パパ・ママ育休プラスとは?取得条件や活用例など制度をわかりやすく解説
更新日: 2026.2.26 公開日: 2025.10.3 jinjer Blog 編集部

夫婦で育児休業を取得した場合、従来の育児休業期間である1年から2ヶ月間延長して育児休業を取得できることをご存じでしょうか。それが「パパ・ママ育休プラス」という制度です。
「パパ・ママ育休プラス」を理解し、従業員へ正しく案内することは、円滑な手続きの実施に加え、企業の子育てサポートの姿勢を示すうえでも非常に大切です。
本記事では、人事・労務担当者が押さえておくべき「パパ・ママ育休プラス」の仕組みをわかりやすく解説します。また、従業員に説明する際のポイント、実務で注意すべき点を紹介するので、正しく案内ができるように、ぜひ最後までご覧ください。
目次
育児・介護休業に関する法改正が2025年4月と10月の2段階で施行されました。特に、育休取得率の公表義務拡大など、担当者が押さえておくべきポイントは多岐にわたります。
本資料では、最新の法改正にスムーズに対応するための実務ポイントを網羅的に解説します。
◆この資料でわかること
- 育児・介護休業法の基本と最新の法改正について
- 給付金・社会保険料の申請手続きと注意点
- 法律で義務付けられた従業員への個別周知・意向確認の進め方
- 子の看護休暇や時短勤務など、各種両立支援制度の概要
2025年10月施行の改正内容も詳しく解説しています。「このケース、どう対応すれば?」といった実務のお悩みをお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. パパ・ママ育休プラスとは


「パパ・ママ育休プラス」パパ・ママ育休プラスは、夫婦がともに育児休業を取得することを条件に、育児・介護休業法の対象となる子どもの年齢が、1歳2ヶ月になる前日まで延長される特例です。ただし、実際に1人が育児休業を取得できる上限期間は1年間で変わらない点には注意が必要です。1人が育児休業を取得できる上限を1年間として、夫婦2人あわせて1歳2ヵ月になる前日までの取得が可能になります。
「パパ・ママ育休プラス」の目的は、父親の育休取得を促し、母親の負担を軽減するとともに、夫婦で育児を分担しやすい環境を整備することです。2009年7月の育児・介護休業法改正によって新設され、2010年6月30日から施行されています。
例えば、夫婦でバトンタッチするように時期をずらして休業することで、子どもが1歳になった後も、2ヶ月間はどちらかが育児に専念できる期間を作れます。
ただし、1人の親が休める日数の上限自体は、原則の1年のままで変わらないため注意が必要です。
1-1. 廃止されたパパ休暇と混同しないよう注意
2022年10月まで「パパ休暇」という制度がありましたが、「産後パパ育休」が新設されたことにより廃止されています。「パパ休暇」は、父親が子の出生後8週間以内に通常の育休を取得した場合、特別な事情がなくても2回目の育休を取得できる制度でした。「パパ・ママ育休プラス」は現時点で廃止される予定はないため、混同しないよう注意しましょう。
関連記事:産後パパ育休とは?育児休暇との違いや申請方法、給付金について解説
2. パパ・ママ育休プラスの対象者と取得条件


「パパ・ママ育休プラス」の利用には、休業を開始するタイミングなど、いくつかの具体的な条件をすべて満たす必要があります。ここでは、対象者と条件をわかりやすく解説します。
2-1. パパ・ママ育休プラスの対象者
「パパ・ママ育休プラス」は、育児・介護休業法の要件を満たす全ての労働者が対象であり、正社員であることなどの雇用形態は問われません。なお、雇用保険の未加入者は「パパ・ママ育休プラス」を利用しても、通常の育休と同様に「育児休業給付金」を受給できないので注意が必要です。
ただし、労使協定によって、入社1年未満の方や1年以内に雇用が終わる予定の方、週の勤務日数が2日以下の方を対象外とすることも可能です。
2-2. パパ・ママ育休プラスの取得条件
「パパ・ママ育休プラス」を利用するためには、次の4つの条件をすべて満たす必要があります。ここでは例として、パパが「パパ・ママ育休プラス」を利用する前提で条件を解説します。
- パパ・ママともに育児休業を取得すること。
- ママが、子が1歳に達する日(誕生日の前日)以前に育児休業を取得していること。
- パパの育休開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること。
- パパの育休開始予定日が、配偶者の育休開始日以降であること。


ママが「パパ・ママ育休プラス」を利用する場合は、この4つの取得条件のパパとママが逆になります。
従業員から申し出があった際は、これら4つの条件を必ず確認しましょう。
また、「パパ・ママ育休プラス」は原則、あとから育休を取得した側が対象となります。例えば下記の図のように、パパがあとから育休に入っている場合、ママは「パパ・ママ育休プラス」を取得できないので注意しましょう。この例の場合、ママよりもあとに育児休業を取得しているパパが「パパ・ママ育休プラス」の取得対象者となります。
3. パパ・ママ育休プラスの申請方法と必要書類


「パパ・ママ育休プラス」の利用にあたって、独自の申請手続きはありません。通常の育児休業給付金の申請の中で、制度の適用希望を伝えます。申出は育休開始の1ヵ月前が基本ですが、条件を満たせば途中からの申出も可能です。
例えば、妻(母親)が先に育休を取る場合、通常どおりの申出・給付金申請をおこなうだけで「パパ・ママ育休プラス」を取得できるため、特別な追加手続きは不要です。ただし、後から取得する夫(父親)は、申出時に制度の利用希望を伝え、妻の育休取得を証明する書類を添付する必要があります。
なお、母が産後休業後すぐに仕事復帰し、父が先に育児休業を取得する場合、手続きの順番が上記の説明と逆になるため注意しましょう。
企業は従業員からの申出を受けたら、配偶者の育休取得を確認できる書類をそろえて、ハローワークに給付金申請をおこないます。申請の際には、基本的な育児休業の申請書類に加え、次の書類の提出が必要です。
- 「育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」の19欄「配偶者の育児休業取得の有無」、20欄「配偶者の雇用保険被保険者番号」の記載
※「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」の場合は27欄と28欄
- 続柄が記載された世帯全員の住民票(写し)
- 配偶者の育児休業の取得を確認できる書類
配偶者の育休を証明する書類の準備に時間がかかる場合もあるため、従業員から申し出があった際は早めに案内しましょう。
参考:育児休業等給付の内容と支給申請手続|厚生労働省
参考:「パパ・ママ育休プラス」にかかる必要書類|厚生労働省
関連記事:育児休業給付金支給申請書とは?記入例や添付書類、申請方法、初回と2回目以降の違いを解説
4. パパ・ママ育休プラスの給付金


パパ・ママ育休プラスは、育児休業制度の特例のひとつです。そのため、通常の育休と同様に雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。
育児休業給付金の金額は、休業開始前の賃金を基に次のように計算します。
育休開始から180日間:休業開始時賃金日額×支給日数×67%
育休開始から181日目以降:休業開始時賃金日額×支給日数×50%
育休の取得日数は夫婦で合算されません。育休を開始した日から父親・母親それぞれで個別にカウントされます。
関連記事:育児休業給付金とは?2025年4月の改正点や支給条件、申請、計算方法をわかりやすく解説!
5. 育児休業と産後パパ育休との違い


「パパ・ママ育休プラス」は通常の育児休業期間を延長できる制度です。そのため、「パパ・ママ育休プラス」を理解するためには、通常の育休制度を正しく理解する必要があります。ここでは通常の「育児休業」と、子の出生後8週間以内に取得する「産後パパ育休」との違いを解説します。それぞれの違いを正確に理解していきましょう。
5-1. 育児休業との違い
通常の「育児休業」は、原則子どもが1歳になるまで取得できます。それに対し、「パパ・ママ育休プラス」は夫婦がそろって育休を取得する場合に、子が最長1歳2ヵ月になるまで利用できる特例制度です。
例えば、母親が1歳まで育休を取得して復職する際、入れ替わりで父親が育休を引き継ぐことで、子どもが1歳2ヵ月になるまで切れ目のない育児体制を築けます。
一方で、通常の育児休業にも「保育園に入れない」「配偶者が病気で育児できない」などのやむを得ない事由で、休業期間を1歳6ヵ月、最長2歳まで延長できる仕組みがあります。
この延長制度と「パパ・ママ育休プラス」は目的の異なる別の制度であり、2つは併用できません。「パパ・ママ育休プラス」はどのようなパターンのときに活用できるのか、その具体的なパターンは本記事の「6.パパ・ママ育休プラスの活用例」にて詳しくご紹介します。
関連記事:育児・介護休業法とは?制度や目的・改正内容と企業の対応方法をわかりやすく解説
関連記事:育児休業期間(育休)はいつからいつまで?延長や期間変更はできる?
5-2. 産後パパ育休(出生時育児休業)との違い
「産後パパ育休」は、通常の育休とは別枠で、子の出生後8週間以内に最大4週間まで取得できる短期休業制度です。出産直後の母親を支え、父親の迅速な育児参加の促進を目的としています。
一方、「パパ・ママ育休プラス」は、通常の育児休業に適用される特例であり、休業期間の終点を子どもが1歳2ヵ月になるまで延長する仕組みです。母親の職場復帰などを支援し、1歳2ヶ月までの育児を夫婦で分担するために利用される制度といえます。
このように、「産後パパ育休」と「パパ・ママ育休プラス」は、目的も利用できるタイミングも異なる制度です。
また、「産後パパ育休」と「パパ・ママ育休プラス」の2つの制度は併用ができます。例えば、父親が出生直後に「産後パパ育休」で短期的に休み、母親の復職に合わせて1歳以降に「パパ・ママ育休プラス」の特例を利用する、といった組み合わせが可能です。
参考:「産後パパ育休(出生時育児休業)」とは?|両立支援のひろば
関連記事:産後パパ育休とは?育児休暇との違いや申請方法、給付金について解説
「育児休業」「産後パパ育休」「パパ・ママ育休プラス」、3つの制度の違いを表にまとめました。従業員への説明の際などにお役立てください。
| どんな制度? | 概要 | 取得できる時期と期間 | |
| 育児休業 | 基本となる育休制度 |
|
原則、子が1歳になるまで |
| 産後パパ育休 | 産後のための短期休業 |
|
子の出生後8週間以内のうち、最大4週間(28日)まで |
| パパ・ママ育休プラス | 育休期間を延長する特例 |
|
子が1歳2ヵ月になるまでの期間内で、1人あたり最大1年(産後休業含む) |
6. パパ・ママ育休プラスの活用例


「パパ・ママ育休プラス」の活用により、母親の円滑な職場復帰や保育園の入園時期の調整が可能です。また、父親の主体的な育児参加など、各家庭の状況に応じた柔軟な育休計画が立てやすくなるでしょう。ここでは、「パパ・ママ育休プラス」の代表的な3つの取得パターンと、取得できないパターンを紹介します。
6-1. パパとママが交代で育休を取得するパターン
母親の育休復帰のタイミングで父親の育児休業にバトンタッチするパターンです。
母親が育休を1年間取得して職場復帰する際は、慣らし保育への対応や子どもの急な体調不良などが仕事と育児の両立に大きな負担となるでしょう。この負担を減らすため、父親が育休を交代することで、母親は復帰後の一定期間、仕事に集中できます。
6-2. パパとママが同時に育休を取得する期間があるパターン
夫婦が同じ時期に重ねて育休を取得する期間があるパターンです。
父親と母親が同時期に育児休業を取得することで、子育ての時間を共有できます。また、育児休業の復帰タイミングをずらすことで家庭への負担を軽減しやすくなるでしょう。
6-3. ママが職場復帰し、後からパパが育休を取得するパターン
夫婦が同時に仕事をする期間を設けたのち、後から父親が育休を取得するパターンです。
このパターンは、母親が育児休業を取得・仕事復帰するタイミングで保育園に預け、夫婦ともに一定期間働き、その後父親が育児休業を取得します。
場合によっては、両親だけでなく祖父母など周囲の協力も得ながら夫婦ともに働く時間を確保することが想定されています。
6-4. パパとママともにパパ・ママ育休プラスを取得するパターン
「パパ・ママ育休プラス」は、配偶者が先に育休を開始していることが条件です。そのため、父親が産後すぐに1度目の育休を取得することで、後から開始する母親が延長の対象となります。さらに、母親が育休を取得している間にパパが2度目の育休を開始するため、父親の2回目の育休も「パパ・ママ育休プラス」の対象です。
このパターンは、産後の回復期を夫婦で支え合い、その後も交代で育児を担うことで、1歳を過ぎても保育園入園などのタイミングに合わせて柔軟に家庭での育児期間を確保したい場合に有効です。
6-5. パパ・ママ育休プラスが利用できないパターン
パパ・ママ育休プラスが利用できないパターンを紹介します。
それは、後から育休を取得する親の育休開始日が、子の1歳の誕生日より後のパターンです。「パパ・ママ育休プラス」は、取得する本人の育休開始日が、子の1歳の誕生日より前でなければ取得できません。そのため次のパターンは「パパ・ママ育休プラス」の対象外です。
このように、「パパ・ママ育休プラス」は、取得できる要件を正しく理解していなければ、活用できない場合があります。しっかりと要件を確認しておきましょう。
7. パパ・ママ育休プラスの活用を促進し従業員の育児を支援しよう


「パパ・ママ育休プラス」は、単に育休を長くできる制度ではなく、夫婦が協力して無理のない育児計画を立てるための大切な仕組みです。
母親のスムーズな職場復帰を後押しし、父親の自然な育児参加にもつながるなど、家庭と仕事の両立に役立つ効果が期待できます。従業員にこの制度をわかりやすく紹介し、それぞれの家庭に合った働き方を応援することは、従業員の安心感や働きやすさに直結する重要な仕事です。
子育てもキャリアも大切にできる魅力的な職場をつくり、優秀な人材の定着や確保へつなげていきましょう。



育児・介護休業に関する法改正が2025年4月と10月の2段階で施行されました。特に、育休取得率の公表義務拡大など、担当者が押さえておくべきポイントは多岐にわたります。
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