年末調整を税理士に依頼するメリットや依頼方法を解説
年末調整を自社で無理してやっていませんか?経理担当者を雇って、頑張って年末調整をしたのに、税務調査で指摘や修正依頼が多く、源泉所得税や罰金を多く支払った経験がある方は、ぜひこの記事をご覧ください。
税理士は税の専門家のため、年末調整を安く、早く、正確にしてくれることでしょう。
目次
「年末調整のガイドブック」を無料配布中!
「年末調整が複雑で、いまいちよく理解できていない」「対応しているが、抜け漏れがないか不安」
「令和6年の年末調整における定額減税への対応方法が知りたい」というお悩みをおもちではありませんか?
当サイトでは、そのような方に向け、年末調整に必要な書類から記載例、計算のやり方・提出方法まで、年末調整業務を図解でわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。
給与支払報告書や法定調書など、年末調整後に人事が対応すべきことも解説しているため、年末調整業務に不安のある方や、抜け漏れなく対応したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 年末調整は税理士に依頼することが可能
年末調整に関連する業務は、社外の税理士に依頼することが可能です。複雑な業務を税理士に任せれば、より正確な対応ができ担当者の負担も減らすことができます。
税理士に依頼できる年末調整に関連する業務は以下の通りです。
- 年末調整に必要な資料の提示
- 提出された資料(給与・賞与・控除額など)をもとにした所得税額の計算
- 所得税額と源泉徴収税額から過不足を計算し、還付や徴収を報告
- 各種必要書類の作成
- 年末調整を管轄の税務署へ提出
一般的にはこれらの業務を税理士に依頼することが可能です。
しかし、税理士によって請け負う業務内容には差があるため、実際に契約する際は委託する業務範囲を確認しておくようにしましょう。
2. 年末調整を税理士に依頼するメリット
年末調整を税理士に依頼するメリットは主に3つです。税理士への依頼を迷っている場合は、それらのメリットが会社に必要であるか、まずは検討してみましょう。
2-1. 会社の税務コンプライアンスを整備できる
年末調整を税理士に依頼した場合、専門の知識で間違いのない処理をしてもらえます。税務調査が入った場合でも問題ありません。
なお、給与などの支給に対して、会社は所得税の源泉徴収をする義務があります(所得税法6条)。
会社が源泉徴収をしない場合は、義務を履行しなかったと判断され、税務調査官は会社から税金(源泉所得税)を徴収することができます。この場合は罰則が発生する恐れがあります。
税務調査によって追加で科される可能性のある税金には、次のようなものがあります。
延滞税 |
納期限から2月を経過する日まで 約2.6% 上記の翌日以後については、約8.9% |
不納付加算税 | 原則10%(自主納付の場合は5%) |
重加算税 | 35% |
脱税の程度が悪質・重大な場合には、十年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金とされる可能性もあります(所得税法239条)。
延滞税は、通常の借入金の利率よりも高い場合が多く、重加算税や罰金が課される場合は、会社の利益のほとんどが失われるケースもあります。
近年は年末調整や所得税法の改正が非常に多く、完全に把握することは簡単ではありません。
また、設立初期の会社の場合、税務調査でよく指摘される論点を把握できていない場合も多いです。
そのような場合でも、専門知識が豊富な税理士であれば、効率的に税務調査でよく調べられる部分のチェック・強化をおこなってくれるでしょう。
税理士に依頼するにはコストがかかりますが、業務負担の軽減や義務を怠ったことによる罰金などのリスクを考えると、決して高くはありません。
年末調整をはじめとした、税金に関連する業務負担の軽減を計りたい場合や、間違いのない納税をしたい場合は税理士への依頼がおすすめです。
2-2. 人件費の負担を節約できる
税理士に年末調整を依頼するコストは、経理の人経費(月額)よりも大幅に安い場合が多いです。
税理士に年末調整を依頼した場合の費用相場は、20人の会社の場合、9万から10万円程度です。
一方、新規に採用した場合はどうでしょうか。
経理担当者の平均月額給与は、約30万円程度といわれています。
また、新卒採用した場合でも、月額約20万円はかかるでしょう。
既存の経理担当者の方に残業をお願いして、年末調整の対応をすることも可能ですが年末は経理や総務の業務が多くなります。
- 冬季賞与・決算賞与
- 12月決算法人の場合の決算業務
- 年末調整
これらの業務が重なることになるため、複数人の残業時間が大幅に増加して結果的に税理士に依頼するよりも人件費が上回る可能性もでてきます。
また、忙しいときに作業をすると精度が落ち、単純なミスが増え、その対応にも残業が発生することもあるでしょう。
こうした人件費の増加は予測できない部分が多いですが、税理士に依頼すれば定額になります。支出を抑え、予測できるようになるのも税理士に依頼するメリットです。
2-3. 節税につながることがある
税理士は税金のプロです。給与の所得税の計算を正確に、ミスなく遂行することがかのうです。
また、所得税が安くなる次のような年末調整のアドバイスをしてくれるかもしれません。
- 共働き世帯の場合、夫婦で住宅ローン控除を受けた方が有利
- 社宅手当を支給するよりも、会社名義で社宅を契約したほうが有利
- 個人で車を購入するよりも、法人の社用車として購入し、現物給与として車を支給したほうが有利
そのほかにも、旅費規程や福利厚生費規程など、社内規程を整備することにより、所得税が非課税となるものは多くあります。
必ずしも節税ができるとは限りませんが、税理士に相談することで可能な限りの節税ができるでしょう。
3. 年末調整を税理士に依頼する際の費用相場
年末調整を税理士に依頼する場合には、顧問料が発生します。おおよその相場を知っておきましょう。
ただし、こちらで紹介するのはあくまでも一例です。実際の費用は直接税理士事務所に問い合わせて検討してください。
3-1. 年末調整を税理士に依頼する際の費用相場
税理士のホームページを参考にすると、年末調整の費用相場は次のようになります。
- 基本料金:1万円から3万円
- 人数あたりの追加手数料:1人×1,000円から3,000円
具体的に計算してみると、顧問料は次のようになります。
従業員数が20人の場合は、以下のような費用になることが考えられます。
最安値:10,000円×1,000×20人=30,000円
最高値:30,000円×3,000×20人=90,000円
税理士に支払う費用は従業員数が増えるほど高くなると考えておきましょう。
3-2. 年末調整の費用を抑えるポイント
税理士に年末調整を依頼する費用を少しでも抑えたい場合は、税理士の業務を減らして負担を軽減してみましょう。
以下のように一部の業務を自社でおこなったり、税理士がスムーズに業務を進められるように工夫したりすると効果的です。
- 給与計算は自社の担当者がおこなう
- 年末調整の資料回収は自社でおこなう
- 税理士には、年末調整のレビューのみ依頼をする
- 時間の余裕をもって、依頼をする
- 自社と同じ給与計算・年末調整ソフトを使っている税理士に依頼する
また、税理士法人は比較的大規模な法人を得意とするため、顧問料が割高なケースが多いです。
それに比べて、個人の税理士事務所は個人事業主や中小企業などを得意としているため、顧問料が割安なケースがあります。ぜひ、自社の条件に適した税理士を探して、コストベネフィットが高くなるようにしましょう。
実際に年末調整の書類回収から自社でおこなう場合には、年末調整の電子化をおこなうことで、より効率的に業務工数を削減することも可能です。
必要な書類の提出依頼と回収をシステム上でおこなうことができるため、人事労務・総務担当者の方にとっては、書類を印刷・配布・郵送というような事務作業に時間をかける必要がなくなります。また従業員にとっても、紙ではなくシステム上で依頼を受け取ると、PCやスマートフォンで簡潔に対応することができ、リモートワークの従業員でもスムーズに連携可能です。
このように年末調整のペーパーレス化は、年末調整の担当者と従業員、両者にとってそれぞれの工数が削減できるという点で大きなメリットがあります。そのため、昨今では工数削減のため、システムを使って年末調整に対応する企業が増えていることも事実です。
当サイトでは、このような年末調整での書類回収業務はじめ、年調過不足金の計算までを工数削減できる方法を解説した動画を無料公開しています。
「年末調整をもっと楽にしたいけど何からはじめていいのかわからない…」という方は、まずこの動画をご覧の上、お役立てください。
この動画は、60分間のオンデマンド配信の一部を切り取りしたものです。
動画のテーマは、税理士が解説した「令和6年版 年末調整セミナー」の動画となっており、お申込みをいただきますと誰でも無料視聴可能です。年末調整の工数削減の方法から、年末調整のやり方・基礎知識までもっと詳しく知りたいという方は、ぜひこちらからお申込みの上、フル動画をお役立てください。
4. 年末調整を税理士に依頼する際の流れ
年末調整を税理士に依頼する流れは、非常に簡単です。
おすすめは2から3社の税理士事務所と面談をし、料金やコミュニケーションスキルなどを比較検討した上で、自社にあった税理士を見つける方法です。
4-1. 自分から問い合わせする場合
「お金のことは、登録している信頼性の高い正式な税理士に依頼したい」という方におすすめです。
日本税理士連合会のホームページで、税理士として登録している正式な税理士・税理士法人の情報が確認できます。
日本税理士連合会から検索する場合は、次のような流れで簡単に見つけられます。
- 「税理士を探したい方」の欄の「税理士を探す」ボタンをクリック
- 「条件を指定して検索したい場合」をクリック
- 住所を入力、取扱業務の年末調整にチェックを入れます。
- 検索ボタンをクリックして、該当する税理士の一覧を表示させます。
- 電話番号やメールアドレスから依頼できるかご連絡しましょう。
- 面談
- (問題なければ)契約成立
税理士と直接連絡を取れるため、やり取りが素早いのが大きなポイントです。
また、Web上での検索や知り合いからの紹介でも探すことができます。
4-2. 紹介サービスを利用する場合
急に面識のない相手に連絡することを躊躇する場合は、税理士エージェントを使う方法があります。
担当者や紹介された税理士が自社に合うかの問題があるため、複数のサイトを利用して相性のよい担当者をみつけるのがおすすめです。
一般的に税理士エージェントを利用する流れは以下の通りです。
- ホームページに移動する
- フリーダイヤルに連絡する又はメールで問い合わせをする
- 専任のコーディネーターと相談・打合せ
- 税理士と面談
- (問題なければ)契約成立
これらの方法以外にも、取引のある金融機関の担当者などに税理士を紹介してもらう方法なども考えられます。
5. 税理士に依頼すれば手間を減らして間違いのない年末調整が可能
年末調整は自社でおこなうことも可能ですが、業務負担や正確性を考えると税理士に依頼したほうがメリットが多いケースも存在します。
税務コンプライアンスの整備、人件費などのコスト削減や時間コストの削減、節税アドバイス、などを重視する場合は、税理士への依頼を検討してみましょう。
税理士は多くの会社の年末調整や税務調査の経験をしているため、そのノウハウや他社事例を多くもっています。
スタートアップの会社で社内規程や社内体制がまだ整っていない場合は、それらのアドバイスも合わせて受けられるため、よりメリットが増えるでしょう。
「年末調整のガイドブック」を無料配布中!
「年末調整が複雑で、いまいちよく理解できていない」「対応しているが、抜け漏れがないか不安」
「令和6年の年末調整における定額減税への対応方法が知りたい」というお悩みをおもちではありませんか?
当サイトでは、そのような方に向け、年末調整に必要な書類から記載例、計算のやり方・提出方法まで、年末調整業務を図解でわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。
給与支払報告書や法定調書など、年末調整後に人事が対応すべきことも解説しているため、年末調整業務に不安のある方や、抜け漏れなく対応したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
人事・労務管理のピックアップ
-
【採用担当者必読】入社手続きのフロー完全マニュアルを公開
人事・労務管理公開日:2020.12.09更新日:2024.03.08
-
人事総務担当が行う退職手続きの流れや注意すべきトラブルとは
人事・労務管理公開日:2022.03.12更新日:2024.07.31
-
雇用契約を更新しない場合の正当な理由とは?通達方法も解説!
人事・労務管理公開日:2020.11.18更新日:2024.11.21
-
法改正による社会保険適用拡大とは?対象や対応方法をわかりやすく解説
人事・労務管理公開日:2022.04.14更新日:2024.08.22
-
健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届とは?手続きの流れや注意点
人事・労務管理公開日:2022.01.17更新日:2024.07.02
-
同一労働同一賃金で中小企業が受ける影響や対応しない場合のリスクを解説
人事・労務管理公開日:2022.01.22更新日:2024.10.16