360度サーベイとは?概要と他制度との違い・導入メリットと注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

360度サーベイとは?概要と他制度との違い・導入メリットと注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

360度サーベイとは?概要と他制度との違い・導入メリットと注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

360度サーベイとは?概要と他制度との違い・導入メリットと注意点を解説

男性の後ろ姿人材不足の影響で従来のマネジメント・評価体制では心理的安全性が十分に確保されず、外部環境も大きく変化するなかで、新しい評価手法として360度サーベイに注目が集まっています。

本記事では、360度サーベイの概要と他制度との違い、制度導入のメリット・デメリット、サーベイの活用事例などをご紹介します。360度サーベイの導入検討や、よりよい活用方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

\ 離職率が高い・新入社員がすぐやめる / このようなお悩みを抱えていませんか?

従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような方に向けて当サイトでは、「従業員満足度のハンドブック」を無料でお配りしています。
従業員満足度調査の方法や調査ツール、調査結果の活用方法まで解説しているので、従業員のモチベーション向上や社内制度の改善を図りたい方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1.  360度サーベイ(多面評価)とは

評価のイラスト
360度サーベイは上司、同僚、部下などさまざまな立場の人が一人の従業員を多面的に評価する手法です。働き方の変化や人材育成の重要性から360度サーベイを導入する企業は増加しています。360度サーベイの基本的な仕組みと概要、評価項目例を紹介します。

1-1. 基本的な仕組みと概要

360度サーベイとは被評価者を中心に、上司や部下、同僚といった立場の異なる複数の人たちを評価者とする評価方法です。従来は「上司が部下を評価」する一方向の評価制度が中心でしたが、360度サーベイは「部下が上司を評価する」「同僚同士で評価する」など、一人を360度の視点で評価することが特徴です。

テレワークや時短勤務など、働き方や仕事への価値観が多様化するなか、従来のトップダウン型マネジメントでは従業員のニーズとマッチしにくくなっています。従業員一人ひとりが自律し、フラットな組織に変化していることから360度サーベイの導入が進んでいます。

1-2. 評価項目の例

360度サーベイで用いられる代表的な評価項目を紹介します。

  • 課題発見:現状把握力/問題分析力/企画力/チャレンジ精神
  • 課題解決に関する評価項目:判断力/計画力/行動力/責任感
  • マネジメントに関する評価項目:共感力/人材育成力/動機付け力/包容力
  • コミュニケーション:傾聴力/意思疎通力/折衝力/協調性

これらは一般的な評価項目ですが、被評価者の役職や立場によって評価項目は異なります。役職や立場別の評価項目例について知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

関連記事:360度評価の項目は何を設定する?設定するときの注意点や項目例を解説

2. 360度サーベイと他制度との違い

はてなと女性
多くの企業では組織や従業員を評価・診断するためにさまざまな制度を導入しています。ここでは360度サーベイと他の評価・診断制度の違いについて解説します。

2-1. 従業員アンケートとの違い

従業員アンケートは組織の課題把握や改善を目的としており、360度サーベイとは目的・対象が異なります。

従業員アンケートは、福利厚生をはじめとした満足度調査やストレスチェックなどで用いられる施策です。これらのアンケートは組織全体の課題を把握し、改善することが目的です。

一方、360度サーベイは一人の従業員を多角的に評価し、客観的なフィードバックから個人の育成につなげることを目的にしています。

2-2. エンゲージメントサーベイとの違い

エンゲージメントサーベイは組織の状態を可視化し、エンゲージメントの向上を目的としており、360度サーベイとはサーベイ結果の活用方法が異なります。

エンゲージメントサーベイは会社への愛着や貢献意欲、仕事へのやりがい、周囲との関わりなど、組織や仕事に対しての感情や思いを図ります。エンゲージメントサーベイから得られた結果は、組織の課題把握や退職率改善、従業員のモチベーション向上などを目的としています。

従業員に対しておこなうサーベイという点では同じですが、サーベイ結果を個人の育成や行動改善に用いる360度サーベイとは活用の仕方に違いがあります。

関連記事:エンゲージメントサーベイとは?実施する意味・質問事項をわかりやすく解説!

2-3. 人事評価制度との違い

人事評価制度は給与や昇進・昇格、異動といった処遇への反映が主な目的です。また上司が部下を評価することが一般的で、多角的・客観的な360度サーベイに比べて、評価者の主観が反映される可能性があります。

処遇に反映される人事評価制度に対して、360度サーベイは従業員一人ひとりの育成と自己認識の促進が目的となっています。

関連記事:人事評価のポイントは?フェーズごとの注意点や評価者の課題を紹介

3. 360度サーベイ導入のメリット

メリットのブロック
360度サーベイを導入することで期待できるメリットについて解説します。

3-1. 評価の公平性・客観性が高まる

360度サーベイは上司だけだなく、部下や同僚など多面的に評価が得られます。そのため、従来の上司のみがおこなう評価に比べ、公平性、客観性の高い評価内容となり、評価の偏りを減らせるでしょう。

公平性、客観性の高い評価内容のため、被評価者にとって納得感を得られやすいこともメリットのひとつです。また複数の視点で評価されることから、被評価者の強みや弱みに気づきやすくなるでしょう。

3-2. リーダー育成やマネジメント力向上につながる

360度サーベイでは「部下が上司を評価」するもあるため、リーダーや上司は部下や同僚から評価されます。評価の内容を通じて、リーダーや上司は自身の行動を客観視し、課題を認識できます。

自分では気づいていなかった課題を認識することで、課題の改善や成長につながり、結果としてリーダーや上司のマネジメント力向上につながります。

3-3. 組織風土の改善と対話促進

360度サーベイをおこなうことで、組織風土の改善も期待できます。普段は言いにくいことも、匿名性を前提としたフィードバックであれば伝えやすくなり、相互理解が深まるでしょう。その結果、心理的安全性が高まり、コミュニケーションが活性化し、情報共有の抜け漏れが減るなど、生産性の向上につながります。

さらに、360度サーベイはハラスメント対策にも有効です。上司・部下・同僚といった多方面からの評価を集めることで、特定の個人による不適切な言動や権力の偏りが可視化されやすくなり、早期発見と改善につなげられます。

3-4. タレントマネジメントデータとして活用できる

タレントマネジメントデータとしての活用もメリットのひとつです。360度サーベイの結果から従業員の強みや弱みを把握でき、人材の育成計画や配置検討などタレントマネジメントに活用できます。

360度サーベイを実施する際にはタレントマネジメントシステムと連動することで活用の範囲が広がります。タレントマネジメントシステムのなかでも、360度サーベイの評価などさまざまな情報を一元管理できるシステムを活用するとよいでしょう。

4. 360度サーベイ導入のデメリット

デメリットのブロック
360度サーベイを導入・運用する際にはいくつかの注意点があります。注意点を理解し、自社の360度サーベイ導入の目的やゴールと照らし合わせながら、上手に活用しましょう。

4-1. 実施の工数と負担が大きい

360度サーベイを導入・実施する際には、サーベイの実施方法や設問の設計、サーベイ結果の改修や集計分析など運用する人事部門に工数と負担が発生します。また従来の「上司が部下を評価」する評価から、上司や部下、同僚と評価者が多く、評価者一人ひとりの工数や時間がかかってしまいます。

360度サーベイを導入することで全社の負担が増加し、主業務に支障が出てしまうかもしれません。負担を抑えられるように実施方法やアセスメントツール導入の検討をおこなうとよいでしょう。

4-2. 評価が感情や関係性に左右されやすい

被評価者に対する感情や関係性によって評価が左右されやすい点にも注意が必要です。評価者も人間なので、評価する際には感情が入ってしまいます。

仲が良ければ甘い評価にしたり、逆に仲が良くなければ厳しく評価してしまい、客観性、公平性のある評価ができません。導入時には実施目的や重要性を理解してもらう研修などを実施し、客観性、公平性のある回答を促しましょう。

4-3. フィードバック活用が不透明だと逆効果になる

フィードバックが十分に活用されていないと、評価者である従業員の不信感が募ったり、モチベーション低下につながったりする恐れがあります。360度サーベイを実施する際は、被評価者へサーベイ結果をフィードバックし、どのように活かすかを発表するなど、サーベイ実施後の運用も重要です。

また評価結果を第三者に知られてしまう不安から、抽象的な回答をする人もあらわれるかもしれません。公平性、客観性のあるサーベイをおこなうために回答の匿名性を担保する運用体制の整備が必要です。

参考:360度評価で誰の評価かバレることはある?筒抜けになる対策も詳しく紹介

4-4. 導入コストや体制整備の必要性

360度サーベイを導入する際には実施体制の整備、アセスメントツールの導入検討、被評価者・評価者への研修などが必要です。360度サーベイを実施するまでのスケジュールを検討し、必要なコストを見積もり、準備しましょう。

また実施目的やゴールを明確にしなければ、十分な効果は期待できません。実施にあたっては経営層をはじめとした社内の関係者と実施の目的やゴールをすり合わせておきましょう。

5. 360度サーベイの活用事例

オフィスの廊下で一緒に考えているアジアのビジネスパーソンのグループのポートレート
360度サーベイは既にさまざまな企業で導入されています。企業規模や導入の目的別に活用事例を紹介します。

5-1. 大手企業におけるマネジメント層育成の事例

大手企業ではマネジメント層の育成に360度評価を活用しています。

ビジネス環境の変化からマネジメント層の意識変革や育成が課題であったある大手企業では、部下や同僚から多角的、客観的な評価が得られる360度サーベイを導入しました。部下から評価されることに抵抗のある上司も一部いましたが、360度サーベイのフィードバックから自身の課題に気づき、行動を変える上司が徐々に増えました。

サーベイは匿名でおこなっているため、評価者が特定されることがなく、部下や同僚から率直なコメントを出しやすいこともマネジメント層の気づきにつながっています。

5-2. 中堅企業における組織風土改革の事例

ある中堅企業では組織風土改革に360度サーベイを導入・活用しています。新型コロナウイルスが流行した際には多くの企業でテレワークを導入し、出社時に比べてチーム力の維持やメンバー間のコミュニケーションが課題となりました。

これらの課題に対し同社では360度サーベイを導入し、周囲からの評価・意見を得るようにしました。メンバー間の率直な意見を聞くことで心理的安全性が高まり、テレワーク下でもチーム内のコミュニケーションが活性化され、組織風土の改善につながりました。

5-3. 外資系企業におけるフィードバック文化醸成の事例

多くの外資系企業では360度サーベイを導入し、特に上司は部下の意見に耳を傾ける文化が醸成されています。

売上目標などの定量面だけでなく、数字に表れにくい定性面もきちんと評価する文化が多くの外資系企業に根付いています。多面的、客観的なフィードバックを得られる360度サーベイはこれらの文化と親和性が高いことから導入が進んでいます。

また360度サーベイで得られたフィードバックを真摯に受け止め、自己成長につなげようとするスタンスがあり、従業員一人ひとりの育成に360度サーベイを活用しています。

6. 導入ステップと成功のポイント

ポイント

360度サーベイは人材育成や組織風土改善などに役立つ評価方法ですが、導入しても期待した成果が得られないケースも少なくありません。360度サーベイの導入を成功させるために、おさえておくべき導入ステップを紹介します。

6-1. 導入目的を明確にする

360度サーベイを導入する際には、導入の目的と活用方法を明確にしましょう。360度サーベイを導入する目的は会社や組織によって異なります。サーベイ結果を評価に利用するのか、マネジメント層の育成などに利用するのか、実施目的を導入時に定義することが重要です。

また導入目的を被評価者、評価者それぞれに理解してもらうことも欠かせません。導入時やサーベイ実施時に目的を理解してもらうステップを準備しましょう。

6-2. 設問設計と評価基準を整備する

導入目的を定めたら、導入目的にそってサーベイの評価基準を整備し、設問を設計します。導入目的、評価基準、設問内容に一貫性がないと求めるサーベイ結果が得られません。

また設問の設計次第では、評価者の負担が大きくなってしまいます。設問をプルダウンや選択式にするなどできるだけ評価者に負担がかからないように回答方法を工夫しましょう。

6-3. フィードバックの活用方法を仕組み化する

次にサーベイ実施後にどのようにフィードバックを活用するかを検討します。評価結果を評価結果に伝え、ネクストアクションを設定し、経過や結果を計測する一連のプロセス設計が重要です。単に結果を本人に伝えてもネクストアクションにはつながりにくいため、上司との面談設定や専門事業者が実施するフィードバックセッションの活用を検討しましょう。

また評価結果を人事評価や配置検討に用いる場合はあらかじめ被評価者に伝えておくとよいでしょう。

6-4. 継続的に運用し育成計画へつなげる

継続的に360度サーベイを実施し、人材育成や人員配置につなげていくように仕組み化を検討します。導入目的などによって異なりますが、半期に一回、年に一回など実施時期を決めるとよいでしょう。

「サーベイ実施→フィードバック→ネクストアクション実施→振り返り→サーベイ実施」

上記のようなサイクルで360度サーベイをおこなうと、より成果を得やすいため、会社や組織の状況を鑑みながら継続的に運用できるプロセスを構築しましょう。

7. 360度サーベイを用いて組織風土の改善を図ろう

サーベイのイラスト
360度サーベイは複数の評価者によって評価することで公平性、客観性の高い評価結果を得られ、組織風土の改善やリーダー育成に有効な評価方法です。しかし評価者に負担がかかったり、フィードバックが十分に活用されなかったりすると、不満やモチベーション低下につながりかねません。

360度サーベイの実施目的を明確に定め、評価基準と設問の設計を適切におこない、フィードバックを十分に活用することで組織風土の改善や人材育成、配置検討に活かしましょう。

\ 離職率が高い・新入社員がすぐやめる / このようなお悩みを抱えていませんか?

従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような方に向けて当サイトでは、「従業員満足度のハンドブック」を無料でお配りしています。
従業員満足度調査の方法や調査ツール、調査結果の活用方法まで解説しているので、従業員のモチベーション向上や社内制度の改善を図りたい方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

jinjer Blog 編集部

jinjer Blog 編集部

jinjer Blogはバックオフィス担当者様を支援するため、勤怠管理・給与計算・人事労務管理・経費管理・契約業務・帳票管理などの基本的な業務の進め方から、最新のトレンド情報まで、バックオフィス業務に役立つ情報をお届けします。

人事・労務管理のピックアップ

新着記事