労働保険の年度更新とは?手続き方法・電子申請についても解説
更新日: 2023.9.1
公開日: 2021.11.12
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年に一度手続きを実施する「労働保険の年度更新」。
この労働保険の年度更新を安全に実施するためには、手続方法と注意点をしっかり押さえておく必要があります。
そこで本記事では、労働保険の年度更新における基礎概要や手続方法、注意点を解説します。
労働保険の年度更新の手続きで不安を抱えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
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1.労働保険の年度更新とは、雇用保険料と労災保険料を算定して行う前払い
労働保険の年度更新とは、年に一度見込み給与を基に雇用保険料と労災保険料を算定し、会社が前払いすることです。
労働保険料は例年4月1日から翌年3月31日までを1年間として計算します。
加入した年の労働保険料は加入したときに納付しますが、それ以降の労働保険料は1年の見込み給料を基に毎年納付する必要があるのです。
そのことから、労働保険に加入している間は毎年更新の手続きを行う必要があります。
労働保険料の納付額は賃金総額によって変化するため、年末にならないと納付額は定まりません。
なお、年度更新の期間は例年6月1日から7月10日までの間です。
ただし、2021年度の年度更新期間は6月1日から7月12日までとなっています。
この更新手続きが遅れてしまうと、確定保険料に応じて10%の追徴金が発生するため早めに手続きを行いましょう。
2.雇用保険と労災保険の理解
労働保険の年度更新を深く知るためにも、雇用保険と労災保険の理解を深めましょう。
1つずつ詳しく解説していきます。
2-1.雇用保険
雇用保険は政府の強制保険制度であり、労働者が失業したときのために加入する保険です。
労働者が失業したときの状況に応じて給付金を受け取れる制度で、以前は失業保険といわれていました。
この雇用保険はハローワークでの手続きとなります。
関連記事:雇用保険とは?給付内容や適用される適用事業所について
2-2.労災保険
労災保険とは、従業員が業務関係上で怪我や病気になったときのために加入する保険のことです。
会社の業務や通勤によって怪我や病気になった場合、治療や生活に必要な金額が給付されます。
雇用保険は労使で決められた保険料を支払いますが、労災保険は全額会社負担となっており、都道府県労働局または労働基準監督署が扱っています。
3.労働保険の年度更新における手続方法
続いて、労働保険の年度更新における手続方法をみていきましょう。
労働保険の年度更新は大きく4つの方法で進めていきます。
3-1. 申告関係書類を確認する
まずは申告関係書類を確認しましょう。
例年5月下旬ごろ、労働局から事業所宛に下記の申告関係書類が届きます。
・労働保険概算・確定保険料/石綿健康被害救済法一般拠出金申告書
・確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表
・申告書の書き方
・保険料率表
申告関係書類が手元に届いたら、印字されている会社名などが間違っていないか確認しましょう。
3-2. 賃金集計表を作成する
申告関係書類を確認したら、賃金集計表を作成していきます。
賃金集計表は、保険料計算の基礎となる賃金総額の集計で使用します。
この賃金集計表は提出する必要はありませんが、大事な書類であるためしっかり保管しておきましょう。
なお、賃金集計表は厚生労働省が提供している「年度更新申告書計算支援ツール」を用いるとスムーズに作成できます。
Excelによる自動計算であるため、自身で計算する手間が省けます。
3-3. 申告書に記入する
賃金集計表を作成し終わったら、申告書に記入していきましょう。
申告書には賃金集計表を基にして、従業員に支払う見込みの賃金総額のほか、労災保険と雇用保険それぞれの対象賃金を記入します。
なお、労災保険と雇用保険の被保険者の対象は異なるため、それぞれの金額を分けて算出する必要があります。
3-4. 申告書の提出と保険料を納付する
申告書の必要事項にすべて記入したら、申告の提出と保険料を納付しましょう。
原則、保険料の納付は一括ですが、概算保険料が40万円以上であれば3回に分割することができます。
また、申告書の提出と保険料の納付は銀行や郵便局等の金融機関、都道府県労働局や労働基準監督署で行えます。
社会保険・労働保険徴収事務センターでは申告書の提出のみ可能です。
4.労働保険の年度更新の電子申請について
労働保険の年度更新はインターネットを用いた電子申請も行えます。
電子申請の概要からメリットまで、詳しくみていきましょう。
4-1.電子申請のメリット
電子申請のメリットは、インターネット上で手続きが完結できることです。
電子申請であれば、わざわざ金融機関や労働基準監督署に出向く必要がありません。
24時間どこからでも申請を行えるため、移動時間を省くことができます。
4-2.電子申請に必要なもの
電子申請にはパソコンと電子証明書が必要です。
電子申請は「e-Gov(電子政府の総合窓口)」を利用するため、動作環境を満たしたパソコンを用意しましょう。
また、電子証明書の取得も忘れずに行ってください。
4-3.電子申請の手続方法
パソコンを使った電子申請の手続方法は下記をご参考ください。
1. e-Gov電子申請手続検索で「労働保険年度更新申告」を検索する
2. 申請画面の必要事項をすべて入力し、電子証明書のデータをe-Govへ保管する
3. 保管したデータを送信して到着確認後、インターネットバンキングで保険料を納付する
この手続方法のほかにも、市販の電子申請ソフトや労務管理システムを用いて申請する方法があります。
自身にとって申請しやすい方法をみつけましょう。
5.労働保険の年度更新の注意点2つ
労働保険の年度更新における手続方法がわかったところで、最後に年度更新の注意点を2つ解説します。
労働保険の年度更新を安全に行うためにも、ぜひご確認ください。
5-1.賃金の該当種類を間違えない
労働保険の年度更新の注意点1つ目は、賃金の該当種類を間違えないことです。
労働保険料は賃金総額をベースにして算出しますが、この賃金には含まれるものと含まれないものがあります。
例えば、給与や手当、賞与といった労働に対して支払われる報酬は賃金に含まれます。
しかし、役員報酬や災害見舞金、出張旅費などは賃金に含まれないため注意が必要です。
5-2.65歳以上の高年齢者における手続き
労働保険の年度更新の注意点2つ目として、65歳以上の高年齢者における手続きがあげられます。
以前までは、65歳以上の高年齢者には雇用保険が適用されませんでした。
しかし、2017年からは65歳以上の従業員も雇用保険の適用対象となるものの、2020年3月31日までは雇用保険料が免除されていました。
この高年齢者の雇用保険料免除の期間は終了し、2020年4月1日からは高年齢者の従業員でも雇用保険料の納付が必要です。
そのため、労働保険の年度更新を行うときは、65歳以上の従業員も雇用保険の対象として実施しましょう。
6.労働保険の年度更新は必要事項を確認して慎重に実施しよう
本記事では、労働保険の年度更新における手続方法や注意点を解説しました。
年に一度見込み給与を基に雇用保険料と労災保険料を算定し、会社が前払いすることを「労働保険の年度更新」と呼びます。
この年度更新の期間は例年6月1日から7月10日までの間であり、期間を過ぎるとペナルティが課せられるため注意が必要です。
ぜひ本記事の内容を参考にし、年度更新の必要書類と申請場所を確認して漏れがないよう慎重に実施しましょう。
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