社会保険資格喪失証明書とは?発行手続きと国民健康保険への切り替え方法、必要書類を解説
更新日: 2026.5.29 公開日: 2022.1.18 jinjer Blog 編集部

従業員が退職する際、国民健康保険への切り替えや家族の扶養に入る手続きに必要となるのが「社会保険資格喪失証明書(健康保険資格喪失証明書)」です。
本記事では、社会保険資格喪失証明書の会社側での発行手順や書き方・記載項目について解説します。また、会社で発行しない場合の案内方法や、国民健康保険への切り替え手続きの注意点も紹介します。
▼社会保険の概要や加入条件、法改正の内容など、社会保険の基礎知識から詳しく知りたい方はこちら
社会保険とは?企業や従業員の加入条件や手続き方法、適用拡大など注意点を解説
目次
従業員の入退社、多様な雇用形態、そして相次ぐ法改正。社会保険手続きは年々複雑になり、担当者の負担は増すばかりです。
「これで合っているだろうか?」と不安になる瞬間もあるのではないでしょうか。
とくに、加入条件の適用拡大は2027年以降も段階的に実施されます。
◆この資料でわかること
- 最新の法改正に対応した、社会保険手続きのポイント
- 従業員の入退社時に必要な手続きと書類の一覧
- 複雑な加入条件をわかりやすく整理した解説
- 年金制度改正法成立によって、社会保険の適用条件はどう変わる?
この一冊で、担当者が押さえておくべき最新情報を網羅的に確認できます。煩雑な業務の効率化にぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 健康保険資格喪失証明書(社会保険資格喪失証明書)とは
健康保険資格喪失証明書(社会保険資格喪失証明書)とは、退職などによって健康保険の被保険者資格を喪失したことを証明する書類です。会社が発行することもあれば、年金事務所または健康保険組合に依頼をして発行することもあります。
退職によって加入資格を喪失した場合、喪失日として退職日の翌日の日付が証明書に記載されます。被扶養者がいる場合には、その分も含めて資格喪失が証明されるため、被扶養者分の証明書としても有効です。
この証明書は、退職後に国民健康保険へ加入する際や、配偶者などの扶養に入る手続きの際に必要となります。これは、健康保険の二重加入を防ぐための確認資料として用いられるためです。
1-1. 健康保険資格喪失証明書の発行は会社の義務?
健康保険資格喪失証明書の発行は、会社に義務付けられているものではありません。ただし、退職者が円滑に国民健康保険へ加入するためには、できるだけ速やかに発行することが望まれます。
そのため、資格喪失の手続きとあわせて、証明書の発行も進めておくとよいでしょう。なお、会社で発行しない場合でも、日本年金機構(年金事務所)や健康保険組合で取得できることをあらかじめ従業員に案内しておくことが大切です。
1-2. 健康保険資格喪失証明書の提出が必要ないケース
主に次のケースでは、原則として健康保険資格喪失証明書がなくとも手続きできます。
退職後に別の会社に転職する場合や退職後も加入していた健康保険の任意継続制度を利用する場合です。転職先の会社が加入している健康保険の被保険者になるため、一般的には転職先から健康保険資格喪失証明書の提出を求められるケースは少ないです。
ただし、新たに加入する健康保険組合によっては資格喪失証明書を提出しなければならないことがあるので、転職先の会社に確認しておくとよいでしょう。また、退職後に健康保険の任意継続制度を利用する場合も、同一の健康保険内で資格が引き継がれるため、資格喪失証明書は不要です。
任意継続期間の満了後は、加入していた健康保険から「任意継続被保険者資格喪失通知書」が送られるので、それが資格喪失の証明書となります。
2. 健康保険資格喪失証明書(社会保険資格喪失証明書)の発行までの流れ


社会保険資格喪失証明書は、一般的に退職した従業員が国民健康保険加入手続きの際に必要な重要書類です。
事業主は従業員から証明書発行の申し出を受け次第、手続きをおこないます。
手順は次の通りです。
2-1. 資格喪失届の手続きをおこなう
健康保険資格喪失証明書を取得するには、まず被保険者資格の喪失手続きを完了させる必要があります。資格喪失日は退職日の翌日となり、事業主は原則としてその日から5日以内に届出をおこなわなければなりません。
手続きとしては、協会けんぽに加入している場合、事業所を管轄する日本年金機構の年金事務所または事務センターへ「被保険者資格喪失届」を提出します。一方、組合健保に加入している場合は、所属する健康保険組合が提出先となります。
また、届出にあたっては資格確認書の回収・添付が必要となるので、交付している場合には、退職する従業員から事前に回収しておくことで、手続きをスムーズに進められます。
2-2. 健康保険資格喪失証明書の作成と添付書類を準備する
資格喪失の手続きを完了させたら、健康保険資格喪失証明書を作成します。この資格喪失証明書のフォーマットに定めはないため、独自で用意できます。しかし、万が一の不備に備えて自治体が用意したフォーマットの活用がおすすめです。なお、退職した従業員がフォーマットを指定するケースもあります。
証明書に必要事項を記載したら原本を退職する従業員に渡します。従業員の自宅に郵送するのが一般的です。 個人情報を含む重要書類であるため、紛失リスクを考慮し、レターパックや簡易書留など追跡可能な方法で送付することが望ましいでしょう。
なお、従業員に渡すのは一般的に原本のため、後日、問い合わせがあった際に備えてコピーを会社で保存しておきましょう。
2-3. 証明書はいつまでに退職者へ発行すべき?
健康保険資格喪失証明書は、通常、資格喪失の手続きが完了した後に発行されます。従業員が「被保険者資格喪失日証明願」を提出し、日本年金機構や健康保険組合へ申請する場合、退職日を含めて実際に手元に届くまでには、一般的に1週間程度かかることが多いです。
そのため、従業員から「まだ届かない」「いつ頃届くのか」といった問い合わせがあった際には、1週間程度を目安として案内するとよいでしょう。なお、資格喪失証明書は法定様式ではないので、会社が独自に作成して交付することも可能です。
また、国民健康保険の加入手続きは、原則として資格喪失日(退職日の翌日)から14日以内におこなう必要があります。そのため、従業員が円滑に手続きを進められるよう、できるだけ早期に証明書を交付できる体制を整えておくことが重要です。
2-4. 従業員が証明書を紛失した場合は再発行できる?
退職者が健康保険資格喪失証明書を紛失した場合でも、原則として再発行は可能です。会社で証明書を発行している場合は、保存しているデータに基づいて再発行をおこないましょう。
また、協会けんぽ加入者の場合は年金事務所へ相談すれば、資格喪失を確認できる書類の案内を受けられることがあります。健康保険組合に加入していた場合も、各組合に連絡することで再発行や代替書類の発行を依頼できます。従業員から問い合わせがあった際は、これらの方法を案内するとよいでしょう。
3. 会社で証明書を発行しない場合の対応方法


会社には健康保険資格喪失証明書(社会保険資格喪失証明書)の発行義務はなく、そもそも発行する慣習がない場合もあります。そのため、証明書を発行しない場合には、従業員に対して代替となる手続き方法を案内することが重要です。
3-1. 代替策①:退職日を確認できる書類を交付する
会社が健康保険資格喪失証明書を発行しない場合は、退職日が確認できる書類を従業員に交付するとよいでしょう。具体的には、離職票や退職証明書などが挙げられます。
なお、健康保険資格喪失証明書と異なり、離職票や退職証明書は、原則として従業員から請求があった場合には発行義務があるので注意が必要です。
これらの書類により国民健康保険への切り替えが可能となる場合もありますが、必要書類は市区町村によって異なることがあります。そのため、事前に各自治体へ確認するよう従業員に案内しておくことが望ましいでしょう。
関連記事:離職票と離職証明書の違いとは?交付されるまでの流れや書き方のポイントも解説
3-2. 代替策②:本人に直接手続きを進めてもらう
健康保険資格喪失証明書は、退職者本人が日本年金機構や健康保険組合に申請することで取得できる場合があります。例えば、協会けんぽに加入していた場合は、最寄りの年金事務所または事務センターに「資格喪失等確認請求書」を提出すれば、証明書の発行を受けることが可能です。
ただし、証明書の発行は資格喪失の手続きが完了していることが前提となるので、会社が「被保険者資格喪失届」を提出していない場合は、発行されない可能性があります。そのため、会社は従業員の退職後、速やかに「被保険者資格喪失届」を提出することが重要です。
参考:7-6:国民健康保険等に加入するため、健康保険の資格喪失証明等が必要になったとき|日本年金機構
4. 健康保険資格喪失証明書(社会保険資格喪失証明書)の書き方


ここでは、実際に健康保険資格喪失証明書を作成する際に必要な項目を紹介します。フォーマットに法的な指定はありませんが、資格喪失日をはじめ、被保険者情報や事業所情報など、手続きに必要な事項を漏れなく記載することが重要です。
4-1. 被保険者に関する情報
- 氏名
- 生年月日
- 現住所
- 保険者番号
- 被保険者証番号
- 取得年月日
- 喪失年月日
上記の項目を確認のうえ、間違いのないよう被保険者に関する情報を記載します。
4-2. 被扶養者に関する情報
- 氏名
- 生年月日
- 続柄
- 認定年月日
- 喪失年月日
健康保険資格喪失証明書には、被保険者の情報だけでなく、被保険者が扶養している人物の情報も記載します。
4-3. 事業所に関する情報
- 事業所名称
- 所在地
- 代表者名
- 電話番号
事業所の名称や所在地、代表者名などを記入のうえ、従業員からの希望があれば社印や代表者印を押印します。最後に、証明書を作成した日付を記載します。
健康保険資格喪失証明書以外にも、厚生年金や雇用保険の資格喪失届や離職証明書の発行など、資格喪失時には複数の対応が必要になります。本サイトでは上記の社会保険の手続きに関して、資格取得時と資格喪失時の対応についてまとめた資料を無料で配布しております。従業員の入社時や退社時の対応で不安な点があるご担当者様は、こちらから「社会保険の手続きガイド」をダウンロードしてご確認ください。
5. 社会保険から国民健康保険へ切り替える際の案内方法


続いて、社会保険から国民健康保険への切り替え方法について解説します。日本では国民皆保険制度により、すべての人がいずれかの公的医療保険に加入することが原則とされています。
退職後は、国民健康保険への加入のほか、任意継続や家族の扶養に入るといった選択肢があります。状況に応じて適切な制度を選択できるよう、従業員に対して必要な手続きを案内しましょう。
▼そもそも社会保険と国民健康保険の違いがわからない方はこちらをご覧ください
社会保険と国民健康保険の違いとは?切り替え時の手続きや任意継続について解説!
5-1. 国民健康保険に切り替える際の必要書類
社会保険から国民健康保険へ切り替える際は、退職者が市区町村で加入手続きをおこなう必要があります。具体的には、次のような書類が求められます。
- 退職日が確認できるもの(健康保険資格喪失証明書、退職証明書、離職票など)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 世帯主と加入者全員のマイナンバーが確認できるもの(マイナンバーカードなど)
なお、自治体によっては、保険料の口座振替手続きのために、キャッシュカードや通帳、銀行届出印などの提出を求められることがあります。必要書類や手続き方法は自治体ごとに異なるので、事前に申請先の市区町村へ確認するよう、従業員へ案内しておくとよいでしょう。
参考:職場の健康保険をやめたとき(社会保険等から国民健康保険へ切替)|江東区
5-2. 国民健康保険に切り替える際の提出先と提出期限
社会保険から国民健康保険への切り替え手続きは、原則として各市区町村の窓口でおこないますが、自治体によっては郵送やオンラインで申請できる場合もあります。事前に手続き方法や受付時間を確認しておくことで、スムーズに手続きを進められます。
また、届出は資格喪失日から14日以内におこなう必要があります。退職者の場合、退職日の翌日が資格喪失日となるので、例えば4月1日に退職した場合は4月2日が資格喪失日となり、その日から14日以内に手続きをおこなうことが求められます。
なお、国民健康保険法第127条に基づき、加入の届出をおこなわなかった場合には、市町村の条例により世帯主に対して10万円以下の過料が科される可能性があります。こうした不利益を防ぐためにも、企業担当者は退職前に対象者へ手続きの重要性を十分に周知しておきましょう。
参考:国民健康保険のオンライン手続き(加入・脱退・再交付・保険料軽減などの届出)|目黒区
5-3. 国民健康保険の加入手続きが遅れるとどうなる?
社会保険から国民健康保険への切り替えが遅れると、手続きが完了するまでの間はマイナ保険証や資格確認書が利用できません。そのため、医療機関を受診した場合には、いったん医療費を全額自己負担(10割)する必要があります。
なお、後日、国民健康保険に加入したうえで申請をおこなえば、療養費として払い戻しを受けられる場合もありますが、別途手続きが必要となります。
また、国民健康保険は「手続きをおこなった日」ではなく、加入資格が発生した日までさかのぼって加入扱いとなります。そのため、手続きが遅れた場合でも、その期間分の保険料は後日まとめて請求される点に注意が必要です。
従業員の退職後に、被保険者資格喪失手続きや社会保険資格喪失証明書の発行が遅れると、退職者が国民健康保険への切り替え手続きを進められず、結果として手続き全体が遅れる可能性があります。このような事態を防ぐためにも、会社側は資格喪失手続きを速やかにおこなうとともに、退職者に対して必要書類や手続き方法を適切に案内することが大切です。
関連記事:社会保険と国民健康保険の切り替え手続きとは?タイミングや注意点を解説
6. 退職時の社会保険手続きを再確認しよう


健康保険資格喪失証明書(社会保険資格喪失証明書)は従業員が退職後、国民健康保険への切り替えに必要な書類です。保険料は資格喪失日(通常は退職日の翌日)を基準に算定されるため、退職日を証明できる書類が必要となります。
会社は健康保険資格喪失証明書を発行する義務がないものの、退職する従業員がスムーズに手続きを進めるためにも、早めに自社で発行しましょう。証明書の様式に定めはないものの、不備を防ぐために自治体が発行している様式の活用がおすすめです。
しかし、会社によっては慣習として証明書を発行していないケースもあります。証明書を発行できないのであれば、離職票や退職証明書を退職日の証明として使用してもらう、退職者本人に年金事務所や健康保険組合で直接発行手続きをしてもらうことを伝えましょう。



従業員の入退社、多様な雇用形態、そして相次ぐ法改正。社会保険手続きは年々複雑になり、担当者の負担は増すばかりです。
「これで合っているだろうか?」と不安になる瞬間もあるのではないでしょうか。
とくに、加入条件の適用拡大は2027年以降も段階的に実施されます。
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- 最新の法改正に対応した、社会保険手続きのポイント
- 従業員の入退社時に必要な手続きと書類の一覧
- 複雑な加入条件をわかりやすく整理した解説
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