社会保険料の納付方法や滞納するリスクについて - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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社会保険料の納付方法や滞納するリスクについて

延滞金

社会保険制度は、日常生活での病気や退職後の生活を支える重要な公的保険制度です。社会保険制度は「社会保険」と「労働保険」から構成されており、対象となる従業員は加入が義務づけられています。企業は、従業員の社会保険料について、従業員が負担する分と会社が負担する分をまとめて公的機関に納付しなければなりません。

とはいえ、納付に慣れていないと、どのようにすればよいかわからない担当者もいるのではないでしょうか。

本記事では、健康保険と年金保険、介護保険の3つを対象にした社会保険料の納付方法や納付時期、納付期限、滞納してしまった場合のリスクについて解説しています。

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1. 社会保険の納付方法

振込社会保険料は、3つの納付方法があります。自社に合った方法を選ぶためにも、それぞれの特徴をおさえておきましょう。なお、社会保険料を納付した場合は納入証明書を発行してもらえます。

1-1. 金融機関の窓口で支払う

日本年金機構は、毎月保険料の納入告知書を各事業所に郵送します。この告知書を金融機関に持参すれば、窓口で支払うことができます。金融機関の窓口で納付をするときには、「保険料納入告知書」(納付書)を切り離さないようにしましょう。支払い前に切り離してしまうと受付けてもらえないので、必ずそのまま窓口に提出してください。

この支払い方法は、従業員数が少なく、経理担当者の業務に余裕がある会社であれば問題ないかもしれません。しかし、窓口での手続きには時間がかかるので、従業員数が多かったり経理担当者の業務負担が大きくなったりするようであれば、他の方法にしましょう。

1-2. 口座振替による納付

忙しい中で、毎月金融機関に支払いに行くのはなかなか大変な業務です。そこで多くの企業では、支払い手続きを簡略化するために、指定の口座から自動で口座振替をするという方法を取っています。

口座振替にすることで手間が減るのはもちろん、支払い忘れを防止して確実に納付することが可能です。

口座振替で支払うには、「健康保険厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書」を年金事務所に直接、または郵送にて提出します。ただし、この所定様式は口座振替を利用したい金融機関の確認印が必要となるため、郵送前に金融機関の窓口での手続きをしてください。

記入済の所定様式を提出して金融機関の窓口に申請すると、預金口座の照合確認後、金融機関が1枚目(年金事務所用)を年金事務所に送付してくれます。

ただし、金融機関から返戻された場合は、1枚目(年金事務所用)と2枚目(金融機関用)の記入ミスなどをチェックして修正し、金融機関の確認印をチェックしたうえで年金事務所もしくは事務センターへ郵送するか、年金事務所の窓口に直接提出しましょう。

1-3. 電子納付を利用する

口座振替よりも更に便利に納付する方法として、電子納付という手段があります。
電子納付の方法は4つあるので、自社に合った方法で納付をしましょう。

インターネットバンキング

インターネットバンキングを利用する方法は、あらかじめ利用する金融機関と契約を結び、インターネット経由で納付手続きをおこないます。インターネットバンキングであれば、銀行の営業時間も関係なく、自宅や外出先で納付処理をおこなうことが可能です。
法人向けのインターネットバンキングなら、給与や賞与の振込み、残高照会、個人地方税納付など法人に必要なサービスを提供している銀行もあります。社会保険料の支払い以外でもさまざまなメリットがあり、企業にとっての利便性も高いので一度確認してみることをおすすめします。

モバイルバンキング

モバイルバンキングは、携帯電話を活用したインターネットバンキングです。モバイルバンキングで納付をおこなう場合は、金融機関との契約が必要になりますが、インターネットバンキングよりもミニマムに使えるので、移動中や商談中などでも手軽に振り込むことができます。

経理担当者が他の業務を兼任していたり、移動が多かったりする場合は、こちらの支払い方法がおすすめです。

ATM(Pay-easy(ペイジー)マークの表示のあるもの)

「Pay-easy」(ペイジー)マークの表示があるATMであれば、納付手続きをおこなうことが可能です。ATMの画面に従って、「お客さま番号(または納付番号)」や「収納機関番号」、「確認番号」などを入力するだけで、キャッシュカードや現金で支払いができます。感覚的に簡単に支払うことが可能となっています。

ただし、電子納付を利用する場合は、所定の契約を事前に金融機関と結んでおく必要があります。どのような契約手続きが必要になるかというのは、取引をしている金融機関に確認してください。また、電子納付による納付は領収証が発行されないため、必要な場合は金融機関の窓口で納付しましょう。

テレフォンバンキング

金融機関によって異なりますが、インターネットバンキングを利用していれば、ほとんどの金融機関でテレフォンバンキングを使って納付をおこなうことができます。テレフォンバンキングでは、銀行の専門スタッフが電話で直接もしくは音性案内で対応してくれます。手続きの方法がわからなくても説明してくれるので、パソコンや携帯電話の操作が苦手な方でも安心して納付できます。

関連記事:雇用保険料の基本的・例外的な納付方法と納付時の仕訳について解説

2. 社会保険料の仕組みについて

仕組み、構造の図

社会保険料の計算方法や納付先、支払期限などは国民年金機構による定めがあります。保険料は従業員と企業で負担しますが、企業ごとに計算方法が違ったり、納付先を決めたりすることができません。

ここでは、社会保険料の仕組みについて解説していくので、今一度確認しておきましょう。

2-1. 社会保険料の計算方法

企業は、従業員の社会保険料を毎月の給料から控除しなければなりません。控除は給与によって異なるため、従業員ごとに計算する必要があります。ここでは各種社会保険料の計算方法について解説します。

なお、この計算式を使わなくても「日本年金機構」から送付される「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」を使えば簡単に計算できます。「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」には、標準報酬月額とそれに対する社会保険料額が一覧になっているので、標準報酬月額だけを算出すれば社会保険料も算出できます。

2-1-1. 健康保険料の計算方法

健康保険料は次のような方法で算出可能です。

  • 標準報酬月額×健康保険料率=健康保険料

健康保険料率は加入している健康保険組合によって異なります。そのため加入している健康保険組合の保険料率を確認しましょう。

2-1-2. 厚生年金保険料の計算方法

厚生年金保険料の計算式は次のとおりです。

  • 毎月の給与(標準報酬月額)×保険料率
  • 毎月の賞与(標準賞与額)×保険料率

厚生年金保険料は給与や賞与にそのまま保険料率をかけるわけではありません。給与、賞与それぞれの標準額を算出する必要があります。

2-1-3. 介護保険料の計算方法

介護保険料の計算式は次のとおりです。

  • 介護保険料(従業員負担分)= 標準報酬月額 × 介護保険料率 ÷ 2

介護保険料率は毎年改定が実施されます。そのため、介護保険料を計算する際は毎年の改定内容をしっかりと反映しましょう。

2-1-4. 雇用保険料の計算方法

雇用保険料の計算式は次のとおりです。

  • 雇用保険料=給与総額×雇用保険料率

雇用保険料は会社が負担するもの、従業員が負担するものがあります。それぞれで雇用保険料率が変動するため注意しましょう。

2-1-5. 労災保険料の計算方法

労災保険料は賃金総額に労災保険料率を乗じることで算出可能です。賃金総額に乗じる労災保険料率は業種によって異なります。そのため、自社の労災保険料率を確認しておきましょう。

2-2. 社会保険料の納付先

社会保険料は、日本年金機構に納付する仕組みとなっています。毎月20日ごろに、日本年金機構から「保険料納入告知書」が郵送されてくるので、期日までに納付することが義務付けられています。納付方法は前項で紹介していますが、これらの方法以外での納付は認められていません。

例えば、個人で納付することもある国民年金保険料はクレジットカードで支払うことができますが、会社が納付する社会保険料はクレジットカードでの支払は認められていないので、間違えないように注意しましょう。

2-3. 社会保険料の支払期限

社会保険料の支払期限は、「翌月末日」となります。「翌月」というと、1ヵ月の猶予があると思ってしまうかもしれません。しかし、保険料納入告知書は社会保険料が発生した翌月に送られてくるので、支払期限が「翌月末日」であっても、告知書が送られてきた月の末日が期限となるので注意が必要です。

保険料納入告知書は20日前後に送付されるため、支払期限まで約10日しかありません。そのため、期限を勘違いしてしまうと、納付をし忘れることもあるので気を付けましょう。また、支払期限となる日が土・日・祝日の場合は、金融機関の翌営業日が期限となるため事前に確認しておいてください。

2-4. 賞与の社会保険料の計算方法

賞与が発生する場合は賞与に対しても社会保険料を支払う必要があります。賞与で支払いが必要なのは健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料です。それぞれの保険料率に対して、標準賞与額を乗じることで算出可能です。

3. 社会保険料を計算する際の注意点

注意点を解説する

社会保険料を計算する際は次のような点に注意しましょう。

  • 変動の可能性がある
  • 産休・育休中は条件によって社会保険料が免除される
  • 雇用保険以外は日割りができない

3-1. 変動の可能性がある

社会保険料は変動の可能性があります。例えば保険料率は標準報酬月額に応じて変動するため、社会保険料そのものも変動します。また、給与が高くなる、低くなることでも社会保険料が変動する可能性があります。

3-2. 産休・育休中は条件によって社会保険料が免除される

社会保険料は産休、育休の従業員がいた場合、条件を満たすことで社会保険料が免除されます。産休、育休中の従業員の社会保険料を免除するには手続きは必要なため忘れずに対応しましょう。

3-3. 雇用保険以外は日割りができない

社会保険料は原則として日割りができません。しかし、雇用保険料については日割りが可能です。例えば、月の途中で従業員が退職した場合には、退職日の翌日の月の前月分までを支払う必要があります。

4. 社会保険料の納付額の確定時期

カレンダー社会保険料は毎月支払いが発生しますが、毎月10日ごろに前月分が確定となります。10日ごろに確定した保険料については前述していますが「保険料納入告知書」に記載され、20日前後に送付されます。そして期限はその月の末日です。

つまり、前月分が翌月の10日ごろ確定、20日前後に通知され、月末までに納付という流れです。もしも納付期限までに保険料が納付されない場合、年金事務所から催促状が送付されてきます。

なお、社会保険料には日割り計算は適用されません。例えば7月31日に入社した社員に対しても社会保険料の計算としては7月分も1カ月分支払う必要があります。 また当サイトでは、納付する際に必要となる社会保険料の算出方法について解説した資料を無料で配布しております。
本資料にて、確定時期や納付期限についても、図を用いてわかりやすく解説しておりますので、不安な点があるご担当者様は、こちらから「社会保険料の給与計算マニュアル」をダウンロードしてご確認ください。

5. 社会保険料の納付を滞納するリスク

リスク決まった額の社会保険料を期限内に納付することは、企業が果たさなければならない義務です。もしも納付を延滞してしまった場合はさまざまなリスクを負うことになります。ここでは納付期限が過ぎたことによる具体的なリスクを以下の通り6つ説明します。

5-1. 延滞金が発生する

仮に納付期限を過ぎてしまい催促状が届いた場合でも、催促状に記載された期限までに支払えば延滞金は発生しません。しかし、この期限を超えてしまった場合は延滞金が発生します。

なお、延滞金の割合は時期によって異なります。
2022年1月1日から2022年12月31日については納付期限からの日数に応じて、納付期限から3ヵ月を経過するタイミングまでは年2.4%、3ヵ月を超えた後は年8.7%となっています。

5-2. 財産が差し押さえられる

社会保険料を支払わないと、年金事務所や労働局の職員による財務調査がおこなわれます。そして財務調査により差し押さえられる財産があった場合、差し押さえが執行される前に予告通知が届く流れです。

この時点で滞納していた社会保険料を延滞金とともに支払うと、差し押さえも回避できることもあります。しかし、そのまま放置すると財産が差し押さえられるリスクがあるため、要注意です。

差し押さえの処分を受けると、銀行に預けている資金を自由に使えなくなってしまったり事務所に入れなくなったりと、事業の継続が困難になる可能性があります。

5-3. 金融機関から融資を受けられなくなる

社会保険料を滞納し、預貯金などの財産が調査されたり差し押さえを受けてしまったりした場合、当然ながら金融機関にもその情報が伝わります。

金融機関は将来的な利息と返済を見込んで企業に融資しています。したがって、社会保険料を滞納するほど財務状況が厳しい企業に対しては、融資自体を断る可能性が高まります。

関連記事:社会保険料を滞納する8つのリスクや支払えないときの対策を解説

6. 社会保険料は滞納せず正しく納付しよう

納税社会保険料は企業が必ず支払わなければならないものです。もし支払わなかった場合は催促状が届き、そのまま放置すると財産差し押さえなどのリスクを負うことになります。

社会保険料の滞納については、基本的に時効で消滅するということもありません。きちんと支払うとともに、もしも難しい場合は分納や支払日延期について年金事務所などに相談しましょう。

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OHSUGI

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クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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