棚卸立会の目的や必要な書類、主な作業手順を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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棚卸立会の目的や必要な書類、主な作業手順を解説

棚卸をする女性

棚卸立会とは、期末の実地棚卸に監査人が同席し、手順や数量などを視察することです。監査の一種であり、棚卸資産が適切に管理され、在庫数量のカウントに虚偽などがないか確認するのが目的です。
手順としては、事前に棚卸実施要領などを整え、当日は通常通り棚卸を実施すれば問題ありません。
本記事では、棚卸立会の概要や目的、必要な書類、作業手順を解説します。

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1. 棚卸立会とは監査人が実地棚卸に同席する状況視察のこと

棚卸を二人でする様子

商品や備品を抱える企業では、それらの数量を実際に数える「実地棚卸」が必要です。棚卸は商品原価を確定する要素のため、決算期におこなうことが多いでしょう。
棚卸立会では、会社がおこなう実地棚卸に監査人が同席し、実施状況を視察したり、実際に監査人が数量を数えたりして、問題なく棚卸がおこなわれているか確認します。

なお、棚卸立会では本来、決算時の棚卸に同席するのが望ましいとされていますが、決算業務が多忙であるとのことから、別の時期に実施されることもあります。
どちらの場合も、会社側では必要書類を揃える、監査人から質問があった際に答えられるようにするなどの準備が必要です。

関連記事:棚卸とは?棚卸の目的や実施の時期、方法や流れについて解説

2. 棚卸立会の目的

ヒントを出す男性

棚卸立会は、監査の一環としておこなわれます。監査とは、企業の業務執行や法令遵守などに問題がないか評価し報告する業務です。
これらは、株主などの利害関係者の保護のために実施されるもので、上場企業などでは義務化されています。

監査人が棚卸に立ち会う理由としては、在庫管理や利益管理が適切におこなわれているか確認するためです。
また、期末に実施する際は、棚卸の妥当性の確認だけでなく、実際の数量検証をおこない、会社側の報告と差異がないかの確認もしなければなりません。
なお、棚卸の立ち合いのため、金額ではなくあくまでも数量を確認します。

3. 棚卸立会に必要な書類

書類を届出る様子

監査人は、企業から提出された書類を元に棚卸を進め、棚卸立会後は実施内容をまとめた監査調書を作成します。
会社で棚卸立会を受けるときは、当日の必要書類だけでなく、監査調書の作成に必要な書類も準備しておくとスムーズに進められるでしょう。
ここでは、棚卸立会に必要な書類を解説します。なお書類は立会人の人数分用意しておきましょう。

3-1. 棚卸実施要領

棚卸実施要領とは、簡単にいうと棚卸のマニュアルにあたる書類です。
棚卸を担当する部署や予定時間、作業手順、実地場所(ロケーション)などが書かれています。
コントロールシートやスケジュール表と合わせて、立会当日のものを用意しましょう。
もし棚卸から除外する製品の一覧があれば、それも添付します。

3-2. 在庫一覧

在庫の数量や単価などが書かれた一覧表で、在庫管理表として作成しているケースもあるでしょう。
書式に指定はないため、会社で使っているものを印刷して提出すれば問題ありません。

3-3. 棚卸リスト

リスト方式で棚卸をしている場合、当日の棚卸リストも必要です。
在庫管理システムなどから出力します。

3-4. 入庫伝票

最後に仕入れをした際の入庫伝票を準備します。
指示があれば、複数月分用意しましょう。

3-5. 出庫伝票

最後に製品を売り上げたときの出庫伝票を準備します。
こちらも、数ヵ月分必要となることもあります。

上記以外にも、監査人から必要書類を指示された場合は揃えるようにしましょう。
なお、監査終了後に期末前後の入出庫関係証票や会計伝票の提出を指示される場合もあります。

4. 棚卸立会の作業手順

必要な手順

棚卸立会では、当日の作業に向けた事前準備も必要です。
ここでは、事前準備、当日の流れ、棚卸立会後の手続きを解説します。

4-1. 事前準備

棚卸当日の担当者を決定しましょう。通常は2名体制でおこなうため、倉庫担当者など慣れた従業員がいれば、その者を担当にするとよいでしょう。
次に、倉庫の中は整理整頓と掃除を徹底し、ゴミなどが落ちていないようにします。
商品は品目ごとに分類しているか確認し、商品名などの掲示がなければ名札をつけてもよいでしょう。
破棄が必要な商品は、棚卸当日までに破棄します。間に合わない場合は、整理整頓のみしておきましょう。
なお、委託在庫(預け在庫)があれば自社倉庫に戻すか、預け先から預かり証をもらいます。預かり在庫は、可能であれば先方に返品しましょう。

4-2. 棚卸立会開始

棚卸立会が始まったら、担当者同士挨拶をして、事前に用意した必要書類を監査人に配付します。
なお、場合によっては当日、追加書類の提出を求められることもあります。

4-3. 棚卸手順の確認

棚卸当日は、基本的に自社の棚卸の流れに沿って監査人が確認していきます。
棚卸実施要領を元に、数量のカウント方法に問題はないか、ダブルチェックはどのようにおこなっているか、タグへの記載方法などを確認します。
また、必要に応じて棚卸に関する内容(担当者の熟練度、棚卸除外品の区分方法、最終入庫日など)が質問されるため、答えるようにしておきましょう。
もし、わからないことがあれば、確認の上改めて回答します。

なお、棚卸立会当日に入庫が発生した場合は、棚卸をおこなっている商品とは区別して保管し、棚卸はおこないません。
また、棚卸前の出庫は当日売り上げ、棚卸後の出庫は翌月分の売上として処理します。

4-4. 棚卸漏れの確認

実地棚卸が終わったら、倉庫内をくまなく周り、監査人がカウント漏れなどないか確認します。
ここでは、特に担当者が行うことはありません。

4-5. テストカウント

会社のおこなった棚卸に間違いがないか確認するため、監査人自らいくつかの商品を棚卸して数量を数えます。これをテストカウントといいます。
商品、仕掛品、原材料などから満遍なくカウントして、会社がおこなった棚卸と差異がないか見ていきます。
なお、実地棚卸数とテストカウントに差異があったときは、さらにテストカウントを繰り返します。
それでも差異が発生する場合、再棚卸が必要となるケースもあります。棚卸の正当性が確認できないので、原因追及も入念におこなわれます。

4-6. 聞き取り調査

棚卸が終わったら、必要に応じて担当者や責任者に聞き取りをおこないます。
内容としては、前回棚卸時の問題点と改善の有無、社内で在庫のチェック体制、棚卸の不備が確認されたときの処理方法などです。
聞き取りでは実際の棚卸では確認できない、実務に則した処理方法を聞かれるケースが多いでしょう。

4-7. 棚卸立会終了

当日の工程がすべて終われば、棚卸立会は終了となります。
なお、聞き取りなどで答えられなかった項目は、後日メールなどで報告が必要なケースもあります。
監査終了後は今回の棚卸で発覚した問題点などをまとめた報告書が監査人により作成され、該当部署に対しては改善案の提案がなされます。
企業によっては、改善案に沿った改善計画書を本社に提出するケースもあるため、確認し対応するようにしましょう。

5. 棚卸立会がいつ行われても問題ないよう日頃から在庫管理を徹底しよう!

吹き出し注意点

棚卸立会とは実地棚卸に監査人が同席し、手順などに問題がないか確認するためにおこないます。
監査人が立ち会うとはいえ、事前に必要書類をコピーして準備する以外は通常通り棚卸を進めれば問題ありません。

日頃から在庫管理を徹底している事業所では、棚卸もスムーズに進み、棚卸立会も定刻通り終わるケースが多いでしょう。
しかし、管理を怠っていると立会に時間がかかってしまうので、倉庫や事務所などには日頃から適切な棚卸資産の管理を求め、いつ棚卸立会が実施されても問題のないよう業務を進めましょう。

関連記事:棚卸資産とは?棚卸資産に該当するものや棚卸資産の評価方法も紹介

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