就業規則の届出はいつまで?必要書類や届出先、義務に違反した場合の罰則を解説
更新日: 2026.7.31 公開日: 2021.10.25 jinjer Blog 編集部

就業規則とは、会社で働くうえで重要な労働条件や賃金に関するルールを明文化した文書です。賃金は「賃金規程」、育児や介護は「育児介護休業規程」など、カテゴリーごとに分けて規程を作成している会社もあるでしょう。
働くうえでのルールを定めた文書は、名称に関わらず就業規則の一部として扱われるため、作成・変更後は遅滞なく労働基準監督署への届出が必要です。
本記事では、どのような場合に就業規則の届出が必要なのか、また届出をする際はどのような書類が必要なのかを解説します。
関連記事:就業規則とは?人事担当者が知っておくべき基礎知識をわかりやすく解説
目次
労務管理をおこなう上で、就業規則の「作成、届出・変更、さらには周知において」——正しく理解できていますか?
記載すべき項目のミスや、変更する際のルールの見落としは、法令違反や労基署からの指導といった深刻なトラブルを招きかねません。就業規則の管理ミスは企業リスクに直結するため、人事労務担当者であれば、必要な労働基準法を正しく理解しておくべきです。
当サイトでは、就業規則におけるルールをはじめ、労務管理の要となる「労働時間・休憩・休日・年次有給休暇」に関しても法的基準をわかりやすく解説した資料を無料配布しています。
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1. 就業規則の届出とは


就業規則の届出とは、事業主が就業規則を作成または変更した際に、その内容を届け出る手続きを指します。就業規則は作成した後に、事業所を管轄する労働基準監督署に届出をしなければ、労働基準法違反になる可能性があります。
1-1. 就業規則の届出義務が発生する条件
労働基準法89条では、次のように就業規則の届出義務が定められています。
常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
「常時10人以上の労働者」の人数を数える際は、日雇い労働者などの臨時的な雇用者を除き、正社員やパート・アルバイトなど雇用形態を問わず算入します。一方、派遣社員は派遣元の労働者であるため、派遣先である自社の労働者数には含まれません。
また、就業規則は事業所ごとに必要のため、労働者のカウントも事業所ごとにおこないます。例えば、本社に10人の正社員が在籍していて、営業所に1人の正社員と4人のアルバイトが在籍している場合、就業規則の届出義務があるのは、本社のみです。
1-2. 就業規則はいつまでに届出する?
就業規則の届出については、労働基準法施行規則第49条において「遅滞なく届け出なければならない」と定められています。届出期限が「〇日以内」と具体的に規定されているわけではありませんが、就業規則を作成した場合は、できるだけ速やかに労働基準監督署へ届け出ることが重要です。
なお、就業規則の施行日前であっても届出をおこなうことは可能です。また、就業規則を変更した場合にも、新規作成時と同様に遅滞なく届出をしなければならないので注意しましょう。
2. 就業規則の届出における3つの必要書類


就業規則を労働基準監督署に届け出る際には、どのような書類を準備し、提出すればよいのでしょうか。届出が必要な書類は次の3つです。
- 就業規則
- 意見書
- 就業規則(変更)届
本章では、これら3つの必要書類を具体的に解説します。
2-1. 就業規則
就業規則を届出する際は、就業規則本体を紙またはデータで準備します。「就業規則」という名称でなくても、従業員に適用されるルールを定めた規程は就業規則の一部として扱われます。代表的な例として、次のような規程が挙げられます。
- パートタイマー就業規則
- 賃金規程
- 育児介護休業規程
- 出張旅費規程
- 慶弔見舞金規程
企業によっては、雇用形態ごとに就業規則を分けて作成したり、賃金や出張旅費などのルールを別規程として定めたりすることがあります。しかし、これらの規程も就業規則の付属規程として扱われるため、原則として、就業規則本体とあわせて労働基準監督署への届出が必要です。
関連記事:就業規則の作成方法|記載すべき項目や注意すべきポイントを解説
2-2. 従業員代表者の意見書
就業規則を労働基準監督署へ届け出る際は、過半数労働組合または過半数代表者(従業員代表者)の意見を聴取し、その意見書を就業規則に添付して届け出る必要があります。
なお、従業員代表者を選出する場合、投票や挙手など、労働者の過半数が支持していることが確認できる民主的な方法で選出しなければなりません。また、労働基準法上の管理監督者は過半数代表者になることができません。
参考:就業規則を作成したり、変更する場合には労働者の代表の意見を聴かなければなりません。(労働基準法第90条関係)|厚生労働省
また、意見書には、次のような事項を記載するのが一般的です。
- 意見を求めた日付
- 従業員代表者の氏名
- 就業規則に対する意見(特に意見がない場合は「特に意見なし」など)
- 従業員代表者の選出方法
なお、意見書の様式は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
参考:様式集|厚生労働省
関連記事:就業規則の意見書とは?様式・記入例や作成に必要な内容と押印時のポイントを解説
2-3. 就業規則(変更)届
就業規則(変更)届とは、作成した就業規則を労働基準監督署に提出するための、届出書面のことです。新規作成・変更の種別、変更内容、労働保険番号などの会社情報が記載されています。
就業規則(変更)届のフォーマットも、厚生労働省や労働局のサイトからダウンロードできます。
参考:就業規則(変更)届フォーマット(Word)|厚生労働省
意見書とあわせて就業規則(変更)届の記載例は次のとおりです。
3. 就業規則の届出方法とその流れ


ここでは、就業規則の届出方法と具体的な手続きの流れについて解説します。適切な手順を踏むことで、就業規則の効力を確実なものにし、労務トラブルの防止にもつながります。
3-1. 就業規則を作成する
就業規則の届出をおこなうためには、まず法令に沿った就業規則を作成する必要があります。就業規則には、始業・終業時刻や休日、賃金、退職に関する事項などの「絶対的必要記載事項」を必ず記載しなければなりません。
また、退職金制度や表彰・制裁制度などを設ける場合は、「相対的必要記載事項」として定める必要があります。法改正への対応漏れや必要事項の記載不足があると、労働基準法違反となったり、該当する規程が無効と判断されたりするおそれがあるため、事前に内容を十分確認しましょう。
3-2. 従業員代表者から意見を聴取する
就業規則を作成したら、届出の前に労働者の過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数を代表する者から意見を聴かなければなりません。
ここでいう「意見聴取」は同意を得ることまで求められませんが、意見書を作成し、就業規則の届出時に添付する必要があります。
3-3. 労働基準監督署へ届出をする【窓口持参・郵送・電子申請】
就業規則と意見書が完成したら、事業所を管轄する労働基準監督署へ届出をおこないます。届出方法には次の3つがあります。
- 事業所を管轄する労働基準監督署の窓口へ持参する
- 郵送で提出する
- 電子申請(e-Gov)を利用する
窓口へ持参する場合は、「就業規則」「意見書」「就業規則(変更)届」のほか、受理印付きの控えを受け取るための控え一式を準備しておくのが一般的です。書類に不備がなければ、その場で受理印が押された控えを受け取れます。
郵送で提出する場合は、提出用と控えの2部ずつ必要書類を用意し、それに加えて切手を貼付した返信用封筒を同封しておくと、受付印が押された控えの返送が受けられます。ただし、書類に不備がある場合は差し戻し・再提出が必要となることもあるので、その際は手続きに時間を要します。
また、近年はe-Govを利用した電子申請を活用する企業も増えています。電子申請では、申請データを作成し、就業規則や意見書を電子ファイルとして添付して提出します。
控えへの受付印の押印を希望する場合は、対象ファイル名の先頭に「【押印希望】」と付して提出します。手続き完了後は、労働基準監督署から返却される公文書データを保管しておきましょう。
参考:就業規則(変更)届(各事業場単位による届出)|e-Gov電子申請
3-4. 従業員へ周知をおこなう
就業規則は届出をすれば完了ではありません。労働基準法では、作成した就業規則を従業員へ周知することが義務付けられています。具体的には、次のいずれかの方法で周知します。
- 各事業所の見やすい場所に備え付ける
- 書面を交付する
- 社内イントラネットなどで常時閲覧できる状態にする
従業員が必要なときにいつでも内容を確認できる状態にしておくことが重要です。周知されていない就業規則は、従業員に対して効力が認められない可能性があるので注意しましょう。
関連記事:企業が就業規則の閲覧を求められたら?労働者の権利と会社の義務に基づいた対応方法とは
3-5. 【ポイント】就業規則の本社一括届出とは?
複数の事業所を有する企業では、本社で複数事業所分の就業規則をまとめて届け出る「本社一括届出」を利用できることがあります。本社一括届出を活用することで、事業所ごとに個別の届出をおこなう手間を軽減できるので、支店や営業所が多い企業にとって便利な制度です。
ただし、本社一括届出を利用するためには、本社と各事業所の就業規則が同一内容であることが求められます。また、従業員代表者からの意見聴取は、原則として事業所ごとに実施しなければなりません。
なお、「確かめよう労働条件」の電子申請を利用する場合は、本社とは異なる就業規則であっても、その事業所同士で就業規則の内容が同一であれば、それらの事業所分をまとめて一括届出をおこなうことが可能です。複数の事業所を運営している企業は、届出業務の効率化のために活用を検討するとよいでしょう。
参考:労働条件ポータルサイト「確かめよう労働条件」から電子申請ができるようになりました!!|厚生労働省
4. 就業規則の届出における注意点


ここまで、どのような場合に就業規則の届出が必要なのか、また届出の際の必要書類についてみてきました。本章では、届出をしなかった場合のリスクやその他の注意点を解説します。
4-1. 就業規則を変更・追加する場合も届出が必要
就業規則に新たな制度を追加したり、既存の内容を変更したりした場合には、変更後の就業規則についても労働基準監督署への届出が必要です。また、就業規則を変更する場合も、従業員代表者から意見を聴取し、その内容を記載した意見書を添付して届け出なければなりません。
届出にあたっては、変更内容が明確に確認できる場合、変更後の就業規則全文ではなく、変更箇所のみの提出や新旧対照表による提出が認められることがあります。変更履歴を適切に管理するため、改定日やバージョンを明記し、誤って旧版の就業規則を提出しないようにしておきましょう。
関連記事:就業規則の変更手順とは?届出義務や提出・周知方法を解説
4-2. 付属規程等の届出が必要な範囲に注意する
就業規則の届出にあたっては、付属規程のうち届出が必要となる範囲を正しく把握しておくことが重要です。
例えば、パートタイム労働者の労働条件を定める「パートタイマー就業規則」や、賃金の支給ルールを定める「賃金規程」などを就業規則とは別に作成している場合でも、就業規則の一部として扱われるので、作成・変更時には届出が必要となります。
一方で、社内業務の運用マニュアルやガイドラインなど、労働基準法上の就業規則に該当しない内部規程については、一般的に届出は不要です。届出漏れを防ぐためにも、各規程が就業規則の一部に該当するかどうかを事前に確認しておくことが大切です。
関連記事:就業規則に賃金規程は必須ではない?必要になるケースや定める事項とは
4-3. 届出義務に違反すると罰則が課される可能性がある
常時10人以上の労働者を使用する事業所は、就業規則を作成した場合、所轄の労働基準監督署へ届け出る義務があります。届出を怠ると、労働基準法違反となる可能性があります。
届出がされていないことが労働基準監督署の調査などで判明した場合には、是正指導や勧告を受けることがあります。また、違反の内容によっては、労働基準法に基づき30万円以下の罰金が課される可能性もあります。
さらに、法令違反が認められた企業として公表されるケースもあり、企業の社会的信用やイメージの低下につながるおそれがあります。こうしたリスクを避けるためにも、就業規則の作成後は速やかに適切な届出手続きをおこなうことが重要です。
5. 就業規則の届出に関するよくある質問


ここでは、就業規則の届出についてよく寄せられる質問とその回答を紹介します。
5-1. 就業規則は届出をしないと効力が発生しない?
就業規則は、労働基準監督署への届出が完了していないという理由だけで直ちに無効となるわけではありません。法令に適合した内容で作成され、従業員に適切に周知されていれば、就業規則としての効力が認められます。
ただし、常時10人以上の労働者を使用する企業は、就業規則の作成および届出が法律上の義務です。届出を怠った場合は、労働基準法違反として行政指導や罰則の対象となる可能性があるので注意しましょう。
5-2. 従業員10人未満の事業所は就業規則の届出が不要?
常時使用する労働者が10人未満の事業所には、労働基準法上の就業規則の作成義務はなく、労働基準監督署への届出も必要ありません。
ただし、パートタイマーやアルバイトを含めた常時使用する労働者数が10人以上となった場合には、就業規則の作成および届出が義務付けられます。そのため、事業規模の拡大を見据えて、あらかじめ制度を理解しておくことが重要です。
また、作成義務がない事業所であっても、労働条件や賃金などを明確にするために、任意で就業規則を整備することは可能です。就業規則を作成しておくことで、労使間の認識のずれを防ぎ、トラブルの未然防止につながります。
6. 就業規則の届出義務を遵守して適切な手続きをしよう


就業規則は、給与や勤務条件、休暇など会社で働くうえでのルールをまとめた大切な文書です。常時10人以上の従業員がいる事業所では、就業規則を作成し、従業員へ周知したうえで、労働基準監督署へ届出をする義務があります。
就業規則は、労使間のトラブルの予防や、信頼できる職場づくりの一環としても重要な役割を担っています。確実に効力を発生させるためにも、作成・変更後は、忘れずに提出するようにしましょう。
労務管理をおこなう上で、就業規則の「作成、届出・変更、さらには周知において」——正しく理解できていますか?
記載すべき項目のミスや、変更する際のルールの見落としは、法令違反や労基署からの指導といった深刻なトラブルを招きかねません。就業規則の管理ミスは企業リスクに直結するため、人事労務担当者であれば、必要な労働基準法を正しく理解しておくべきです。
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