部下のモチベーション管理をうまく成功させる具体的な方法
更新日: 2023.9.29
公開日: 2020.1.28
jinjer Blog編集部
モチベーションを管理するということは、良い部下を育てる上では非常に重要なポイント。また、何かのプロジェクトを成功させるときにも欠かせないものでもあります。
しかし、なかには具体的な方法を知らなかったことが原因で失敗してしまうケースも。
この記事では、改めてモチベーション管理をうまく成功させるための方法について解説していきます。
目次
\「離職率が高い」、「新入社員がすぐやめる」などのお悩みを抱えていませんか?/
従業員の定着率の低さなどが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方に向けて当サイトでは、「従業員満足度のハンドブック」を無料でお配りしています。
従業員満足度調査の方法や調査ツール、調査結果の活用方法まで解説しているので、従業員のモチベーション向上や社内制度の改善を図りたい方はこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. モチベーション管理する上での基礎
モチベーションを管理する方法はありますが、その前に基礎を理解しておく必要があります。既に知っている方もいるかもしれませんが、もう一度確認しておくことで管理する上での失敗を防げます。
1-1.モチベーション管理の目的とメリット
モチベーション管理の目的は、従業員のモチベーションを高めたり維持することにあります。
従業員のモチベーションが高い状態にあると、自発的に業務に取り組むため成果が上がったり、品質や精度が高まり企業の成長へと繋がります。
逆に従業員のモチベーションが下がってしまうと、意欲が低下しミスが増えたりと生産性が低下してしまう可能性があります。
従業員ひとりひとりのモチベーションの向上が積み重なり、最終的には事業の発展や成長という企業にとってのメリットへと繋がるのです。
1-2. やる気との違い
やる気の意味は「進んで物事をなしとげようとする気持ち」です。
モチベーションの意味は「動機づけ」なので、やる気との関係性を踏まえると「やる気を出すきっかけを与える」ことと捉えられます。
モチベーション管理とは、上司が部下へやる気を出すきっかけを与えるために働きかけること、と捉え程よい距離感で接することをおすすめします。詳しい理由は、後述の「5. モチベーション管理の失敗例」に記載しています。
引用:「やるき」の意味| goo国語辞書
引用:「モチベーション」の意味| goo国語辞書
1-3. モチベーションリソースとは
モチベーションリソースとは、やる気を出すきっかけとなる要素のことを指します。
モチベーションリソースは大きく「組織型」「仕事型」「職場型」「生活型」の4分類に分けられると言われています。
どれかひとつにしか当てはまらないというわけではなく、複数のものが当てはまることもあります。
部下がどの分類に興味があるか把握できると、モチベーション管理の際の参考になります。また、自分自身がどこに興味があるか把握すれば、目標を立てたりキャリアを検討する際にも役立ちます。
関連記事:モチベーションリソースとは?従業員の「働く理由」を人事に活かす方法
2. 必ず覚えておきたい「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」
モチベーション管理では、2つのポイントが欠かせません。そのポイントとは「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」です。
それぞれ内容が異なっており、どちらか欠けてしまうと失敗する恐れがあります。
2-1. 外発的動機づけとは
外発的動機づけには、報酬や教育といったものが含まれます。ここでよく勘違いされやすいのが、アメとムチです。確かにアメとムチは、外発的動機づけに位置付けられる重要なものです。
例えばしっかりと褒めた上で、意識向上を目指したハードルの高い仕事を与えてみましょう。
必要以上に評価をしてしまうと、部下はどんな小さなことでもお給料アップにつながらなければ、努力しようとしなくなります。本来、失敗をしたときに大切なのは、次に同じ失敗を繰り返さないために原因と対策を理解することです。
必要以上のマイナスの評価をされてしまうと、部下は失敗が怖くて挑戦をしなくなります。
このようなことを防ぐためにも、アメとムチの内容が適切かどうか、日頃からチェックしなければなりません。チェックすることで、アメとムチの与え方の間違えをできる限り減らすことができます。
このアメとムチをかすことで、部下が持つ仕事への集中力を保つことができ、モチベーションの管理に繋がります。
2-2. 内発的動機づけとは
内発的動機づけとは、社員のやる気や信頼性などです。外発的動機づけよりも優位性が高く、ここをうまく活用することがモチベーション向上につながります。モチベーションマネジメントと言って、内発的動機づけに軸をおいて従業員のモチベーションをマネジメントする手法も出てきています。
内発的動機づけと外発的動機づけがそれぞれどのような効果を出すか試した実験もあり、外発的動機づけのみの被験者よりも内発的動機づけのみの被験者のほうが優れた結果を出したという実験結果が出ています。
そのようなことから、外発的動機づけよりも内発的動機づけが優先されやすい傾向があります。内発的動機づけをうまく与えることにより、最終的には外発的動機づけをせずに仕事へ取り組んでくれるようになるでしょう。
しかし、社員によっては自分の興味がない仕事に対して、積極的に取り組めないケースもあります。そのような問題を解決するためには、内発的動機づけと外発的動機づけを合わせて活用する必要があるのです。
関連記事:モチベーションマネジメントとは?人材育成に役立つフレームワークも紹介
2-3. モチベーション3.0とは
モチベーション3.0とはダニエル・ピンク氏が提唱したモチベーション理論の概念です。
モチベーション3.0というのは内発的動機づけを指しており、変化の激しい現代で生き抜けるような柔軟で強い組織を作るために、従業員の内側からやる気を起こそうという考え方です。
3.0の前段階である1.0、2.0というものも存在します。モチベーション1.0は生理的動機づけ、モチベーション2.0は外発的動機づけのことを指しています。
関連記事:モチベーション3.0とは?注目される背景やメリットなどをわかりやすく解説
3. 従業員のモチベーションを管理する方法とは
モチベーションを管理するための基礎知識を理解をしたら、次に具体的な方法についてみていきましょう。ここでのポイントは、シーンによって方法を使い分けることです。そのシーンとは「叱るとき」「褒めるとき」「教えるとき」の3つ。どれもよくあるシーンなので、自分はできているかチェックしてみてください。
関連記事:チームのモチベーションを上げる方法は?リーダーのアクションで組織は変わる!
3-1. 叱るときにはコツを覚えておく
部下を叱るというのは、上司としての素質が非常に求められる場面です。うまく叱ることができれば、部下との関係を壊すこと無く、良くなかった点を指摘し、よりよい方向に部下を導くことができます。
まず、叱るときは、問題が発生したらすぐに叱ることが大切です。その際にいつも業務をおこなう場所以外でおこなったほうがいいでしょう。
反対に叱るタイミングが遅すぎると、「どうしてもっと早く教えてくれなかったのか、もしかしたら自分を嫌っているのでは?」というような誤解を招いてしまうことも。場所を変える理由は、部下が怒られたことを引きずらないようにするためです。
いつも業務をおこなう場所で叱ってしまうと、他の社員にも見られてしまい、部下に必要以上に嫌な思いをさせてしまいます。
また、他の社員にまで嫌な思いをさせてしまい、結果的に職場全体の雰囲気が悪くなり、部下はもちろん、他の社員のやる気も下げてしまうのです。
そのような問題を避けるためにも、叱る際には人がいないような部屋を使いましょう。
3-2. 成果を出したときには内容をしっかりと褒める
反対に成果を出したときには、具体的な内容をあげて褒めてあげましょう。上辺だけの言葉で褒めても、うまく部下の心には響きません。
成果を出すまでの過程や、特に良かった部分などを具体的にあげて褒めることで、自分の仕事ぶりが評価されていると感じ、ひいては「自分は会社に必要とされている」という気持ちを持てるようになるのです
そして、褒めるときもあまり人がいないところでおこなうのがベスト。人前で褒めると、あなたや部下に対して嫉妬や妬みの気持ちを抱く社員が生まれる恐れがあります。
嫉妬心や妬みを持つ人がいると、社内全体のモチベーション管理がうまくいきません。
3-3. 新入社員には「今」と「未来」を教える
まだ会社に入ったばかりの新入社員には、上司がいろいろと教える機会が多いです。このとき、「今」と「未来」を意識した教育をすると、部下のモチベーションをうまく向上させることができるでしょう。
「今」というのは、部下が今おこなっている仕事の必要性を説明するということです。必要性を伝えることで、割り振られた仕事に対して真剣に取り組んでもらえるようになります。
また、部下に対して「どのような未来にしたいのか?」といったことを教えるのも大切なことです。明確な未来が見えると、部下のモチベーションは向上します。
4. システムを導入してモチベーションを管理する
モチベーションを管理するとひとことで言っても、抱えている部下の人数が多く、面談をするころにはモチベーションが下がってしまっていた、ということもあるのではないでしょうか?
日々のコミュニケーションも大切ですが、従業員のモチベーションを把握するためのシステムを導入することで、モチベーションを把握するまでの時間や手間を省略させ、浮いた時間を集めた情報の分析や従業員の理解に使うことができます。
システムによって、従業員へのアンケート機能や性格診断機能など、搭載している機能が異なります。システムの特徴を比較したうえで選定するといいでしょう。
関連記事:モチベーション管理システムとは?従業員の本音を可視化するツールを解説
5. モチベーション管理の失敗例
部下に対して介入しすぎたり、指示があいまいだと、部下のモチベーションを向上させるのは難しくなります。具体的な内容は、以下を確認してみてください。
5-1. 部下に対して深く介入しすぎた
良い部下を育てたいという気持ちは、多くの方が持っていることでしょう。しかし、部下に対して深く介入しすぎると悪影響を及ぼします。
例えば、仕事が失敗したことを叱る際に「生活がだらしないからだ」といったプライベートな内容まで含めてしまうと、部下は「人格も否定された」と思ってしまい、モチベーションが著しく下がってしまいます。
仕事の失敗は部下の責任かもしれませんが、プライベートな生活は一切関係ありません。
そこまで介入してしまうと、あなたのことを部下は嫌うようになり、モチベーションを向上させようとしても、積極的に聞き入れてもらえなくなります。
5-2. あいまいな指示で混乱させた
モチベーション管理において、ゴールを設定しておくことは非常に大切です。ゴールを設定することで、達成しようという気持ちが生まれ、ゴールに向けて具体的な方法を自ら考えるようになり、モチベーションも向上します。
ゴールを設定した際には、部下が達成しやすいように指示を出しましょう。ただし、指示の内容は明確にする必要があります。
分かりやすく、明確な指示であれば、しっかりとゴールに向かって努力できますが、あいまいな指示だと、どのように仕事を進めれば良いのか分からず、部下を混乱させてしまうことも。
混乱してしまうとモチベーションを向上させることは難しくなるので、指示の出し方には注意が必要です。
5-3. モチベーション管理に最適な関係性は?
部下と必要以上に親しくなるのは避けたほうがいいでしょう。その理由は、部下への同情的な意識がモチベーション管理をおこなう上では、障害となるからです。
例えば、部下への同情的意識が高いと、ムチを与えることが可哀想だと思って甘い処分しかしなかったり、他の部下よりも過度にいい評価をつけるといった偏りのあるアメを与えてしまいます。
このようなことから、お互いに支え合いながらも仕事を進めていける関係が、モチベーション管理に最適な関係性といえます。
6. モチベーションを高める方法
モチベーションを高めるメソッドを覚えておくことで、部下のやる気に満ちた気持ちを維持したまま、さらなるモチベーション向上に役立てることができます。高めるための方程式や注意点などをここでしっかりと覚えていかしてみましょう。
6-1.モチベーションを向上させる方程式
モチベーションの向上には、方程式があります。その方程式とは、「目標の魅力×達成可能率」というもの。この方程式は、アメリカの学者であるビクター・H・ブルームが発表しました。
目標が持つ魅力と達成できる可能性によって、モチベーションの高さが変わります。部下にとって与えられた目標が、自分の好きなことや興味があることで、なおかつ努力すれば叶えられるものの場合は向上します。
しかし、自分が全く興味がない内容である上に、達成できそうにない仕事であれば、モチベーションは下がってしまうでしょう。
6-2. 相手に何かしらの選択肢を与えてみる
モチベーション管理の基礎知識である内発的動機づけには、自律性というものが含まれています。自律性とは、誰かに支持されて仕事をするのではなく、自分で考えた上で仕事を進めるということ。
自分で考えて積極的に仕事をしてもらうためには、部下に選択肢を与えたほうがいいでしょう。選択肢を与えることで自主的に取り組んでもらいやすくなり、自分で考えて動ける部下となります。
6-3. 職務充実や職務拡大もモチベーション向上に役立つ
そのほかにも、モチベーション向上に役立つ方法として、職務充実や職務拡大があります。職務充実とは、今までよりも一段上の仕事をさせて、能力を高めることです。
一例を挙げると、10人働いている社員の中から、そのうち1人をリーダーに指名し、これまでの業務と合わせて他の社員をまとめる権限を与えます。
これにより、リーダーと指名された社員は「他の社員を管理する」機会ができ、今までより一段上の仕事をすることで能力を高まっていくのです。
もう1つの職務拡大に関しては、その人が可能な仕事の幅を広げてあげることを指します。例えば、ある会社にAという社員がいるとします。その社員が持っているスキルは1つしかなく、仕事も1つのことしかできません。
しかし、部署を変わったことによりAは新しいスキルを覚えました。このように、今までの仕事以外の業務をさせることで本人能力を引き上げるのです。
職務充実と職務拡大の2つを使うことで、一人ひとりの生産性が向上し、モチベーションもアップします。
6-4. 「やりがい」だけではモチベーションは向上できない
モチベーションを向上するためにはやりがいだけで十分と思う方がいるかもしれませんが、その考えは誤っています。そもそもやりがいというのは、仕事をする中で生まれる充実感や達成感のこと。
その上やりがいは誰かに支持されて生まれるものではなく、本人の意識によって生まれます。例えば、ある部下に対して何かしらの仕事を渡すとしましょう。しかし、渡された部下にとって、その仕事は自分のスキルに見合っていないと思えるほど簡単な仕事でした。
そもそも仕事を依頼される時点でやりがいは生まれにくいですが、その上簡単すぎる仕事であるならば、達成感も感じないでしょう。これでは、モチベーションを高めることはできません。
もしモチベーションを高めるのであれば、重要性を説明した上で仕事を依頼しましょう。
「この仕事は簡単かもしれないが、会社にとって非常に重要なものであり、ミスが許されないものでもある」と説明をしてから仕事を部下に渡せば、部下は「ミスしないように達成しなければいけない」という緊張感を持ちます。
緊張感を持つことで仕事への意識が高くなり、同時にモチベーションも上がります。
6-5. 残業でモチベーションは向上しない
やりがいと同じく、残業の扱い方も確認しておきましょう。残業というのは、日中でエネルギーを使い果たしていることもあり、集中力やモチベーションが下がりやすいもの。
また、残業するということは睡眠が十分にとれなくなってしまう原因にもなります。睡眠不足に陥ると、毎日の仕事における生産性が下がります。
仕事がきちんと進行しないというのは、モチベーション以前の問題。そのため、モチベーションを高めたいのであれば、残業させないようにするのが一番です。
6-6. 高めたモチベーションを保つためには?
モチベーションが向上した際には、部下と上司がお互いに支え合いましょう。支え合うことで片方のモチベーションが下がってしまうことを防ぐのです。
例えば、部下の1人が仕事で失敗して取引先に怒られてしまったとしましょう。その部下は「自分はこの仕事に向いていない」と考えてこんでしまい、モチベーションが下がってしまうかもしれません。そんなとき、上司が落ち込んでいる部下の悩みを聞くことで、モチベーションの低下を防げます。
「失敗というのは誰でもあることであり、その失敗によって成長できる」といったことを伝えましょう。部下は上司のアドバイス通り、モチベーションを下げることなく、次につなげるための努力をすることに注力します。
関連記事:従業員のモチベーションをアップさせるには?上がった後のフォローも解説
7. まとめ
モチベーション管理は、基礎知識をしっかりと持った上で、具体的な方法を理解しておこなわないと、うまくいきません。もし部下やチームメンバーのモチベーションを高く維持したいのであれば、この記事を参考にしてもらえると幸いです。
関連記事:従業員のモチベーションはコントロールできる?人事担当が行うべきサポートを解説
関連記事:モチベーションサーベイの導入手順や実施方法を解説
\「離職率が高い」、「新入社員がすぐやめる」などのお悩みを抱えていませんか?/
従業員の定着率の低さなどが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方に向けて当サイトでは、「従業員満足度のハンドブック」を無料でお配りしています。
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