モチベーションリソースとは?診断方法や人事に活かす方法を解説
更新日: 2024.1.16
公開日: 2023.6.15
OHSUGI
モチベーションリソースとは、「働く動機、理由」を指す言葉で、従業員の「やる気の源」とも言い換えられます。従業員の適性を人事に活かすには、個々のモチベーションリソースへの理解が不可欠です。
今回は従業員個人のモチベーションリソースを正しく理解する方法と、モチベーションリソースを人材の配置や育成、人事制度の構築に役立てる方法を解説します。
関連記事:部下のモチベーション管理をうまく成功させる具体的な方法
目次
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
1. モチベーションリソースとは
モチベーションリソースとは、個人を動かす原動力のようなものです。「お金を稼いで家族に豊かな暮らしをさせたい」「経験やスキルを身につけて次の転職に役立てたい」「自分の個性を活かして仕事ができるなら報酬は問わない」など、100人いれば100通りのモチベーションリソースがあります。
職務適性の予測にパーソナリティーや知的能力を用いるのはもはや一般的となりました。それに加えて、個々のモチベーションリソースをある程度パターン化し、モチベーション管理や人事制度の拡充に役立てようとする動きが活発化しています。
従業員が会社に何を求めているかを理解することはモチベーション管理の基本です。さらに、従業員個人のモチベーションが上がる要因、下がる要因を特定すれば、適切な業務、ポストへのアサインが可能になります。管理者が個々のモチベーションアップに重要な要素を職務に組むことができれば、従業員個人の自己実現と企業が求める成果の最大化も実現できるかもしれません。
2. モチベーションリソースの種類を一覧で紹介
企業などの組織における、個人のモチベーションリソースにはどのようなパターンがあるのでしょうか。一例を表で説明します。
モチベーションリソース | 興味を持つ対象 | |
組織をリードする | 統率 | ・リーダーシップを発揮して人や組織を動かすこと
・責任の大きい仕事を任されること ・権限や裁量 |
挑戦 | ・困難な課題やテーマに取り組むこと
・前例のないことを成し遂げること |
|
得意を探求する | 創造 | ・新しいものや価値を生み出すこと
・オリジナリティーを発揮する機会があること ・斬新な発想 |
専門性 | ・仕事を通じて専門的な知識やノウハウを深め、道を究めること
・プロ、スペシャリストとして認められること |
|
人とつながる | 貢献 | ・人のために自分の力を活かすこと
・仕事を通じて、社会貢献や社会の問題解決をしていることが実感できること |
親和 | ・関係者と良好な人間関係を築くこと
・仲間と一体感や気持ちのつながりを持つこと |
|
環境を良くする | 安定 | ・安定的な環境や待遇を得ること
・安心できる職場に身を置くこと ・無理せず働けること |
金銭 | ・仕事を通じてより高い報酬を得ること
・経済的に豊かな生活を送れること |
|
評価を得る | 承認 | ・自分の能力や業績を人から認められること
・周囲からの大きな期待を感じられること ・一目置かれること |
注目 | ・皆から注目されること
・賞賛を浴びること ・自分の働きが際立つこと |
働く上で大事にしたい価値観は一人ひとり異なります。それを無視して、管理者への昇進や花形部署への異動を一方的に押し付けると、従業員にストレスが生まれ、成果を最大化することが難しくなるでしょう。
また、上司と部下でモチベーションリソースが大きく異なるケースもあります。報酬や待遇アップだけがモチベーションアップの手段ではないことを理解して、従業員ごとに目標管理や評価で重点を置くポイントを調整するなどの工夫をしましょう。
関連記事:目標管理とは?意味や導入のメリット・デメリットを紹介
関連記事:評価制度の作り方や設計するときの注意点を詳しく解説
3. モチベーションリソースに沿ったモチベーション向上施策
厚生労働省の発表によれば従業員のモチベーション向上のために、長時間労働対策やメンタルヘルス対策をおこなっている企業は93.6%にも上っています。長時間労働対策やメンタルヘルス対策はモチベーションリソースにおける「環境を良くする」という点と一致しています。また、能力や成果に見合った昇進・賃金アップをおこなっている企業は88.7%です。これもモチベーションリソースでの「環境を良くする」にあたります。
このように従業員のモチベーションを向上させるには、モチベーションリソースに沿った施策を講じるようにしましょう。
参考:平成30年版 労働経済の分析 -働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について-|厚生労働省
4. 部下のモチベーションリソースを診断する方法
部下のモチベーションリソースを診断する方法として、簡単な検査やツールを使った調査があります。簡易的には、先ほど紹介した「モチベーションリソースの種類」を部下に提示し、その中から働くうえで大切にしていることを2~3個ピックアップしてもらうことも理解に役立つでしょう。
上司の立場から、「この部下のモチベーションリソースは〇〇だろう」と決めつけるのは危険です。モチベーションリソースは内面的なものであるため、必ず部下自身の声を聞きましょう。
部下のモチベーションリソースがわかったら、次は目標設定や職務の分担に活用しましょう。チームに複数のメンバーがいて、人間関係が良好な場合はお互いのモチベーションリソースを理解することでやる気を高め合えるケースもあります。
もちろん、部下との1on1ミーティングでも活用できます。従来は「どのような職務に向いているか」ということばかりが注目されてきましたが、「意欲の上がる仕事は何か」「何のために仕事をしているのか」などモチベーションリソースの観点でもヒアリングをおこなうことで従業員理解を深めましょう。
5. モチベーションリソースを活用する際の注意点
モチベーションリソースを正しく活用するために注意すべき点には以下のようなものがあります。
5-1. モチベーションリソースは不変ではない
個人のモチベーションリソースは、ライフステージなどによって大きく影響を受けます。例えば、モチベーションリソースが「注目」だった若手社員が、結婚や子育てを機に「安定」や「金銭」に変わることも珍しくありません。
そのため、モチベーションリソースの調査は定期的におこなう必要があります。
5-2. モチベーション向上のためには、報酬アップが有効とは限らない
従業員のモチベーションを上げるため、「飴と鞭」という手法をとってきた企業も数多くあるでしょう。インセンティブの支給や減給は「外発的動機付け」と呼ばれており、今では前時代的な手法と位置付けられています。
一方、従業員のモチベーションリソースを知ることは「内発的動機付け」に分類されます。人を内面から動かすため、モチベーションだけでなく、パフォーマンスの向上や満足感、幸福感にも結び付くものです。
現在では外発的動機付けだけではなく、内発的な動機付けにも配慮してマネジメントをおこなうことが主流となりつつあります。テレワークやワーケーション制度の拡充、選択的な週休3日制の導入なども、従業員個人のモチベーションを維持するために効果的な人事制度です。
5-3. モチベーションの高い部下は管理しやすいとは限らない
上司の立場であれば、モチベーションの高い部下を持ちたいと思うものです。しかし、実際にはモチベーションの高い人ほど高次の欲求を持つことも多いため、管理しやすいとは断言できません。
あらかじめ部下のモチベーションリソースを知り、どのようなキャリア形成を望んでいるのかなどを把握しておきましょう。職場の人間関係を良好に保つためにも効果的な取り組みです。
6. モチベーションの根源を理解して指導、人事に活かそう
パーソナリティーや知的能力に加えて、企業で活用されているモチベーションリソースの考え方。個々の従業員から湧き上がる「自分を動かす力」を、企業の推進力に変えるには、適材適所の人材配置や、多様性を認める人事制度、評価制度の拡充が重要です。
まずは自分自身やチームのモチベーションリソースを知り、モチベーションアップの仮説を立てることから始めてみてはいかがでしょうか。従業員個人への理解を深め、1on1の際の声掛けや個人目標の設定などにも役立てましょう。
関連記事:人事評価で部下がやる気をなくすのはなぜ?やる気を高める方法を解説
関連記事:人事評価制度の事例を6つ紹介|成功事例と導入の注意点
関連サイト:キャリアクラス | 転職を応援する転職メディア
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
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