法定調書合計表とは?|まとめ方や提出方法を徹底解説
法定調書合計表や法定調書の作成には、支払った給与や徴収した源泉徴収税額をはじめ、従業員ひとりひとりの情報が必要になります。
煩雑な業務をできるだけスムーズに進められるように、まとめ方や提出方法を知っておきましょう。
法定調書の基本から法定調書合計表の書き方までを分かりやすく解説します。
目次
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1. 法定調書は税務署への提出が必要な書類の総称
法定調書は1種類の書類ではなく、所得税法・相続税法・租税特別措置法・国外送金等調書法によって、提出が義務付けられている書類の総称です。
法定調書では、企業や個人事業主がお金を動かした際に、どこにいくら支払ったかを把握できます。
同時に、報酬を受け取った側の情報も分かるため、支払った側・受け取った側の両方の側面から、税務署は脱税や申告漏れを確認できるようになるわけです。
そのため、法定調書は提出が義務付けられており、違反した場合は所得税法第242条の5により、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。
2. 法定調書の種類と提出義務者
2022年の現行法では、法定調書は全部で60種類あります。中でも会社の人事で必要になるのは、所得税法によって提出が義務付けられている法定調書のうち、次の6種類です。
法定調書の種類によって、提出義務がある人は異なります。正しく把握し、提出漏れがないようにしましょう。
これら6種類の法定調書の人数や支払金額などは、後述する「法定調書合計表」に集計をとり、併せて税務署に提出するものです。法定調書合計表は、給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の略称のことです。
基本的には給与や賞与、賃貸料や使用料などを支払う方に提出義務があります。一般的な会社の場合は、給与・賞与・退職金を支払った際の源泉徴収票や、事務所の賃貸料の支払調書などが主なものです。
3. 法定調書合計表にまとめる必要がある法定調書
会社が提出しなければならない法定調書には、法定調書合計表に集計して併せて提出しなければならないものがあります。
法定調書合計表とは、給与所得源泉徴収票等の法定調書合計表の略称のことです。60種類ある法定調書の中から、主な6種類をとりまとめる書類のことです。
「法定調書の種類と提出義務者」でも簡単に触れましたが、法定調書合計表にまとめなければいけない法定調書は、こちらの6種類です。
- 給与所得の源泉徴収票
- 退職所得の源泉徴収票
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
- 不動産の使用料等の支払調書
- 不動産等の譲受けの対価の支払調書
- 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
これら6種類の法定調書を集計する1枚の用紙が法定調書合計表で、支払の確定した翌年1月31日までに税務署に提出しなければなりません。提出する際には、法定調書と法定調書合計表を併せて提出します。
5. 法定調書合計表の書き方
法定調書合計表は国税庁のホームページから決められた様式をダウンロードし、そこに必要事項を記入していきます。
参考:法定調書関係|国税庁
5-1. 給与所得の源泉徴収票合計表欄の書き方
給与所得の源泉徴収票の書き方は以下のとおりです。
上記表[※1]の「源泉徴収票を提出するもの」は、たとえば、年末調整をしたもので、以下の条件に当てはまる給与などの源泉徴収票が該当します。
- 取締役・相談役・顧問などの役員で、1年間の給与などの支払金額が150万円を超えるもの
- 弁護士・司法書士・税理士などで、会社からの給与などの支払金額が250万円を超えるもの。ただし、これらの方に報酬等として支払う場合には、報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書の提出対象となります。
- 上記以外で給与などの支払い額が500万円を超えるもの
また、記載する数は、税務署に提出する源泉徴収票の枚数です。会社が発行した枚数ではなく、上記条件に当てはまる源泉徴収票の数ですので、間違いのないようにしましょう。
5-2. 退職所得の源泉徴収票合計表欄の書き方
退職所得の源泉徴収票合計表欄の書き方は以下のとおりです。
5-3. 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表欄の書き方
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表欄の書き方は以下のとおりです。
[※2]の支払調書を提出するものに該当するのは、5万円を超える支払金額の場合ですが、報酬、料金等の区分によって条件が異なります。
5-4. 不動産の使用料等の支払調書合計表欄の書き方
不動産の使用料等に該当するのは、オフィスの家賃や更新料が主なものです。
それぞれの人員や、支払金額を記入してください。
支払調書の提出が必要になるのは、1年間に同一の方に対する不動産の使用料等の支払金額の合計が15万円を超える場合です。
5-5. 不動産等の譲受けの対価の支払調書合計表欄の書き方
不動産等の譲受けの対価に該当するのは、土地、建物などを、売買や競売などにより取得して、支払が確定した金額です。
1年間の同一の方に対する支払総額が100万円を超えた場合に支払調書の提出が必要になります。
あまり売買取引は多くありませんが、会社で不動産を購入した場合には、提出漏れがないようにしましょう。
5-6. 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書合計表欄の書き方
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料に該当するのは、不動産などの売買や貸付けのあっせんで発生した手数料です。
1年間に同一の方に対して15万円を超える支払が確定した場合に、支払調書の提出が必要になります。
6. 法定調書合計表の提出方法
法定調書及び法定調書合計表は合わせて、支払の確定した年の翌年1月31日までに、管轄の税務署に提出しなければなりません。提出方法は、書面・e-Tax・光ディスク(CD・DVDなど)・クラウド等から選べます。
ただし、法定調書の種類ごとに、前々年に提出すべき法定調書の枚数が100枚以上だった場合には、その年は書面での提出はできません。
100枚以下の場合も、e-Taxや光ディスクを利用した方が効率的ですので、ペーパーレスの観点からもなるべく利用しましょう(光ディスク等は、税務署へ事前に申請して承認を受ける必要があります)。
7. 法定調書合計表の作成は余裕をもって始めよう
法定調書合計表は人数や支払総額・源泉徴収額の計算が必要な上に、従業員のマイナンバーや住所などの情報も求められます。
作業のボリュームはかなりのものになるため、できるだけ余裕をもって準備を始めましょう。
より効率的に法定調書合計表の作成を行うなら、会計ソフトが便利です。e-Taxと併せて活用すれば、大幅に人事業務をカットできますので、ぜひご検討ください。
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