人事評価の「目標設定」の重要性や代表的な手法について解説
更新日: 2023.9.1
公開日: 2022.4.26
YOSHIDA
人事評価制度を運用する際に必ず行わなければならないのが、従業員の「目標設定」です。適切な目標設定を行うことで、従業員のやる気やモチベーションを高められます。また、目標設定を通じて取り組むべき課題が可視化されるため、より確実な成長につながります。
逆に目標を設定しなければ、ゴールにたどりつくための道筋がわからず、人事評価制度が思うように機能しなくなる可能性があります。人事評価制度の運用成功のカギを握るのは「目標設定」です。
この記事では、人事評価において目標設定が欠かせない理由や、代表的な目標管理制度、目標設定を行うときのポイントについて解説します。
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目次
1. 人事評価の目標設定は業績向上に欠かせない!目標設定を取り入れるべき理由3つ
人事評価制度で大切なのが、被評価者の「目標設定」です。適切な目標を設定し、従業員がたどりつくべきゴールを可視化することで、従業員のやる気やモチベーション向上につながります。
また、従業員自身が目標を設定することで、目標管理を通じて自己を振り返ることができ、着実な能力開発につながります。
長期的に見た場合、人事評価における目標設定は企業の業績にも影響を及ぼします。ここでは、目標設定を取り入れるべき4つの理由を解説します。
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1-1. 従業員のモチベーションが向上する
適切な目標設定を行うことで、従業員のやる気やモチベーションの向上が期待できます。目標が設定されていなければ、従業員は「自分になにが期待されているのか」「業務を通じ、どのようなことを実現できるのか」がわからず、日々の業務の意義を理解しづらくなります。
しかし、従業員が自ら目標を設定し、目標達成に向けて計画的に業務に取り組むことで、日々の業務が「自分ごと化」されます。このように、金銭などの外的要因によらず、内なる意欲によって動機づけられた状態を「内発的動機づけ」と呼びます。
人事評価における目標設定は、内発的動機づけを生み出し、従業員のやる気やモチベーションを生み出す効果があります。
1-2. 従業員の能力開発につながる
人事評価制度の目的は、従業員の成果や実績を査定することだけでなく、従業員の能力開発の促進にもあります。人事評価制度を導入し、従業員に自発的な目標設定を促すことで、能力やスキルをより効率的にレベルアップさせることが可能です。定期的に目標達成度を振り返ることで、従業員の取り組むべき課題や、習得すべき能力・スキルが可視化されます。
また、もし目標を達成できた場合、内発的動機付けの構成要素である「自己効力感」「自己決定感」が得られ、さらなる挑戦に向けた動機付けが生まれます。従業員の能力開発を促進する意味でも、適切な目標設定が必要不可欠です。
1-3. 上長との信頼関係構築につながる
一般的な人事評価制度では、原則として従業員自身が目標を設定し、上長が目標達成度の評価やフィードバックを行う形で目標管理を行います。
面談やミーティングを通じ、上長と従業員がコミュニケーションを取り合いながら、「適切な目標設定かどうか」「目標設定が成長につながっているか」を共に判断していくのが人事評価制度です。そのため、目標成果や目標管理の手法を取り入れることで、上長と従業員との信頼関係の構築につながります。
2. 人事評価の代表的な目標管理制度3つ
人事評価の代表的な目標管理制度として、「KPI(Key Performance Indicator)」「OKR(Objectives and Key Results)」「MBO(Management By Objective)」の3つがあります。一見するとよく似た制度ですが、それぞれ異なる目的や考え方を持った制度です。KPI、OKR、MBOの3つの目標管理制度の特徴を解説します。
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2-1. KPI(Key Performance Indicator)を導入する
KPIとは、日本語で「重要業績評価指標」といい、プロジェクトの最終的なゴールを実現するため、段階的に数値目標を設定する手法を指します。
2-2. OKR(Objectives and Key Results)を導入する
OKRは、GoogleやFacebookなどのGAFAも導入するなど、近年注目を集める目標管理制度です。OKRの目的は、組織全体の生産性やパフォーマンスの向上です。企業の経営課題から逆算し、従業員一人ひとりがこなすべきタスクを細分化していきます。
2-3. MBO(Management By Objective)を導入する
MBOは、多くの企業の人事評価制度で採用されている目標管理方法です。従業員本人が業務目標を設定し、上長が目標達成に向けたサポートを行います。プロジェクトの成功を目指すKPIや、組織全体の生産性向上を目指すOKRに対し、人材開発や能力開発の強化を目指すのがMBOの特徴です。
3. 人事評価の目標設定を行うときのポイントは?SMARTな目標設定を意識しよう
人事評価の目標設定を行うときに役に立つのが、SMARTと呼ばれるフレームワークです。SMARTは「Specific(明確性)」「Measurable(計量性)」「Achievable(現実性)」「Agree on(合意可能性)」「Relevant(関連性)」「Timely(適時性)」の6つの単語の頭文字をとった言葉です。SMARTを意識しながら目標設定を行うことで、より人事評価制度を機能させることができます。
・Specific(明確性)
目標設定は、可能な限り具体的に行う必要があります。誰が見ても内容を理解できるよう、明確でわかりやすい目標を設定しましょう。
・Measurable(計量性)
目標設定は、数値やデータで評価できる形で行うのが理想的です。勤務態度や業務への向き合い方など、数値化が難しい目標を設定する場合も、あらかじめ評価基準を決め、目標達成度を客観的に評価できる仕組みを整えましょう。
・Achievable(現実性)
非現実的なものではなく、本人が達成できそうな目標を設定しましょう。
・Agree on(合意可能性)
上長(評価者)とコミュニケーションをとり、双方が納得の行く形で目標を設定しましょう。
・Relevant(関連性)
目標設定を行うのは、長期的に見ると企業の利益増や業績アップのためです。企業の経営理念と関わりのある目標を設定しましょう。
・Timely(適時性)
目標設定を行うときは期限を決め、定期的に目標達成度を評価しましょう。
関連記事:人事評価における目標設定は具体例を参考にすると進めやすい
4. 人事評価制度の運用成功には、適切な「目標設定」が必要不可欠!
人事評価制度の運用を成功させるためには、適切な「目標設定」が欠かせません。従業員が各自で目標を設定し、目標達成に向けて主体的に行動することによって、能力やスキルのレベルアップにつながります。また、目指すべきゴールが可視化されることで、従業員のやる気やモチベーションの向上といった効果も期待できます。
人事評価制度は、ただ目標を設定するだけではうまくいきません。目標管理制度を取り入れ、上長と連携しながら目標を適切に管理することによって、期待通りの運用成果を挙げることができます。
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