。出産手当金は、出産する本人が社会保険料を納めている「被保険者」であることが条件です。
パートやアルバイトなどで、年収や勤務時間が一定基準を下回っており、被扶養者となっているケースが該当します。「企業に勤めていれば給付金を受け取れる」と誤認している従業員も多いため、丁寧な説明が必要です。
2-3. 健康保険の任意継続制度に加入している
退職後に「任意継続制度」を利用している従業員も、原則として出産手当金の支給対象外となります。
任意継続制度とは、退職後も最長2年間、在職中と同じ健康保険に加入し続けられる制度です。出産手当金は「在職中の被保険者」に支給されるため、退職後に任意継続制度へ加入している場合は対象外となります。
ただし、退職時に次の条件を満たしている場合のみ、「資格喪失後の継続給付」として、例外的に退職後も受給が可能です。
- 退職日までに継続して1年以上健康保険の被保険者期間がある
- 退職日が、出産予定日の42日前(多胎妊娠の場合は98日前)以降である
- 退職日当日に出勤していない
出産予定の従業員が退職を希望している場合は、これらの条件を満たすかどうかの事前確認が重要です。条件を満たさずに退職した場合は、任意継続制度に加入しても出産手当金は支給されないため、誤解のないよう丁寧に説明しましょう。
2-4. 休業中に給与が支払われている
出産手当金は「休業中の無給状態」を補うための制度です。そのため、企業から給与が支払われている間は、その金額に応じて支給額が調整されます。具体的には、次のように整理されます。
- 給与が出産手当金の額を上回る場合:全額不支給
- 給与が出産手当金の額を下回る場合:差額分のみ支給される
例えば、出産手当金の日額が6,000円の場合は次のとおりです。
- 企業から日額7,000円の給与が支給→出産手当金は不支給
- 企業から日額4,000円の給与が支給→差額の2,000円が支給される
産休中に有給休暇を消化する場合や、企業独自のルールで給与を支給する場合は、この調整の対象となるため注意が必要です。給与支給の有無や金額は、出産手当金の受給に直接影響するため、あらかじめ社内方針を整理し、従業員へわかりやすく説明できる状態にしておきましょう。
2-5. 申請期限(2年)を超えている
出産手当金は、申請期限を過ぎると受給できません。申請期限(時効)は、「出産のため休業した日ごとに、その翌日から2年」です。1日ごとに時効が発生するため、申請が遅れると、最初の数日分から順に受給権が消滅していきます。
特に、退職後の申請は、本人が申請をおこなうケースが多いため、制度を知らないまま期限切れとなるリスクがあります。こうした事態を防ぐためにも、退職予定者への事前案内や必要に応じたフォロー体制を整えておきましょう。
3. 出産手当金の支給条件


出産手当金の支給条件は、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。
- 健康保険の被保険者であること
- 妊娠4ヵ月目(85日)以後の出産であること
- 出産を理由に休業していること
ここでは、3つの条件を詳しく解説します。
3-1. 健康保険の被保険者であること
出産手当金を受け取るには、出産する本人が健康保険の「被保険者」でなければなりません。対象となるのは、全国健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合、公務員の共済組合などに加入する従業員です。
そのため、次のケースは原則として対象外となります。
- 配偶者の扶養に入っている「被扶養者」
- 自営業者などが加入する「国民健康保険」の加入者
- 産前休業が開始する前に退職して「任意継続制度」に加入した被保険者
なお、正社員・契約社員・パートタイムなど、雇用形態の違いは出産手当金の支給可否に関係しません。週の所定労働時間などの条件を満たし、企業の社会保険に加入していれば対象となります。
3-2. 妊娠4ヵ月目(85日)以後の出産であること
出産手当金の対象となるのは、妊娠4ヵ月(85日)以後の出産です。この条件を満たしていれば、出産には、正常分娩だけでなく、流産・死産・人工妊娠中絶も対象となります。
一方で、妊娠85日未満での流産や中絶などは支給対象外のため注意しましょう。
こうしたケースは、制度上の要件だけでなく、従業員にとって非常にデリケートな事情が含まれることも少なくありません。人事担当者は、単に「支給対象外である」と伝えるだけでなく、本人の体調や心情に配慮しながら、必要に応じてほかの制度や社内支援策も含めて丁寧に案内する姿勢が欠かせません。
3-3. 出産を理由に休業していること
出産手当金は、出産のために仕事を休み、その期間の給与が支払われないことに対する所得保障です。そのため、実際に労務に就いていない期間が支給対象となります。
支給期間は、「出産日(実際の出産が予定日より遅れた場合は出産予定日)以前42日(多胎妊娠は98日)から、出産後56日まで」のうち、給与が支払われていない日数分です。
人事担当者としては、休業や給与の支給状況の正確な把握が重要です。申請漏れや誤りを防ぐため、社内制度との整合性や案内フローも確認しておきましょう。
4. 出産手当金がもらえない従業員への対応策


出産手当金がもらえない従業員でも、ほかの制度によって一定のサポートを受けられるケースがあります。主な代替制度は次のとおりです。
- 出産育児一時金(健康保険)
- 育児休業給付金(雇用保険)
- 出生後休業支援給付金(雇用保険)
ただし、制度ごとに条件が異なるため、ほかの制度も対象外となる可能性はあります。従業員の状況に合わせた適切な案内をおこないましょう。
4-1. 出産育児一時金(健康保険)
出産育児一時金は、休業の有無や給与の支払状況にかかわらず支給される制度です。
- 対象:健康保険の被保険者、またはその被扶養者。国民保険の加入者も対象です。
- 要件:妊娠4ヵ月(85日)以上の出産(死産・流産含む)。
- 支給額:原則1児につき50万円。
出産手当金がもらえない扶養内パートや国保の加入者でも、出産育児一時金は受け取れます。また、多くの病院で導入されている「直接支払制度」を利用すれば、窓口での支払いを抑えられることも併せて伝えると親切です。
なお、健康保険の被保険者である場合は、出産手当金と出産育児一時金の両方を受給できます。
4-2. 育児休業給付金(雇用保険)
雇用保険に加入している従業員が出産後に育児休業を取得する場合、その期間中に「育児休業給付金」を受け取れます。この制度は、育児のために休業している従業員に対して、将来的な復職を前提とし、生活を支えることを目的に支給される給付です。男性が育児休業を取得する場合も対象となります。
主な受給要件は、次のとおりです。
- 雇用保険に加入していること
- 原則として、休業開始前2年間に被保険者期間が12ヵ月以上あること
給付期間は、原則として子どもが1歳になる前日までですが、保育所に入所できないなどの事情がある場合は、最大で2歳まで延長されることがあります。
なお、退職している場合や、そもそも雇用保険に加入していない(週20時間未満勤務など)場合は受給できません。新卒などで雇用保険の被保険者期間が1年に満たない場合も対象外となります。出産手当金と同様に利用できないケースがある点に注意が必要です。
申請は、企業を通じてハローワークでおこないます。人事担当者による従業員への案内と手続きのサポート体制を整えておくことが大切です。
関連記事:育児休業給付金はいつ申請する?支給条件や申請、計算方法を解説!
4-3. 出生後休業支援給付金【2025年4月新設】
2025年4月から新設された「出生後休業支援給付金」は、出生直後の一定期間に両親ともに育児休業を取得するなどの要件を満たした場合に支給される制度です。
育児休業給付金に上乗せして支給されるもので、休業初期の収入低下をより手厚く補うとともに、特に男性の育児休業取得を後押しする目的があります。具体的には、育児休業給付金(67%)に出生後休業支援給付金(13%)が上乗せされ、さらに社会保険料や税金がかからないことから、手取りベースでは「10割相当」に近い水準となる仕組みです。
ただし、この制度も雇用保険を前提としているため、退職者や自営業者、雇用保険に未加入の従業員は対象外です。出産手当金と同様に、「だれでも利用できる制度ではない」点を押さえておきましょう。
参考:2025年4月から「出生後休業支援給付金 」を創設しました|厚生労働省
関連記事:2025年4月創設|出生後休業支援給付金の金額・申請方法や対象者をわかりやすく解説
出産手当金がもらえないケースで、特に注意すべきは退職が絡む場合です。資格喪失後の継続給付の要件をすべて満たしていても、最終日に「引継ぎで数時間だけ」と出勤し給与が発生した瞬間、数十万円単位の受給権が消滅することが注意喚起されています。「退職日は必ず欠勤または有給扱いにする」ことを徹底して助言してください。
また、週20時間未満の従業員は、育児休業給付金も対象外となり、経済的支援が出産育児一時金のみという厳しい現実に直面します。医療費控除や、配偶者の年末調整で扶養控除対象になる可能性など、その他のセーフティネットを添えて案内しましょう。
単に制度を説明するだけでなく、「何が使えるのか」をセットで示すことで、従業員の安心感は大きく変わります。
5. 出産手当金の支給期間と支給額の計算方法


出産手当金は、支給される期間と金額の考え方の正しい理解が重要です。従業員からの問い合わせも多いポイントのため、人事担当者として説明できる状態にしておきましょう。
5-1. 支給期間(産前42日+産後56日)
出産手当金の支給対象となる期間は、原則として次のとおりです。
- 産前:出産予定日を含む42日間(多胎妊娠の場合は98日間)
- 産後:出産日の翌日から56日間
また、実際の出産日が予定日より遅れた場合は、その遅れた日数分も支給対象に含まれます。一方で、予定日より早く出産した場合は、その分だけ産前期間が短くなります。
引用:出産手当金|協会けんぽ
このように、支給期間は実際の出産日によって変動します。従業員へは「予定日どおりとは限らない」前提で、「産前産後休業の期間=出産手当金の支給期間」として丁寧に説明をしましょう。
5-2. 支給額の計算方法と具体例
出産手当金の1日あたりの支給額は、次の計算式で算出されます。
1日あたりの支給額
=支給開始日(※)以前の継続した12ヵ月間の標準報酬月額の平均÷30日×2/3
※支給開始日:1番最初に給付が支給される日
【支給額例】
支給開始日:令和8年3月17日
標準報酬月額:令和7年4月~8月まで24万円、令和7年9月~令和8年3月まで30万円
- (24万円×5ヵ月+30万円×7ヵ月)÷12ヵ月=27.5万円
- 27.5万円÷30日=9,170円(10円未満四捨五入)
- 9,170円×2/3=1日あたり6,113円(1円未満四捨五入)
これに支給対象日数を掛けた金額が、総支給額となります。
なお、出産手当金は非課税のため、所得税や住民税の算定対象になりません。また、産休期間中は手続きにより社会保険料が免除されます。これにより、休業前の約8割程度の所得が確保される見込みです。
6. 出産手当金の申請方法と必要書類


出産手当金は、要件を満たしていても申請しなければ受給できません。人事担当者は、必要書類や手続きの流れを把握し、従業員がスムーズに申請できるようサポートすることが重要です。
6-1. 出産手当金申請の必要書類と記載内容
出産手当金の申請は、「出産手当金支給申請書」を用いておこないます。必要書類は、基本的にこの1つのみです。1つの書類の中に、本人・医師・事業主それぞれが記入する欄が設けられています。
主な記載内容は次のとおりです。
- 本人記入欄:基本情報(健康保険記号・番号、氏名、住所、生年月日など)
振込先指定口座(金融機関・支店名・口座番号など)
申請内容(期間、出産日・出産予定日、出生児数、給与支払の有無など) - 医師・助産師の記入欄:出産日・出産予定日、出生児数などの証明
- 事業主記入欄:申請期間の勤務状況、給与支給の有無・金額など
特に事業主記入欄は、出産手当金の支給可否や金額に直接影響する重要な項目です。勤怠情報や給与データと相違がないか、事前に確認したうえで正確に記入する必要があります。記入漏れや不備があると支給が遅れる原因となるため、提出前にチェックしましょう。
6-2. 申請の流れと人事担当者の対応ポイント
出産手当金の申請は、産後休業が終了した後に、産前分とあわせて一括でおこなうのが一般的です。流れとしては、主に次のとおりです。
【産休前】
- 従業員へ申請書を案内し、医師の証明をもらうタイミングを伝える
【産休中】
- 従業員が本人記入欄を記入し、出産予定の医療機関へ申請書を持参する
- 出産後、医師または助産師の証明を受ける
- 従業員が申請書を会社へ提出する
【産休後】
- 企業が事業主証明を記入する
- 協会けんぽ支部または健康保険組合へ提出する(企業経由または本人提出)
なお、退職予定者に対しては、退職後の申請方法を事前に整理しておくことが重要です。会社が対応するのか、本人が直接提出するのかを曖昧にしたままにすると、申請漏れにつながるおそれがあります。単に書類を渡すだけでなく、「いつ・何を・どう提出するのか」まで具体的に案内し、スムーズな給付につなげましょう。
関連記事:出産手当金はいつ申請する?申請期間や申請書の書き方を解説
7. 出産手当金の支給における注意点


出産手当金は制度としてはシンプルですが、「支給されると思っていたのに対象外だった」「金額が想定と違った」といったトラブルが起きやすいポイントもあります。
ここでは、特に人事担当者として押さえておきたい注意点を整理します。
7-1. 退職後でも出産手当金が支給される場合がある
出産手当金は、「資格喪失後の継続給付」という制度があり、退職時点ですでに出産手当金の受給要件を満たしていれば、退職後でも出産手当金を受給できることがあります。
主な要件は次のとおりです。
- 退職日までに継続して1年以上健康保険の被保険者期間がある
- 退職日が、産前休業期間中(出産予定日の42日前以降)である
- 退職日当日に出勤していない
資格喪失後の継続給付の詳細は、関連記事も参考にしてください。
関連記事:退職後でも出産手当金はもらえる?支給条件・もらえないケース・注意点を解説
7-2. 有給休暇を使用した場合
産休期間中に有給休暇を取得する場合、企業から支払われる給与額によって出産手当金の額が調整されます。具体的には、次のように整理されます。
- 有給休暇の賃金が出産手当金の日額を上回る場合:全額不支給
- 有給休暇の賃金が出産手当金の日額を下回る場合:差額分のみ支給される
「有給を使えば、手当と給与が二重でもらえる」と誤解している従業員も少なくありません。手取り額を増やすためにあえて有給を使うのか、手当のみを受け取るのか、事前にシミュレーションを提示できると親切です。
7-3. 出産予定日がずれた場合
出産予定日と実際の出産日がずれた場合、出産手当金の支給日数にも影響が出ます。
- 予定日より早く出産した場合
産前休業の終了日が「実際の出産日」に前倒しされるため、産前期間が短くなり、その分支給日数も減少します。 - 予定日より遅れて出産した場合
「当初の出産予定日までの期間」に加えて遅れた日数分も産前期間としてカウントされるため、その分支給日数が増加します。
【具体例】出産予定日が5月1日のケース
- 本来の支給期間
産前:42日(3月21日〜5月1日)
産後:56日(5月2日〜6月26日) - 4月25日に出産した場合(7日早い)
産前:36日(3月21日〜4月25日)
産後:56日(4月26日〜6月20日) - 5月5日に出産した場合(4日遅れ)
産前:46日(3月21日〜5月5日)
産後:56日(5月6日〜6月30日)
このように、出産手当金の支給期間は、最終的に「実際の出産日」に基づいて確定します。
従業員から「予定日ベースで計算していた」といった誤解が生じやすいため、あらかじめ仕組みを説明しておくとトラブル防止につながります。
8. 出産手当金をもらえないケースを正しく理解しよう


出産手当金は、すべての従業員に一律で支給されるものではありません。健康保険の加入状況や働き方によっては、対象外となるケースがあります。
人事担当者としては、「だれが対象になるのか」「対象外の場合はどの制度が使えるのか」をあらかじめ整理し、従業員に誤解のない説明ができる状態を整えておくことが重要です。
制度の正確な理解と従業員の状況に寄り添った丁寧な案内を心がけることが、働く人の安心感を高め、企業への信頼維持にもつながります。出産・育児というライフイベントを支える体制づくりは、長く働き続けられる職場環境の基盤といえるでしょう。



育児・介護休業に関する法改正が2025年4月と10月の2段階で施行されました。特に、育休取得率の公表義務拡大など、担当者が押さえておくべきポイントは多岐にわたります。
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