同一労働同一賃金は福利厚生にも適用?対象範囲と待遇差の見直し方を解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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同一労働同一賃金は福利厚生にも適用?対象範囲と待遇差の見直し方を解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

同一労働同一賃金は福利厚生にも適用?対象範囲と待遇差の見直し方を解説

福利厚生

同一労働同一賃金とは、同一企業内において、正社員と非正規雇用労働者の間の「不合理な待遇差」の解消を目指す考え方です。

同一労働同一賃金の原則は、賃金だけでなく福利厚生も対象となります。つまり、通勤手当や住宅補助、食堂利用などの福利厚生についても、平等性が求められるため、企業は幅広く制度の見直しや整備をしなければなりません。

本記事では、同一労働同一賃金の基本的な考え方と、福利厚生への影響、対応例やメリットについて詳しく解説します。

同一労働同一賃金の概要や基本事項を知りたい方はこちらも併せてご覧ください。

関連記事:同一労働同一賃金とは?適用された理由やメリット・デメリットについて

労務リスクに備える。 「同一労働同一賃金」対応の再点検を

意図せず不合理な待遇差を放置してしまうと、思わぬ労使トラブルに発展する可能性があります。
企業の信頼性を守るためにも、客観的な視点での定期的な見直しが不可欠です。

◆押さえておくべき法的ポイント

  • 「均衡待遇」と「均等待遇」の判断基準
  • 企業に課される「待遇に関する説明義務」の範囲
  • 万が一の紛争解決手続き「行政ADR」の概要

最新の法令に対応した盤石な体制を構築するために参考になりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 同一労働同一賃金は福利厚生にも適用される

コインと人形

同一労働同一賃金とは、パートタイム・有期雇用労働者と正社員、または派遣労働者と派遣先の正社員との間で、業務内容や責任、成果などが同等であれば、賃金や手当、福利厚生において不合理な待遇差を設けてはならないという考え方です。

パートタイム・有期雇用労働法および労働者派遣法の改正でこの原則が法制化され、非正規雇用労働者と正社員との間の格差是正が求められるようになりました。

厚生労働省のガイドラインでは、基本給だけでなく手当や福利厚生も対象とされているため、企業はこれらの手当や待遇に格差がないか確認しなければなりません。

関連記事:同一労働同一賃金とは?法改正の背景・目的や不合理な待遇差の禁止についてわかりやすく解説

参考:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律|e-Gov法令検索

参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律|e-Gov法令検索

1-1. 福利厚生施設は給食施設・休憩室・更衣室が法令上の対象

パートタイム有期雇用法第12条では、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設については、その雇用する非正規雇用労働者に対しても、利用の機会を与えなければならないと定めています。福利厚生施設の対象となるのは、給食施設、休憩室、更衣室です。

1-2. 2026年10月1日からガイドライン等が改正

2026年4月28日に、同一労働同一賃金に関する改正省令・告示が公布されました。これによって2026年10月1日から新たな「同一労働同一賃金ガイドライン」が施行されます。「同一労働同一賃金ガイドライン」とは、どのような待遇差が不合理なのかについて、考え方や具体例などを示したものです。改正後の「同一労働同一賃金ガイドライン」に追加された項目は次のとおりです。

  • 賞与・退職手当
  • 無事故手当
  • 家族手当
  • 住宅手当
  • 福利厚生施設
  • 病気休職
  • 夏季冬季休暇
  • 褒賞

今回の改正によって、これまでガイドライン上の具体的な記載が十分でなかった待遇について、待遇差の合理性を判断する際の考え方がより明確になります。企業は、正社員と非正規労働者の待遇を改めて比較しましょう。

また、従業員から待遇差の内容や理由の説明を求められた場合には、具体的かつ、わかりやすく説明できるようにしておく必要があります。

2. 同一労働同一賃金で確認すべき福利厚生の範囲

福利厚生

同一労働同一賃金において確認すべき待遇は、基本給や賞与などの賃金だけではありません。福利厚生についても正規雇用労働者との間に不合理な待遇差がないかを確認しなければなりません。

福利厚生は、主に次の3つに分類できます。

福利厚生の種類

具体例

確認ポイント

福利厚生施設 

社員食堂、休憩室、更衣室、診療所、保養施設、運動施設など

雇用形態によって利用の可否、利用料金、利用時間、申請方法などに差がないか。

休暇・休職制度

病気休職、慶弔休暇、夏季・冬季休暇、法定外の有給休暇、健康診断に伴う勤務免除など

対象者、付与日数、休暇中の賃金、勤続年数などの利用条件を比較。制度の目的と、雇用形態による取扱いの違いに合理的な関係があるか。

手当・金銭給付

住宅手当、家族手当、食事補助、結婚祝い金、出産祝い金、傷病見舞金、弔慰金、永年勤続表彰の報奨金など

支給目的、対象者、支給要件、支給額。雇用形態だけを理由に不支給または減額していないか。

関連記事:同一労働同一賃金で各種手当はどうなる?最高裁判例や待遇差に関して

関連記事:同一労働同一賃金で業務における責任の程度はどう変化する? 

3. 福利厚生に待遇差があることで生じるリスク

リスクのブロック

同一労働同一賃金では不合理な待遇差を禁じていますが、この章では、正社員と非正規労働者との間に福利厚生の待遇差があることで企業にどのようなリスクが生じるのかを解説します。

3-1. 採用・定着に悪影響が出る

昨今、労働力不足が顕著になっています。企業にとってパートアルバイトや派遣労働者は貴重な労働力です。したがって、あらゆる企業で労働力獲得の動きが活発になり、結果的に優秀な人材は待遇の良い企業に集中する傾向にあります。

そのため、福利厚生の待遇差を改善しないままでいると、企業は優秀な人材を確保できなくなり、従業員の採用・定着に悪影響が出てしまうでしょう。

3-2. 従業員の不満やモチベーション低下につながる

福利厚生の待遇差は、優秀な人材を雇用できないだけでなく、既存の従業員のモチベーションの低下にもつながります。

同一労働同一賃金の下で正社員と非正規雇用労働者との間に福利厚生の待遇差がある場合、非正規雇用側からすれば、「同じレベルで業務をこなしているのになぜ待遇にあるのか」と疑問を抱きやすいです。

3-3. 説明義務対応や労務トラブルにつながる

福利厚生の不合理な待遇差は労務トラブルを招くおそれがあります。従業員に対する説明が不十分なまま待遇差を放置すると、従業員の不信感が高まり、社内相談や訴訟などのリスクにつながるからです。

福利厚生の取扱いに違いを設ける場合は、合理的な理由を明確にし、従業員に対して具体的に説明できる状態を整えておきましょう。

4. 福利厚生の待遇差が問題になりやすい4つのケース

福利厚生の具体例

福利厚生の待遇差に合理的な理由がない場合は、不合理な待遇差と判断される可能性があります。この章では福利厚生の待遇差が問題になりやすいケースを紹介します。

4-1. 正社員のみ利用できる福利厚生がある

雇用形態だけを理由に非正規雇用労働者の利用を認めないことは、不合理な待遇差と判断される可能性が非常に高いです。社員食堂、更衣室、休憩室、転勤者用の社宅、慶弔休暇などの福利厚生を、正社員だけの福利厚生にしている場合は待遇差の見直しを検討しましょう。

4-2. パート・契約社員・アルバイトの利用条件が不利

福利厚生制度を利用できることになっていても、パート・契約社員・アルバイトにだけ厳しい利用条件が設けられている場合は、その待遇差が問題になりやすいです。

例えば、保養施設の場合をみてみましょう。保養施設を正社員は自由に利用できるにもかかわらず、非正規雇用労働者には上司の承認や一定の勤続期間を求める場合は待遇差があると判断されます。利用条件に違いを設ける場合は、その条件が福利厚生の目的や勤務実態に照らして合理的なものかを確認しましょう。

4-3. 福利厚生施設の料金・割引率に差がある

福利厚生施設の利用料金や各種サービスの割引率について、正社員と非正規雇用労働者との間に差を設けている場合も注意が必要です。

例えば、職員食堂において、正社員には利用補助があるが、非正規雇用労働者にそのような補助がない場合がこれに該当します。

同じ目的・内容の福利厚生を提供しているにもかかわらず、雇用形態のみを理由に料金や補助額に差を設けると、不合理な待遇差と判断されるおそれがあるでしょう。

4-4. 待遇差の理由を説明できない

福利厚生に待遇差を設けているにもかかわらず、なぜそのような違いがあるのかを企業が従業員に対して説明できない場合、労務トラブルにつながりやすいです。

「正社員だから」「以前からそのような制度になっているから」といった理由だけでは、待遇差の説明としては不十分です。福利厚生に違いを設ける場合は、制度の目的、職務内容、責任の程度、配置変更の範囲などを踏まえ、待遇差の理由を具体的に説明できる状態にしておきましょう。

5. 派遣社員の福利厚生で確認すべきこと

待遇の差

正社員と派遣社員との間に適用されている同一労働同一賃金の制度は、自社の正社員とパートアルバイトの間に適用されているものとは異なるので注意が必要です。この章では、派遣社員の福利厚生について派遣元・派遣先が確認すべきポイントを解説します。

5-1. 派遣先は福利厚生施設の利用機会を与える必要がある

派遣先は、自社の従業員が利用している給食施設、休憩室および更衣室について、派遣社員にも利用の機会を与えなければなりません。派遣社員が派遣先に直接雇用されていないことだけを理由に、これらの施設利用を一律に禁止することはできません。

ただし、派遣先にこれらの施設が設置されていない場合、新たな設置を義務づけられているわけではありません。施設がある場合に、派遣先の従業員と同様に利用できる機会を設ける必要があります。

また、派遣先が業務の遂行に必要な教育訓練を自社の労働者に実施している場合には、派遣元から求めがあったときは、一定の場合を除き、派遣社員にもその教育訓練を実施が必要です。

5-2. 労使協定方式でも福利厚生施設への対応は残る

派遣労働者の待遇を決定する方式には「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の2つがあります。

派遣先均等・均衡方式

派遣先の通常の労働者との待遇差が不合理にならないよう、職務内容や配置変更の範囲などを踏まえて待遇を決定する方式

労使協定方式

派遣元が労働者の過半数代表者などと締結した労使協定に基づき、一定の要件を満たす待遇を決定する方式

労使協定方式では、賃金などの待遇を派遣元の労使協定に基づいて決定します。ただし、派遣社員の待遇決定に「労使協定方式」を採用している場合でも、派遣先における福利厚生施設への対応が不要にはなりません。給食施設、休憩室および更衣室などの利用において、派遣先は「派遣先均等・均衡方式」か「労使協定方式」にかかわらず、対象となる福利厚生施設の利用機会を派遣社員にも与える必要があります。

関連記事:労使協定方式とは?均等均衡方式との違いや派遣労働者の賃金水準を解説

5-3. 派遣元・派遣先で情報提供と説明体制を整える

派遣先は、労働者派遣契約を締結する前に、福利厚生施設の有無や利用条件などの待遇情報を派遣元へ提供しなければなりません。派遣先均等・均衡方式だけでなく、労使協定方式の場合も、給食施設、休憩室および更衣室に関する情報提供は必要です。

派遣元は、派遣先から提供された情報を確認し、派遣社員に適用される福利厚生の内容や利用条件を把握しておかなければなりません。また、派遣社員から待遇について説明を求められた場合に、具体的な内容や待遇差の理由を説明できる体制を整えることも重要です。

派遣元と派遣先の認識が一致していないと、施設を利用できるはずの派遣社員が利用を断られるなどのトラブルにつながります。福利厚生について事前に共有しておきましょう。

6. 同一労働同一賃金に沿って福利厚生を見直す手順

積み木を積み上げる

福利厚生の待遇差を見直す際は、正社員と非正規雇用労働者の制度を比較するだけでなく、各制度の目的や利用条件まで確認しましょう。待遇差がある場合も、直ちに不合理と判断されるわけではありませんが、その理由を具体的に説明できる状態にしておくことが重要です。この章では、福利厚生を見直す際の基本的な手順を解説します。

6-1. 雇用形態別に福利厚生を一覧化する

はじめに、会社が設けている福利厚生を洗い出し、正社員、契約社員、パート・アルバイトなど、雇用形態ごとの適用状況を一覧にします。

社員食堂、休憩室、更衣室、慶弔休暇、社宅、住宅手当、保養施設など、福利厚生を確認しましょう。

福利厚生を一覧化することで、正社員のみが利用できる制度や、非正規雇用労働者に不利な条件が設けられている制度を把握しやすくなります。

6-2. 福利厚生ごとの目的・対象者・利用条件を整理する

次に、それぞれの福利厚生について、制度を設けている目的、対象者、利用条件、費用負担などを整理します。

そのうえで、対象者を限定する理由や、勤続年数、勤務時間、勤務地などの利用条件が、制度の目的と適切に結びついているかを確認しましょう。単に雇用形態が異なることだけを理由として待遇差を設けている場合は、見直しが必要になるでしょう。

6-3. 不合理な待遇差がある場合は改善する

点検の結果、合理的に説明できない待遇差が見つかった場合は、制度の改善を検討しましょう。

改善方法は、非正規雇用労働者にも同じ福利厚生を適用する、勤務日数や所定労働時間に応じて利用条件や補助額を設定するなどの方法が考えられます。また、実態に合わなくなった福利厚生制度そのものを廃止することも選択肢のひとつです。

ただし、正社員の待遇を引き下げるだけで形式的に差を解消すると、従業員の不利益変更や労使トラブルにつながるおそれがあります。制度の目的や従業員への影響を確認しながら、慎重に進めましょう。

6-4. 労働条件通知書・就業規則・福利厚生規程に反映する

福利厚生の対象者や利用条件を変更した場合は、労働条件通知書、就業規則、福利厚生規程などの関連書類に反映します。

書類ごとに内容が異なると、実際の運用と社内規程に食い違いが生じ、従業員から説明を求められた際に対応できません。制度の名称、対象者、利用条件、申請方法、費用負担などが一致しているかを確認しましょう。

就業規則の変更が必要な場合は、意見聴取や労働基準監督署への届出など、所定の手続きも怠らないよう注意が必要です。

関連記事:同一労働同一賃金で就業規則の見直しは必要?待遇差の要素や注意点

6-5. 従業員へ説明できる資料を整える

制度の見直し後は、従業員から質問を受けた際に説明できるよう、福利厚生の内容や待遇差の理由をまとめた資料を整備します。

対象者によって取扱いが異なる場合は、明確な理由を記載しておきましょう。担当者によって説明内容に差が出ないよう、社内向けの対応マニュアルや想定される質問に対してあらかじめ回答を準備しておくことも有効です。

関連記事:同一労働同一賃金の説明義務はどう強化された?注意点や説明方法も解説

7. 福利厚生の待遇差を点検し、説明できる状態にしよう

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同一労働同一賃金においては、賃金だけでなく福利厚生についても、正社員と非正規雇用労働者との不合理な待遇差は禁止されています。2026年10月のガイドライン改正により、何が不合理に該当するのかがより明確化されました。今一度、不合理な待遇差がないか自社の福利厚生の点検が必要です。

福利厚生に待遇差がある場合、労務担当者は、福利厚生の目的や対象者、支給・利用条件などを整理し、それが合理的なものであれば、なぜ福利厚生に差があるのかを従業員に説明できる状態にしておきましょう。

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同一労働同一賃金で、賃金に不合理な差を設けてはいけないことはイメージしやすいですが、福利厚生にも不合理な待遇差を設けてはならないことは盲点になりがちです。ただし、その待遇差が合理的なものであれば許容されます。そのため、福利厚生において社員と非正規雇用労働者との間に待遇差がある場合は、その理由をきちんと説明できる状態を作っておくことが大切です。

また、新たに福利厚生制度を設ける時は、同一労働同一賃金を予め意識して制度を構築しましょう。

同一労働同一賃金は新しい制度であるため、まだまだ判例が蓄積されておらず判断に迷うこともありますが、自社の福利厚生を今一度見直して、待遇差がある場合は是正を検討しましょう。

解説:社会保険労務士

労務リスクに備える。 「同一労働同一賃金」対応の再点検を

意図せず不合理な待遇差を放置してしまうと、思わぬ労使トラブルに発展する可能性があります。
企業の信頼性を守るためにも、客観的な視点での定期的な見直しが不可欠です。

◆押さえておくべき法的ポイント

  • 「均衡待遇」と「均等待遇」の判断基準
  • 企業に課される「待遇に関する説明義務」の範囲
  • 万が一の紛争解決手続き「行政ADR」の概要

最新の法令に対応した盤石な体制を構築するために参考になりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

jinjer Blog 編集部

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