法律上の上限はなし?福利厚生費の限度額を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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法律上の上限はなし?福利厚生費の限度額を解説

限度額

福利厚生費は、従業員がより働きやすい環境を作るために企業が負担する費用のことです。
社員旅行や慶弔見舞、健康診断など、福利厚生にはさまざまな種類があります。
福利厚生費は基本的には非課税ですが、「福利厚生」と分類していればどんな費用でも際限なく計上できるわけではありません。
その上限についての考え方をチェックしていきましょう。

関連記事:福利厚生費とは?福利厚生の種類や計上する際の要件も解説

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1. 福利厚生費の法律上の上限はない

上限

法人における福利厚生費の上限は法律では定められていません。
ですが、常識の範囲内であるかどうかは重視されます。
非常に曖昧な表現ではありますが、あまりにも高額な費用は福利厚生費として認められないケースもあるので注意してください。
また、福利厚生費に上限はありませんが、一部は福利厚生費として計上するためのルールが設けられています。常識の範囲内の金額であってもこのルールから逸脱していると計上できなくなってしまいます。
また、通勤手当などの一部の福利厚生費は月額の上限が設定されています。

2. 法定外福利厚生に設けられている限度額について

限度額

法律で定められた福利厚生を法定福利といい、それ以外の福利厚生を法定外福利といいます。
法定福利、法定外福利は基本的に非課税です。
そのため、従業員のために使う費用はできるだけ福利厚生費に計上したいと考える企業は多いです。
福利厚生費には上限はないものの、下記のように項目によってはさまざまなルールがあります。
あとから課税の対象になっていなかったことが発覚しないよう、よく確認しておいてください。

関連記事:課税対象になることもある福利厚生費について7つの具体例
関連記事:福利厚生費の計算方法を種類別や計上の可不可を含めて詳しくご紹介

2-1. 通勤手当は月15万円が上限

従業員が通勤のために必要な費用を企業が負担するケースは多いです。
これは通勤手当として、福利厚生費に計上することが可能です。
福利厚生費は原則として現金や換金性の高いものの支給は認められませんが、通勤手当は例外として認められています。
福利厚生費として計上できるため当然非課税ですが、この通勤手当は上限が一人当たり15万円までと制限されています。
電車、新幹線、高速道路、バスなどの場合は15万円まで、自転車、自動車の場合は距離ごとに上限が設定されています。
15万円、またそれぞれの規定をオーバーする分は給与として処理されるため、課税対象になります。

2-2. 食事支給は月3,500円が上限

従業員に対して食事を支給する場合、その費用を福利厚生費として計上できます。
「一律で〇円」といった内容で飲食代、食事代として現金を支給する場合は福利厚生費としては認められません。
また、食事の費用は全額支給しなくても、50%以上を支給している場合は福利厚生費になります。
食事支給の上限金額は、企業が負担する金額が従業員一人につき月額3,500円までです。
一方、残業や夜勤などで働く従業員に対して食事を支給する場合は全額福利厚生費としての計上が可能です。
食事自体を用意するのが難しい場合は一食につき300円までを現金支給できます。

2-3. 社員旅行は要件あり

従業員の慰安として社員旅行を開催し、その旅費や宿泊費を負担するケースです。
社員旅行に使われた費用は福利厚生費として計上が可能です。
ですが、一部要件があるのでこれを守るようにしてください。
まず、すべての従業員が社員旅行に参加する権利があること、そして従業員の半数以上が社員旅行に参加していることが条件です。
さらに社員旅行の日数は4泊5日以内でなければなりません。
参加しなかった従業員に対して社員旅行分の現金を支給する場合は福利厚生費として認められません。

2-4. 社内イベントは要件あり

社内で親睦会やイベントなどを開催するための費用も福利厚生費として計上できます。
その場合、従業員全員が参加の対象であること、現金での支給ではないことが要件としてあります。
常識の範囲内で納める必要があり、あまりに高額すぎると福利厚生費として認められません。

2-5. 健康診断は要件あり

従業員の健康診断に必要な費用を企業が負担する場合も福利厚生費として計上できます。
従業員全員に対して実施すること、企業が各医療機関に直接支払っていることが要件です。
年齢ごとに必要な検査が違うので、年齢ごとに対象の検査を指定することも可能です。

関連記事:健康診断にかかった費用を福利厚生費で計上するための条件を解説

2-6. 慶弔見舞金は要件あり

従業員の結婚のお祝い金、親族の葬儀の香典、怪我や病気をした際の見舞い金などは福利厚生費として計上できます。
福利厚生費は原則現金の支給は認められていませんが、慶弔見舞金の場合は現金支給が可能です。
すべての従業員が慶弔見舞金を受け取る権利があること、常識の範囲内の金額であることが要件です。

2-7. 住宅手当は家主に直接支払うのが要件

従業員の住宅にかかる家賃やローンを企業が負担する場合も福利厚生費として計上が可能です。
ですが、住宅にかかる費用を現金で支給する場合は福利厚生費としてではなく給与として計上しなければなりません。
そのため、住宅手当を福利厚生費として計上するためには企業が直接家主に支払いをしなければなりません。

3. 福利厚生費の上限を設定する際の注意点

注意

福利厚生費は明確な上限がないものがほとんどです。
そのため、企業で独自に上限を設定することも可能です。
上限を設定する場合は従業員とトラブルにならないよう、しっかり周知しておくことも忘れないようにしてください。

3-1. 就業規則などに記載する

何が福利厚生として認められるのか、その際の上限はいくらまでなのかは、その時々で変更するのではなく就業規則などにあらかじめ明記しておきましょう。
そうすることで従業員もいつでも確認でき、トラブルを未然に防げます。
福利厚生は基本的に従業員全員が受ける権利がありますので、すべての従業員が福利厚生について理解できるようにしましょう。

3-2. 従業員へ上限やルールを説明する

就業規則に記載するだけでなく、きちんとルールを説明しそれを守ってもらうことも大切です。
例えば、レシートや領収書の提出、期限内までの申請などです。
すべての従業員が福利厚生を受ける権利がありますが、それぞれがルールを守っていないと公平性が失われてしまいます。
従業員にも協力してもらい、かつ企業も従業員が福利厚生を受けやすいよう職場環境を整えましょう。

3-3. 給与支払いの場合は源泉徴収に注意

福利厚生費として支給したつもりがルールに違反していた、高額すぎて福利厚生費として認められなかったという場合は給与としてその金額を計上しなければなりません。
福利厚生費は非課税ですが、給与は課税の対象です。
そのため、源泉徴収をおこなって税金を納付する必要があります。
これを無視すると罰則の対象になるので注意が必要です。
福利厚生費として認められなかった分をあとから処理しなおすのは手間もかかり、ミスも増えやすくなってしまいます。
あらかじめルールを確認し、それが福利厚生費として認められるかを判断しなければなりません。

4. 福利厚生費の要件やルールに注意しよう

ルール

福利厚生費の上限について解説しました。
法的には福利厚生費には上限はありませんが、常識の範疇を超える金額の場合やルールに反している場合は福利厚生費として認められません。
福利厚生費は非課税で、企業の節税対策にも貢献します。
課税対象とならないよう、適切な金額、適切な方法で従業員に福利厚生を受けてもらえるようにしましょう。

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